経営戦略論

経営戦略論
木曜5限
第4回 事業領域
河野憲嗣
Mail:[email protected]
URL:www.kenjikouno.jimdo.com/
芝浦工業大学_2013後期_経営戦略論
10月17日の休講時
本日のテーマ:事業領域
□ 事業領域(ドメイン)の定義
□ 企業戦略の諸類型
□ 価値連鎖(Value Chain)
□ PPM Product Portfolio Management
□ PLC Product Life Cycle
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事業領域(ドメイン)の全体観
□ 組織が事業活動を行う領域のこと
・企業が利益を生み出し存続していくには限られた
経営資源を有効に分配しながら競争に勝つこと
が求められる
・そのために、活動する事業分野を規定して無謀
な多角化を抑制する
□ 事業ドメインは一つとは限らない
多角化戦略を採る企業には複数のドメインが存在。
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Theodore Levitt □ マーケティング・マイオピア(近視眼)
・1960年代に入り、アメリカでは鉄道事業が陰りを
みせはじめていた。
航空貴社やバストラックなど、輸送・運搬会社の
台頭と躍進に気づかなかったからである。
・そしてペン・セントラル鉄道など、倒産に追いやら
れる鉄道会社まで出てきた。
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産業社会の変化と事業領域 □ これは、彼ら(鉄道会社)が『事業領域の定義を、
“鉄道”という枠』から超えられなかったためである。
すなわち、事業領域の定義を誤ったのである。
□ 「鉄道会社が事業領域を、『鉄道』から『運輸』と
定義し直していれば状況は変わっていただろう」
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事業領域を定義することの重要性 □ 消費者のニーズ
・目的地に早く、安く、安全に到達できることが最も
必要なこと
・「鉄道」はたくさんの選択肢の一つ
□ 旅客航空や長距離バスの発展に対応
・消費者の立場で考えていれば鉄道会社も多角化
することができたかもしれない
・少なくとも鉄道部門の収益が激減しても会社自体
は存続できた、繁栄しつづけたかもしれない。
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USP Unique Selling Proposition
□ 特異販売訴求点
□ 事業領域の決定は機能的定義
であり、物理的定義ではない
□ USPを強調すること=消費者が
重視する商品特性の1つか2つ
に焦点を当てること
・競合商品に対して最高である点
・他の追従を許さないポイント
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枠に囚われないドメインの設定
□ ソニー
音楽、映画、ゲーム、
AV機器、ロボット、
通信、金融ではない
□ ディズニー
キャラクターメーカー、
プロダクション、ショップ
販売、テーマパーク運
営ではない
どちらも提供しているのは「エンターテインメント」で
あり、「感動」を提供している。
独自の世界観、イメージを事業領域に設定する方向
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企業戦略の諸類型
□ H. Igor Anzoff(1918〜2002)
(1965)『戦略経営論』
□ 「戦略(strategy)」という軍事用語
を企業経営に導入し、市場におけ
る競合という概念を持ち込んだ
□ 長期的な計画とその実施による
企業経営の重要性を説いた
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市場浸透
□ 「既存の商品」により「既存の市場」で成長をねらう
□ 「同一顧客の購入頻度を高める」
「販売ボリュームを増やす」などの工夫が必要
(事例)コカコーラの戦略
・「のどの乾きにコカコーラ」 喉が乾いた時に飲む
・「スカッとさわやか、コカコーラ」
・「いつでもどこでも、コカコーラ」
・「No Reason コカコーラ」
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価値連鎖 Value Chain
□ 経済的価値
1.通貨単位で計測可能。
価値連鎖における価値は、原材料購買〜最終
製品の販売に至るまでの各段階で創出される
付加価値
2.企業理念や企業倫理において使用される、
社会的に望ましい態度や規範を規定する基準
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http://www.prosperity.jp/strategy.html
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価値連鎖の狙い
□ 企業がその競争優位性を確保するために、生産から流通に
至るまで、どの過程を自社内で行い(統合)、あるいは市場
から調達するか(取引)を決定する戦略的意思決定の1つ
□ 企業の目的は「価値」の創造
・生産= 低い価値の製品を物理的手段によって、より高い
価値の製品に変換する過程
・流通= 最終製品を生産者から最終消費者・利用者へ
届ける過程で価値を発生させる
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PPM Product Portfolio Management
□ 1970年代、ボストンコンサルティングが開発した手法
□ 「市場成長率」と「相対的な市場占有」の2変数に基づいて、
事業領域の現状と将来性について分析
・ 多種類の製品を生産・販売したり、複数の事業が行っている
企業が、経営資源の配分が最適となる製品・事業の組み合
わせを決定する分析手法
・外部変数(市場、産業の魅力、成長性)と内部変数(自社優
位性、競争力)の2つの視点から、製品や事業ごとに評価、
拡大・維持・縮小・撤退を決める
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PPM Product Portfolio Management
1.Star 「花形事業」
成長期待→継続投資でCCへ
2.Cash Cow 「金のなる木」
成熟・安定利益→収穫、最小限の投資で他の事業
3.Dog 「負け犬」
停滞・衰退→撤退
4.Question Mark 「疑問符」
競争激化→ 育成、シェア拡大の投資、
負ければ徹底
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増強
業
界
魅
力
度
競
争
要
因
本命事業
見切り事業
機会事業
現状
維持
整
合
性
収益
回復
資本効率
競争ポジション
業
界
変革事業
分散型
事業
特化型
事業
手詰まり
事業
規模型
事業
貢
献
度
お値打ち
稼ぎ手
見切り品
金の卵
数
優位性構築の可能性
優位性
PLC Product Life Cycle
□ 製品が開発され、市場に導入されてから衰退し、
消えていくまでの経過を生き物にたとえた寿命
□ 製品寿命は製品の物理的生産、出荷量、あるいは
金額で示される。
(例)家庭用VTR~ソニーや日本ビクターが1970年代
に市場に出して、約30年後にDVが売り上げを
抜いて、主役の座を明け渡した
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PLC Product Life Cycle
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PLC Product Life Cycle
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PLC Product Life Cycle
□ 「導入期」
・革新的な消費者に限られ、競争企業もない
□ 「成長期」
・販売額も急速に拡大、需要に対応するための質量ともに
焦点をあてた生産革新が成功要因
□ 「成熟期」
・製品の普及率が飽和点に達し、需要は更新購入が主流と
なり、価格競争が熾烈となる
□ 「衰退期」
・最終、製品需要の低下、陳腐化、市場価値喪失
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参考資料
・グロービス・マネジメント・インスティテュート編(2007)
『MBA経営戦略』 ダイヤモンド社
・堀公俊(2013)『ビジネス・フレームワーク』 日経文庫ビジュアル