28QamO8S 炎症性腸疾患 に対 す る新規 ナ ノ医薬 の開発 に向けて ∼水酸化 フラー レンの構造 一 活性 相 関 に関す る基礎情 報 の収 集 ∼ ○ 永野 黄 土 1 ,吉 岡 靖雄 1 ,山下 浩平 1 ,平 莱 由 1 ,青山 道彦 1 ,吉 田 徳幸 1 , 角 田 慎一 2,3,中山 博之 1, 藤尾 慈 1,青 島 央 江 4,小 久保 研 5 ,大 島 巧 5 , 鍋師 裕美6 ,吉 川 友 章 1,東 阪 和 馬 1,堤 康央 1 , 2 , 3 (1 阪大 院薬 , 2 医薬 基盤研 , 3阪大 ME I セ ,4 vc60,5阪大 院工 ,6国衛研 ) 【目的 】 潰癌性 大腸炎 、クローン病からなる炎症性腸疾患 ( I BD)は、消化 管 に原 因不 明 の炎症 を起こす難 治性疾 患である。現在 、本疾 患 に対 して様 々な治療薬 が用いられて いるものの、不応例や副作用等の問題から新たな作用点 に基づく新規治療薬 の開発 が 望まれている。本観 点から我 々は、強力な抗酸化作用 ・ 抗炎症作用を有するフラーレン に着 目し、主剤 がナノマテリアルである、本 邦発 のナノ医薬 開発 に挑戦してきた。これま でに我 々は、フラーレンの水酸化 により、製剤化 するうえでの致命 的問題 点である凝集 性を克服でき、大腸炎モデルマウスに対して、既存の治療薬 に優る治療効果を発揮 し得 ることを、Na noSa f e t yDe s i g n( NSD) 研 究 により見 出してきた。本研 究では、メディシナル ケミストリー-の将来展 開を念頭 に、異なる数の水酸基を有する水酸化フラーレンを用い て、抗炎症作用の指標 としてサイトカイン産生抑制能を比較検討 した。 【 方法 ・ 結果 ・ 考察 】 本検討 では、水酸基を 1 2個 ( C60 0H1 2 )、2 4個 ( C60 0H2 4 )、36個 ( C60 0H36)または 44 個 ( C60 0H44)導入 した水酸化フラーレンを用いた。まず、溶媒 中に 0H1 2と C60 0H2 4は約 1 00nm であり、C60 0H36と おける粒子サイズを検討 したところ、C60 C60 0H4 4は約 1nm であった。次 に、マウスマクロファージ細胞株 をリポ多糖で刺激 し、 Ⅰ し6産生量を測定した。その結果 、水酸化フラーレン添加 により、既存の抗酸化剤であ る Na c e t yl c ys t e i ne作用群 に優る効果を示し、特 に C60 0H2 4が最も強 い 効果を有してい た。以上から、水酸化フラーレンは、水酸基数 に関わらず 、サイトカイン産生抑制能を有 することが示唆された。一方で水酸化フラーレンの効果 は、水酸基数の違いにより変動し たことから、より有用な水酸化フラーレンの開発 に向けて、水酸基数や修飾官能基の最 適化を図る必要がある。今後 は 、Na noSa f e y Sc t i e nc e( ナノ安全科学 ; NSS)との融合 によ り、ナノ医薬 開発 をさらに加速する予定である。
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