コチラ - 東アジア環境政策研究会 / REEPS

環境経済・政策学会 20 周年記念シンポジウム
「東アジアの持続可能な低炭素
経済に向けて:エネルギーシステム,エネルギー税制,政策協調のあり方」
1.シンポジウム開催日時および場所
2015 年 9 月 17 日(木) 13:00~18:00
名古屋大学大学院国際開発研究科(8 階多目的オーディトリアム)
2.シンポジウムプログラム
司会:藤川清史(名古屋大学国際開発研究科)
〇開会の言葉およびシンポジウムの概説(13:00~13:20)
李 秀澈(名城大学経済学部)
「東アジアの持続可能な未来に向けたエネルギーシステムとエネルギー税制改革」
第1部
東アジアにおける持続可能なエネルギーシステムと電源選択
〇講演 1(13:20~13:45)
小川祐貴(京都大学大学院地球環境学舎)・李 秀澈(名城大学経済学部)
「東アジアの電源選択と環境・経済効果」
〇講演 2 (13:45~14:10)
松本健一(滋賀県立大学環境科学部)
「気候変動政策下でのエネルギー安全保障」
第2部
東アジアの持続可能な低炭素経済に向けたエネルギー税制改革
○講演 3 (14:10~14:35)
朴 勝俊(関西学院大学総合政策学部)
「東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果」
○講演 4 (14:35~15:00)
李 態妍(龍谷大学経済学部)
「エネルギー税制改革と人的資本の形成」
休憩 15:00~15:20
第3部
エネルギー税制改革と国際競争力措置
○講演 5 (15:20~15:55)
ヘクター・ポリット(ケンブリッジ・エコノメトリクス)
「エネルギー税の競争力効果とカーボンリーケージ」
○講演 6 (15:55~16:20)
伴ひかり(神戸学院大学経済学部)・藤川清史(名古屋大学国際開発研究科)
「東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響」
第4部
総合討論および質疑応答(16:30~18:00):日本・中国・韓国・台湾の役割
司会:藤川清史(名古屋大学)
パネリスト:高村ゆかり(名古屋大学),芦名秀一(国立環境研究所),劉憲兵(IGES),
羅星仁(広島修道大学),陳禮俊(山口大学),ジャン-フランソワ メルキュール(4CMR)
【連絡先】
名城大学経済学部 李秀澈 [email protected]
名古屋大学国際開発研究科 藤川清史 [email protected]
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シンポジウムの背景と概要
シンポジウムの背景と目的
ーー東アジアの持続可能な未来に向けた
エネルギーシステム・税制改革、政策協調--
李
秀 澈(イ スゥチョル)
名城大学経済学部
[email protected]
目次
1. 東アジア環境政策研究会の活動
2. 本シンポジウムの背景
3. シンポジウムの目的
4. 東アジアの持続可能な未来に向
けて
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シンポジウムの背景と概要
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シンポジウムの背景と概要
1.東アジア環境政策研究会の活動
本研究会の活動目的は、日本・中国・韓国・台湾を中心とする東アジア地域
における持続可能な発展のための環境・エネルギー政策に関する研究です。
10年以上にかけた科研の支援により、著書、論文、シンポジウム、ワーク
ショップ、学会報告、講演会など様々な学術活動を通じて、その成果を社会
に広くフィードバックしています。
 第1期目の主な研究活動(2000年~2005年):
東アジア地域の環境問題と環境政策に関する基礎実態調査
 第2期目の主な研究活動(2006年~2008年):
東アジア地域の環境賦課金制度の運用経験、成果、課題の国際比較分析
 第3期目の主な研究活動(2009年~2012年):
東アジア地域の環境法・規制及び財政の運用実績・成果・課題の国際比較分析
 第4期目の主な研究活動(2013~2017):
東アジア諸国が進めているエネルギー環境システム及び税制改革のE3モデル分析
シンポジウムの背景と概要
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Low‐carbon, Sustainable Future in East Asia: Improving energy systems, taxation and policy cooperation (Routledge Studies in the Modern World Economy) (2015)
「東アジアの環境
賦課金制度」昭和堂
(420頁)。(2010)
『東アジアのエネルギー・環境政
策−原子力発電/地球温暖化/
大気・水質環境』昭和堂。(2014)
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シンポジウムの背景と概要
2.本シンポジウムの背景
本シンポジウムの目的は、環境と経済の両面で相互依存を深める日本・中国・韓国・
台湾を中心とした東アジア において、それぞれが進めている持続可能な低炭素経済
を目指した政策の現状と課題について、国際比較の観点から考察を行うものである。
その際、ケンブリッジエコノメトリクス社のE3MEモデルを中心に、各種の応用一般均
衡モデルなどの先進的なE3モデル(経済・環境・エネルギーを総合的に分析するモデ
ル)を用いて、各国が進めているエネルギー・環境関連の制度改革の効果を定量的
に評価する。
こうして、各種の政策が自国だけでなく他国に及ぼす影響を評価した上で、さらに各
種の制度の定性的な側面も十分に検討した上でエネルギー利用の持続可能性の実
現、温室効果ガスの画期的排出削減、およびグリーンビジネスの振興などを促すよう
な、エネルギーシステムおよび税制改革、そして政策協調の方向性を明らかにする。
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3.シンポジウムの目的
ー3つの問いと答えー
<第1部の目標(Research Question)>
エネルギー・電源選択は如何なるものであるべきか
東アジアにおける①原発シェア拡大を認めない原発規制のシナリオ、②石炭火
力のシェア拡大を認めない石炭火力規制シナリオ、③原発と石炭火力の同時
規制シナリオを用いて、こうした規制が各国の電源選択および環境と経済に与
える影響についてモデル分析を行った。
1つ目の政策インプリケーションは、原発そして石炭火力の規制による再生可
能エネルギーのシェア拡大は、短期的には電源コストの増加により経済の負担
要因となる。しかし、それが化石燃料の輸入減をもたらし、また再生可能エネル
ギーの投資需要増加がGDPを引き上げる(有効需要効果)ので、中長期的に
は経済への悪影響はあまり見られない。
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シンポジウムの背景と概要
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シンポジウムの背景と概要
2つ目の政策インプリケーションは、上記の3つの政策シナリオが、東アジアの
国々単独で行われるより、政策協調により同時に行われる場合のほうが、概ね
経済指標の改善が実現されており、政治的にも容易であるということである。
3つ目は、再生可能エネルギーのシェア拡大は、CO2排出削減による気候変動
緩和に寄与するだけでなく、それぞれの国でエネルギー安全保障にも大きく寄
与するということが、CGEモデル分析により確認できた。
また東アジアでは古いエネルギー設備の更新により省エネルギーが進められる
潜在力が大きいことが明らかになった。持続可能な低炭素経済に向かうために
は、原発と化石燃料のシェア縮小、そしてこれに伴う再生可能エネルギーのシェ
ア拡大とともに、低炭素技術開発とエネルギー効率改善も重要であることが、モ
デル分析により提示された。
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シンポジウムの背景と概要
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<第2部の目標>
エネルギー・炭素税の制度設計は如何なるものであるべきか
本研究では、まず、欧州で一定の成果が報告されてきた環境税制改革が東ア
ジアでも有効であることが確認された。すなわち炭素税を導入し、その税収を消
費税、所得税、企業の労働関連コスト(社会保障負担など)の軽減のためにリサ
イクルするシナリオ分析を行った結果、二酸化炭素排出削減と経済活性化の同
時達成という「二重の配当(double dividend)」が見られた。
さらに本研究では、EUでもまだフロンティアであり、アジアでは先駆的な環境税
制改革のシナリオ分析を試みた。すなわち炭素税の税収を、人的資本投資(教
育・訓練)に用いるシナリオや、また炭素税の逆進性に対処すべく低所得層の
所得補填に用いたシナリオを立てて、モデル分析を行った。
その結果、労働生産性の向上と分配の改善、そしてそれによるGDPなど経済
パフォーマンスの増大が確認された。
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シンポジウムの背景と概要
従来は、税収中立型の環境税制改革による二重の配当に研究者の主な関心
が集まっていたが,本研究ではもうひとつ環境税制改革に関して新たな視点か
らのモデル分析を行った。
すなわち、本研究では,主要国に共通して見られる経済危機後の財政赤字の
問題を背景に,財政健全化の財源として「増税するならどの税がよいのか」とい
う観点からシナリオ分析を行い,消費税や所得税よりも炭素税の方が経済的に
好ましいことを示した。
こうして本研究では、東アジアにおいて環境税制改革が有効であり,公正で持
続可能な低炭素経済の実現に貢献しうることが明らかにされた。
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シンポジウムの背景と概要
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<第3部目標>
東アジアの低炭素政策の選択と協力は如何なるものであるべきか
本研究では、自由貿易と持続可能な低炭素経済の関係が示された。近年、
TPP、中韓FTA、日中韓FTAをはじめとする自由貿易の流れにより、東アジア地
域における貿易が活性化し,経済の相互依存がさらに強まることが予想される。
自由貿易は、関税撤廃によるエネルギー価格低減と貿易活性化による二酸化
炭素排出の増加をもたらすと予想される。
貿易の深化によって,これまでのように製品の生産国にCO2排出の「責任」を負
わせるだけではなく,消費国の「責任」についても考える必要が生じている。本
研究のthe international IO structure in the Asia-Pacific regionモデル分
析から、二酸化炭素排出の「責任」を生産地から消費地に移すことによって,地
域ごとの排出量の大小関係や,排出量の推移が,全く違った姿で見えるように
なった。
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シンポジウムの背景と概要
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シンポジウムの背景と概要
また貿易に伴う海上物流(船舶)からの排出量も無視できないレベルに達してお
り、低炭素輸送のための東アジアベースでの共同国際貨物輸送網構築など効
果的な対策の必要性が示された。
一方で,貿易に伴い先進国の低炭素技術が途上国(本研究では、たとえば日
本と韓国から中国へ)へ移転されれば、産業によっては東アジア全体で二酸化
炭素の排出抑制が実現されることも明らかになった。なお,国際的な相互依存
の深化に伴い,個別の国々が独自に低炭素政策をとることの難しさ,すなわち
リーケージの問題がますます強調されており,対応策が求められている。
本研究では,炭素税の国境税調整についての分析を行い,その有効性を示し
た。また,東アジア諸国間の低炭素政策の協調など,政策協調の必要性と有効
性が示唆されている。
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シンポジウムの背景と概要
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4.東アジアの持続可能な未来に向けて
(1) 原子力の規制と低炭素制度設計による持続可能なエネル
ギー・電源ミックスの実現
(2) 環境税制改革による環境と経済の両立と,人的資本生産
性の向上、分配問題の緩和、そして財政赤字問題の解消
(3) 低炭素・エネルギー問題における東アジアの政策協調がで
きる東アジア低炭素パートナーシップ( 環境共同体)の実現
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シンポジウムの背景と概要
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シンポジウムの背景と概要
ご清聴ありがとうございました。
The Book…
Published by the
collaboration work
with REEPS and
Cambridge
Econometrics
A set of essays on future
climate policy in East Asia,
focusing on:
 the energy system
 Environmental Tax Reform
 Sustainable trade
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シンポジウムの背景と概要
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
東アジアの電源選択と
環境・経済効果
小川祐貴(京都大学大学院 地球環境学舎)
李秀澈(名城大学 経済学部)
もくじ
 東アジアの電源部門と
分析の問題意識
 分析ツール
 分析するエネルギー政策と
分析結果
 まとめ
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
東アジアの電源部門
 経済発展とともに電力需要も増加
 火力発電を中心とする集中型電源に依存
 輸入燃料への依存とエネルギー安全保障
 二酸化炭素排出量の削減が課題
 震災以後、原子力発電の安全性に対する懸念
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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分析の問題意識
 原子力依存度の低い電源部門を目指す場合
 低炭素型の電源部門を目指す場合
 二者を同時に実現しようとする場合
…について
 電源構成はどう変化するか?
