第 14 回 マクロ計量モデル(9) 村澤 康友 2015 年 7 月 10 日 目次 1 小型マクロ計量モデル(p. 173) 1 2 システム推定(p. 174) 3 3 政策シミュレーション(p. 179) 3 4 予測(p. 180) 4 5 今日の課題 4 1 小型マクロ計量モデル(p. 173) 以下の変数を定義する. • Ct :消費 • It :投資 • Gt :政府支出 • EX t :輸出 • IM t :輸入 • Yt :GDP • Tt :税 • YD t :可処分所得 • Wt :資産残高 • it :利子率 • Mt :マネーストック 1 小型マクロ計量モデルは Ct = β0C + β1C YD t−1 + β2C Wt−1 + uC t It = β0I + β1I ∆Yt−1 + β2I it−1 + β3I It−1 + uIt IM t = β0IM + β1IM Yt + β2IM IM t−1 + uIM t YD t = β0YD + β1YD (Yt − Tt ) + uYD t it = β0i + β1i ln(Yt ) + β2i ln(Mt ) + uit Yt = Ct + It + Gt + EX t − IM t 変数の種類は以下の通り. 内生変数 Ct , It , IM t , YD t , it , Yt 先決内生変数 It−1 , IM t−1 , YD t−1 , it−1 , Yt−1 , Yt−2 外生変数 Wt , Tt , Mt , Gt , EX t 練習 1. model.gdt は 1980–2009 年の日本経済の時系列データであり,以下の 17 変数をもつ. 1. CP(実質民間最終消費支出) 2. IP(実質民間企業設備投資) 3. IM(実質輸入) 4. YD(実質民間可処分所得) 5. INT(名目長期金利) 6. GDP(実質 GDP) 7. WH(実質家計金融資産残高) 8. CG(実質政府最終消費支出) 9. M2CD(実質マネーストック) 10. EX(実質輸出) 11. IG(実質公的固定資本形成) 12. IH(実質民間住宅投資) 13. ST(実質民間在庫投資) 14. TAXN(名目租税) 15. GDPDEF(GDP デフレーター) 16. TAX(実質租税) 17. M2CDN(名目マネーストック) 各変数の時系列プロットを描きなさい. 練習 2. 推定期間を 1982–2009 年として小型マクロ計量モデルの各推計式を OLS で推定しなさい(pp. 173– 174).gretl で推定期間を変更する手順は以下の通り. 1. メニューから「標本」→「範囲の設定」を選択. 2.「開始」と「終了」を入力. 3.「OK」をクリック. 2 また推定の画面で「ラグ」をクリックすればラグ付説明変数・従属変数を設定できる. 2 システム推定(p. 174) 同時方程式をまとめて推定すると,推定結果の出力画面のメニューから様々な分析ができる.gretl で同時 方程式をシステム推定する手順は以下の通り. 1. メニューから「モデル」→「同時方程式(連立方程式)」を選択. 2. ウィンドウに各推計式・恒等式を以下の通り入力. (a)推計式は右クリックから「方程式を追加」を選択し,「equation」に続いて従属変数・説明変数の 順に記述. (b)恒等式は右クリックから「恒等式を追加」を選択し,「identity」に続いて恒等式を記述. 3.「推定量」を選択. 4.「OK」をクリック. なお変数名は変数番号でもよい(const は 0). 各変数の予測値をプロットする手順は以下の通り. 1. 推定結果の出力画面のメニューから「分析」→「予測」→「(変数名)」を選択. 2.「追加する観測数」を入力して「OK」をクリック. 3. その他も適当に選択して「OK」をクリック. 予測値の出力画面で「+」のアイコンをクリックすれば予測値を保存できる. 練習 3. 小型マクロ計量モデルを以下の通り記述し,OLS でシステム推定しなさい(pp. 173–174). equation CP 0 YD(-1) WH(-1) identity dGDP12 = GDP(-1) - GDP(-2) equation IP 0 dGDP12 INT(-1) IP(-1) equation IM 0 GDP IM(-1) identity GT = GDP - TAX equation YD 0 GT equation INT 0 log(GDP) log(M2CDN) identity GDP = CP + IP + CG + IG + IH + ST + EX - IM 練習 4. 小型マクロ計量モデルによる GDP と INT の予測値をプロットしなさい(p. 178,図 9-3).また GDP の予測値を保存しなさい. 3 政策シミュレーション(p. 179) 外生変数の値を変更して予測値を比較すれば,政策等の波及効果をシミュレーションできる. 注 1. 通常のマクロ計量モデルは経済主体が将来を予見しないと仮定する.すなわち 3 • 政府支出の増加→将来の増税 • マネーストックの増加→将来の物価上昇 を経済主体は認識しない.このような非現実的なモデルに基づく政策シミュレーションは疑問視されている. 練習 5. model.gdt には実際の IG(実質公的固定資本形成)と政策シミュレーション用の IG SIM が用意さ れている.両変数の時系列プロットを比較しなさい. 練習 6. IG の代わりに IG SIM を用いて小型マクロ計量モデルによる GDP の予測値を求め,IG の増加の乗 数効果をプロットしなさい(p.180,図 9-4). 4 予測(p. 180) 将来の外生変数の値を設定すれば,将来の内生変数の値を予測できる. 注 2. 予測が目的なら時系列モデルの方が簡単.マクロ計量モデルの定式化は恣意的である. 練習 7. model fore.gdt は予測用のデータ・ファイルであり,外生変数の値を 2014 年まで設定してある.小 型マクロ計量モデルを以下の通り一部修正して OLS でシステム推定し,2014 年までの GDP の予測値をプ ロットしなさい(p.181,図 9-6). equation CP 0 YD(-1) WH(-1) identity dGDP12 = GDP(-1) - GDP(-2) equation IP 0 dGDP12 INT(-1) IP(-1) equation IM 0 GDP IM(-1) identity GT = GDP - TAX equation YD 0 GT equation l_GDP 0 GDP equation INT 0 l_GDP l_M2CDN identity GDP = CP + IP + CG + IG + IH + ST + EX - IM 5 今日の課題 練習 1–7 の実行結果をワードに貼り付けて My Konan で提出しなさい. 4
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