∼ 地域少子化対策強化交付金の恒久化と 子育ての負担の大胆な軽減

27.7.29 全国知事会
∼ 地域少子化対策強化交付金の恒久化と
子育ての負担の大胆な軽減 など ∼
は
じ
め
に
昨夏に、全国知事会は、今から直ちに取り組めば、我が国の将来の姿を変えていくことは十分可能であるとの認識のもと、少
子化非常事態宣言を発出し、若い世代の希望が叶い安心して結婚・子育てのできる環境の整備に向けて、国・地方はもとより、
地域社会や企業などが協力し、子育てをともに支え合う社会を築くための手立てを早急に講じる必要がある旨、訴えました。
現在、我が国は、少子化により国家的な危機に陥るか否かの重大な岐路に立たされており、将来にわたり我が国の活力を維持
していくためにも、国全体の出生率引き上げ等を目指して、少子化対策の抜本強化を図ることが急務です。教育政策、社会保障
制度、住宅政策から税制に至るまで、これまでの我が国の施策を抜本的に転換する必要があると言っても過言ではありません。
また、ライフデザインを希望どおり描くために必要な知識・情報に係る教育の充実を図るとともに、若い世代が、結婚・妊
娠・出産・子育てに対しより前向きに考えられるような温かい社会の実現に向けて、社会全体の気運の醸成を図る必要もありま
す。
このたび、政府が新たに策定した少子化社会対策大綱では、「結婚、妊娠、子ども・子育てに温かい社会の実現に向けて、社
会全体で行動を起こすべき」との方向性が示され、国を挙げての少子化に伴う人口減少問題の克服に向けた取り組みが始まった
ところです。この少子化対策を真に有効なものとするためには、ライフステージに応じ、かつ、地方の実情に応じた政策を形
作っていくことが必要です。
また、現在の子どもたちが置かれた状況に目を向けると、生活の困窮という経済的要因や家庭における教育力、地域社会の見
守り機能の低下などを背景に、およそ6人に1人の子どもが貧困に陥っており、このような生まれ育った家庭の事情等による貧
困の連鎖を通じて、子どもたちの将来が閉ざされかねない大変厳しい状況にあります。
このため、貧困の世代間連鎖の解消に向け、国と地方が連携して、極めて厳しい環境におかれた子どもたちへの支援策を抜本
強化していくことが必要と考えます。
今回の提言では、以上の諸点を踏まえ、国・地方さらには地域社会や企業などが協力し、子育てを社会全体で支え合う社会の
実現を目指し、少子化対策の抜本強化に向け、地域少子化対策強化交付金の恒久化や子育て負担の大胆な軽減、子ども・子育て
支援新制度に必要な財源の確保などに加え、子どもの貧困対策についての提言を行ないます。
平成27年7月29日
全国知事会 次世代育成支援対策プロジェクトチーム・リーダー
高知県知事
尾﨑
正直
1
少子化は国家的な危機をもたらす課題
少子化の問題は、1970年代には顕在化していたにも関わらず、その取り組みは諸外国と比較しても
1世代遅れており、深刻さを増している。
このまま出生率が大きく改善しなければ、今の子どもたちが社会を支える時代には、我が国全体の活
力が失われる。
○高齢者1人を支える現役世代の人数
(人)
2.60
2.6人
1.9人
1.40
1.7人
2.6人が、2030年に
1.7人にまで減少
する状況は変えら
れない!
1.5
1.4
合計特殊出生率2.07の場合
1.60の場合
1.35の場合
1.00
2010年
2020年
(65歳以上)
(20∼64歳)
現在:ほぼ「騎馬戦型」
50年後:「肩車型」
高齢者1人を支える人数
高齢者1人を支える人数
2030年以降の状況
を好転させるには、
合計特殊出生率
2.07が必要!
2.20
1.80
【高齢世代と現役世代の比率変化(イメージ)】
2030年
2040年
1.4
1.5人
2.6人
1.3
1.3人
1.2
1.2人
経済の安定成長阻害
2050年
2060年
国内市場の縮小と
労働力人口の不足
(注)国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口」(平成24年1月)をもとに推計
(1.35の場合:中位推計、1.60の場合:高位推計、2.07の場合:中位推計をもとに高知県で独自推計)
1人
○人口減少が社会にもたらす深刻な影響
社会保障制度の崩壊
高齢者の急増による
負担増大と供給不足
小規模自治体の消滅
都市への人口流出
により格差が拡大
しかし「直ちに」対策の抜本強化に取り組み、将来の姿を変えていくことは十分可能!
少子化による人口減少問題の課題解決に向けて、国を挙げた少子化対策に、集中的に取り組むには、
今が最後のチャンス!
そのためには、出生率を回復させた諸外国の例も参考にしながら、これまでの延長線上にはない規模
の財源確保が必要!
2
少子化対策の抜本強化に向けた「3本の柱」
∼合計特殊出生率2.07を目指すために∼
Ⅰ 出生率 × Ⅱ 若者の人口
Ⅲ 世代間の支え合い
Ⅰ 出生率を高めるための施策
Ⅱ 地方で家庭を築く若者を増加させる施策
①結婚を希望するより多くの人々が望みを叶え、
②希望する時期に安心して出産し子育てができる
社会を目指す!
③より多くの若者が、子育て環境が充実している
地方で家庭を築くことのできる社会を目指す!
出生率2.07以上に!
◆ライフステージに応じた施策の展開!
◆地域の実情に合った施策を強力に推進!
+
a の効果!
◆安心して子育てできる家庭を築くための
基盤となる雇用の場の創出と拡充!
×
○非正規雇用の処遇改善、長時間労働の解消、
ワーク・ライフ・バランスの抜本強化
○地域の雇用創出・活性化
(多様な地域産業への重点的な支援の強化)
○キャリア教育の充実、若者の就職支援強化
○結婚支援の強化、不妊治療への支援
○保育・教育費の負担軽減、保育サービスの充実強化
○田舎暮らしを希望する若者の移住促進
など
など
Ⅲ 世代間の支え合いの仕組み
高齢者や地域、企業等の参加により、
世代間を超えて子育てを支え合う社会を目指す!