 環境(二酸化炭素排出量)はどう変化するか?
 経済にはどのような影響があるか?
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
分析ツール
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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E3ME-Asia モデル
 マクロ計量モデル
― Cambridge Econometricsが開発
― REEPSメンバーの協力により拡張
― 日・中・韓・台の他、53の国と地域が分析対象
 他のモデルとの違い
― 需要主導型
― 均衡・最適化を仮定しない
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
FTT: Power モデル
 電源部門を解くモデル
― 4CMRが開発
― 24の発電技術をモデル化
― 53の国と地域それぞれについて分析
 他のモデルとの違い
― 均衡・最適化を仮定しない
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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電源部門における制約
 電源種別
― ベースロード/変動電源/柔軟性のある電源
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
E3MEとFTTの連関
E3ME
・燃料消費
・電源への投資
・電力価格
・二酸化炭素排出量
・投資の波及効果
・電力需要
・燃料需要
FTT
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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分析するエネルギー政策
 共通の仮定
― 原子力・石油・水力発電は規制されている
― 再生可能エネルギーに対する支援政策
 基準ケース(共通の仮定のみ・規制なし)
 原子力規制シナリオ
 石炭火力規制シナリオ
 原子力+石炭火力規制シナリオ
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
分析結果
 電源構成の変化
 環境・経済への影響
― 実質GDPの変化
― 二酸化炭素排出量の変化
 政策協調の効果
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
電源構成の変化―日本
原子力規制
基準ケース
原子力+石炭火力規制
石炭火力規制
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原子力
石炭
ガス
バイオマス
水力
太陽光
石油
石油+CCS
ガス+CCS
バイオマス+CCS
風力
地熱
東アジアの電源選択と環境・経済効果
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その他
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
環境・経済への影響―日本
実質GDP, 基準ケースとの差, %
二酸化炭素排出量, 2010年=100
基準ケース
原子力規制
石炭火力規制
原子力+石炭火力規制
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
電源構成の変化―中国
原子力規制
基準ケース
原子力+石炭火力規制
石炭火力規制
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原子力
石炭
ガス
バイオマス
水力
太陽光
石油
石油+CCS
ガス+CCS
バイオマス+CCS
風力
地熱
東アジアの電源選択と環境・経済効果
15
その他
14
東アジアの電源選択と環境・経済効果
環境・経済への影響―中国
実質GDP, 基準ケースとの差, %
二酸化炭素排出量, 2010年=100
基準ケース
原子力規制
石炭火力規制
原子力+石炭火力規制
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
電源構成の変化―韓国
原子力規制
基準ケース
原子力+石炭火力規制
石炭火力規制
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原子力
石炭
ガス
バイオマス
水力
太陽光
石油
石油+CCS
ガス+CCS
バイオマス+CCS
風力
地熱
東アジアの電源選択と環境・経済効果
16
その他
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
環境・経済への影響―韓国
実質GDP, 基準ケースとの差, %
二酸化炭素排出量, 2010年=100
基準ケース
原子力規制
石炭火力規制
原子力+石炭火力規制
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
電源構成の変化―台湾
原子力規制
基準ケース
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原子力
石炭
ガス
バイオマス
水力
太陽光
石油
石油+CCS
ガス+CCS
バイオマス+CCS
風力
地熱
東アジアの電源選択と環境・経済効果
17
その他
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
環境・経済への影響―台湾
実質GDP, 基準ケースとの差, %
二酸化炭素排出量, 2010年=100
基準ケース
石炭火力規制
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
政策協調の効果
2030年時点での各国実質GDP, 基準ケースとの差, %
原子力規制
単独
石炭火力規制
協調
単独
-1.04
原子力
+石炭火力規制
協調
-1.05
単独
-2.36
協調
日本
-0.51
-0.52
-2.22
中国
-0.06
-0.06
0.71
0.66
0.89
0.83
韓国
0.05
0.03
-0.14
-0.11
-0.32
-0.33
台湾
―
-0.03
-1.05
-0.95
―
-0.99
 日・中の経済状況が他国に波及する
 政策協調で4カ国全てでエネルギー価格が上昇
→1カ国だけが競争力を失うことがなくなる
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
まとめ
 電源構成の変化
 環境・経済への影響
― 実質GDPの変化
― 二酸化炭素排出量の変化
 政策協調の効果
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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電源構成の変化
 原子力規制
― 原子力の減少分は既存電源により置き換わる
 石炭火力規制
― 再生可能エネルギーのシェアが大きく伸びる
 なぜか?
― 原子力も石炭火力もベースロード電源
― もともとシェアの大きな石炭火力の規制により
再生可能エネルギー導入の余地が大きくなる
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
環境・経済への影響
 二酸化炭素排出量には大きく影響
― 基準ケースと比較して50%減となる場合も
 経済への影響は比較的小さい
― ほとんどが基準ケースと比較して±1%未満の差
 プラスの要素
― 燃料輸入の減少と新規電源への投資
 マイナスの要素
― 高い電力価格
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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政策協調の効果
 日・中の経済状況が他国に波及する
 政策協調で4カ国全てでエネルギー価格が上昇
→1カ国だけが競争力を失うことがなくなる
 4カ国が強調することで、
より一層持続可能な社会に近づける
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東アジアの電源選択と環境・経済効果
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
気候変動対策下でのエネルギー安全保障
CGEモデルを用いた分析
Energy security analysis under climate mitigation
滋賀県立大学環境科学部
松本 健一
Ken’ichi MATSUMOTO (The University of Shiga Prefecture)
気候変動
2015/09/17
Source: http://www.cnn.co.jp/fringe/35020107.html
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
エネルギー
2015/09/17
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
Source: http://www.activeglobalinc.com/scroll/index.html
気候変動とエネルギー
↓
密接な関連
2015/09/17
Source: http://www.iges.or.jp/jp/climate‐energy/
4
気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
気候変動緩和が
エネルギー安全保障に及ぼす影響
将来のエネルギー構造の変化?
将来のエネルギー安全保障は?
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
5
エネルギー安全保障
狭義のエネルギー安全保障
エネルギー供給
広義のエネルギー安全保障
エネルギー供給
経済
技術
環境
社会
文化
軍事
von Hippel et al. (2011)
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
方法(全体像)
モデル:応用一般均衡モデル(CGE:Computable
General Equilibrium)
シナリオ:代表的濃度パス(RCPs:Representative
Concentration Pathways)
エネルギー構成:一次エネルギー
エネルギー安全保障:ハーフィンダール指数
分析期間:2001~2050年
分析対象:日本・中国・韓国
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
CGEモデル
 逐次均衡型動学モデル
 環境とエネルギーの要素
 多部門・多地域CGEモデル
 世界モデル
 CES(代替弾力性一定)型関数
環境からの投入・フィードバック
中間投入
生産部門
環境汚染、環境保全
付加価値
生産
生産要素市場
環境
価格
供給曲線
生産財市場
均衡
労働など
最終需要
需要曲線
環境汚染、環境保全
最終需要部門
環境からの投入・フィードバック
量
図:需給均衡
図:CGEモデルの概要
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
温暖化レベル
と
排出量
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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ハーフィンダール指数
H:ハーフィンダール指数;
xi:一次エネルギー種別のエネルギー需要シェア
*1に近づくほど特定の要素への依存度が高い
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
一次エネルギー構成(全体)
2001
2050
リファレンス
6W/m2
4.5W/m2 2.6W/m2
日本
19.9
12.1
11.7
11.6
9.3
中国
53.5
275.6
261.0
149.8
73.5
韓国
9.1
13.3
12.1
11.5
7.2
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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一次エネルギー構成(日本)
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
一次エネルギー構成(中国)
2015/09/17
気候変動対策下でのエネルギー安全保障
13
一次エネルギー構成(韓国)
2015/09/17
気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
ハーフィンダール指数
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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結論
気候変動緩和
→気候変動緩和がエネルギー自給率の向上に寄与
ハーフィンダール指数
→緩和の程度が大きくなるほど多様性が高まる傾向
(必ずしもそうならないことも)
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気候変動対策下でのエネルギー安全保障
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東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
東アジアのエネルギー税制改
革の環境・経済効果
朴勝俊(関西学院大学総合政策学部教授)
小川祐貴(京都大学地球環境学舎)
川勝健志(京都府立大学公共政策学部准教授)
ヘクター・ポリット(ケンブリッジ・エコノメトリクス)
もくじ
背景と問題意識
分析方法
世界マクロ計量モデル(E3ME-Asia)
シミュレーション結果と考察
まとめ
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東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
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東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
背景と問題意識
「実効性のある政策措置は何か?」
・国際交渉や国別目標(義務的/自主的)は
それ自体に削減効果があるわけではない。
→各国が国内で政策措置を導入する必要
・政策措置
経済的手法(環境税、排出枠取引、補助金・・・)
直接規制、広報活動・・・
「途上国でも実施可能な政策措置は何か?」
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東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
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経済的手法の比較
環境税
(エネルギー税)
排出枠取引
補助金
長所
・行政費用が低く、
・削減目標と整合的。 ・反対を受けにくい
途上国でも導入
・排出枠価格が市場
しやすい。
で決まり、高くなる
・工場や発電所だけ
ことができる。
でなく、家庭や自家
用車にも効果的。
・国境税調整が可能
短所
・低い税率では
・制度が複雑で、
・無駄が生じやすい
効果がない。
行政費用が高い。 ・財源が必要
・反対を受けやすい。 ・工場や発電所など
・経済に悪影響?
