2014 年度中国語・文化研修

もっと勉強しなければと思った経験
東北工業大学 工学部
建築学科 2 年 佐藤 匠真(さとう たくま)
私の留学の目的は、現代語の中国語を使いチャットや軽い挨拶や会話ができるようになりたいと
いうものでした。そして目的は達成されました。日常会話の中の軽い挨拶、スマートフォンアプリの
「LINE」を使ったチャットを使用した会話が可能となり。それに不可欠な台湾人の友人も多くできま
した。
このプログラムで留学する前は台湾のことは何も知らず、予備知識は第二外国語として中国語の
講義を4単位とっただけでした。私は単に中国語の語学留学だと思って参加しました。これは大き
なミスだと後で気づきました。台湾は公用語こそ中国語ですが文字を書くときは繁体字を使用し、
文字にはなっていないですが話し言葉として台湾語(日本の方言をイメージしてください)がありまし
た。そして文化も人間性も考え方も独自のものがありました。つまり中国と台湾は全く違うわけです。
私は中国には行ったことがないので中国と台湾の文化や人間性の比較ができないのですが。日本
人と比べると台湾の人は大らかです、日本人ほど失敗を気にしませんし完璧主義でもありません。
そしてとてもフレンドリーであり交流的です。例えると「大阪のおばちゃん」のような印象です。台湾
人は日本のことをよく知っています。日本製品や日本の文化、サブカルチャーに日本人より詳しい
人もいます。ここまで日本を知ってくれているのに私は台湾のことを何も知らずに留学に来てしまっ
たことを、とても負い目に感じました。
台湾人は外国語を話されることに抵抗がありません。彼らは子供のころから中国語、台湾語で会
話をし、小学校から英語教育を受け、祖父母のいる家庭は祖父母の話す日本語を聞き育ちます。
英語の能力は日本の大学生より断然上でネイティブに近い発音ができ、話している英語は若い人
が使う言葉です。私たち日本人が中学校から学ぶ学校教育の英語では太刀打ちできません。日本
の英語教育では発音が全く役に立たず、日常会話はほぼ不可能でした。台湾の大学生も自分の
英語は良くないと言いつつ日本人に比べればとても上手でした。
多くの日本人が英語や中国語を話せない理由としては、海外への興味が薄いせいだと考えられ
ます。台湾人は日本に大きな憧れを抱いています。それはメキシコ人がアメリカに対し、トルコ人が
ドイツに対しあこがれを抱くのと同じで他国のことはよく見えてしまっている印象を受けました。日本
では大学を卒業して必ず外国語が必要になるかというとそうではありません。ですが海外の大学生
は、自国語はもちろんのこと、英語も自分から会話ができる程度の会話能力を持ち合わせています。
私は日本の英語の教育制度の現状に疑問を感じ、「日本人はこれでいいのか?」と考えさせられま
した。
英語は勉強させられるものであって、就活の時に必要になるから TOIEC でいい点数を取ってお
く。これが日本人の大学生の現状です。本当はこうではなく自分が英語で会話したい、グローバル
な環境で働きたい、新聞を読んだりニュースを聞いたりしたい、海外に友達を作りたい、私の場合
は海外の人とオンラインゲームでチャットをしたいという自発的でポジティブな意識で外国語を勉強
する事が本来の姿ではないのかと感じました。確かに就活において TOIEC の点数は大きな武器に
なりますが、それを用いてコミュニケーションをとることは人生においてもっと大きな武器になります。
多くの外国人から見た日本の印象は良いもので、当たり前ですが日本に留学・観光・出稼ぎに来て
いる外国人で日本を嫌いな人は殆んどいません。彼らの多くはフレンドリーで交流的で日本人と友
達になりたがっています。ここで私たち英語の上手でない大学生にできる英語力の向上方法は、
覚えたての英語で積極的に話しかけて話を聞き、オープンな環境を作ることだと思います。相手側
のドアはいつでも開いているのです。
台湾の留学の話が英語の話になってしまいましたが、私はコミュニケーション上の大きな壁を目
の当たりにして思いました。私たちが国内で外国人と交流をとり英語力を高める一番の近道は、ズ
バリ今まで勉強してきた英語を使いこなせるようにして怖がらずに話してみること、これに尽きます。
私は今回の経験から英語をもっと勉強して知識を増やし、慣用句を身に着けフランクでカジュアル
にそしてスマートに会話できるようになりたいと心底感じました。 中国語を勉強するのは英語を勉
強しながらちょっとずつでも遅くはないと思いました。
私は今回の留学でとても貴重な体験をしました。それは自分の無力さを知ったことです。簡単に
書けば日本ではできない挫折を味わったのです。今回の留学という名の挫折の連続には沢山の恥
と悔しさと無力さが入り混じって私のプライドを木端微塵にしてくれました。ですが私に次のチャンス
を与えてくれたいい経験でもありました。この経験を与えてくれた東北工業大学、中原大学の皆様
に感謝申し上げます。私は次の留学に向けて頑張りたいので、毎日、単語帳を開き、毎日英単語
を一つ覚える事にします。
九份で新潟大・中原大の友人と