○高齢者や企業等による子育て支援
○高齢者から子・孫の世代への資産移転の促進
3
少子化対策の抜本強化に向けたトータルプラン
Ⅱ 地方で家庭を築く
若者を増加させる施策
Ⅰ 出生率を高めるための施策
結
婚
妊娠・出産
子育て
【重点施策1】地域少子化対策強化交付金の恒久化と弾力的な運用
① より多くの方が
1 総合的な結婚支援策の強化
・出会いの機会の提供や結婚相談
などの地方の取組への後押し
など
2 妊娠・出産のための環境整備
・安全・安心な周産期医療体制の
充実(医師確保対策の強化)
など
② より希望する時期に
1 総合的な結婚支援策の強化
・結婚する若者や子育て世帯向け
住宅の供給促進
・国による結婚や家庭の良さなど
の啓発
など
① より多くの方が
2 妊娠・出産のための環境整備
・不妊への総合的な支援
・妊娠・出産の医学的な情報提供の
推進(ライフプランの形成促進)
など
3 子育て支援策の充実
・待機児童の解消
・保育士の安定的・継続的雇用のため
など
の処遇改善
【重点施策3】
子ども・子育て支援
新制度に必要な財源
確保と更なる質の向上
就
労
③ より地方で
6 若者が地方にとどまり働ける
雇用の場の創出
・若者の雇用につながる地域経済
の活性化
(農林水産業の6次産業化推進、
中小企業等を中心とした地域の
戦略産業の育成等)
・企業の地方移転の促進
・地方大学への支援と大学キャン
パスの地方移転の促進
・若者の就職・就活支援
・都市と地方との交流・移住の促進
など
+ ② より希望する時期に!
【重点施策2】子育ての負担の大胆な軽減
4 子育てに伴う経済的負担の軽減
・段階的な幼児教育・保育の無償化 ・教育費の負担軽減 ・税制・年金制度等を通じた負担軽減策 ・子どもの医療費助成制度の創設
など
5 子育てを阻んでいる雇用環境と職場環境の改善
・正規・非正規雇用の二極化の是正 ・長時間労働の解消 ・妊娠・出産後も働き続けられる就労環境の改善、再就職支援 ・仕事と育児が両立可能な職場風土の
醸成に向けた意識改革 ・企業の子どもを生み育てやすい環境整備の取組の「見える化」 ・男性の家事・育児参画の促進
など
○民間部門
Ⅲ
世代間の支え合いの仕組み
・元気な高齢者による子育て支援 ・企業の結婚・子育て応援
など
・地域やNPO、民間団体による支援
官民協働
○公的部門 ・地域の実情に合った切れ目のない少子化対策の推進
・地方の雇用の場の確保
【重点施策4】子どもの貧困対策の抜本強化
・政策目標の設定 など
4
合計特殊出生率を2.07(人口置換水準)にするためには
結
婚
妊娠・出産
①未婚化・晩婚化の進行
子育て
より希望する時期に!
□男性の5人に1人、女性の10人に1人が50歳
時点でも未婚
□平均初婚年齢と出産年齢の上昇
出産・子育ての
時期を早める
合計特殊出生率は
“2.07”以上に!!
総合的な
環境整備
により
②
希望する時期での
出産・子育てが叶えば
+27.9万人 +0.35
女性の初婚年齢:S45年 24.2歳 ⇒H25 29.3歳 5歳上昇!
第1子の出産年齢:S45年の25.6歳が、H25年は30.4歳に!
より多くの方が!
□未婚化・晩婚化の要因
未婚女性の89.4%、未婚男性の86.3%が
いずれは結婚したいと望んでいるが、
次のような理由で結婚できないと回答
①適当な相手に巡り合わない
②結婚資金が足りない
③異性とうまく付き合えない
①
結婚を望む方の
希望が叶えば
+21.2万人
合計特殊出生率
1.43
(国立社会保障・人口問題研究所:H22出生動向基本調査)
+0.29
経済面以外の支援
結婚する若者や子育て世
帯向けの住宅の供給
【重点施策1】
地域少子化対策強化交付金の
恒久化と弾力的な運用
不妊治療に対する支援
出会いの機会の提供
税制等を通じた負担軽減
策
きめ細かな結婚相談
・支援体制の整備
H26提言⇒実現!
未婚者への
結婚支援
により
H25
出生数
103万人
経済面の支援
結婚・子育て資金一括贈
与の贈与税の非課税措置
など
婚姻率が
高まる
(注)H25人口動態統計調査等をベースに高知県で独自試算
②現在の第1子出産平均年齢より約5歳前倒しで出産すると仮定し、2012年時点で30∼34歳、35∼39歳の既婚女性の数に5歳前の年代の出生率を乗じて試算
○とりわけ負担の大きい子どもの教育費用(H24:万円)
□理想の子どもの数 2.42人
→予定する子どもの数
教育費
幼稚園
2.07人
中学校
【参考:試算値の考え方】H25年人口動態の女性人口にH22国調の有配偶等の率を乗じて有配偶者
数を算出。有偶者当たり理想の子ども数と完結出生児数(1.96)の差分が増えると仮定し試算
(1.96
□理想の子どもの数を実現できない要因
■子育てや教育にお金がかかりすぎる
・子ども1人当たりの教育には、全て公立
でも1千万円超の費用が必要
■子育てと仕事の両立が困難
・これ以上の育児負担に耐えられない
・夫の家事・育児への協力が得られない。
・正社員でも多くの女性が妊娠を契機に退職
高等学校
大学
66
全て公立でも
1千万超!
私立ならさらに
負担増!!
小学校
仮に、既婚者が理想の子どもの数2.42を実現できたとした場合、
H25年の合計特殊出生率は 1.43 → 1.70
公立
(学費、住居・食費、その他生活費等)
計
私立
146
854
389
116
289
子どもの医療費助成
制度の創設
625
791
教育費の負担軽減
○ 夫の休日の家事・育児時間別にみた第2子以降の出生割合
0%
家事・育児時間なし
2時間未満
2∼4時間未満
4∼6時間未満
6時間以上
20%
40%
14.0
60%
出生あり
段階的な幼児教育・
保育の無償化
183
(幼稚園∼高等学校:文部科学省「H24子どもの学習費調査」 / 大学 :日本学生支援機構「H24学生生活調査」
80%
100%
出生なし
31.0
少子化対策に資する
税制・年金制度等の検討
H26提言⇒実現!
結婚・子育て資金一括贈
与の贈与税の非課税措置
教育資金一括贈与の贈与
税の非課税措置の延長
50.8
67.5
など
76.5
(厚生労働省:H24第11回21世紀成年者調査)
結婚から妊娠・出産
・育児に至るまでの
切れ目のない支援
【重点施策2】
子育ての負担の大胆な軽減
135
1 ,125 2,469
妊娠・出産の医学的
な情報提供の推進
安全・安心な周産期医療
体制の充実
など
【参考:試算値の考え方】①未婚女性の89.4%(未婚者のうち結婚を希望する女性の割合)が既婚者に移行すると仮定し、移行した女性の数に各年代の既婚者の出生率を乗じて試算
②結婚しても理想の子どもの数をもてない。
結婚や家庭の良さ
などの啓発
ワーク・ライフ・
バランスの実現
三世代同居・近居の促進
のための優遇策の検討
地域や企業による子育て
や見守り支援
【重点施策3】
子ども・子育て支援新制
度に必要な財源確保と更
なる質の向上
幼児教育・保育等の量的
拡充と質の向上
など
5
【重点施策1】地域少子化対策強化交付金の恒久化と弾力的な運用
【提言その1】当初予算に計上し、交付金制度の恒久化を図るべき!
