O-13 緩和ケア内科におけるオピオイドローテーションの実施状況調査

O-13
緩和ケア内科におけるオピオイドローテーションの実施状況調査
○渡邊小百合、逸見結衣、濱谷亜希子、塚本早百合、伊勢原祐子、藤原正幸、安達嘉織、小田中みのり
柴田直子、中晴 徹、大前隆広、川高菜緒、大谷祐子、見上千昭、吉田直恵、奥川 斉
(がんセンター 薬剤部)
【目 的】
オピオイドローテーションはオピオイドの種類
や 投 与 経路 を 変更 す ること で 鎮 痛効 果 の増 強 、副作
用 等 の 改善 を 目的 と して行 わ れ る。今 回 、薬 剤 管理
指導でのより適切な処方提案や情報提供を目的と
し て 、当 セン タ ー緩 和 ケア 内 科 にお け るオ ピ オイド
ローテーションの実施状況を調査したので報告す
る。
【方 法】
2013年10月~2014年3月までに緩和
ケ ア 内 科を 受 診し 、オ ピオ イ ド ロー テ ーシ ョ ンを行
っ た 患 者に つ いて 後 方視的 カ ル テ調 査 を行 い 、次の
5 項 目 につ い て検 討 を行っ た 。
① オ ピ オ イド の 変更 理 由
② 変 更 後 オピ オ イド の 種類
③ オ ピ オ イド 変 更前 後 の換算 比
④ 変 更 前 後で の 疼痛 、 副作用 症 状 の変 化
⑤ オ ピ オ イド 変 更に よ る副作 用 の 発現
【結 果】
調査期間中に緩和ケア内科を受診した患者は7
4 人 で 、オピ オ イド を 使用 し た 患者 は 42 人 であっ
た 。そ のう ち 、オピ オ イド ロ ー テー シ ョン を 行った
患 者 は 22 人 で 、同 一 患者 で 複 数回 オ ピオ イ ドの変
更 が あ った 症 例も あ り 、全 部 で 28 件 の変 更 例があ
った。
① オ ピ オイ ド の変 更 理由 (複 数 可 )
オ ピ オ イド の 変更 理 由とし て は 、疼痛 コ ント ロ ー
ル不良:18件、オピオイドによる副作用:8件、
経 口 不 可:3 件 、そ の 他:1 件 であ り 、疼痛 コ ント
ロ ー ル 不良 に よる 変 更が最 も 多 かっ た 。
② 変 更 後オ ピ オイ ド の種類
疼痛コントロール不良による変更では18件中
14件でメサドン塩酸塩錠へ変更となった(図1
上 )。 副 作 用 症 状 に よ る 変 更 で は 嘔 気 に よ る 変 更 例
で 5 件 中4 件 が経 皮 製剤へ 変 更 され た (図 1 下 )。
図 1 . 変更 後 オピ オ イドの 種 類
③ オ ピ オイ ド 変更 前 後の換 算 比
変 更 後の 投 与量 に ついて は 、副 作用 症 状( せ ん妄 )、
経口不可で変更となった2症例では減量して投与
さ れ て いた が 、その 他 の 症 例 で は当 セ ンタ ー 緩和ケ
アマニュアルの換算比およびメサドン塩酸塩錠初
回 投 与 量換 算 表 に 基 づいて い た 。
④ 変 更 前後 で の疼 痛 、副作 用 症 状の 変 化
疼 痛 変 化に つ いて は 、疼痛 コ ン トロ ー ル不 良 によ
り オ ピ オイ ド 変更 と なった 1 8 件の う ち 、カ ル テに
判断可能な記載のある症例について変更前後での
NRSの変化、レスキュー使用回数で評価した。
N R S:-2 .4 、レ スキ ュ ー 使用 回 数:- 2 .4
回 /日 と ど ち ら も 減 少 が み ら れ 、 オ ピ オ イ ド 変 更 に
よ り 疼 痛症 状 の緩 和 がみら れ た と考 え られ る 。
副 作 用 症状 の 変化 に ついて は 、オ ピオ イ ドの 副 作
用が理由で変更となった8件全ての症例で症状の
改 善 が みら れ た。
⑤ オ ピ オイ ド 変更 に よる副 作 用 の発 現
オピオイドローテーションにより、眠気、嘔気、
便 秘 な どの 新 たな 副 作用症 状 の 発現 が みら れ た(表
1 )。
表 1 . オピ オ イド 変 更によ る 副 作用 の 発現
【結 論】
今 回 調査 し た緩 和 ケア内 科 の 症例 で は 、適 切 な投
与量でオピオイドローテーションを行うことで疼
痛 お よ び副 作 用が 改 善され て い た。一 方 で、変 更後
のオピオイドによる副作用出現例もみられ ていた。
こ れ ら のこ と を踏 ま え 、薬 剤 管 理指 導 にお い て 、適
切な投与量で変更が行われているかを確認するこ
と や 、変 更後 の 患者 の 状態 を 十 分に 観 察し 副 作用症
状 に 対 して 必 要に 応 じて処 方 提 案を 行 うこ と で 、患
者の苦痛軽減や適切な治療のサポートに繋がると
考える。
今 後 は 、緩 和 ケア 内 科以 外 に おい て も オ ピ オイド
ロ ー テ ーシ ョ ンの 実 施状況 を 調 査し 、患 者へ の 適切
なオピオイドの使用と疼痛管理を進め ていきたい。