「教科横断的な取り組み」の授業内容を紹介します。

名古屋市立工業高等学校
「教科横断的な取り組み」の授業内容を紹介します。
各教科・学科の共通テーマは「3.11に学ぶ~防災や被災後の人とのつながり」です。
二年生の電子機械の授業内で、「3.11 とロボット」と題して災害に対応した、災害
対応ロボットとは何かを学び、東日本大震災においてどのような機能を持ったロボッ
トが投入され、トラブルを解決してきたか知ることを目的として授業を行いました。
また、今後のロボット開発について将来のロボット技術者としての発想力を育てるた
めに、グループでの協議を行いました。
〈取り組み内容〉
全体を通して電子黒板を利用し、視覚的な理解の促進を行いました。
① 災害対応ロボットがどのような事をどのような場所で行うのかを定義から伝え、災害対応
ロボットに求められる3つの性能について、それぞれの要素ごとに実例を交えながら解説
を行いました。
② 災害対応ロボットが使用された現場である東日本大震災について確認をするため、その被
害の大きさを当時の福島第一原子力発電所の空撮映像から再確認をしました。
③ 福島第一原子力発電所内部に進入した災害対応ロボットであるPackBotとQuinceについて
実際に発電所の建屋内で活動を行った際の記録映像を交えながらそれぞれの特徴や成果に
ついての解説だけでなく、建屋内の調査中に発生したトラブルをどのように乗り越えたか
を解説しました。
④ 現状として、市場規模の小ささ等の障害があり災害対応ロボットの開発は遅れていること
を伝え、それらの障害を乗り越える方法の一例を紹介しました。
⑤ ①~⑤までに解説した知識や災害対応ロボットの現状について踏まえた上での協議を行い、
将来のロボット技術者としての発想力・問題解決力を養いました。
名古屋市立工業高等学校
〈生徒の感想・アンケート結果〉
・工業分野で役立つことが多くあると知った。
・ロボットは災害のときにとても必要となるので勉強していきたいです。
・自分が今重点的に学んでいるロボットというものが被災地などの場所で使われていたなんて
知らなかった。そういうロボットがもっと開発・作成されて被災地で使われたらもっとたくさ
んの人が助けられるのではないかと思います。
・原発事故により人間では片づけることができないものがあり、ロボットがいかに重要である
ことが分かった。
・普段と違うこういう授業も大切だと思った。
・自分たちでは気付かないところでいろんな人の努力やロボットたちの働きがあるんだと思い
ました。これからその人たちの努力に気づけるようになりたいと思いました。
・人の代わりに危険な場所に入るロボットがあることで人命救助の幅が広がるという事がわか
った。
・グループでの討議は得意なので楽しかった。もっと長い時間をかけて行いたい。
・災害は避けることができないが、ロボットなどの使用をすることで被害を抑える事ができる
ので対策を進めていきたい。
・グループでの討議の際にいろいろなアイディアが出てきたが、実現困難なものばかりになっ
てしまいました。それでもロボットが進化を続けているのは技術者の継続的な努力によるも
のだと思いました。
・将来自身が発生したときに災害対応ロボットがあれば安心できる。
・災害に不安を持った。
・ロボットがいることで、人ではできないことを代わりにやってくれるのでロボットの必要さ
がわかった。同じ条件で災害が起きることはないので、それぞれの状況に合わせたロボット
が必要なので大変そう。
・今までは災害に対する気持ちが少し低かったですが、3.11 の動画を見て気持ちが変わりまし
た。東海大地震が起こっても対応できるようなロボットを作れるように頑張って勉強したい
です。
・人だけではできないことがあり、ロボットは必要であるとさらにわかった。
名古屋市立工業高等学校
・ロボットが原発に入ったのは知っていたが、結構な回数入っていたことにびっくりした。ク
ラスでも話した通りがれきをどかすロボットができたらいいなと思いました。
・いつ愛知県にきてもおかしくない災害に対し事前に対策しておくことが大切だと思った。
・東日本大震災でロボットが使われていたなんて知らなかった。どのようなロボット使われて
いるか知れてよかった。
・災害対応ロボットは今まで知らないものだったのでとても興味が出ました。
・災害対応ロボットのおかげでいろいろな調査に成功したので災害対応ロボットの存在はほん
とに大きかったなぁと思いました。
上記のグラフは授業終了後に参加生徒に対し行ったもので、合計で5つの項目に対しての意
識の度合いを調査したものであり、5段階の数字が小さい方がより意識が高い解答をした生徒
を表しています。
グラフから各問に対して肯定的な意見が多く、否定的な解答をした生徒はほとんどいない事
がわかります。また、昨年度同じクラスに対して行ったアンケートと比較をすると学校での防
災教育の必要性について否定的であった意見がなくなり、防災に対する意識が全体的に向上し
ている傾向にあることがわかりました。