交付金の創設により、地方がこれまで踏み出せなかった課題に取り組むなど、高い政策効果が上がっている(別紙参照)
→「少子化社会対策大綱」においても、今後5年間を「少子化対策集中取組期間」と位置づけた上で、この5年間のみならずより長期的に必要な財源を
確保することとされている。これまでの地方の取組を一過性のものに終わらせないためにも、同交付金を当初予算化し、恒久化することが必要!
∼地域少子化対策強化交付金の創設による効果∼
○新たな少子化対策への一歩を後押し!
結婚から子育てまでの切れ目ない支援等、今まで踏み出せなかった課題に対し⇒H26年度は47都道府県と244市区町村が挑戦
○取り組み事例の情報共有による事業のブラッシュアップ!
事例の共有により、他事例を参考に事業内容を精査⇒更なるレベルアップ
○H25、26連年の補正予算措置により、PDCAサイクルによる更なる事業の進化!
連年の予算措置により、初年度の点検・評価を踏まえて事業を組立⇒より成果を意識した、質の高い企画による事業実施
交付金の恒久化と
より地方の創意工夫が活かせる
弾力的な運用が可能となれば、
取組はさらに加速!
【提言その2】より地方の創意工夫を活かす弾力的な運用を可能に!
例えば結婚支援においては、独自の取組を進め、成果を挙げている先行事例がある。
→地域少子化対策強化交付金は、「少子化社会対策大綱」に掲げられた支援施策を地方の実情に応じて講じていくための財源。
成果を上げた先行事例を各地域の実情に応じた形で全国に広げていくためにも、運用の弾力化を図り、使い勝手の良い交付金とすべき!
∼独自の取組を進め、成果を挙げている先行事例(結婚支援)∼
いばらき出会いサポートセンター 【茨城県】
●会員登録制のパートナー探し
・検索システムにより、相談員が希望の相手とのお見合いをセッティング
●「ふれあいパーティ」の開催 ・センター主催のほか、市町村・NPO・企業等のパーティを共催・後援
●マリッジサポーターの結婚相談・市町村の協力を得て60カ所で928名のサポーターがきめ細かな相談会を開催
●結婚なんでも相談事業
・会員以外の方も、本人や家族・友人を含め全センターで相談を実施
ひょうご出会いサポートセンター 【兵庫県】
●出会いイベント事業
・登録会員を対象に、市町・NPO等の応援団が開催するイベントの支援
●ひょうご縁結びプロジェクト ・県内10カ所のコーディネーターによる会員制のお見合い・相談
●婚活力アップ講座、ライフプランセミナー ・成婚に必要な能力の習得講座や大学生向けセミナーの開催
●こうのとり大使
・ボランティア600名が、出会い事業の広報や縁結び交流会の企画・開催等を実施
実績 (27.6.30)
会員数
お見合い
パーティ
カップル
成婚数
2,896名
13,826組
1,627回
6,790組
1,412組
実績 (27.6.30)
会員数
お見合い
イベント
講座
成婚数
3,380名
17,412組
3,239回
123回
1,024組
など
6
地域少子化対策強化交付金を活用した取組事例
◎地域少子化対策強化交付金の創設によって、各自治体の少子化対策が大きく前進!
∼交付金の活用によって、地域の実情に応じた、切れ目のない支援が各自治体で展開!∼
富山県
結
婚
とやまマリッジサポートセンター事業
【1,640万円】
(事業内容)
子育て支援や男女共同参画の取組を通し、県と企業の結びつきが強いと
いう基盤を有効に活用し、独身男女の生活の大半を占める職場の協力を得
ながら、結婚支援の取組みを強化する。
(実績)
メルマガ会員登録数399人、お見合い会員登録数452人、
お見合い成立数123組
山形県
出産
妊娠
NPOが主体となった妊娠期から子育て期までの切れ目
のない訪問型支援モデル事業
【1,316万円】
(事業内容)
乳幼児のいる家庭を対象に、産前期から継続的に訪問型子育て支援を行
うことで母親の負担感、不安感を軽減する取組を実施する。
(実績)
延相談件数
岡山県
子
育
て
368件
潜在保育士の復職推進事業
【1,065万円】
(事業内容)
保育士養成校(モデル校)卒業者のうち、保育
所・幼稚園に就職した方が69%である実情を踏
まえ、養成校卒業者を対象としたニーズ調査を実
施するとともに、保育士として就職・復職したい
人への研修会開催等の支援を行う。
(実績)
潜在保育士対象のニーズ調査、保育士就
職・復職希望者研修会 参加者133人
滋賀県
高知県
結婚から育児までのワンストップ相談窓口設置
【1,235万円】
(事業内容)
結婚支援窓口がなく、他の相談窓口も制度ごとに縦割りとなっている課題
を解消するため、結婚支援から母子保健、子育て、再就職支援なども含めた
幅広い情報をワンストップで提供する窓口を設置する。
(実績)
応援コーナー相談349件、婚活講座参加者748人、婚活サポーターに
よる引合せ744件
静岡県
産婦人科医との協働による妊娠出産何でも相談会事業
【93万円】
(事業内容)
産婦人科は受診しにくい診療科であり、医師への相談ニーズが高い実情を
踏まえて、県と県産婦人科医会との協働による相談会を実施し、産婦人科医
に直接に相談できる場を提供する。
(実績)
相談会10会場
企業子育て応援隊事業
【 1,373万円】
(事業内容)
子育て期の女性の労働力率が低い現状を踏ま
え、従業員100人未満の小規模な企業を専門家
(社会保険労務士)が直接訪問し、育児と両立
しやすい職場づくりのための助言等を行う。
(実績)
訪問企業300社、好事例につなげた
企業10社、フォーラム参加者183人
参加者671人(講座616人、相談55人)
三重県
みえの育児男子プロジェクト
【380万円】
(事業内容)
男性の育児参画の意識を高めるため、男性の育児参
画の重要性に関する普及啓発、男性の仕事と育児の両
立を推進するための企業等への働きかけや人材育成な
どに取り組む。
(実績)
ファザー・オブ・ザ・イヤーinみえ
応募387件、男性社員と知事との育児
男子トーク5回、知事のイクボス宣言
など
これらを一過性の取組に終わらせないためにも、交付金制度の恒久化が必要!
7
【重点施策2】子育ての負担の大胆な軽減
○子育ての負担を軽減し、理想の子ども数を実現するためには、
①経済的な不安を取り除く思い切った負担の軽減策 ②職場や地域・世代間の支え合いなどによる仕事と子育ての両立支援が必要!
○理想の子どもの数と予定する子どもの数 (H22:既婚者)
◇子育てや教育にお金がかかりすぎるから(H24:万円)
教育費
公立
合計
内
訳
私立
1 ,125
2,469
幼稚園
66
146
小学校
183
854
中学校
135
389
高等学校
116
289
625
791
大学(学費・住居等)
2時間未満
出生あり
2∼4時間未満
・奨学給付金の拡充など高校・大学生等への修学支援策の一層の充実
○少子化対策に資する税制等の検討
ゼロと2∼4時間
を比較しただけでも、
2子以降の出生には
3倍以上の差!