大規模施設に対し
てしか実施しにくい。
・反対を受けやすい。
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
30
4
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
経済に悪影響を与えない(1)
「国際調和型炭素税」
先進国・途上国にか
かわらず、
全ての国が、同じ税率
で、炭素税を導入して
ゆくべきだ。
W. Nordhaus
・米エール大
・元米大統領諮問
会議委員
J. Stiglitz
・米コロンビア大
・世銀元上級副総裁
・ノーベル賞
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
5
経済に悪影響を与えない(2)
「環境税制改革」(バッズ課税、グッズ減税)
エネルギー
への課税
2015/09/17
他の課税
(社会保障負担など)
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
31
6
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
環境税制改革の「二重の配当」
環境に悪影響を与える財に課
税することで、環境負荷を抑え
ることができる(第一の配当)
既存の税(所得税、法人税、
消費税、労働にかかる社会保
障負担など)が引き下げられる
ことで、GDPや雇用など、経済
パフォーマンスが改善する?
(第二の配当)
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
7
二重の配当の理論的図解
(労働税減税、非自発的失業の場合)
エネルギー市場
化石燃料価格
(円/リットル)
労働市場
名目賃金率
(万円/(人・時間))
労働供給曲線
労働需要曲線
炭素税込み供給曲線
P2
U1
WD1
税引前賃金率
U2
WD2
t
税抜き供給曲線
P1
手取り賃金率
WS
需要曲線
0
X2
X1
化石燃料
(リットル)
0
LD1
LD2
LS
雇用量
(人・時間)
労働税減税分が、企業の労働コスト抑制につながる場合
(つまり労働者の賃上げにつながりにくい場合)に、
労働需要が増え、二重の配当につながりやすい。
32
8
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
「弱い」vs「強い」二重の配当
経済指標(GDP等)
+
0
削減なし
排出削減
コスト
(死重損失)
-
弱い
二重の配当
(1)排出枠取引
(2)環境税
2015/09/17
税収で
他の税を
減税(A)
強い
二重の
配当
税収で
他の税を
減税(B)
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
9
「強い二重の配当は可能なのか?」
既存研究
数学モデルを用いた一般均衡アプローチでは否定的
「税の相互作用効果」、Bovenberg, Parry, Goulder。
(「環境税で物価が上がれば実質賃金低下によって労働供給が減る」)
データを用いた応用一般均衡モデル(CGE)
・否定的な結果(多い)
・肯定的な結果も少なくない
労働市場が均衡でない場合(朴 2002)
法人税が減税される場合(Takeda 2007)
データを用いたマクロ計量モデル(E3ME)
・肯定的な結果(COMETR 2007)
欧州8カ国の環境税制改革で「二重の配当」
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
33
10
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
東アジアの場合
既存研究は少なく、あったとしても各国レベル。
ほとんどがCGEモデル。
→世界マクロ計量モデル(E3ME-Asia)での分析を
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
11
分析方法: E3ME-Asia モデル
(Economy, Energy, Environment, Model, Europe, Asia)
ポストケインジアンのマクロ
計量モデル。
合理性と均衡を前提としない。
53の国と地域、43産業部門
電力部門はボトムアップ
(FTTモデル)
EUやIPCC、英国政府などが
気候変動政策の分析に活用
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
34
12
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
環境税制改革の設定
• 各国が導入する、炭素税と減税との
組み合わせ(税収中立)
(4) 4カ国が一斉導入する場合
(C, J, K, T) 各国が単独実施する場合
(4カ国の削減総量は上と同じ)
• 税率
(‐N‐) 各国の削減目標を達成する税率
(‐H‐) 4カ国で等しい税率(82.1$/tCO2, 2020)
• 税収還元(Revenue Recycling)
(‐N)税収還元なし、(‐C)消費税減税、
(‐I)所得税減税、
(‐L)労働税(社会保障負担)軽減
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
13
各国の温室効果ガス(GHG)削減目標
(2020年まで)
中国:
実質GDP単位あたりのCO2排出量(原単位)を、
40%抑制
日本(旧目標):
GHGを2005年比3.8%削減
韓国:
GHGをベースラインから30%削減
台湾:
GHGを2005年レベルまで抑制
※2020年以降の目標は設定せず、
炭素税率を一定率(1.7%/年)で上昇させる。
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
35
14
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
シミュレーション結果
目標達成に必要な炭素税率は?
4カ国の総削減量を達成する、調和税率は?
その税収はGDPに比べてどの程度か?
二重の配当をもたらす税収還元方法は?
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
15
炭素税によるCO2の削減(税収還元なし)
153.70 $/tCO2
52.44 $/tCO2
82.09 $/tCO2
213.37 $/tCO2
2015/09/17
495.44 $/tCO2
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
36
16
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
必要なエネルギー税率のめやす
600
495.4
500
400
213.4
Gasoline Tax
(Korea 2013)
200
237.4
Korea 2020
307.0
300
39.4
52.4
China 2020
100
EU-ETS 2006
153.7
82.1
2015/09/17
Taiwan 2020
Oil Price Change
(2001-2007)
Harmonized 2020
Japan 2020
0
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
17
結果:炭素税収(国別税率): GDP比(%)
16
13.6 14
12
10
8
6
4
6
4.0 3.8 2.8 2
3.1
1.7
1.5
0
中国
日本
韓国
国別税率
2015/09/17
調和税率
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
37
台湾
18
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
結果:税収還元(前提)
4カ国とも同じ炭素税率(82.09$/tCO2)
ただし、税は各国単独実施
(4カ国一斉実施でも結果に大きな差はない)
税収還元(Revenue Recycling)
(-N)税収還元なし、
(-C)消費税減税、
(-I)所得税減税、
(-L)労働税(社会保障負担)軽減
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
19
結果:調和税率、税収還元
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
38
20
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
考察(1):CGE分析との比較
E3MEでは税収還元しないシナリオが分析可能。
CGEではLump-sum還元とせざるをえず、
Lump-sumでは「弱い二重の配当」も得られない。
CGEでは、消費税減税や所得税減税はLump-sum
還元と同様に、二重の配当が得られない傾向。
E3MEでは「有効需要」のプラス効果により
二重の配当がみられる。
CGEモデルでは「二重の配当」が得られやすいのは
労働税減税であるが、E3MEでは労働市場のモデル
化に依存する。
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
21
考察(2):実現可能性をめぐって
なるべく多くの国々が同時に実施すべきだが、
モデルの結果によれば、単独実施でもさほど結果は
変わらない。
1国単独の環境税制改革で、自国のエネルギー集
約産業が不利にならないような措置が求められる。
免除や軽減措置よりも、国境税調整の方が好まし
い。 (→Hector Pollittさんの発表へ)
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
39
22
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
まとめ
目標達成に必要な炭素税率は?
→CGEモデル等の場合より高い税率が必要。
しかし、経済への影響は大きくない。
4カ国の総削減量を達成する、調和税率は?
→82.1$/tCO2
その税収は、各国のGDPにくらべてどの程度か?
→既存の消費税等と比べてもかなりの税収をもたらす。
GDP比%
国別税率
調和税率
中国
4
6
日本 韓国 台湾
2.8
3.8
13.6
1.5
1.7
3.1
「二重の配当」をもたらす税収還元方法は?
→有効需要を効果的に刺激する減税
(消費税・所得税等)。
2015/09/17
東アジアのエネルギー税制改革の環境・経済効果
40
23
エネルギー税制改革と人的資本の形成
エネルギー税制改革と人的
資本の形成
Tae-Yeoun Lee・Hector Pollitt・
Sung-In Na・Unnada Chewpreecha
研究目的と主な結果
目的
炭素税のリサイクル:教育や企業の教育訓練への支援(長期的
な効果を分析)
Triple dividend?:CO2、GDP、雇用への影響?
所得格差を是正?
結果
日本:教育、企業の教育訓練への支出:CO2削減、GDPや雇
用の増加
韓国:2020年、3つのケースともCO2削減、GDP・雇用の増加
しかし、2030年、教育投資、所得税の減税ケース:GDP増加も
雇用は減少
雇用への効果:教育より企業の教育訓練への支援による効果
が大きい
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
41
2
エネルギー税制改革と人的資本の形成
もくじ
1. 問題意識・研究目的
2. 先行研究
3. 主な分析内容
4. 主な分析結果
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
3
1. 問題意識と研究目的
東アジア:少子高齢化
 将来の人口減少→労働人口減少
→経済水準:維持可能か?
経済格差:負の連鎖
※子供の貧困率:平均的な所得の半分を下
回る世帯で暮らす18 歳未満の子供の割合
を示す
• 厚生労働省の調査(3年に1回実施する
国民生活基礎調査):2012年時点で
16.3%(前回比0.6ポイント増)(日経2014
年8月29日記事より)
 2013年「子どもの貧困対策推進法」制定
 非正規労働の増加:教育訓練機会の差→所得の差
 親の所得格差→子供の貧困:日本6人に一人
→子供の教育の格差→将来の生産性に影響
→子供世代の所得格差
Question
1. 持続可能な発展:労働者一人当りの生産性をUP?
2. 子供への教育投資:親への対策で間接的⇒将来の労働力確保の
ため、政府による教育への直接的な投資?
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
42
4
エネルギー税制改革と人的資本の形成
将来予測人口:日本、韓国
Population by age groups in
Japan
under 15 years old
Population by age groups in
Korea
under 15 years old
15-64 years old
140,000
60,000
120,000
50,000
100,000
15-64 years old
over 65 years old
over 65 years old
40,000
80,000
30,000
60,000
20,000
40,000
20,000
10,000
-
-
Source: United Nations, World Population Prospects (http://esa.un.org/unpd/wpp/Excel-Data/population.htm)
2015/09/17
5
エネルギー税制改革と人的資本の形成
所得格差1
Percentage point changes in the Gini coefficient of household
market and disposable incomes between 2007 and 2011
10
10
Market income inequality (↗)
Disposable income inequality
8
8
6
6
4
4
2
2
0
0
-2
-2
-4
-4
Source: OECD Income Distribution Database (via www.oecd.org/social/income-distribution-database.htm)
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
43
6
エネルギー税制改革と人的資本の形成
所得格差2
The risk of poverty remains high among jobless households and single parents
Relative poverty rate of households with working-age heads in each year = 100, mid-1980s to 2011, OECD average
Panel A. By number of workers in the household
500
500
Jobless household
1 worker in the household
2 workers in the household
450
Panel B. By household type
Singles
Single parents
Couples without children
Couples with children
450
400
400
350
350
300
300
250
250
200
200
150
150
100
100
50
50
0
0
Mid-1980s
Mid-1990s
2007
Mid-1980s
2011
Mid-1990s
2007
2011
Note: OECD un weighted average for 16 OECD countries for which data are available from the Mid-1980s: Canada,
Denmark, Finland, France, Germany, Greece, Israel, Italy, Japan, Luxembourg, Mexico, the Netherlands, New
Zealand, Norway, Sweden and the United States.
