TN453 原子間力顕微鏡(AFM)による毛髪の表面形状評価

Technical News
●原子間力顕微鏡(AFM)による毛髪の表面形状評価
TN453
Shape Evaluation of Human Hair Cuticle by Atomic Force Microscope (AFM)
[概
要]
原子間力顕微鏡(AFM)は、実空間において、物質表面の凹凸を原子レベルで観察でき、表面性状のミクロな
測定や観察の有力な手段となっています。その適用範囲は、金属、セラミックス等の硬質材料から高分子、
生体分野等の軟質材料まで多岐にわたっています。
以下に AFM 測定事例として毛髪表面を計測した事例を紹介します。
[事
例 1]
毛髪の表面形状評価
毛髪は下記模式図(図 1)に示されるように、外側からキューティクル、コルテックス、メデュラの 3 層
で構成されています。表層のキューティクルは、毛髪のツヤや触感を大きく左右するものですが、日常生活
の様々な要因によりダメージ(削れ、剥がれ)を受けます。
表面形状測定に有効な AFM を用いることにより、このキューティクルのダメージの状態を定量的に評価す
ることが可能となります。下の写真は毛髪表面を測定した結果(図 2)であり、毛髪表面の凹凸状態やキュ
ーティクルの段差状態(図 2 断面プロファイル参照)が定量的に評価できていることが分かります。
キューティクル【毛小皮】
断面計測位置
コルテックス【毛皮質】
491 nm
メデュラ【毛髄質】
Ra:227.1 nm
図1
[事
毛髪構造模式図
例 2]
図2
毛髪表面 AFM 像および断面プロファイル
毛髪の洗浄度評価
毛髪、頭皮を清潔に保つために洗髪を行いますが、この際、毛髪表面の洗浄状態は AFM を用いることによ
り評価が可能です。
下の毛髪表面 SEM 写真(図 3)では、キューティクルの鱗片構造が観察されており、一つの鱗片表面に注
目し、洗髪前後の状態を AFM により計測しました。洗髪前では毛髪表面に多くの付着物が観察されますが、
洗髪後では付着物が洗浄され清潔な表面が表れている様子(図 4)が確認できました。
図3
毛髪表面の SEM 像
洗髪前
洗髪後
Ra:9.70 nm
Ra:4.81 nm
図4
洗髪前後での毛髪表面 AFM 像
・関連技術資料(Technical News168)
TOF-SIMS によるリンスした毛髪の分析・・・・・・・・・・・http://www.scas.co.jp/analysis/pdf/tn168.pdf
[キーワード] ライフサイエンス、シャンプー、頭髪、紫外線劣化
作成:筑波事業所 (YH1505)4-U0-(56)
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