50.8
4∼6時間未満
67.5
6時間以上
第3子の壁
20%
40%
60%
80%
100%
(厚生労働省:H24第11回21世紀成年者調査)
○第3子の壁は、経済的要因(7割)に加え育児負担や仕事の問題!
理想2人
予定1人
理想3人
予定2人
44.0%
71.1%
高年齢で生むのは嫌だから
36.7%
34.0%
欲しいけれどできないから
33.3%
9.8%
これ以上の育児負担に耐えられない
13.9%
20.2%
14.1%
18.7%
「理想」と「予定」に乖離がある理由
子育て・教育にお金がかかりすぎる
仕事に差し支える
・海外を参考にした育児支援諸費用の一定割合の税額控除制度の創設
【提言その2】第2子の壁の解消に向けた両立支援策の充実!
◆夫婦間・職場での支え合い:働き方の変革(長時間労働の解消)
・イクボス研修等による企業のトップや管理職の意識改革の推進
・ワーク・ライフ・バランスの実現
◆世代間の支え合い:三世代同居・近居の促進のための優遇策の検討
・住宅の増改築や改修に係る税額控除制度の創設
◆地域での子育て支援
76.5
0%
・低所得者に配慮した幼稚園・保育所等の保育料軽減措置の拡充 (⇒一部実現)
○育児休業給付金の支給額の引き上げ
○教育費の負担軽減
出生なし
31.0
○段階的な幼児教育・保育の無償化の実現
・国の責任において全ての子どもの医療保険に伴う負担を軽減する支援制度の創設
・特に、国民健康保険制度に係る子どもの医療費軽減に伴う国庫負担金の減額調整措置の
廃止及び子どもの保険料負担の軽減
第2子の壁 ○ 夫の休日の家事・育児時間別にみた第2子以降の出生割合
14.0
(国立社会保障・人口問題研究所:H22出生動向基本調査)
○子どもの医療費助成制度の創設
(幼稚園∼高等学校:文部科学省「H24子どもの学習費調査」 /大学 :日本学生支援機構「H24学生生活調査」)
家事・育児時間なし
2.07人(▲0.35人)
【提言その1】子育て世帯の経済的負担の全般的な軽減!
◎理想と予定に乖離がある理由
子育ての負担感
◇理想の子どもの数 2.42人 ◇予定する子どもの数
(国立社会保障・人口問題研究所:H22出生動向基本調査)
夫婦間・世代間・職場などに
おける理解と支え合い!
○地域の退職者や高齢者等による子育て支援・地域の見守り
○地域の企業による子育て支援:子育て世帯へのサービス提供(子育て支援パスポート
事業の全国展開に向けた制度設計)、公共交通機関での負担軽減、
配偶者出産時の有給休暇の確保、従業員への積極的な子育て応援
特に 【提言その3】第3子以降への思い切った負担軽減策の導入!
○第3子以降の保育料の無償化など、段階的な幼児教育・保育の無償化の実現!
・多子世帯保育料軽減措置における同時入所等の要件の廃止と対象の拡大
○少子化対策に資する税制・年金制度等の検討
・所得税の世帯単位課税や年金の割増給付など、多子世帯に有利な税制・年金制度等の検討
88
【重点施策3】子ども・子育て支援新制度に必要な財源確保と更なる質の向上
【提言その1】1 兆 円 超 の 財 源 確 保 !
【提言その2】更なる質の向上に向けた継続した取組の実施!
新制度に係る様々な課題について、教育・保育施設の関係者や地方自治体の意
見、今後の子ども・子育て会議での議論なども踏まえ、継続して改善方策等の
検討を行うことが必要
子育て世代の不安を取り除くためにも、子ども・子育て会議で議論さ
れた、サービスの質・量の改善に向けた施策の完全実施に向け、1兆
円超の財源の確保のための措置を確実に講じることが必要
(例)・大規模園を中心とした認定こども園の不利な助成状況 ・保育士修学資金貸付事業等保育士の確保
など
・3歳未満の在宅育児家庭の子どもに対する支援 ・放課後児童クラブの受入人数の拡充
【重点施策4】子どもの貧困対策の抜本強化
ひとり親家庭の現状
① 大人が一人の子どもがいる現役世帯の貧困率は、子どもがいる現役世帯全体の貧困率の約4倍!
② 母子世帯の平均所得は児童のいる世帯全体の4割以下!
■子どもがいる現役世帯の貧困率
(全体と大人が一人の世帯)
貧困率(
%)
60.0
50.1
58.2
54.6
40.0
20.0
11.7
13.1
15.1
0.0
1991年
2000年
子どもがいる現役世帯
2012年
平均所得(
単位:
万円)
80.0
■児童のいる世帯全体と母子世帯の平均所得
725.8
710.6
800.0
673.2
600.0
400.0
252.8
248.6
243.4
200.0
0.0
1991年
2000年
児童のいる世帯全体
大人が一人の現役世帯
(厚生労働省HP公表)
2012年
母子世帯
① 中学校を卒業した子どもの進学率:全体 98.4% 児童養護施設 96.6% ひとり親家庭 93.9%
② 高等学校を卒業した子どもの進学率:全体 70.2% 児童養護施設 22.6% ひとり親家庭 41.6%
98.0%
96.0%
(H25 ※ひとり親家庭H23)
98.4%
80.0%
96.6%
60.0%
93.9%
94.0%
70.2%
41.6%
40.0%
22.6%
20.0%
92.0%
90.0%
全国(全体) 児童養護施設 ひとり親家庭
・ひとり親家庭の親や子の職業訓練や資格取得等への支援策の拡充
・ひとり親家庭の親を正規雇用する事業所への助成金の拡充と税制優遇措置の創設
○経済的な理由により進学をあきらめることがないように、教育の機会均等
を確保するための支援
・給付型奨学金の創設と無利子貸与奨学金の拡充
○児童養護施設等の子どもたちが、自立した社会人としてスムーズに社会
生活をスタートできるようなきめ細かな支援
・家庭的な環境の中で養育に取り組む地域小規模児童養護施設等の充実
・児童養護施設等への自立・学習支援を専門に担当する職員の配置
0.0%
全国(全体) ひとり親家庭 児童養護施設
(全国(全体):学校基本調査、児童養護施設:厚労省家庭福祉課調、ひとり親家庭:全国母子世帯等調査)
【提言その2】貧困の世代間連鎖を断ち切るための
学習支援や教育施策の実施!
