特定事業の選定(PDF文書)

川内クリーンセンター基幹的設備改良事業
特定事業の選定
平成28年3月25日
薩摩川内市
薩摩川内市(以下「本市」という。)は、川内クリーンセンター基幹的設備改良事業(以下「本
事業」という。)について、
「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平
成 11 年法律第 117 号。以下「PFI法」という。)」に準じて実施することとし、同法第 5 条の規
定により実施方針を策定し、平成 28 年 2 月 1 日に公表したところである。
このたび、本事業を特定事業として選定したので、PFI法第 11 条第 1 項の規定により、特定
事業の選定にあたっての評価の結果を公表する。
1
事業概要
(1)事業名
川内クリーンセンター基幹的設備改良事業
(2)公共施設の管理者の名称
薩摩川内市長
岩切
秀雄
(3)対象となる公共施設等の種類
一般廃棄物処理施設
(4)事業目的
川内クリーンセンター(以下「本施設」という。)について、焼却施設、粗大ごみ処理施設
及び最終処分場の浸出水処理施設は稼働開始から 21 年、ペットボトル処理施設は稼働開始か
ら 16 年、その他プラスチック処理施設及び白色トレイ処理施設は稼働開始から 12 年が経過
し施設を構成する各設備の老朽化が進行している。本施設が本市唯一の廃棄物処理施設であ
ることに鑑み、今後とも本市の責務である廃棄物処理を円滑に推進するためには、各設備の
改良による延命化を行う必要がある。
以上を踏まえ、本市では、本施設の基幹的設備改良工事及び工事後の管理運営に関連する
一連の業務について、民間事業者の技術的能力、経営能力等を活用し、効率的かつ効果的な
施設整備及び管理運営を図ることを目的として、官民連携方式を活用した本事業の実施を計
画している。
(5)対象となる公共施設の構成
本事業の対象となる川内クリーンセンター(以下「本施設」という。)は、次に示す複数の
施設から構成される。
1
表1
項目
1.施設名称
2.所在地
3.処理能力
4.着工年月
5.竣工年月
6.処理方式
受入・供給設備
燃焼設備
燃焼ガス冷却設備
排ガス処理設備
通風設備
灰出し設備
概要
川内クリーンセンター(焼却施設)
鹿児島県薩摩川内市小倉町 5104 番地
135t/24hr(67.5t/24hr×2 炉)
平成 4 年 12 月(灰固形化施設:平成 12 年 7 月)
平成 6 年 12 月(灰固形化施設:平成 12 年 12 月)
連続燃焼式焼却炉
ピット&クレーン方式
ストーカ式焼却炉
水噴射式(炉頂方式)
乾式有害ガス除去装置+バグフィルタ
平衡通風方式
灰ピット&クレーン方式
灰固化設備(薬剤及びセメント併用固化方式)
プラント系排水→再循環無放流方式
ごみピット排水→炉内噴霧蒸発散化処理方式
排水処理設備
表2
項目
1.施設名称
2.所在地
3.施設規模
4.着工年月
5.竣工年月
6.処理方式
粗大ごみ処理施設の概要
概要
川内クリーンセンター(粗大ごみ処理施設)
鹿児島県薩摩川内市小倉町 5104 番地
23t/日(5 時間稼働)
7t/日(5 時間稼働)
平成 4 年 12 月
平成 6 年 12 月
受入ホッパ、供給コンベヤ
回転式、衝撃せん断併用型
切断機
破袋機
振動コンベヤ、チェーンコンベヤ、ベルトコンベヤ
磁選機、粒度選別機、選別用送風機
手選別コンベヤ
金属圧縮装置
ホッパ
サイクロン
バグフィルタ
不燃ごみ
粗大ごみ
受入供給設備
破砕圧縮設備
搬送設備
選別設備
再生設備
貯留・搬出設備
集じん設備
表3
項目
1.施設名称
2.所在地
3.埋立面積
4.埋立容量
5.埋立構造
6.浸出水処理能力
7.着工年月
8.竣工年月
9.処理方式
焼却施設の概要
浸出水処理施設の概要
概要
川内クリーンセンター一般廃棄物最終処分場
鹿児島県薩摩川内市小倉町 5104 番地
9,720m2
68,000m3
準好気性埋立方式
60m3/日
平成 4 年 12 月
平成 6 年 12 月
沈砂調整+前処理(カルシウム除去)+生物処理(触媒曝気)+
凝集沈殿+砂ろ過+活性炭吸着+消毒+汚泥脱水処理
2
表4
資源ごみ処理施設の概要
項目
1.施設名称
2.所在地
3.施設規模
4.着工年月