Source: OECD Income Distribution Database (via www.oecd.org/social/income-distribution-database.htm)
2015/09/17
7
エネルギー税制改革と人的資本の形成
教育格差
1か月間の収入と支出(二人以上の世帯のうち勤労者世帯、2013年)
Ⅰ
日本
(万Yen)
実収入
実支出
消費支出
教育
教育/消費
~433
30.00
26.66
22.49
0.80
0.04
Ⅱ
433 ~566
Ⅲ
566~714
Ⅳ
714~924
Ⅴ
924 ~
39.50
32.66
26.34
1.26
48.11
38.24
29.85
1.56
60.21
47.21
35.76
2.37
83.97
63.55
45.14
3.53
0.05
0.05
0.07
0.08
Source: Portal site of Official Statistics of Japan: Family Income and Expenditure Survey (http://www.e-stat.go.jp/)
韓国
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
(万
勤労者 その他 勤労者 その他 勤労者 その他 勤労者 その他 勤労者 その他
Won)
実収入 189.6 85.9 316.5 209.9 414.1 317.8 538.4 425.1 825.7 691.1
実支出 180.4 121.4 260.7 202.2 330.8 277.5 415.0 339.8 570.1 471.9
消費支出 148.9 103.0 210.1 165.3 256.7 219.7 310.0 267.4 389.4 355.9
教育
11.8
4.9 19.7 13.0 31.1 24.6 41.0 32.5 51.4 43.8
教育/消費
0.08 0.05 0.09 0.08 0.12
0.11 0.13 0.12 0.13 0.12
Source: Statistics Korea (http://kosis.kr/statHtml/statHtml.do?orgId=101&tblId=DT_1L9H006&conn_path=I3)
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
44
8
エネルギー税制改革と人的資本の形成
1. 問題意識と研究目的
従来の研究:
炭素税の主な使途
家計への還元
環境対策
経済への影響を小さく、現在の社会問題の歪みを改善
社会保障雇用者負担の削減財源
低所得者の所得税の引き下げ財源
年金保険料の負担軽減財源
将来の問題への取り組み?長期的な政策の分析は?
人的資本形成への投資?⇒教育、訓練への投資効果は?
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
9
2. 先行研究:二重の配当
Pearce (1991): ‘Double Dividend’ 初めて使用
Goulder (1995)、De Mooij (2000):バッズに課税、グッ
ズに減税
Bosquet (2000) :雇用の増加or失業率の低下→第2 の
配当
朴 (2002):二重の配当の厳密に定義
労働減税ケースにおいて、「強い二重の配当」、「雇用の二重
の配当」の可能性があると結論
弱い二重の配当:CO2削減、厚生が一括還元時より大きい
強い二重の配当:CO2削減、厚生が環境税導入前より大
きい
雇用の二重の配当:CO2削減、雇用水準の上昇
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
45
10
エネルギー税制改革と人的資本の形成
つづき
近年:double dividend -> triple dividend
例) Oueslati (2014) and Abdullah and Morley
(2014) :‘triple dividend’
GDP増加、雇用増加、貧困の改善
2015/09/17
11
エネルギー税制改革と人的資本の形成
先行研究:教育と生産性関連
Mincer (1958):教育年数、経歴、所得の関係を分析
Heckman (2003, 2006):就学前教育、就学教育、
ポスト就学教育等の教育効果を分析
企業の教育訓練の効果を分析
日:樋口(2005),Kwon et al. (2012)
韓:Hwang (2012)
など
樋口(2013):世帯主が非正規労働者の場合、相対
貧困率が高いことを示し、貧困問題を解決するため
には正規雇用への転換が有効
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
46
12
エネルギー税制改革と人的資本の形成
3. 主な分析内容
教育関連の現状
Educational attainment, by age group (%,2011)
Upper secondary or post‐secondary non‐ Tertiary education
tertiary
Below upper secondary
日本
韓国
日本
韓国
日本
韓国
25‐64
0
18.6
53.6
41.0
46.4
40.4
25‐34
0
2.0
41.3
34.2
58.7
63.8
55‐64
0
54.9
69.3
32.4
30.7
12.8
Source: OECD (2013), Education at a Glance 2013(http://www.oecd.org/edu/eag.htm)
2015/09/17
13
エネルギー税制改革と人的資本の形成
Proportion of population with tertiary
education and difference in attainment
between 25-34 and 55-64 year-olds (2011)
Difference between the 25-34 and 55-64 year-old
populations with tertiary education.
Percentage points
Korea
OECD average
60
50
40
30
Poland
20
Japan
France
Ireland
Chile Spain
Luxembourg
Belgium
Slovenia
Norway
Portugal
Czech RepublicOECD average
Iceland
Sweden United Kingdom
Slovak Republic
Australia
Netherlands
Greece
New Zealand
Italy
Switzerland
Denmark
Finland
Turkey Mexico Hungary
Austria
Estonia
Brazil
United States
Germany
Israel
OECD average
10
0
Canada
Russian Federation
%
-10
0
10
20
30
40
50
60
Proportion of 25-64 year-olds with tertiary education
Source: OECD (2013), Table A1.3a. See Annex 3 for notes (www.oecd.org/edu/eag.htm)
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
47
14
エネルギー税制改革と人的資本の形成
Cost: Annual expenditure per student by
educational institutions for all services
In equivalent USD converted using PPPs for GDP, by level of education,
based on full-time equivalents, 2010
All secondary
education
All tertiary
education
日本
9,957
16,015
韓国
8,060
9,972
Source: OECD (2013), Education at a Glance 2013(http://www.oecd.org/edu/eag.htm)
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
15
Labour market status by age and
educational attainment
Source: OECD (2013), Table A5.5a and A5.5c. See Annex 3 for notes (www.oecd.org/edu/eag.htm)
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
48
16
エネルギー税制改革と人的資本の形成
Wage deference:
Relative earnings of adults with income from employment,
by educational attainment, gender and age group
Below upper
secondary
education
Post-secondary
non-tertiary
education
All tertiary
education
25-64 25-34 55-64 25-64 25-34 55-64 25-64 25-34 55-64
Men
日本 Women
74
88
71
100
100
100
139
125
154
78
73
77
100
100
100
161
155
178
M+W
77
91
68
100
100
100
148
122
168
Men
72
84
73
100
100
100
137
120
195
78
84
78
100
100
100
153
133
235
71
85
67
100
100
100
147
123
212
韓国 Women
M+W
Source: OECD (2013), Education at a Glance 2013(http://www.oecd.org/edu/eag.htm)
2015/09/17
17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
Job training: OFF-JT
Implement
Average Annual
Participati
rate in
learning cost per
on rate
office
time
worker
Regular
worker
Japan
Non-regular
worker
Regular
Korea
worker
2013
2013
Hours,
JP:2007,
KR:2013
69.9%
44.9%
34.6
34.1%
18.9%
16.5
62.0%
51.5%
36
2013
13,000
JPY
27,700
KRW
Source: Portal Site of Official Statistics of Japan; Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW), "Basic Survey of
Human Resources Development"
(www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&tstatCode=000001031190&requestSender=dsearch)
Statistics Korea (kosis.kr/statHtml/statHtml.do?orgId=101&tblId=DT_1DE7083&conn_path=I3)
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
49
18
エネルギー税制改革と人的資本の形成
Productivity: GDP per hour worked
(USD, constant prices, 2005 PPPs)
Germany
Japan
Korea
United Kingdom
United States
OECD average
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
Source: OECD.Stats, Dataset: Level of GDP per capita and productivity
(stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=PDB_LV#)
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
19
分析内容
E3MEモデルを用いて、炭素税の税収を教育投資に
還元した場合(人的資本投資)の効果を分析
E3MEモデル:
 Global macro-econometric E3 (Energy-EnvironmentEconomy) model
マクロ計量モデル
Cambridge Econometrics 開発
www.e3me.com
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
50
20
エネルギー税制改革と人的資本の形成
シナリオ
炭素税:両国の政府目標を達成する(N)
日本(J):2020年に2005年比3.8%削減
韓国(K):2020年にベースラインレベルより30%削減
税収のリサイクル
所得税の減税(I: reduction in income tax)
大学教育への支援(E: spending on Education)
企業の教育訓練への支援(T: spending on Training)
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
21
教育・訓練の効果のモデル化
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
51
22
エネルギー税制改革と人的資本の形成
4. 主な分析結果
日本
Japan
2020
from baseline (%)
RGDP Real GDP
RCO2
CO2 emission
REMP Employment
RTCA
JNI
2030
JNE
JNT
JNI
JNE
JNT
1.17
1.73
1.47
1.83
3.15
3.64
-9.03
-8.72
-8.91
-10.4
-9.58
-9.00
0.47
0.53
0.53
0.72
1.16
1.33
Carbon Tax Rate
153.7 153.7 153.7 181.9 181.9 181.9
(USD/tCO2)
Note: When EUR/tC converts to USD/tCO2, it is multiplied by 1.326*12/44.
Source: Cambridge Econometrics
2015/09/17
23
エネルギー税制改革と人的資本の形成
韓国
Korea
2020
from baseline (%)
RGDP
Real GDP
RCO2
CO2 emission
REMP
Employment
RTCA
Carbon Tax Rate
(USD/tCO2)
KNI
KNE
0.76
2030
KNT
0.89
0.77
KNI
1.04
KNE
1.14
KNT
1.15
-29.1 -29.09 -28.64 -41.03 -40.88 -40.36
0.56
0.48
0.5
-0.04
-0.05
0.29
213.4
213.4
213.4
252.5
252.5
252.5
Note: When EUR/tC converts to USD/tCO2, it is multiplied by 1.326*12/44.
Source: Cambridge Econometrics
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
52
24
エネルギー税制改革と人的資本の形成
政策含意
大学教育への支援
短期効果:教育関連の政府支出の増加
需要側の変化:教育関連産業での需要の増加
長期効果:労働生産性の上昇、4年間の教育期間:労働
力減少
企業の教育訓練への支援
日本:
韓国:
※将来の生産力が大きい→低い価格と高い需要
→高いGDP
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
25
結論
目的
炭素税のリサイクル:教育や企業の教育訓練への支援
Triple dividend?:CO2、GDP、雇用への影響?、所得格差を
是正?