○学力面で課題を抱える子どもが、少人数指導など個に応じたきめ細かな学
習指導の実施などにより、必要な学力を確実に身につけられる体制の整備
■高等学校卒業後の進学率
(H25 ※ひとり親家庭H23)
100.0%
○非正規から正規雇用への就労形態の転換を促進する各種支援
(厚生労働省:国民生活基礎調査)
ひとり親家庭・児童養護施設の子どもたちの進学状況
■中学校卒業後の進学率
【提言その1】特に厳しい環境におかれた子どもたちの
支援策の抜本強化!
○特に、放課後児童クラブの受入人数は、幼稚園・保育所等を大きく下回る
状況。家庭の経済状況等に関わらず、すべての子どもが利用できるよう
に、放課後児童クラブ等の要件の緩和や受入人数の拡充、利用者負担の
軽減につながる財政支援の実施
○多様な教育課題に専任できる教員やスクールソーシャルワーカー等を配置する
ための十分な財源の確保、専門性の高い人材の確保に向けた支援の充実
9
少子化対策の抜本強化に向けたトータルプラン
【政策集】
Ⅰ 出生率を高めるための施策
○1990年以降、生涯未婚率は急上昇
(総務省:H22国勢調査)
20.14
(%)
20.0
-結婚-
1 総合的な結婚支援策の強化
男性(%)
男性
15.0
30.5
女性
15.96
12.57
28.4
10.61
27.2
10.0
7.25
5.57 5.82
1.46 1.87
25.6
24
25.9
24.4
4.33
2.60
1950年 1960年 1970年 1980年 1990年 2000年 2005年 2010年
29.3
29.2
27.0
25.2
3.33
1.35 1.26 1.70
25.4
28.8
27.0
26.4
24.4
4.45
5.0
0.0
26
25.9
26.9
30.3 30.4
28.8
28.0
27.8
28
30.8
30.9
29.9
第1子出産年齢
30
男性
女性
(国立社会保障・人口問題研究所:H22出生動向基本調査)
(歳)
32
男性の 5人に1人、
女性の10人に1人が
50歳時点でも未婚!
○結婚できない理由は「適当な相手に巡り合わ
ない」「結婚資金が足りない」が圧倒的
○平均初婚年齢、第1子出産年齢の上昇
(厚生労働省:H25人口動態統計調査)
傾向が止まらない
男性の初婚年齢と
女性の第1子出産年齢
は30歳を超えた!
24.2
①適当な
相手に巡
り合わな
い
女性(%)
18-24歳
25-34歳
46
②結婚資 18-24歳
金が足り
ない
25-34歳
③異性と 18-24歳
うまく付
き合えな
25-34歳
い
24
30
1960年
1970年
○結婚をする・しないは自由な選択だが、結婚
「できない」理由には具体的な対策が必要。
○結婚の希望を叶える環境整備に向けて、国に
よる積極的な後押しが不可欠!
1980年
1990年
2000年
2010年
2012年
21
25-34歳
14
25-34歳
2013年
51
18-24歳
18-24歳
23.0
35
25-34歳
12
22
1950年
18-24歳
31
17
7
12
参考:結婚しない理由
①必要性を感じない
②自由さや気楽さを失いたくない
③仕事に打ち込みたい
◆地方は地域の実情に応じた多様な結婚支援策を展開。
国は、地方の取組を財政支援などにより積極的に後押し。
【地方の取組】
○結婚を希望する方への出会いの機会の提供、きめ細かな相談・支援体制
の整備
・出会いの機会づくり(多様なイベント) ・結婚支援センターの運営
・婚活サポーターの養成 ・独身者の状況に応じた婚活セミナーの開催 など
◆国自らも主体的な取組を推進すべき。
・結婚する若者や子育て世帯向け住宅の供給促進、多世代同居や近居住宅への
支援
・結婚や家庭の良さを啓発するポジティブキャンペーン
10
Ⅰ 出生率を高めるための施策
- 妊娠・出産 -
2 妊娠・出産のための環境整備
○分娩取扱医師数の動向(2012年と2006年との比較) ○特定不妊治療の助成件数は年々増加
(厚生労働省HP公表)
(%)
(件)
○ 助成対象者の年齢層の9割が
30∼44歳
148,659
医師の増減の
地域偏在が顕著!
134,943
10年間で
8倍以上に
増加!
112,642
96,458
84,395
72,029
60,536
31,048
25,987
17,657
(日本産婦人科医会:25年5月記者懇談会資料)
H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25
○産科医等の地域偏在が深刻化する中、地域で
安心して出産できる環境整備が急務!
○不妊治療を望む方への支援策の拡充・強化が
必要!
○将来の仕事と併せて、出産・子育てを視野に
入れたライフプランの早期形成も重要!
(厚生労働省:25年8月「不妊に悩む方への特定治療支援事業
等のあり方に関する検討会」報告書
◆安全・安心な周産期医療体制の充実
・国レベルでの医師確保対策の強化
・地域医療を担う地方大学や地域の教育病院等への人的・財政的支援
◆不妊に関する総合的な支援
・不妊に対する相談・支援体制の拡充(男女ともに受診しやすい体制整備)
・男性の不妊治療への支援の充実 ・医療保険の適用範囲と助成措置の拡大
・不妊に関する研究の推進、専門医の育成
・不育症への積極的な支援(検査、治療研究、検証、自治体への情報提供など)
◆妊娠・出産に関する医学的な情報提供の推進
・医学的に正確な情報提供と社会的関心の喚起
・思春期から妊娠・出産の医学的知識を学べるライフプラン教育の拡充
・企業の新人研修等を活用したライフプラン形成の促進
11
Ⅰ 出生率を高めるための施策
‒ 子育て -
○未就学児を育児する女性(25∼44歳)の有業率
(%)
80.0
68.0
66.3 64.3
52.4
72.5
56.8 53.6 54.5
53.0
60.0
48.2
40.0
72.1
65.1 68.3 68.2
61.9
46.4 46.7
3 子育て支援策の充実
都市部は雇用の場が多いものの、
子育て中の女性の就業率が平均より低い!
(総務省:H24就業構造基本調査)
60.8 59.3
71.8
58.3
54.1 53.0
50.0
41.1
51.0
74.8
53.0
52.4
56.7
46.7
46.8
43.2
50.1
61.8 62.3
52.7
66.7
55.0
52.5
51.0
66.9
64.0 60.6 65.9
59.7 62.5
56.1
20.0
沖縄県
鹿児島県
宮崎県
大分県
熊本県
長崎県
佐賀県
福岡県
平成26年10月1日現在 43,184人
高知県
愛媛県
香川県
徳島県
山口県
広島県
岡山県
島根県
鳥取県
(人)
有業率が平均以下で、
待機児童が1千人以上
の都道府県
(厚生労働省公表)
12,447
待機児童の数が多い地域と
女性の就業率が低い地域に強い相関!