5.竣工年月
6.処理方式
(ペットボトル
処理施設)
ペットボトル処理施設
その他プラスチック処理施設
白色トレイ処理施設
ペットボトル処理施設
その他プラスチック処理施設
白色トレイ処理施設
ペットボトル処理施設
その他プラスチック処理施設
白色トレイ処理施設
受入供給設備
選別設備
圧縮梱包設備
7.処理方式
(その他プラスチック
処理施設)
受入供給設備
選別設備
圧縮梱包設備
8.処理方式
(白色トレイ処理施設)
減容設備
脱臭設備
概要
川内クリーンセンター(資源ごみ処理施設)
鹿児島県薩摩川内市小倉町 5104 番地
1t/日(5 時間稼働)
5t/日(5 時間稼働)
0.5t/日(5 時間稼働)
平成 11 年 12 月
平成 14 年 12 月
平成 14 年 12 月
平成 12 年 4 月
平成 15 年 7 月
平成 15 年 7 月
供給ホッパ付供給コンベヤ
手選別コンベヤ
投入コンベヤ
油圧駆動縦型一方締式減容機
PP バンド全自動結束機
排出ローラコンベヤ
供給ホッパ付供給コンベヤ
手選別コンベヤ
投入コンベヤ
油圧式縦押圧縮減容機
熱シール式包装機
PP バンド熱溶着全自動結束機
排出コンベヤ
熱風式
触媒燃焼式活性炭併用方式
(6)事業内容
ア
事業方式
DBO方式
イ
事業期間
・基幹的設備改良工事期間:平成 29 年 1 月~平成 32 年 3 月
・管理運営期間:平成 29 年 4 月~平成 52 年 3 月
ウ
事業者の業務内容
(ア)基幹的設備改良工事
a
b
c
d
e
f
g
設計・施工業務
仮設工事
安全衛生管理、その他施設機能の確保
試運転、性能確認試験業務
許認可申請業務
生活環境影響調査に必要な現況調査、予測評価等
その他関係法令等の遵守
(イ)管理運営業務
a 受付管理業務
b 運転管理業務
c 維持管理業務
3
d 環境管理業務
e 情報管理業務
f 関連業務
エ
事業者の収入
(ア)基幹的設備改良工事に係る対価
本市は、本施設の基幹的設備改良工事に係る対価について、建設工事請負契約に基づ
き、設計建設事業者に支払う。
(イ)管理運営業務に係る対価
本市は、管理運営業務に係る対価を委託料として、管理運営委託契約に基づき、SP
Cに支払う。
4
2
本市が直接事業を実施する場合とDBOで実施する場合の評価
(1)評価方法
本事業をPFI法に準じ、DBO事業として実施することにより、公共サービスの水準の
向上を期待できること及び事業期間を通じて本市の財政負担の縮減を期待できることを選定
の基準とした。具体的には、以下について評価を行った。
・本市の財政負担見込額による定量的評価
・DBO事業として実施することの定性的評価
・事業者に移転するリスクの評価
・上記による総合的評価
なお、本市の財政負担見込額の算定に当たっては、将来の費用と見込まれる財政負担の総
額を算出の上、これを現在価値に換算することにより評価を行った。
(2)本市の財政負担見込額による定量的評価
ア
本市の財政負担額算定の前提条件
本事業を本市が直接実施する場合及びDBO事業として実施する場合の財政負担額の算
定に当たり、設定した主な前提条件は次の表のとおりである。
なお、これらの前提条件は、本市が独自に設定したものであり、実際の事業者の提案内
容を制約するものではない。
(ア)事業費などの算出方法
表5
事業費の算出方法
項目
本市が自ら実施
する場合
DBO事業として
実施する場合
算出根拠
①利用者収入な
どの算出方法
-
-
-
②基幹的設備改
良工事に係る
費用の算出方
法
③管理運営業務
に係る費用の
算出方法
基幹的設備改良工
事費
管理運営費
・人件費
・点検補修費
・用役費
・その他費用
同左
・本市が直接実施する場合の費用
は、プラントメーカーの見積等
をもとに設定。
・DBO事業として実施する場合
の費用は、本市が直接実施する
場合に比べて一定割合の縮減が
実現するものとして設定。
同左
・本市が直接実施する場合の費用
のうち、人件費、用役費、その
他費用については本市の管理運
営実績をもとに設定。点検補修
費については、プラントメーカ
ーの見積等をもとに設定。
・DBO事業として実施する場合
の費用は、本市が直接実施する
場合に比べて一定割合の縮減が
実現するものとして設定。