結果
日本:教育、企業の教育訓練への支出:CO2↓、GDPや雇用↑
韓国:2020年、3つのケースともにCO2↓、GDPや雇用↑。But,
2030年、教育投資、所得税の減税ケース:GDP↑、雇用↓
雇用への効果:教育より企業の教育訓練への支援による効果
が大きい
課題
 教育などへの人的投資→将来、所得格差を是正?
2015/09/17
エネルギー税制改革と人的資本の形成
53
26
Competitiveness and Carbon Leakage
Competitiveness and
Carbon Leakage
Low-carbon, sustainable future in East Asia
Hector Pollitt, Cambridge Econometrics
Contents
Definitions
Macroeconomic results and key
sectors
Assessing these sectors in East Asia
How to get negative carbon leakage
and Conclusions
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
54
2
Competitiveness and Carbon Leakage
Definitions
Competitiveness: The costs a sector faces in
comparison to its international competitors
Carbon leakage: The increase in emissions in
other countries due to one country implementing
climate policy
Carbon leakage rate: Increase in emissions
elsewhere divided by reduction in emissions in
the mitigating country
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
3
Macro effects of carbon pricing are
limited…
8
Change in 6
GDP, %
4
2
0
0
10
20
30
40
50
60
‐2
‐4
Reduction in emissions, %
Chart shows changes from baseline
Source: Low‐carbon, sustainable future in East Asia 2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
55
4
Competitiveness and Carbon Leakage
… but some sectors may be vulnerable
Chart for the US, taken from Grubb et al (2009) http://www.gmfus.org/
publications/climate‐
policy‐and‐industrial‐
competitiveness‐ten‐
insights‐europe‐eu‐
emissions‐trading
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
5
Focus on Specific Sectors
We therefore need to pay special attention to the
most exposed sectors
In the EU these sectors are defined by:
cost as a proportion of Gross Value Added (GVA)
increases by at least 5% and the sector has a trade
intensity greater than 10%
Or:
an increase in costs of more than 30%
Or:
a trade ratio in excess of 30%
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
56
6
Competitiveness and Carbon Leakage
The ‘Big Six’ Sectors
The following sectors account for the majority of
industrial emissions:
iron and steel
aluminium
refining
cement and lime
basic inorganic chemicals
pulp and paper
Our analysis focuses on the most energy-intensive
and trade-exposed parts of these sectors, in four
East Asian countries
See Grubb et al (2014) Planetary Economics, p289, Routledge.
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
7
Methodology: Input-Output Data
Purchasing sector (e.g. pulp and paper, processed fuels, chemicals
Products purchased, i.e. fuels
Total production
Excerpt from Chinese input‐output table
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
57
8
Competitiveness and Carbon Leakage
Methodology (cont.)
Carbon prices were set so that East Asia as a
whole meets CO2 reduction targets for 2020
Using emission coefficients CO2 was converted
into fuel price increases and total cost increases
were estimated
Electricity cost increases were also estimated
using E3ME data
Source: Low‐carbon, sustainable future in East Asia
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
9
Potentially Vulnerable Sectors
China
•
•
•
•
•
Japan
paper and paper products
processing of oil and nuclear
basic chemical materials
steel rolling
colored metal rolling
•
ferrous alloys
Taiwan
•
•
•
•
•
pulp & paper
petroleum refining products
basic chemical materials
cement
pig iron & crude steel
Korea
•
•
cements primary iron, primary steel, and ferroalloys Sources: Google maps, Low‐carbon, sustainable future in East Asia
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
58
10
Competitiveness and Carbon Leakage
Negative Carbon Leakage?
Technology spillover can mean that carbon policy in one
country can lead to lower emissions in another country
For example, renewables policy in Germany may have
led to lower cost solar production, increasing uptake in
the rest of the world
Results from the E3ME model suggest negative leakage
can take place (3 out of 4 countries)
Overall, however, leakage rates are always close to zero
at macro level
Estimated rate of
carbon leakage (%)
China
Japan
Korea
Taiwan
0.7
-0.5
-0.8
-0.9
Source: Low‐carbon, sustainable future in East Asia
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
11
Conclusions
Macroeconomic models typically show that
carbon pricing has only a small impact on macrolevel variables – but they may be missing larger
impacts at the more detailed level
Specific industry-sector analysis must be carried
out instead
We found that there are a handful of sectors in
East Asia that warrant further investigation
But there are limitations to our approach, there
may be others too!
2015/09/17
Competitiveness and Carbon Leakage
59
12
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
東アジアにおける自由貿易の
環境・経済影響
伴ひかり(神戸学院大学経済学部)
藤川清史(名古屋大学国際開発研究科)
もくじ
背景と問題意識
分析方法
応用一般均衡分析(GTAP-Eモデル)
産業連関分析
地域・産業の分類とシナリオ
シミュレーション結果
まとめと政策的含意
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
60
2
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
背景と問題意識
「貿易と環境」についての国際的議論の高まり
92年地球サミット,貿易政策と環境政策の相互支持
米,カナダ,EUやOECD等の国際機関による貿易
自由化の環境影響評価の取り組みや実施へのガイ
ドラインの策定
東アジア地域を含む自由貿易協定の取り組み
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)
東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
日韓FTA,日中韓FTAなど
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
3
貿易自由化と環境(CO2)の関係
1. 生産量効果
2. 産業構造変化
エネルギー集約財産業のエネルギー効率の悪い地域か
らよい地域への生産シフトは全体として環境負荷を軽減.
逆は逆.
3. 投入構造変化
中間投入における国内財と輸入財の代替
エネルギー代替
4. スピルオーバー効果
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
61
4
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
分析方法
FTAのショック
GTAP-Eモデルによる
応用一般均衡分析
GTAPデータベース
(FTA前)
ステップ1
FTAの経済・環境効果
GTAPデータベース
(FTA後)
GTAP版
国際産業連関表
(FTA前)
ステップ2
構造変化の要因分析
GTAP版
国際産業連関表
(FTA後)
国際産業連関モデル
による分析
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
5
GTAP-Eモデル
GTAP(Global Trade Analysis Project)
1992年パデュー大学で設立
応用一般均衡モデル
財・生産要素市場均衡,利潤ゼロ条件
 グローバル銀行
各地域から貯蓄を集め,各地域に投資
 グローバル運輸部門
国際運輸サービスの集計財を提供
エネルギー代替を考慮した生産関数
エネルギー間,エネルギーと資本,労働
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
62
6
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
産業連関モデル (1財3国)
投入係数a
最終需要f
所与
中間投入需要
最終需要
財市場
均衡生産量
x1, x2, x3
 投入係数と最終需要を所与→財市場の均衡生産量
 均衡生産量×排出係数(単位産出額当たりのCO2排出量)→CO2排出量
 FTAによるCO2 排出量の変化を,シミュレーション前後の産業連関表から,
投入係数,最終需要,排出係数の変化の要因に分解できる.
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
7
地域・産業の分類
GTAP Database Ver.8.1, 2007年経済対応
22地域(下線はTPPメンバー)
オーストラリア, ニュージーランド, 中国, 日本, 韓国,台湾,
マレーシア,シンガポール,ベトナム, その他 ASEAN,南アジア,
カナダ,US, メキシコ, ラテンアメリカ,チリ, ペルー, EU,
旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサハラ・アフリカ, その他世界
24産業
米,農業,畜産,林業,漁業,石炭,石油,ガス,石油石炭製品,電力,
その他鉱業,食品,衣服,紙製品,化学,窯業,鉄鋼,自動車,
輸送機械,電子機器,機械,その他製造業,輸送サービス,
その他サービス
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
63
8
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
シミュレーション・シナリオ
CK: 中国と韓国のFTA (関税撤廃)
JK: 日本と韓国のFTA (関税撤廃)
CJK: 中国,日本,韓国のFTA (関税撤廃)
TPP: オーストラリア,ニュージーランド,日本,
マレーシア,シンガポール,ベトナム,カナダ,
アメリカ,チリ,ペルーのFTA (関税撤廃)
TPPCK: TPP+CK
TPPJK: TPP+JK
TPPCJK: TPP+CJK
2015/09/17
9
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
GDPへの影響 (%)
CK
JK
CJK
-0.00
-0.01
TPP
-0.00
-0.00
-0.01
0.06
0.06
0.06
0.05
-0.01
-0.00
0.01
-0.03
-0.04
-0.03
-0.00
TPPJK
0.01
0.01
TPPCJK
-0.00
ニュージーランド
中国
日本
-0.00
0.02
0.11
0.08
0.08
0.10
0.17
韓国
0.19
0.03
0.20
-0.03
0.16
-0.00
0.17
マレーシア
-0.01
-0.01
-0.03
0.17
0.16
0.17
0.15
シンガポール
-0.00
-0.00
-0.01
0.01
0.01
0.01
0.01
ベトナム
-0.03
-0.01
-0.11
1.18
1.15
1.18
1.08
カナダ
-0.00
-0.00
-0.00
0.06
0.06
0.06
0.06
アメリカ
-0.00
-0.00
-0.00
0.00
-0.00
-0.00
-0.00
メキシコ
-0.00
-0.00
-0.01
0.05
0.04
0.05
0.04
チリ
-0.00
-0.00
-0.01
0.02
0.01
0.01
0.01
ペルー
-0.00
-0.00
-0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.01
0.01
0.01
0.01
0.02
世界
2015/09/17
0.01
TPPCK
オーストラリア
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
64
0.01
10
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
CO2排出量への影響 (%)
JK
CJK
TPP
TPPCK
TPPJK
オーストラリア
-0.02
CK
-0.00
-0.04
-0.16
-0.17
-0.16
TPPCJK
ニュージーランド
-0.00
0.00
0.01
0.13
0.13
0.14
0.14
中国
-0.01
-0.01
-0.09
0.03
0.02
0.02
-0.05
日本
-0.07
0.25
1.01
0.42
0.36
0.66
1.40
0.97
-0.18
1.18
0.07
1.11
-0.14
1.04
-0.07
-0.04
-0.01
-0.07
0.66
0.62
0.64
0.59
0.00
0.03
0.09
0.97
0.97
0.99
1.03
-0.09
-0.01
-0.12
5.06
4.98
5.04
4.94
カナダ
0.00
-0.00
-0.00
0.02
0.03
0.02
0.02
アメリカ
-0.01
-0.00
-0.02
0.03
0.02
0.03
0.00
メキシコ
-0.00
0.00
0.00
-0.05
-0.05
-0.05