1,552
2,796
2,0492,626
40
3,166
1,612
3,455
343 127 89 129 118 899 139 180 34
79 180
1,596
71 179
1,198
210 18
1,119
沖縄県
鹿児島県
宮崎県
大分県
熊本県
長崎県
佐賀県
福岡県
高知県
愛媛県
香川県
徳島県
山口県
広島県
岡山県
島根県
鳥取県
和歌山県
奈良県
兵庫県
大阪府
京都府
滋賀県
三重県
0
362 897 243
愛知県
0
静岡県
0
1,145 575
岐阜県
0
長野県
新潟県
神奈川県
東京都
千葉県
埼玉県
群馬県
栃木県
茨城県
福島県
山形県
秋田県
宮城県
岩手県
青森県
0
山梨県
55
福井県
139 133 405 718 290 56
石川県
74 566
富山県
1,075
北海道
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
和歌山県
○保育所入所待機児童数 (26年10月1日:政令市・中核市含む)
奈良県
兵庫県
大阪府
京都府
滋賀県
三重県
愛知県
静岡県
岐阜県
長野県
山梨県
福井県
石川県
富山県
新潟県
神奈川県
東京都
千葉県
埼玉県
群馬県
栃木県
茨城県
福島県
山形県
秋田県
宮城県
岩手県
青森県
北海道
全国
0.0
◆子ども・子育て支援新制度による量・質両面の拡充を強化
○待機児童の解消 保育士等の安定的・継続的雇用のための処遇改善
○教育・保育、地域子ども・子育て支援事業の量的・質的拡充
○子育てしながら働く女性が増加する中、待機
児童の解消(保育所・学童保育)は喫緊の課題!
○子育てへの不安の解消などに向けて、地域の
実情に応じた子育て支援策の拡充・強化が必要!
・職員配置基準の見直し、退職者の復帰支援を含めた保育士等確保対策、年度途中入所の
円滑化のための職員加配、障害児等保育の充実
・事業所内保育、病児・病後児保育、休日夜間保育、自然体験保育等の充実に向けた助成拡大
・放課後児童クラブの補助基準引き上げ、人数要件の撤廃、受入人数拡充のための財政支援
・地域子育て支援拠点やファミリーサポートセンター等の一層の拡充に向けた要件緩和
○これらに必要となる1兆円超の財源の確実な確保
○安心こども基金による施設整備や保育教諭の確保支援等の継続
○新制度に係る様々な課題について、教育・保育施設関係者や地方自治体の意見、
子ども・子育て会議での議論等を踏まえ、継続的に施策を改善
(例)・大規模園を中心とした認定こども園の不利な助成状況 ・保育士修学資金貸付事業等保育士の確保
・3歳未満の在宅育児家庭の子どもに対する支援 ・放課後児童クラブの受入人数の拡充
など
◆産後ケア体制の強化
◆安価で利用しやすい家事支援サービスの充実・利用拡大の検討
12
Ⅰ 出生率を高めるための施策
‒ 子育て ー
○所得階級別の雇用者構成(30∼40代)
4 子育てに伴う経済的負担の軽減
○とりわけ負担の大きい子どもの教育費用(H24:万円)
20.0%
教育費
30∼40代の所得は
この10年で
全体的に低下!
15.0%
10.0%
H24
一方、教育
費用は
ほとんど
不変!
5.0%
H14
私立
全て公立でも1千万超!
幼稚園
66
146
小学校
183
854
中学校
135
389
高等学校
116
289
(※厚生労働省:H24地域児童福祉事業等調査)
大学 (学費等)
269
528
○幼稚園∼高等学校までの費用
〃 (住居・食費等)
217
125
〃 (その他生活費)
139
138
計
1,125
2,469
(H14計)
1,151
2,483
0.0%
(総務省:就業構造基本調査)
公立
○就学前は「保育所」の場合
市町村別・所得階級別等で異なるが、3年間
の幼稚園に比べ、0歳から6年保育の場合、
※子どもが1人の世帯の平均額 ×6年で161万
円程度と、公立幼稚園の2倍以上の負担!
学用品、給食費等のほか、塾や習い事の
費用も含む
○大学 (4年間、公立は「国立」の額)
地方から都市部の大学へ進学の場合、学費
に加え住居費や生活費の仕送りも大きな負担
(幼稚園∼高等学校:文部科学省「子どもの学習費調査」 / 大学 :日本学生支援機構及び文部科学省「学生生活調査」
※私立小学校の費用はH18から調査開始のため、H14計ではH18の値を使用。
◆保育料や教育費などの負担軽減策
○理想とする子どもの数を養育できない大きな
要因として、子育て・教育費の過大な負担が影響。
○子育て家庭が抱える将来の経済的な不安を
取り除く思い切った負担軽減策が不可欠!
○段階的な幼児教育・保育の無償化
・多子世帯保育料軽減措置における同時入所等の要件の廃止と対象の拡大
・低所得者に配慮した保育料軽減措置の充実
○育児休業給付金の支給額の引き上げ
○教育費の負担軽減
・奨学給付金の拡充など、高校・大学生等への修学支援策の一層の充実
◆少子化対策に資する税制・年金制度等の検討
・海外を参考にした育児支援諸費用の一定割合の税額控除制度の創設
・所得税の世帯単位課税や年金の割増給付など、多子世帯に有利な税制・年金制度等の検討
◆子どもの医療費助成制度の創設
・医療保険制度を担う国において、全ての子どもを対象とした助成措置を制度化
・特に、制度化されるまでの間は、国民健康保険国庫負担金の減額調整措置を廃止
13
Ⅰ 出生率を高めるための施策 ‒仕事と育児の両立-
○ 1985年を起点とした25∼34歳の
男女の非正規雇用比率の増減
(総務省:H25労働力調査から算出)
(%)
412.5
400
303.1
女性
300
15.96
337.5
‘95年以降の男性の
非正規雇用比率の
増加と、生涯未婚率
は連動して上昇!
250
200
150
78.1
100
50
16.0
-50
1985年
1990年
4.45
70.4 68.3
70.4
1995年
’90
バブル
崩壊
2000年
’99
派遣業種
拡大
1.46
1.35
2005年
2010年
’05
’08
製造業へ リーマン
派遣拡大 ショック
2012年
2013年
3.33
1.87
1.26 1.70
7.25
10.0%
20.0%
30.0%
家事・育児に専念する
ため自発的に辞めた
15.0
10.61
5.82
0.0%
(%)
40.0%
50.0%
20.0
10.0
5.57
-9.4
0.0
12.57
67.5
31.7
10.3
0
20.14
男性(全国)
女性(全国)
378.1
男性
350
○末子を妊娠した時の女性社員の退職理由
○ 生涯未婚率の推移
(総務省:H22国勢調査)
450
5子育てを阻んでいる雇用環境と職場環境の改善
5.0
4.33
2.60
0.0
就業時間が長い、
勤務時間が不規則
31.7%
5.2%
勤務先の両立支援
制度が不十分だった
12.1%
解雇された、もしくは
退職勧奨された
子の体調不良等で
両立が難しかった
49.0%
25.6%
23.3%
正社員でも多く
の方が、妊娠を
契機に退職を
せざるを得ない!
