Financial Market Review vol.162 2015年6月24日 Financial Market Review vol.91 ~ 円ドル相場の動向と今後の見通し ~ 【図表1:円ドル相場の推移】 円ドル相場の動向 (2013年1月1日~2015年6月18日 日次) 円ドル相場の動きが足元大きくなっています。 円安・ドル高 5月の米雇用統計が予想以上の改善を示したこと で米国の早期利上げ観測が高まり、6月5日には2002 年6月以来約13年ぶりとなる125円台後半まで円安ド ル高が進行しました。 しかし、6月10日には、黒田日銀総裁の円安への 牽制とも受け取れる発言を受けて、一転して122円台 半ばまで円が反発しました。(図表1) 円高・ドル安 今後の見通し (年/月) 【図表2:対外証券投資額の推移】 黒田日銀総裁の発言等を受けて円ドル相場は短 期的には「125円の壁」を意識した動きになるものと 考えています。しかし、中期的には以下の背景から 円安ドル高基調は継続するものとみています。 (1)日米金利差の拡大 利上げのタイミングをうかがう米国と、超低金利政 策の継続が想定される日本の金利差は、当面拡大基 調をたどると考えられること。 (2)日本からの対外証券投資 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運 用見直し(国内債券の比率を下げ、国内株式や海外 資産の比率を高める)に見られるように、低金利下で の運用難を背景に、国内機関投資家が対外証券投資 を更に増加させる可能性があること。(図表2) (3)貿易収支 貿易赤字額は一時より縮小してはいるものの、火 力発電の燃料輸入等により黒字の定着は難しいと考 えられること。(図表3) 400 (2013年1月~2015年4月 月次) (千億円) 300 ※ 対外証券投資(12ヵ月合計) 200 100 0 -100 -200 ※基調を視覚化するために月次数値+過去11ヵ月分 数値を合計したものをグラフ化しています。 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 (年/月) 【図表3:円ドル相場と貿易収支の推移】 (2012年1月~2015年5月 月次) 円安・ドル高 上記要因以外にも、政治的な要因や地政学的な要 因等も為替の水準に影響を与えるものと思われます。 見通しは上記前提条件に基づくものであるため、今 後もその進捗状況を含め、新たに発生する要因や 様々な出来事を注視しながら、先行きの動向を見極 めていく必要があると考えています。 円高・ドル安 貿易赤字 (※)貿易収支は通関ベース (出所)図表1~3はブルームバーグ、財務省データを基に ニッセイアセットマネジメントが作成 貿易黒字 (年/月) 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではあり ません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数 値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な 投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 <審査確認番号H27-TB35>
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