-0.05
チリ
韓国
マレーシア
シンガポール
ベトナム
-0.01
-0.00
-0.01
0.28
0.27
0.27
0.26
ペルー
0.00
0.00
0.01
-0.29
-0.29
-0.29
-0.28
世界
0.01
0.01
0.03
0.04
0.04
0.05
0.07
2015/09/17
30
11
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
CO2排出量変化(100万トン)
25
20
中国
日本
韓国
アメリカ
東アジアTPP
その他TPP
ROW
15
10
5
東アジア
世界
0
-5
-10
CK
2015/09/17
JK
CJK
TPP
TPPCK
TPPJK TPPCJK
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
65
12
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
日中韓FTAの
エネルギー集約産業への影響
生産量変化 (億ドル)
CO2排出量変化 (100万トン)
12
200
石油石炭製品
10
150
8
100
6
50
4
0
-50
電力
紙製品
2
化学
0
窯業
-2
鉄鋼
-4
-100
-6
運輸
-150
-8
サービス
-200
-10
中国
日本
2015/09/17
中国
韓国
日本
韓国
その他
13
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
TPPのエネルギー集約産業への影響
生産量変化 (億ドル)
CO2排出量変化(100万トン)
200
5
石油石炭製品
4
150
100
50
電力
3
紙製品
2
化学
1
窯業
鉄鋼
0
運輸
0
-1
-50
サービス
-2
中国
2015/09/17
日本
ベトナム
アメリカ
中国
日本
ベトナム
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
66
アメリカ
その他
14
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
電力産業の中間投入需要への影響 (%)
労働
資本
石炭
石油
ガス
石油・石炭
製品
電力
エネル
ギー 産出量
合成財
CJK
中国
-0.50
-0.23
-0.15
-0.17
-0.08
-0.01
-0.13
-0.13
-0.24
日本
-0.47
0.06
0.92
0.86
0.96
0.72
0.84
0.84
0.38
韓国
-0.70
0.09
1.29
0.65
1.31
1.20
1.25
1.25
0.63
TPP
中国
0.09
0.02
-0.03
-0.04
-0.08
-0.05
-0.04
-0.04
0.01
日本
-0.13
0.12
0.25
0.44
0.42
0.37
0.38
0.38
0.22
ベトナム
-4.06
-3.12
0.36
13.66
-2.67
11.28
1.39
1.39
-2.10
アメリカ
-0.02
-0.05
-0.02
-0.03
-0.02
-0.01
-0.02
-0.02
-0.03
2015/09/17
15
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
CO2排出量変化の要因分解 (CJK)
単位:million tons
生産技術効果
CO2排
出係数
最終需要効果
合計
小計
国内財 輸入財
投入
投入
係数
係数
小計
∆I
∆C
∆X
∆M
-11.2
中国
7.5
-12.8
-44.1
31.3
0.7
2.0
-3.4
13.3
-4.6
日本
6.7
1.2
-4.3
5.5
1.2
1.7
2.5
-1.0
-2.0
9.1
韓国
3.2
0.3
-4.7
4.9
0.6
1.0
1.1
0.5
-2.0
4.1
・CO2排出係数のプラスの効果
・中国のマイナスの生産技術効果
・日本のマイナスの最終財輸出効果
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
67
16
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
CO2排出量変化の要因分解 (TPP)
単位:million tons
CO2
排出
係数
生産技術効果
小計
2.7
最終需要効果
国内財 輸入財
投入
投入
係数
係数
中国
0.7
3.7
日本
2.2
-0.1
ベトナム
3.3
-2.2
アメリカ
0.8
0.2
-3.6
合計
小計
∆I
∆C
∆X
0.3
∆M
-1.0
-1.7
-0.9
-1.2
-0.0
1.7
-2.8
2.7
1.9
0.7
1.2
1.7
-1.6
4.0
-1.7
-0.6
2.8
2.3
1.2
1.1
-1.7
3.9
3.8
0.4
0.1
0.9
2.8
-3.3
1.4
・CO2排出係数のプラスの効果,特にベトナム
・中国のプラスの生産技術効果
・日本のプラスの最終財輸出効果
・ベトナムのプラスの投資効果
・アメリカの比較的大きなマイナスの最終財輸入効果
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
17
まとめ
FTAの環境への影響は地域により異なり,理由も多
様.
いずれのシナリオでも東アジアのCO2排出量の増加
が目立つ.
FTAにより,日本はエネルギー集約財の生産増加,
エネルギー代替により排出係数悪化.
中国はFTAに参加する時,CO2減少.
投入構造変化による環境負荷への影響も重要
グローバル・サプライチェーンに組み込まれた東ア
ジアを含むFTAに関しては,環境影響評価が重要
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
68
18
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
政策的含意
貿易の自由化(経済のグローバル化)
地域全体での経済活動の活発化
エネルギー消費の増加CO2排出の増加
特に日本でのCO2排出増加が顕著
日本の責任(国内)
省エネ技術の更なる開発と導入の必要性
CO2排出を抑制するエネルギーへの転換の必要性
日本の役割(海外)
東アジア地域への直接投資(=技術移転)
労働市場の開放(日本での生産拡大の余地)
2015/09/17
東アジアにおける自由貿易の環境・経済影響
69
19
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
日本のエネルギー・気候政策の
現状と課題
Japanese Energy and Climate Policies
State of Affairs and Challenges
2015年9月17日
高村 ゆかり(名古屋大学)
E-mail: [email protected]
Present situation around Japanese energy and
climate policies
Energy mix and climate target in 2030
2015/09/17
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
70
2
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
Historical change in primary energy mix of Japan
我が国の一次エネルギー供給構成の推移
4%※ (4%)
100%
90%
80%
Renewables except
Hydro
Hydr
o
70%
60%
3%
(3%)
Nuclear
First Oil Crisis
Dependency on fossil
fuels
94%
Coal
Highest level
92.1%
24%
Lowerst level of
dependency on fossil
fuels since First Oil
Shock 79.9%
50%
40%
0.4% (11%)
Natural
gas
(19%)
25% (23%)
Oil
43%
30%
(40%)
20%
10%
Figure in () in FY2010
0%
1953 1957 1961 1965 1969 1973 1977 1981 1985 1989 1993 1997 2001 2005 2009 2013
Source: MET, Comprehensive Energy Statistics
※ Solar (0.1%), Wind(0.2%), Geothermal(0.1%), Biomass(3.6%)
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
2015/09/17
3
Rate of self-sufficiency in primary energy by country
主要国の一次エネルギー自給率の推移
140%
120%
米国
US
100%
英国
UK
80%
France
フランス
Germany
ドイツ
60%
Spain
スペイン
40%
South Korea
韓国
Japan
日本
20%
6.
3%
0%
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
Source: IEA Energy Balance 2014, METI 2015
2015/09/17
4
71
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
Trend in GHG emissions of Japan 我が国の温室効果ガス排出量の推移
FY1990
FY2005
1,261
GHG emissions (Mt‐CO2)
FY2010
1,377
1,286
FY2011
FY2012
1,337
1,373
1,395
Historical record
CO2 emissions from energy sources (Mt‐CO2)
1,059
power generation※
1,203
1,123
1,173
Fom
(Mt‐CO2)
275
373
374
439
From other sources (Mt‐
CO2)
784
830
749
734
※「電力分」は、一般電気事業者による排出量
1400
FY2013
1,208
(10年
+65
比)
486
▲15
1,224
(10年
+112
比)
722
▲28
(10年
+110
484 比)
740
▲9
※2013年度は速
報値
(百万t‐CO2)
1,377
1,286
1,261
1,395
1,373
1,337
エネルギー起源CO2以外の
温室効果ガス(5.5ガス)排出量
1200
1000
800
エネルギー起源CO2
排出量
600
400
200
(2010年度比)
(2010年度比)
(2010年度比)
+65
+112
+110
2011年度
2012年度
2013年度
一般電気事業者
によるCO2排出量
0
1990年度
2005年度
2010年度
【京都議定書基準年】
※Emission from 10 power facilities
【出典】 総合エネルギー統計、環境行動計画(電気事業連合会)、日本の温室効果ガス排出量の算定結果(環境省)をもとに作成。
5
Imports of Fuels (GDP ratio) 鉱物性燃料の輸入額(対GDP比)の比較
(GDP ration)
6%
5%
日本
4%
Japan
ドイツ
日本
<Imports of Fuels(2013)>
Germany
中国
ドイツ
3%
China
フランス
中国
France
米国
フランス
2%
Crude Oil
LNG
US
英国
米国
1%
UK
英国
Coal
27.4
Trillions
yen
7.1
Trillions
Yen
2.3
Trillions
Yen
0%
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
Note) Values in the Figure above is net imports (imports minus exports) of fuels to GDP ratio
Source METI based on materials by WTO and World Bank
2015/09/17
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
72
6
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
Expanding Generation Capacity of Renewable
再エネ発電設備容量の推移
2,500
25000
MW
Geothermal
地熱
Biomass
バイオマス
2,000
20000
Wind
風力
太陽光
Solar
15000
1,500
10000
1,000
5000
500
0
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014*
RPS
Surplus Solar
Power Purchase
Scheme
FIT
Source Produced based on Materials of METI。FY2014 cover only capacity introduced from April to July.
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
2015/09/17
7
Share of renewables in Electricity
Production (excluding hydro)(2013)
50%
40%
30%
Tide etc
Solar
20%
Wind
Geothemal
Biomass
10%
0%
Danmark
Spain
Germany
Ireland
Italy
UK
US
Japan
France
Sources: International Energy Agency, Renewables Information 2014 and Electricity Information
2014.
2015/09/17
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
73
8
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
IPCC AR5: Transformation of energy sector needed
Scenarios reaching atmospheric concentration levels of
about 450 ppm CO2eq by 2100 (consistent with a likely
chance to keep temperature change below 2°C relative
to pre‐industrial levels) are characterized by lower
global GHG emissions in 2050 than in 2010, 40% to 70%
lower globally, and emissions levels near zero GtCO2eq
or below in 2100.
At the global level, scenarios reaching 450 ppm CO2eq
are also characterized by more rapid improvements of
energy efficiency, a tripling to nearly a quadrupling of the
share of zero‐ and low‐carbon energy supply from
renewables, nuclear energy and fossil energy with
carbon dioxide capture and storage (CCS), or bioenergy
with CCS (BECCS) by 2050.
 These scenarios describe a wide range of changes in land use.
2015/09/17
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
9
Upscaling of low carbon energy supply
Source: IPCC WG3 SPM 2014
2015/09/17
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
74
10
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
Energy Mix in 2030(1)
Energy Demand
Primary Energy Supply
Drastic energy conservation
Economic Growth Rate
5,030 million kl
1.7%/ year
(about 13% below estimate in 2030)
Electricity
25%
Renewable
13〜14%
326 million kl
Heat
Gasoline
Gas etc
75%
Natural Gas
18%
6%(FY2013)
Coal
25%
Heat
Gasoline
Gas etc
About 7
2%
FY2013
Rate of Self Sufficienty
24.3%
Nuclear
11〜10%
Final Energy Consumption
Electricity
28%
2015/09/17
489百万kl程度
Oil
32%
FY2030
FY2030
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
11
Energy Mix (Electricity) in 2030(2)
Electricity Demand
Power Mix
Energy Conservation
196,100Gwh
(17% below estimate in 2030 )
Economic Growth Rate
1.7%/year
(Total power generation)
1,065,000Gwh程度
Renewable
22〜24%
Geothermal
1.0〜1.1%程
度
Biomass
3.7〜4.
