日赤のこころのケア活動

III.- ② 日赤のこころのケア活動
1. こころのケアとは
大規模な災害などにより、家族や友人を失ったり、また避難所での不自由な生活を強いられたりすると、心に大きなダメージを受け、時に体調の変化など身
体的な症状となって表れることがあります。日本で「こころ」の問題が一般に注目されるようになったのは、1995年の阪神・淡路大震災でした。
国連の人道機関間常任委員会が提唱しているガイドラインのなかでは、災害などの非常事態時の「こころのケア」として、二つの言葉を使っています。 ひとつ
は、精神科医師などの専門家が行う精神科医療や心理療法による「精神保健 (Mental Health)」で、もう一つは特別な訓練を受けた非専門家が行う「心理社会
的支援 (Psychosocial Support)」です。日赤のこころのケア活動は、この心理社会的支援にあたります。
2. 日赤のこころのケア活動
国際赤十字・赤新月社連盟 (IFRC) は、1994年にデンマーク赤十字社と協力してコペンハーゲンに、心理的支援センター (Reference Centre for Psychological
Support) を設立し、心理的支援プログラム (Psychological Support Program: PSP) のガイドラインの作成とその普及を行っています。日赤は、阪神淡路大震災
での教訓をもとに、IFRCが作成した心理社会的支援のプログラムにもとづいた「こころのケア」を災害時の救護活動の一つとして2003年より取り入れました。そ
して全国92の赤十字病院の看護師を中心に、こころのケア活動の指導者とスタッフを養成してきました。
日赤のこころのケアは、被災者一人一人に対するこころのケアである「心理的支援」と、避難所や仮設住宅、地域などにおいて、被災者とその家族や友人な
どとの人間関係や、被災者の属する地域社会との関係を支援する「社会的支援」からなっています。心理的支援は、精神保健の専門家でないボランティアでも、
訓練を受ければ行うことのできるケアであり、「支持」、「傾聴」、「共感」、「具体的な支援」の4つの要素からなる、「こころの救急法」がその基本となっています。
日赤のこころのケア活動は、特別に訓練を受けた「こころのケア要員」が避難所や仮設住宅、地域などを巡回しながら、被災者の悩みなどを聞いてその力に
なれるよう支援するとともに、ストレスやその対処方法を説明して安心感・安全感を築きます。また、医師などの専門家の介入が必要となった場合は、連携して
支援にあたります。
日赤のこころのケア活動
Copyright Red Cross Nuclear Disaster Resource Center
心理的支援と社会的支援