5
本市が自ら実施
する場合
項目
DBO事業として
実施する場合
算出根拠
④資金調達にか
かる費用の算
出方法
交付金
一般財源
起債
同左
・交付金については、プラントメー
カーの見積から対象額を設定し、
1/3 を乗じて設定。
・起債について、交付金対象内につ
いては交付金を控除した額に対
して 95%、交付金対象外につい
ては 95%を充当する。償還期間
10 年(据置なし)、利率は起債の
近年動向を踏まえて設定。
⑤施工監理費用
施工監理費
同左
・基幹的設備改良工事費を踏まえ
て設定。
⑥その他の費用
アドバイザー費
・DBO事業として実施する場合
モニタリング費
は、アドバイザー費、モニタリ
SPC経費
ング費、SPC経費、SPC利
SPC利益・法人
益・法人税等を計上。
税等
-
(イ)VFM検討の前提条件
表6
項目
VFM検討の前提条件
値
算出根拠
①割引率
4.0%
環境省その他で用いられている値を採用
②物価上昇率
0.0%
物価変動は考慮せず
公表に際しての十分なデータが収集できないことから、
リスク移転については定性的効果として認識
※VFM:Value for Money の略。支払(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)
を供給する考え方のこと。ここでは、本市が自ら実施する場合とDBO事業として実施する
場合の財政負担額の差額を意味している。
③リスク調整値
-
2)財政負担額の比較
前掲の前提条件に基づいて、本市が自ら実施する場合及びDBO事業として実施する場
合の財政負担を現在価値換算のうえ比較すると、2.58%の財政負担額縮減が見込まれる結
果となった。
表7
財政負担額の比較
項目
①本市が自ら実施する場合
(現在価値ベース)
値
②DBO事業として実施する場合
(現在価値ベース)
備考
9,282,902 千円
交付金を控除済み
9,043,402 千円
交付金及び税収を
控除済み
③VFM(金額)
239,500 千円
①-②
④VFM(割合)
2.58%
③÷①
6
(3)DBO事業として実施することの定性的評価
本事業をDBO事業により実施する場合、本市の財政負担額縮減の可能性といった定量的
な効果に加え、次のような定性的な効果が期待できる。
1)基幹的設備改良工事及び管理運営の効率化
本事業は、施設を稼働しながら設備の改良工事を行うという特殊性を有しているため、
事業者が本施設の基幹的設備改良工事及び管理運営業務を一貫して実施することにより、
工事と管理運営の連携を図ることが期待できるとともに、効果的・効率的な事業の実施が
可能となる。
2)長期的な視点に基づく管理運営内容の向上
長期的かつ包括的な委託を行うことにより、管理運営期間を通じた適時の補修等の実施、
中長期的な視点での業務改善の実施、セルフモニタリングの実施等が行われ、長期的な視
点での業務全体の最適化による管理運営内容の向上が期待できる。
3)リスク分担の明確化による安定した事業運営
計画段階であらかじめ事業全体を見通したリスク分担を明確にすることにより、問題発
生時における適切かつ迅速な対応が可能になり、業務目的の円滑な遂行や安定した事業運
営の確保が期待できるとともに、適正なリスク管理により過度な費用負担を抑制すること
が可能となる。
(4)事業者に移転するリスクの評価
DBO事業として実施する場合に事業者が負担するリスクは、事業者が本市よりも効果的
かつ効率的に管理可能であるものを対象としている。そのため、事業者が有するリスク管理
に関するノウハウを活かすことで、リスク顕在化の抑制や、リスクが顕在化した場合の被害
額の抑制が期待できる。
(5)総合的評価
本事業は、DBO事業として実施することにより、本市が自ら実施する場合に比べ、事業
期間全体を通じた本市の財政負担額について、2.58%の縮減を期待することができるととも
に、公共サービスの水準の向上、効果的かつ効率的なリスク負担も期待することができる。
したがって、本事業をDBO事業として実施することが適当であると認められるため、P
FI法第 7 条に準じて特定事業として選定する。
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