18.3%
15.1%
10.0%
9.6%
1950年 1960年 1970年 1980年 1990年 2000年 2005年 2010年
正社員
非正社員
(厚生労働省:H25育児休業制度等に関する実態把握のための調査研究事業報告書)
∼背景には雇用環境の問題∼
◆正規・非正規雇用の二極化の是正
・正規雇用に転換できる雇用制度の導入や賃金の改善など、非正規雇用の処遇改善
○安定した収入と、結婚や子育てに取り組む
時間を確保できる働き方への転換が不可欠!
○女性の活躍促進と、出産後も継続して働け
る就労環境の整備は、いわば車の両輪。
○理想の子どもの数の実現には、男女がとも
に、仕事と子育ての両立ができる環境整備が
不可欠!
◆長時間労働の解消
・長時間労働の規制強化、管理職や企業経営者等の意識変革を促進する取組
◆仕事と子育ての両立が可能となる職場環境の整備
(ワーク・ライフ・バランスの抜本強化)
・イクボス研修等による企業のトップや管理職の意識改革の推進
・時短勤務やテレワークなど多様な働き方の導入促進と、それを利用しやすい職場
風土の醸成に向けた啓発強化
・育休代替職員の確保や復職支援、一般事業主行動計画の策定など企業の取組に対
するインセンティブの拡充
・出産で退職した女性の復職・再就職・起業への支援措置の拡充
・企業の子どもを生み育てやすい環境整備の取組の「見える化」
◆男性の家事・育児参画の促進
・男性の育児参画に向けたポジティブキャンペーンの実施と地方の取組への支援
・配偶者出産時の有給休暇の確保
14
Ⅱ 地方で家庭を築く若者を増加させる施策
○ 三大都市圏と地方圏との人口移動(転入超過数の推移)
6 若者が地方にとどまり働ける雇用の場の創出
○ 都道府県別の合計特殊出生率(H26)
(厚生労働省:H26 人口動態月報年計(概数))
(日本創成会議:ストップ少子化・地方元気戦略(要約版)資料)
0.00
地方圏から大都市圏への
転出超過傾向が続く!
全 国
北海道
青 森
岩 手
宮 城
秋 田
山 形
福 島
茨 城
栃 木
群 馬
埼 玉
千 葉
東 京
神奈川
新 潟
富 山
石 川
福 井
山 梨
長 野
岐 阜
静 岡
愛 知
三 重
滋 賀
京 都
大 阪
兵 庫
奈 良
和歌山
鳥 取
島 根
岡 山
広 島
山 口
徳 島
香 川
愛 媛
高 知
福 岡
佐 賀
長 崎
熊 本
大 分
宮 崎
鹿児島
沖 縄
0.20
0.40
0.60
0.80
1.00
1.20
1.40
1.27
1.30
1.34
1.31
1.32
1.31
1.15
1.60
1.80
2.00
1.42
1.42
1.44
1.47
1.58
1.43
1.46
1.44
1.43
1.45
1.45
1.55
1.43
1.54
1.42
1.50
1.46
1.45
1.53
1.24
1.31
1.41
1.27
人口過密な大都市圏の
出生率は、待機児童の
問題なども影響し、
相対的に低い!
1.55
1.60
1.66
1.49
1.55
1.54
1.46
1.57
1.50
1.45
1.46
1.63
1.66
1.64
1.57
1.69
1.62
1.86
◆若者の雇用につながる地域経済の活性化
○子育ての環境が十分とは言えない大都市圏へ
の、地方の若者流出が止まらない。
○若者が、住み慣れた地方で安心して家庭を築く
ための雇用の場の創出が不可欠!
○多様な地域資源を活用した農林水産業の6次産業化の推進
○中小企業や小規模事業者などを中心とした地域の戦略産業の育成
○ふるさと起業の促進につながる支援措置
○企業の地方移転の促進、企業の地方移転・分散を促進する税制優遇措置
○都市の介護需要を地方が支えるための制度改正
○地方大学への支援と大学キャンパスの地方移転の促進
◆若者の就職支援
○就学中のキャリア教育の充実、地域ニーズを踏まえた弾力的な職業訓練制度
○ひきこもりや二―トなどの若者の就労に向けた自立支援策の推進
◆都市と地方との交流・移住促進
○田舎暮らしを希望する若者の移住促進、廃校施設等を活用した交流促進
○ITを積極活用した二地域居住の推進
15
Ⅲ 世代間の支え合いの仕組み
世代間協力と官民協働
○子育てを「社会全体で支える」構造への転換が必要。
○世代間の協力と官民の協働により、子育てを支えていく取り組みが重要!
公的部門の取り組み
民間部門の取り組み
◆元気な高齢者による支援
・子どもの一時預かりなどを担う子育て支援
・地域の子どもを見守り交流する場づくり
◆企業による結婚や子育て応援
双方の協働により、
理想的な子育て
社会が実現
・出会いの機会づくりの取組
・従業員への積極的な子育て応援
・ライフプランや子育て講座等を組み入れた企業内研修
◆地域やNPO、民間団体による支援
・多様な出会いの機会づくり
・子育てサークル間の連携・交流の促進
◆結婚から子育てまでのライフステージを通じ、
地域の実情に合った切れ目のない少子化対策を推進
・地方の実情に応じた取組を推進するための「地域少子化
対策強化交付金」の恒久化と弾力的な運用
◆地方に若者がとどまり、安定した家庭を築くため
の雇用の場の確保
・国と地方が一体となって成長戦略を強力に推進
◆政策目標の設定
・国民・企業の意識啓発や国と地方の一体的な施策の展開、
政策効果の検証などに資する具体的な目標設定
○世代間の支え合いを促進する観点からの、これまでにない税財政制度を確立することが必要!
◆子育てを未来への投資と捉えた新たな税財政制度の創設
結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の創設⇒昨年の提言を元に実現!
【例】①新たな投資国債「子育て債(仮称)」を活用した低所得者向け交付金制度等の創設
※子育てを未来への投資へと捉えた新たな国債
②公的保険の補償による新たなリバースモーゲージ制度の創設
◆社会保障制度の給付・負担の世代間での平準化を図る税財政制度の再構築
16
子どもの貧困対策の抜本強化
特に厳しい環境に置かれた子どもたちへの支援策の抜本強化
目的と背景
○子どもたちの将来が、その生まれ育った環境によって左右されず、また、貧困が世代を超えて連鎖することにならないよう、
特に厳しい環境に置かれたひとり親家庭等の子どもたちへの支援策の抜本強化を図ることが喫緊の課題となっています!
ひとり親家庭や児童養護施設等の子どもたちが置かれた厳しい環境
1
ひとり親家庭の現状
政策提言の具体的内容
1
① ひとり親家庭の貧困率は子どもがいる現役世帯全体の貧困率の約4倍!
