ハイパーインフォメーションターミナルの評価分析実験報告

超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム 実証実験部会 超臨場感テレワーク WG 共同実験報告 ④
ハイパーインフォメーションターミナルの評価分析実験報告
立正大学 櫻井広幸・京都大学 久木元伸如
概要
はじめに
ハイパーインフォメーションターミナルはオフィスで行われるカジュアルなインフォー
マルコミュニケーションを支援するために高精細大画面ディスプレイを活用した情報共有
を支援する環境である.
本システムを展示会等で見学者に体験して貰った所,比較的好意的な意見を得ることが
出来た.しかしながら,見学者はハイパーインフォメーションターミナルの何処に興味を
持ち,どのような有用性を認識しているかは不明である.さらに,市場に投入する前に本
システムの弱点を明確化し,ユーザにとって利点を感じる点を強調することは,研究開発
段階においても有益な情報になると考えられる.そこで,ハイパーインフォメーションタ
ーミナルの利用の際生じる心的印象と,このシステム導入との関連性について,URCF テ
レワークWGの参加のもとに実験を行った.
実験目的
以下の2点を明らかにすることを本実験の目的とした.
1.
ある一定の評価項目(質問項目)群によって,回答者がシステムを「導入する」
「導入
しない」を見きわめることができるのか.
2.
見きわめることができると仮定される場合,さらに,
「導入する・しない」に,より強
く関わる質問項目を見出すことができるのか.
実験方法
今回の実験においては,ハイパーインフォメーションターミナルの画面を提示して使い
方を概説し,実験協力者に次のような操作を求めた. ・被験者が表示したい Web ページを表示してもらう ・Web アプリケーションの表示を行う ・レイアウト変更を行う 評価項目は表1に示すような内容である.作業の後,アンケートフォームへ回答しても
らった.アンケートフォームでは用意した評価項目に“1.全くそう思わない”から“7.
とてもそう思う”までの7段階で評価を求めた.さらに,質問の終わりに,本システムを
「導入したい」あるいは「導入したくない」かについて尋ねた. 超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム 実証実験部会 超臨場感テレワーク WG 共同実験報告 ④
結果
ハイパーインフォメーションターミナルの利用の際生じる心的印象と,このシステム導
入との関連性を調べるため実験を行い,多変量解析の一つである判別分析の手法[1] [2]を用
いて得られたデータに関し統計解析をおこなった.その結果,以下のようなことがいえる.
ž
表1に示した評価項目群によって,システムを「導入する」「導入しない」を見きわ
められる可能性がある.
ž
表2から,特に「導入する」「導入しない」により強く関わる質問項目は,「拡大縮
小操作は必須である」「使ってみると面白そう」「タッチで操作できるのがイイ」な
どであることが示唆される.
表 1 評 価 項 目 群
「
これ」
「
それ」
な
ど指差ししなが
らコミュニケー
ションできるの
がイイ
表示されている
H yperInfoは他
コンテンツの拡 使ってみると面
タッチで操作で iP honeで操作で
の人との情報の
楽ちんそうだ
大・
縮小の操作
白そう
きるのがイイ
きるのがイイ
共有に役立つ
は必須である
表示コンテンツ
複数人で利用し
を一覧できるの
イライラせずに ている際に他人
でコンテンツの
使える
に邪魔されずに
切り替え操作は
操作できる
不要である
表 2 標 準 化 さ れ た 正 準 判 別 関 数 係 数
標準化された正準判別関数係数
関数
拡大縮小操作は必須
コンテンツ切替操作は不要
情報共有に役立つ
iPhoneで操作できる
使ってみると面白そう
楽ちんそうだ
イライラせずに使える
タッチで操作できるのがイイ
他人に邪魔されず操作できる
指差しながらコミュニケーションできる
図 1 実 験 の 様 子
1
-2.186349
-0.433913
-1.288997
-0.314145
2.703103
0.022876
-0.223711
1.622774
-0.105273
0.539902