6%程度
Wind
1.
7%程度
Solar
7.0%程度
Electricity
966,60
0
Gwh
Nuclear
22〜20%
Electricity
980,80
0
Gwh
LNG
27%
Coal
26%
Hydro
8.8〜9.
2%程度
ベースロード比率
:56%程度
Oil3%
FY2013
2015/09/17
FY2030
FY2030
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
75
12
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
Challenges and Prospects(1)
Share of electricity from nuclear power plants: 2022%
“40 years life span in principle” under the legislation would
probably bring share of nuclear to less than 15%; and to
zero around 2050.
Need to prepare additional measures for the situation in
which nuclear power plants could not operate as assumed.
Share of renewable energy in energy mix: 22-24%
It shows a vision in which renewables will become one of
principal energy sources for Japan.
Question raised whether more introduction in 2030 would
be possible and necessary.
Especially about solar (7%) and wind (1.7%)
2015/09/17
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
13
Challenges and Prospects(2)
Challenges for 2030 Climate target
Coal to gas? in energy mix
Concern about numerous plans to newly construct
coal fired plants
Need some regulation to set level playing field.
2015/09/17
日本のエネルギー・気候政策の現状と課題
76
14
日本の政策効果と課題
温室効果ガス中長期削減目標
達成に向けた日本の政策
効果と課題
国立研究開発法人国立環境研究所
National Institute for Environmental Studies
芦名秀一 / Shuichi Ashina
日本の削減目標はどうなっているのか?(1)
2030年
2013年比26%削減
(約束草案)
2020年
2005年比3.8%削減
(UNFCCCに登録)
2050年
80%削減(第四次環境基本計画)
2015/09/17
日本の政策効果と課題
77
2
日本の政策効果と課題
日本の削減目標はどうなっているのか?(2)
36年(2014年‐2050年)
48年(1965年‐2013年)
2020年
2005年比3.8%削減
(UNFCCCに登録)
※CO2のみ
2015/09/17
2030年
2013年比26%削減
(約束草案)
2050年
80%削減(第四次環境基本計画)
日本の政策効果と課題
3
エネルギーシステム転換の可能性(1)
一次エネルギー消費量の推移
2015/09/17
日本の政策効果と課題
78
4
日本の政策効果と課題
エネルギーシステム転換の可能性(2)
エネルギーフローから見る変化
2015/09/17
日本の政策効果と課題
5
低炭素社会に向けた政策二本柱
地球温暖化対策のための税(Tax for Climate
Change Mitigation)
石炭石油税に上乗せ課税して、炭素税と同様の効果を
狙ったもの。
税収は地球温暖化対策の補助金等へ利用する。
固定価格買い取り制度(Feed-in-Tariff Scheme)
再生可能エネルギー設備からの発電電力の全量買い取
り制度。
一定期間固定の調達価格で買い取ることで、再生可能エ
ネルギー設備への投資の回収年数を見込みやすくして、
導入を後押しする。
2015/09/17
日本の政策効果と課題
79
6
日本の政策効果と課題
地球温暖化対策のための税の概要



全化石燃料に対してCO2排出量に応じた税率(289円/CO2トン)を上乗せ
平成24年10月から施行し、3年半かけて税率を段階的に引き上げ
税収は、わが国の温室効果ガスの9割を占めるエネルギー起源CO2排出抑制施策に充当
税率
<CO2排出量1トンあたりの税率>
289円
地球温暖化対策のための課税の特例
上乗せ税率
779円
石炭石油税
原油・石油製品
400円
現行税率
ガ ス 状炭 化水 素
(LPG・LNG)
段階施行
課税物件
原油・石油製品
(1キロリットルあたり)
ガス状炭化水素
(1tあたり)
石炭(1tあたり)
税収
現行税率
(2,040円)
(1,080円)
(700円)
301円
石炭
2012/10/1
+ 250円
(2,290円)
+ 260円
(1,340円)
+ 220円
(920円)
2014/4/1
+ 250円
(2,540円)
+ 260円
(1,600円)
+ 220円
(1,140円)
2016/4/1
+ 260円
(2,800円)
+ 260円
(1,860円)
+ 230円
(1,370円)
初年度:391億円 / 平年度:2,623億円
再生可能エネルギー大幅導入、省エネ対策の抜本強化等に活用
日本の政策効果と課題
2015/09/17
出典:環境省資料より一部改変
7
固定価格買い取り制度の概要
再生可能エネルギー設備からの発電量(住宅用については余剰電力)を一定価
格で買い取る仕組み。2011年7月に開始。
産業・業務用
産業用・業務用として設置・
発電している再生可能エネ
ルギー設備
1.太陽光発電
2.水力 (3万kW以下)
3.風力
4.地熱
5.バイオマス
住宅用
発電電力の
販売
電力供給
発電
事業者
一定期間固定
の価格で電力
を買い取る
電力
需要家
電力料金に再エ
ネ賦課金を上乗
せして徴収
住宅に設置され、発電してい
る再生可能エネルギー設備
例:住宅用太陽光発電
(10kW未満)
2015/09/17
日本の政策効果と課題
80
8
日本の政策効果と課題
固定価格買い取り制度の効果
太陽光発電導入が過熱。
他の再生可能エネルギー設備への投資は進んでいない。
2015/09/17
日本の政策効果と課題
9
低炭素社会に向けた政策の課題
地球温暖化対策のための税
 税額が低いために効果は薄い。
 税導入後のGHGの増減は、主に原子力問題と経済活動の影響。
固定価格買い取り制度(Feed-in-Tariff Scheme)
 太陽光発電の導入が過熱化する一方、他の再生可能エネルギーに
回る資金が減る。
 申請時点(not 運用開始時点)での価格と買い取り機関が適用される
ため、「とりあえず申請」が増加する。
中長期削減の確実な達成には、より効果的な政策の立案と
実施が不可欠。
“持続可能な発展のための環境・エネルギー政策に関する研
究”が重要。
2015/09/17
日本の政策効果と課題
81
10
China’s Contribution to the Low Carbon Future
China’s Contribution to the
Low Carbon Future
Dr. Xianbing LIU
Senior Policy Researcher
Kansai Research Centre, IGES, Japan
E-mail: [email protected]
China’s climate achievements
 40-45% reduction in carbon intensity by 2020
from 2005 (2009 commitment) → 33.8%
reduction realized in 2014
 Non-fossil fuel in total primary energy: Around
15% by 2020 (2009 commitment) → increased to
11.2% in 2014
 Renewable energies in 2014: Hydro power: 300
GW (2.57 times of 2005); Wind: 95.81 GW (90
times); Solar: 28.05 GW (400 times)
 Nuclear power in 2014: 19.88 GW (2.9 times of
2005)
2015/09/17
China’s Contribution to the Low Carbon Future
82
2
China’s Contribution to the Low Carbon Future
China-US climate announcement
 Issued on 11 November, 2014
 Consider the global 2 degree target and make longterm efforts for low carbon transition
 China: Peak by around 2030 and make efforts to
peak earlier
 US: 26-28% emissions reduction by 2025 in
comparison with that of 2005, and try to realize the
reduction of 28%
 Both country will make stricter targets in the future
 Addressed the critical importance of technology
innovation and agreed the cooperation in various
areas
2015/09/17
China’s Contribution to the Low Carbon Future
3
INDC of China
 Released on June 30, 2015
 Peak in around 2030 and try to peak in earlier
 60-65% reduction in carbon intensity by 2030 from
the level of 2005
 Non-fossil fuel in total primary energy: around 20%
by 2030
- Wind power: 200 GW by 2020
- Solar power: 100 GW by 2020 (150GW updated on
July 20, 2015)
 Forest accumulation: an increase of 4.5 billion m3 by
2030 from 2005
2015/09/17
China’s Contribution to the Low Carbon Future
83
4
China’s Contribution to the Low Carbon Future
China’s low carbon policy trend
 Renewable energy and nuclear power generation
oriented policies
 Economic structure adjustment and optimization
policies
 Energy efficiency policies
 Demonstration and application of CCS
 Market-based instruments (e.g., establishment of a
nationwide carbon market)
 Low carbon consumption and lifestyle
 Climate adaptation policies (e.g., land use emission
reduction)
2015/09/17
5
China’s Contribution to the Low Carbon Future
China’s pilot carbon markets
Shenzhen
Beijing
Guangdong
Chongqing
Beijing Case
Shanghai
2015/09/17
Tianjin
Hubei
China’s Contribution to the Low Carbon Future
84
6
China’s Contribution to the Low Carbon Future
Air pollution control may drive carbon
emissions to peak
 Air pollution control action plan: 2013-2017
 Target: 15% to 25% improvement of PM2.5 in key
regions (Beijing: 60 μg/m3); 10% improvement of PM
nationwide
 A package of pollution control policies
- Reducing total coal use in key regions, e.g.,
Beijing-Tianjin-Hebei region
- Clean oil supply for vehicles
- Diffusion of high-efficiency vehicles
2015/09/17
China’s Contribution to the Low Carbon Future
85
7
東アジアの持続可能な発展のための韓国の役割
東アジアの持続可能な発展のために
ー韓国の役割を踏まえてー
広島修道大学 人間環境学部
羅 星仁(ナ ソンイン)
東アジアの環境協力の現状
 グローバル枠組みの中での多国間協力関係
(2005年末で221、韓国45の条約に加入)
 東アジアにおける多国間協力関係
(アジア太平洋環境会議、環日本海環境協力会議、日中韓3カ国環境大
臣会合、東アジア酸性雨モニタリングネットワークなど)
 日韓における環境協力
(日韓環境保護協力合同委員会)
 自治体間環境協力(C40会議、姉妹都市間の環境協力など)
 NGO間環境協力
・環境協力のためのガバナンス構築が必要
東アジア環境共同体の構築は可能か
2015/09/17
東アジアの持続可能な発展のための韓国の役割
86
2
東アジアの持続可能な発展のための韓国の役割
課題
政治主導の環境協力の議論よりは、多様な主体が
参加する新しいガバナンスの構築議論が必要
比較的に共通認識が高い、環境教育や環境産業の
育成、酸性雨(副次的便益が高い分野)、再生可能
なエネルギーなどからスタートさせる必要がある。
EUとは違って経済から外交までの交渉プロセスより
はテーマ(環境保全)における協力関係の構築も可
能である。
2015/09/17
東アジアの持続可能な発展のための韓国の役割
3
東アジア地域協力への示唆


EUの経験
関税→経済→貨幣→司法→政治(外交・安全保障、EU大統領)
東アジア共同体
経済:為替→FTA→共通通貨
歴史:共通教科書など
文化:アジア共通文化、文化の交流、民間交流
政治:APEC,APT, EASなど、安全保障共同体
環境:環境共同体
東アジア共同体構築の視点
過去・現在世代の視点から将来世代の視点へ
2015/09/17
東アジアの持続可能な発展のための韓国の役割
87
4
東アジアの持続可能な発展のための韓国の役割
韓国の役割
自由貿易協定の経験を生かした環境分野での協力関係
の構築
エネルギー分野での協力(電力を含む)
原子力発電分野での協力(特に、廃炉および安全性の
面)
環境政策分野での協力(排出権取引制度や炭素税な
ど)
環境分野での人材の交流
資金・技術の援助
CDMのような地域における温室効果ガス削減のための
制度構築など
2015/09/17
東アジアの持続可能な発展のための韓国の役割
88
5
台湾における低炭素社会の実現に向けて
台湾における低炭素社会の
実現に向けて
陳 禮俊(山口大学経済学部)
もくじ
エネルギー事情
二酸化炭素の排出状況
再生可能なエネルギー
再生可能なエネルギー政策
まとめ
2015/09/17
台湾における低炭素社会の実現に向けて
89
2
台湾における低炭素社会の実現に向けて
エネルギー事情(1)
エネルギー供給の構造(エネルギー別)
Coal & Coal Products
Natural Gas
Conventional Hydro Power
1,000 KLOE
Crude Oil & Petrol. Products
Biomass and Waste
Nuclear Power
160,000
0.1%
140,000
8.3%
120,000
0.1%
100,000
80,000
60,000
0.0%
0.3%
1.5%
8.1%
0.1%
12.2%
5.8%
0.0%
0.1%
0.0%
10.3%
7.0%
0.2%
1.0%
0.6%
7.8%
12.1%
0.1%
0.4%
1.3%
48.0%
114
152
11,706
1,861 542
17,087
67,518
52.2%
50.5%
40,000
52.5%
20,000
30.0%
30.9%
28.4%
29.7%
41,788
2007
2012
1992
1997
2002
Year
Source: Prepared from BOE, MOEA (2013), Energy Statistics Handbook 2012.