② 母子世帯の平均所得は児童のいる世帯全体の4割以下!
③ 就労している母子世帯で役立つ資格(H23年の全国母子世帯調査)
「作業療法士」、「准看護師」、「介護福祉士」、「看護師」
■児童のいる世帯全体と母子世帯の平均所得
■子どもがいる現役世帯の貧困率
(全体と大人が一人の世帯)
貧困率(
%)
60.0
50.1
58.2
54.6
40.0
20.0
11.7
13.1
15.1
0.0
1991年
2000年
子どもがいる現役世帯
2012年
平均所得(
単位:
万円)
80.0
800.0
725.8
710.6
600.0
400.0
252.8
248.6
243.4
200.0
1991年
2000年
児童のいる世帯全体
大人が一人の現役世帯
2012年
母子世帯
○給付型奨学金の創設と無利子貸与奨学金の拡充
① 中学校を卒業した子どもの進学率:全体 98.4% 児童養護施設 96.6% ひとり親家庭 93.9%
② 高等学校を卒業した子どもの進学率:全体 70.2% 児童養護施設 22.6% ひとり親家庭 41.6%
■中学校卒業後の進学率
■高等学校卒業後の進学率
(H25 ※ひとり親家庭H23)
(H25 ※ひとり親家庭H23)
98.4%
100.0%
96.6%
93.9%
95.0%
90.0%
50.0%
70.2%
41.6%
22.6%
0.0%
全国(全体)
児童養護施設
ひとり親家庭
経済的な理由により進学を諦めることのな
いよう教育の機会均等を確保するための支援
策の拡充・強化を図ること。
<出典>国民生活基礎調査
ひとり親家庭・児童養護施設の子どもたちの進学状況
100.0%
①ひとり親家庭の親や子の職業訓練や資格取得等への
支援策の拡充
②ひとり親家庭の親を正規雇用する事業所への助成金
の拡充と税制優遇措置の創設
2
0.0
※現役世帯とは、世帯主が18歳以上65歳未満の世帯
2
673.2
ひとり親家庭を取り巻く厳しい経済環境の
改善に向けて、非正規から正規雇用への就労
形態の転換を促進するなど各種支援策の拡充
・強化を図ること。
全国(全体) ひとり親家庭 児童養護施設
<出典>全国(全体):学校基本調査、児童養護施設:厚労省家庭福祉課調、ひとり親家庭:全国母子世帯等調査
3
児童養護施設等の子どもたちが、自立した
社会人としてスムーズに社会生活をスタート
できるよう、きめ細かな支援策の充実・強化
を図ること。
①家庭的な環境の中で養育に取り組む地域小規模児童
養護施設等の充実
②児童養護施設等への自立・学習支援を専門に担当する
職員の配置
17
貧困の世代間連鎖を教育によって断ち切るための学習支援や教育相談体制等の充実①
要
旨
貧困により学力の未定着や非行、いじめなどの厳しい環境にある子どもたちへの支援を充実し、貧困の世代間連鎖を教育によって
断ち切るため、国において、
1学校が実施する少人数指導など個に応じたきめ細かな学習指導や放課後等の補充学習、生活困窮家庭の子どもに対する学習
支援等への支援の充実
2特に、放課後児童クラブの受入人数は、幼稚園・保育所等を大きく下回る状況。放課後児童クラブ等の柔軟な運営を可能とする
ための要件の緩和や、受入人数の拡充、利用者負担の軽減につながる財政支援措置
3子どもの多様な教育課題に専任できる教員を配置するための定数改善や、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの
配置拡充、常勤化を含む待遇改善による専門性の高い人材の確保に向けた支援の充実
が必要です。
○
○
家庭の経済状況が子どもたちの学力や進学率などに影響し、このままでは貧困が世代を超えて連鎖することが危惧されます。
子どもたちが生まれ育った家庭の経済状況等に左右されることなく、安心して学び、夢と希望を持って育つ環境を作っていくことが必要です。
・家庭の社会経済的背景(SES)と子どもの学力との間には強い相関が
・母子世帯・父子世帯(ひとり親家庭)の数が増えている
あるが、学習時間は不利な環境を克服する手段の一つと考えられる
・ひとり親家庭の貧困率は54.6%と子どもがいる現役世帯全体の貧
困率の約4倍
SES別
SES別 平日の学習時間と教科の平均正答率<小学校・国語A>
平日の学習時間と教科の平均正答率<小学校・国語A>
理
139.9 139.2 146.1
(万)
由
・
94.7
111.8
背 景
・家庭の社会経済的背景(SES):保護者に対する調査結果から、家庭所得、父親学歴、
母親学歴の三つの変数を合成した指標。当該指標を四等分し、Highest SES、Upper
middle SES、 Lower middle SES、 Lowest SESに分割して分析
出典:平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学
力に影響を与える要因分析に関する調査研究(国立大学法人お茶の水女子大学)
貧困等により学習の場や時間が十分に与えられてい
ない子どもたちに対する放課後等の学習支援が重要
出典:全国母子世帯等調査
大人一人の子育て世帯の貧困率(H24):54.6%
(子どもがいる現役世帯の貧困率(H24):15.1%)
家庭の経済状況に関わらず、すべての子どもが利用で
きる放課後等の安全な居場所、学びの場づくりが必要
18
貧困の世代間連鎖を教育によって断ち切るための学習支援や教育相談体制等の充実②
理
・貧困により困難な課題に直面している子どもたちは就学の継続や進学も難しい状況にある
由
(H25)
(H24)
・
98.4
%
5.3%
(H25)
70.2%
(H25)
53.2%
背
90.8
%
1.5%
景︵続き︶
出典:学校基本調査 高等学校等・大学等進学率
保護世帯に属する子供の高等学校等・大学等進学率(厚生労働省保護課)
児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査
保護世帯に属する子供の高等学校等中退率(厚生労働省保護課)
32.9%
32.9%の内訳
・大学等 19.2%
・専修学校等 13.7%
子どもや家庭が抱える課題を解決・支援する体制の整備・充実が不可欠
具体的内容
1
学力面で課題を抱える子どもに対しては、少人数指導など個に応じたきめ細かな学習指導や放課後等の補充学習、生活困窮家庭
の子どもに対する学習支援等必要な学力を確実に身につけられる体制を整えることが必要です。
2
特に、放課後児童クラブの受入人数は、幼稚園・保育所等を大きく下回る状況。放課後児童クラブ等を、家庭の経済状況等にか
かわらず、すべての子どもが利用できるよう、柔軟な運営を可能とするための要件の緩和や、受入人数の拡充、利用者負担の軽減
につながる財政支援措置が必要です。
3
多様な教育課題に専任できる教員を配置するための定数改善や、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを配置するた
めの十分な財源の確保と、待遇改善による専門性の高い人材の確保に向けた支援の充実が必要です。
19