報告書 part.4(第3分科会【観光の振興】)

第3分科会
観光の振興
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第3分科会(観光の振興)が目指すもの
第3分科会は「観光の振興」について研究を行ってきた。
千葉県は豊富な観光資源を有している。加えて、首都東京に隣接
するという優位な立地にある。これらの地域特性を活かし、さらに
高めていくことが、千葉県を活性化させるための重要な要素である。
経済活動の基本は「人」であり、地域の活力は「人」から生まれ
る。人口減少社会へ突入する中、交流人口の増加が地域発展のため
には欠かせない。人をひきつける観光は、地域経済活性化の中核に
なるものであり、観光の役割は非常に大きい。
一口に観光資源といっても中身はさまざまで、国際観光、産業観
光、地域観光など多様な広がりを見せている。千葉県は成田空港を
擁しており、成田空港の新しい展開は、千葉県の国際観光の面で大
きな発展に繋がる可能性を秘めている。京葉工業地帯、大型テーマ
パーク、房総半島といった観光資源も大きな力を秘めている。
観光振興への取組は、地域住民がみずからの地域の魅力を育てる
プロセスである。時間がかかるため、持続的な活動が不可欠となる。
観光振興の定着は、地域を大きく発展させる可能性を持っている。
千葉県の有する観光資源を再認識し、最大限活用するため、20年
3月には、千葉県知事に対して「千葉を元気にする観光振興のため
の提言」を行った。
現在は、それを具体化し実効をあげることを目指して活動を行っ
ている。
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「千葉を元気にする観光振興」
誘致活動の積極化
1.積極的・持続的な誘致活動を
千葉県に観光客を呼び込むには、何よりも積極的かつ持続的な誘致活動
が不可欠である。観光客が楽しめる企画を工夫し、県内外に対して広く誘
致活動に努めなければならない。とりわけ国際観光に力を入れ、海外から
の観光客を誘致することが重要であり、県内企業・諸団体が海外に出る機
会をとらえてパンフレットの配布に努めたり、口コミ活動などを積極的に
行っていくことも有効である。
2.季節による落ち込みのない千葉の観光を
千葉県の観光は、早春の房総めぐりや夏場の海水浴が中心であり、季節
ごとの変動が大きい。また、平日と休日では稼働率に大きな差がある。観
光産業の経営を安定させるには、季節ごとの各地の特産品や祭り・行事な
どの紹介、国際的なコンベンション、展示会の誘致など季節によるムラを
なくす工夫が必要であり、各団体のホームページでも内容が充実されるこ
とが望ましい。
<月別の観光客入込状況(平成20年)>
20,000 千人
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
資料:千葉県商工労働部観光課「平成20年観光入込調査概要」
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「千葉を元気にする観光振興」
全県民参加による観光振興
1.全県民の参加を
直接観光事業に関わる人たちだけが一生懸命がんばっても、県内の観光
産業をさらに成長させることはむずかしい。人の訪れる地域は発展する。
観光は地域活性化の基礎である。観光の重要性をあらゆる機会を利用して
県民に伝え、全県民参加の機運を高めていく工夫が必要である。
2.改めてホスピタリティを
全県民が観光客をもてなす気持ちを持つためには、ホスピタリティの
ハートをもって、もう一度自分のまちを見直すことが重要である。またそ
うした県民の気付きにもとづく提案を取り入れて具体化させる仕組みが必
要である。
<千葉県観光に対する不満等>
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
60.2%
道路渋滞
50.8%
49.2%
PRが不足
二次交通が整備されたいない
44.5%
公衆トイ レの数や管理状況
38.7%
36.1%
36.1%
35.6%
35.6%
34.0%
31.9%
30.9%
30.4%
景観の整備
魅力的な観光スポットの不足
地域の魅力を 発信できる 人材の不足
魅力的な土産品がない
ウェ ブ サイ トの充実
県民の気質
(歓迎やおもてなしのこころ、ホスピ タリティ)
道路案内表示の不足
宿泊施設
観光看板・案内所の不足
24.6%
24.1%
観光・レジャー施設
サービ ス従事者の応対・態度
⋮
資料:千葉県の観光について(インターネットアンケート:平成19年度)
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「千葉を元気にする観光振興」
特産品の掘り起こしと産業観光の充実
1.特産品を掘り起こせ
千葉県には豊かな自然の中から生み出される農水産物や加工品が数多く
あり、特産品として売り出せるものがあるにもかかわらず、あまりに身近
にありすぎて自分たちが気付いていないことが多い。県外や国外にも自慢
できるものを掘り起こして、千葉の特産品(ブランド)として育てていか
なければならない。例えば県内の飲食店ではどこでもお酒、食品など千葉
の産物が提供できるようにすることも重要である。
2.産業観光の充実を
県内に工場を有する企業は多く、特に京葉工業地帯には世界でも有数の
先進企業が集積している。こうした企業を見学するいわゆる産業観光も注
目されているが、現状では見学に関する情報発信や申込み手続きなどは、
個々の企業がそれぞれ対応しているケースが多い。複数企業にまたがる見
学コースの提案や相談、申込み窓口の一本化など、産業観光の定着に繋が
る体制の整備促進とその周知が望まれる。
<主な農林水産物の生産量と全国順位(平成18年)>
生産物
野菜
産出額または生産量
全国順位
1,570億円
2位
米
706億円
9位
花
207億円
3位
生乳
246億円
3位
豚
347億円
4位
鶏卵
260億円
1位
226千トン
6位
漁業総生産量
資料:生産農業所得統計 他
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<産業観光の実例>
企業名
内容
新日本製鐵
君津製鉄所
鉄鋼製品の製造工程を見学
サッポロビール
千葉工場
見学コース
+できたて生ビールの試飲
キッコーマン
もの知り
しょうゆ館
しょうゆの製造工程を見学