睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は全年齢集団で見られる。有病率は女性(9%)

A7.11
〔参考訳〕
睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は全年齢集団で見られる。有病率は女性(9%)に比べて男性
(24%)の方が多い。患者が医師に訴える最も一般的な症状はいびきおよび昼間の過度な眠気
(EDS)である。OSAS は、睡眠中に上気道が部分的に狭窄したり全体的に閉塞したりするこ
とで生じる、覚醒や睡眠の分断化を伴う。一般的には、OSAS では症状が時間と共に深刻
化し、高血圧や不整脈、心筋梗塞、脳卒中、突然死などの有病率や死亡率の原因となる病
態生理学的な障害も深刻になっていく。しかし、行動障害については病態生理学的障害よ
りもかなり早く現れる傾向がある。これは EDS が QOL の大幅な低下をもたらすためであ
る。これらの知見は、OSAS の診断および治療の必要性を示している。
減量以外で OSAS に対して利用できる第一の治療法としては、外科的処置があった。睡
眠時における上気道の解剖学的狭窄・閉塞に対する手術を受けた初めての患者の中には、
Pickwickian syndrome(高度肥満による肺胞低換気症候群)に悩まされている人が含まれて
いた。気管切開はその頃に利用できた唯一の外科的処置であったが、そのような状況下で
生命を救うものであったため、夜間上気道障害の患者に対してしばしば使われていた。気
管切開は、QOL を向上させる、あるいは生命そのものを長らえさせる方法として、多くの
患者から我慢してもらえる、受け入れてもらえるものではなかった。70 年代初頭、夜間上
気道障害を表す言葉として、HPA が使われ、その後、OSAS と呼び改められた。長年にわ
たり睡眠障害に関する私たちの理解が深まり、現在この分野が、医学における専門性を認
められるまでに至っている。将来的には、他の関連する外科領域はもちろん、耳鼻咽喉科
分野における専門分野にもなるだろう。OSAS に対する標準的治療法に対して内科と外科
とを組み合わせることで、最適な治療がもたらされた。この組み合わせにより、患者には
選択肢が与えられた。すべての患者が最初に受ける治療法として外科的方法、あるいは内
科的方法のいずれかを受けるというわけではなくなるからである。
内科と外科、双方とも、睡眠時呼吸障害における妨害過程は、主に上気道における広範
性の問題であるということを次第に認識してきた。それゆえ、夜間における狭窄あるいは
完全な閉塞は、おそらく 1~2 か所に限局されるものかもしれないが、咽頭上気道の経路全
体に渡る広範性の合併症を通常伴う。主要な領域として、鼻腔、口蓋律後方部、そして舌
後方部の 3 つがある。治療の難しさおよび成功率は、これらの 3 つの領域の程度が低くな
るほどに、より不確実なものとなる。これは、鼻から舌にかけて、組織の容積がかなり大
きくなるためである。通常、従来の内科的治療が第一に推奨されるのは、これが非侵襲的
であるからだ。Medical sleep centers は、睡眠衛生、減量、歯ぎしり防止用の器具、
CPAP/Bi-PAP など、OSAS に対するいくつかの治療法を提供している。現在は、上気道を
論理的に再建することが可能な外科的な手技もある。現在の外科的手技によって、鼻およ
び口蓋から舌根まで、気道を再建することが可能だ。
〔解答例〕
問1
(a)
morbidities
(b)
the ratio of the number of occurrences of a disease or event to the number of units at
risk in the population
問2
高血圧、不整脈、心筋梗塞、脳卒中、突然死
問 3.
OSAS は、主に咽頭上気道の経路全体、特に鼻腔、口蓋律後方部、舌後方部における広範
性の閉塞・狭窄を伴うので、外科手術は、鼻および口蓋から舌根まで、気道を再建するこ
とを目的としている。