野生鳥類の糞便に含まれる抗生物質耐性大腸菌の調査

2014 年度
応用生物学部 卒業論文概要
論文題目
野生鳥類の糞便に含まれる抗生物質耐性大腸菌の調査
氏名
指導教員
脇田
潤紀
浦瀬
太郎
キーワード:大腸菌、抗生物質、KBディスク拡散試験法、ハト、スズメ
【はじめに】
薬剤耐性菌の問題は医療現場が中心と考えられてきたが、抗生物質の使用増
加に伴い、抗生物質に耐性を獲得した薬剤耐性菌が増加している。動物が耐性
菌の運搬役となっている可能性もある。そこで、本研究では人間社会の近くで
生息している生物であり、ヒトと同じ大腸菌を持つ野生鳥類の薬剤耐性状況を
調べた。
【実験方法】
多摩地区のハト 4 回(Columba livia・4 回)、スズメ(Passer montanus・1 回)、
不明種(2 回)の糞を採取(計 7 回)し、滅菌した生理食塩水で希釈した。その菌
液を ChromagarECC 培地に滴下し、腸内細菌を培養した。翌日 ECC 培地上で青
色を呈した大腸菌(Escherichia coli)のコロニーを選択し、パールコアミュラー
ヒントンS寒天培地で培養した。翌日 KB ディスク拡散試験法を行い、抗生物
質耐性(ABPC、GM、TC、LVX、AMK)を調べた。
【結果と考察】
実験で得られたデータでは耐性菌は確認できなかったが、弱い耐性(中間耐
性)を示す菌が ABPC で 9 株(6.8%)、TC で 7 株(2.1%)、AMK で(3.3%)確認できた。
また GM と LVX に関しては耐性、中間耐性ともに 1 株も確認できなかった。ま
た多剤耐性菌は 1 株も確認できなかった。これらの結果から下水由来の大腸菌
に比べると明らかに耐性を持つ菌は少ないことがわかった。
表 1 大腸菌の耐性割合
種類
全株数
中間耐性
中間耐性割合(%)
ABP
132
9
6.8
TC
328
7
2.1
AMK
331
11
3.3
GM
289
0
0
LVX
199
0
0