台湾における低炭素社会の実現に向けて
2015/09/17
3
エネルギー事情(2)
国内エネルギー消費の構造(部門別)
1,000 KLOE
Energy Sector Own Use
Agricultural
Non-Energy Use
Industrial
Service
Transportation
Residential
120,000
100,000
19.6%
80,000
11.0%
15.4%
60,000
40,000
11.8%
11.2%
10.6%
12.1%
10.8%
2.0%
10.9%
12,132
11.0%
11.9%
12,309
997
13,263
38.2%
42,564
0.9%
0.9%
1.5%
12.0%
13.7%
37.5%
-
22,359
11.2%
15.9%
20,000
20.0%
38.1%
38.9%
9.7%
8.4%
7.9%
7.1%
7,913
1992
1997
2002
2007
2012
Year
Source: Prepared from BOE, MOEA (2013), Energy Statistics Handbook 2012.
2015/09/17
台湾における低炭素社会の実現に向けて
90
4
台湾における低炭素社会の実現に向けて
エネルギー事情(3)
エネルギー供給と国内エネルギー消費

2012年の国内エネルギー
消費は1億1154 万KLOE (
石油換算トン)のうち,産業
部門と運輸部門はそれぞ
れ,38% と12%を占めてい
る。
Million KLOE
Energy Supply
Total Domestic Consumption
160.0
144.2
133.7
140.0
120.0
138.2 140.8
106.4
112.2
94.6
100.0
86.2
98.7
111.8 111.5
72.2
60.0
40.0
106.7
80.0
62.9
サービス部門と住宅部門
のエネルギー消費は増加
傾向にあり,それぞれ11%
を占めている。
104.8
90.9
80.0

136.3
119.6
55.9
20.0
-
Year
1992 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2012
Source: Prepared from BOE, MOEA (2013), Energy Statistics Handbook 2012.
台湾における低炭素社会の実現に向けて
2015/09/17
5
二酸化炭素の排出状況
 二酸化炭素の排出は,2008年と2009年に,この20年観察期間の
初めての減少傾向にあるが,2010年に経済回復のため,6.2%増
加した。
 二酸化炭素集約度(単位GDPあたりの二酸化炭素排出量)は減
少し,エネルギー構造と効率の改善傾向が観察できる。
二酸化炭素集約度 (2012)
二酸化炭素の排出と国内総生産(GDP)(2012)
CO2 Intensity
BOE, MOEA (2013), Energy Statistics Handbook 2012 & Bing-Chwen Yang (2013).
2015/09/17Source: Prepared from台湾における低炭素社会の実現に向けて
91
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
2012
2011
2010
GDP
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
CO2 Emission
6
台湾における低炭素社会の実現に向けて
再生可能なエネルギー導入状況
2012年12月現在,3,683 MW
2030年までに12.5 GW を目標にしている。
2015/09/17
台湾における低炭素社会の実現に向けて
Source: Prepared from Bing-Chwen Yang (2013).
7
「Thousand Wind Turbines」 Program
目標 –2030年までに、 風力発電設備容量を 4,200 MW に設置
する。
陸上風力:
2015年までに 800 MW,2015年以降 400 MW を設置し,
2020年までに 1,200 MW(風力発電設備,450機).
洋上風力: 2015年までに洋上風力発電ファームを完成;
2020年までに 600 MW を設置する(風力発電設備,120)。
2021-2030の間に商業規模の海上風力ファームを開発す
る。 (10年間に風力発電設備,480機・2,400 MWを導入
する)。
政策
洋上風力発電に経済的インセンティブを導入する。
部局間の協力体制を構築する。
2015/09/17
台湾における低炭素社会の実現に向けて
92
8
台湾における低炭素社会の実現に向けて
再生可能エネルギー固定価格買取制度
• 技術革新,コスト変化及び目標達成の状況に応じ,毎年買取価
格を見直す。
• 買取価格は国内の化石燃料発電システム(火力発電)の平均価
格より高く設定すること。
• 現在,太陽光発電(Solar PV)の料率の設定のみは完成している
が,その他の料率は依然,個別の売電契約(Power Purchasing
Agreement;PPA)に基づく。
⇒ 適用期間は20年間
• 管轄機関のエネルギー局(BOE)は毎年PVの割当て(quota)を公
表する。 30 kW とその以上の規模の場合,料率は次第に減少
し,開発業者は割当てを獲得するため,公示価格より料率を提
示せざるを得ない状況にある。
2015/09/17
台湾における低炭素社会の実現に向けて
9
まとめ
• 台湾は,エネルギーセキュリティー,炭素削減及びエネル
ギー供給の持続性等の観点から,積極的に再生可能なエネ
ルギーを促進している。“Thousand Wind Turbines”,
“Million Solar Roofs”及びその他の再生可能なエネルギー
政策により,2030年までに12,502 MW の設備容量を導入する
見込みで,総発電設備容量の16.1%を占めている。
• 2011年の福島原発事故を教訓に,再生可能なエネルギーを
増やす方向にある。総電力消費に占める再生可能なエネル
ギーの割合は2010年の2.51%から,2030年には10.67%に増
加する見込みである.
Reference: Bing-Chwen Yang (2013),” The Implementation, Achievement and
Challenges of Renewable Energy Promotion and Low Carbon Technology in
Chinese Taipei”, APEC Workshop on Renewable Energy Promotion and Pricing
Mechanism: Feed-in Tariffs (FIT), Renewable Portfolio Standards (RPS) and
Others, 26~27 September, 2013.
2015/09/17
台湾における低炭素社会の実現に向けて
93
10
Carbon pricing and innovation
Carbon pricing, competitiveness and
support for low carbon innovation
Low-carbon, sustainable future in East Asia
Jean-Francois Mercure
Cambridge Centre for Climate Change Mitigation Research
Contents
The porter hypothesis
National energy expenditure worldwide
The innovation chain
Conclusions: contours of carbon pricing
2015/09/17
Carbon pricing and innovation
94
2
Carbon pricing and innovation
Porter Hypothesis:
Environmental regulation can lead
firms to invest in R&D which
ultimately can lead to improved
competitiveness
due to:
- Signals companies about
resource deficiencies & new
technologies
- Raises corporate awareness
- Reduces R&D investment
uncertainty
- Creates pressure for innovation
- Levels the transitional playing
field
Data: van Bursik et al ERL
Example of evidence that this may
be important
Van Bursik et al Environ. Res. Lett. 9 (2014) 114010Grubb, Planetary Economics, Ch 9 p. 340 (2014)
Further evidence:
National energy intensity approx inversely proportional to long-run prices
- across countries the % of GDP spent on energy is remarkably constant
1000
Italy
900
Sweden
Average energy prices ($/t)
Japan
800
UK
Germany
700
600
EU15
France
Korea
500
Australia
Netherlands
400
Hungary
Czech Republic
Slovak Republic
USA
300
Poland
200
100
0
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
0.35
0.4
0.45
0.5
Average energy intensity (kg oil equivalent/$2005 GDP)
Figure 6‐1 The most important diagram in energy economics Note: The graph plots average energy intensity against average energy prices (1990‐2005) for a range of prices. The dotted line shows the line of constant energy expenditure (intensity x price) per unit GDP over the period
Source: After Newbery (2003), with updated data from International Energy Agency and EU KLEMS
Source: M. Grubb Planetary Economics Ch6 p.209 (2014)
95
4
Carbon pricing and innovation
The innovation chain




Carbon pricing = demand pull policy: creating markets
Japan top runner program = supply push policy: stimulating innovation
Ideally: coordinating demand pull and supply push policies
Innovation systems different in every country: policies must be different!
Source: Grubb, Planetary Economics, Ch 9. p 325 (2014)
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5
Conclusions
 Motivation for pricing carbon originates from welfare economics:
Each tCO2 affects everyone equally, therefore only a single price for
carbon should exist.
 However:
1. Each country has different energy sector compositions and costs
(e.g. Japan vs China)
2. Each country has different innovative capacity and policy
(e.g. Germany vs China)
 Therefore:
1. Carbon price needs to be different in different countries to maintain
incentive for energy technological change and innovation
2. Trading schemes should not be linked internationally
(E.g. between the EU and East Asia)
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Carbon pricing and innovation
96
6