平成27年電気関係学会北陸支部連合大会, Vol

平成 27 年度電気関係学会北陸支部連合大会
STATCOM を用いたマイクロインバータ向け三相系統連系保護装置の検討
青柳 和樹・渡辺
大貴・折川
幸司・伊東
淳一(長岡技術科学大学)
iu
iv
iw
DC/AC
Grid
Micro-inverter system : 30 kVA
STATCOM :10 kVA
Grid line voltage : 200Vrms
Average voltage of capacitor : 380V
Ripple voltage of capacitor : 40V
Micro-inverter system
icomp_u
icomp_v
C
U
V
W
DC/AC
DC/AC
DC/AC
・・
・
近年,太陽光発電システム(PV)の高効率化を目的にマ
イクロインバータが盛んに研究されている (1)。本方式は
部分影等に伴う PV の出力電力低下を最小限にできるた
め,発電電力を最大限に利用できる。
本稿では,複数台接続したマイクロインバータを三相
系統へ連系することを想定し,発電電流の三相不平衡補
償と系統擾乱時の運転継続性能(FRT)を一台の自励式無
効電力補償回路(STATCOM)で達成可能なマイクロイン
バータシステムを提案する。そして,これらの機能を満
足するために必要な STATCOM 側のコンデンサ容量につ
いて検討したので報告する。
DC/AC
1. はじめに
icomp_w
STATCOM
Fig.1 Three-phase interconnection system with micro
inverter.
一方,コンデンサの容量は逆相有効電力により算出され,
(2)式で与えられる。
C
2 Pn
 (Vc max  Vc min )
2
2
3.5
································ (2)
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
0
ここで,Pn は逆相有効電力,Vcmax はコンデンサ電圧最大
値,Vcmin はコンデンサ電圧最小値である。
20
Fig.2 Relationship between imbalance rate and
admittance for STATCOM.
3. シミュレーション結果
0.25
100 Hz component
(2-phase imbalance)
100 Hz component
(1-phase imbalance)
0.2
1p.u. = 86[A]
Ripple current of capacitor [p.u.]
図 2 に不平衡率を変化させた際のコンデンサ容量と逆
相有効電力の関係を示す。マイクロインバータの容量を
30 kW とし,コンデンサは定格アドミタンス,逆相有効
電流は定格線電流 86 A で基準化している。結果より,コ
ンデンサ電圧変動を 40 V に抑えるとき,必要なコンデン
サ容量はワーストケースで 3.0 p.u.である。
図 3 に不平衡率に対するコンデンサリプル電流の関係
を示す。ここでは定格線電流で基準化している。図 3 よ
り,不平衡率の増加に伴いリプル電流が増加する。した
がって実際には,コンデンサの選定は逆相電流に起因す
る 100 Hz のリプル電流とスイッチングリプル電流の二
乗和の平方根で決まる。その結果リプル電流の総和はワ
ーストケースで 0.24 p.u.となるため,8200 F (6.4 p.u.)の
コンデンサを選定する必要がある。
一方,マイクロインバータを含めた発電システムを系
統連系するためには,瞬低中の系統有効電力をゼロにす
る必要がある。この時,瞬低の最大継続時間である 1 s
の間正相有効電力を全てコンデンサで吸収すると,コン
デンサ容量が 1.0 F となり,体積が非常に大きくなる問
題がある。そこで,提案システムでは瞬低中のみマイク
ロインバータの有効電力を低下させる。この時,不平衡
率のワーストケースで設計したコンデンサの過充電を防
止するためには,コンデンサの静電エネルギーと有効電
力の関係より,7.9 ms 以内にマイクロインバータの有効
1.0
0.9
0.8
0.7
YC (2-phase imbalance)
0.6
Negative sequence active current 0.5
(1-phase imbalance)
0.4
0.3
0.2
Negative sequence active current
0.1
(2-phase imbalance)
0.0
40
60
80
100
Imbalance rate [%]
YC (1-phase imbalance)
3.0
Admittance [p.u.]
1p.u. = 0.4[s]
図 1 に回路構成を示す。三相不平衡率は正相電流 Ip
と逆相電流 In で評価され,(1)式で与えられる(2)。
I
  n  100············································· (1)
Ip
Negative sequence active current [p.u.]
1p.u. = 86[A]
2. 回路構成
0.15
Switching frequency component
(1- phase imbalance)
0.1
Switching frequency
component
(2- phase imbalance)
0.05
0
0
20
40
60
80
100
Imbalance rate [%]
Fig.3 Relationship between imbalance rate and capacitor
ripple current.
電力をゼロまで低下させればよい。その結果,図 3 で設
計したコンデンサを用いて提案システムを構成でき,シ
ステムの小型化が図れる。
今後の予定として,実機実験による提案回路の動作検
証を行う。
文
献
(1) T. Shimizu 他, IEEE Trans., Vol.21, No.5, (2006)
(2) 江口他,T.IEE Japan, Vol.114-D, No.4, (1994)