ビジネスと人権に関するグローバル・ルール形成の展開―「2014年 国連

明責任︵ Advancing business and にわたる論点や課題について活発
human rights globally: alignment, な議論が展開された。
サプライチェーンにおける人権
ォーラムでは、①政府の役割と行
の人権と尊厳に貢献できるか。フ
してグローバル経済における人々
ル、食品加工、海運業などの企業
あり方、実践例や課題を、アパレ
ー、消費者の意識や行動の変革の
政府機関、バイヤー、サプライヤ
デ ュ ー デ ィ リ ジ ェ ン ス に つ い て、
動計画、②人権尊重という企業責
関係者やNGOが議論したセッシ
︶﹂
adherence and accountability
指導原則をいかに実行、活用
任を経営方針・実務にどのように
ョン、政府調達における人権配慮
︱
グ ロ ー バ ル レ ベ ル、 地 域 レ ベ ル、 入れ込むか、③被害者にとって有
のあり方について、研究機関がア
ビジネスと人権に関する
グローバル・ルール形成の展開
●はじめに
二○一一年国連人権理事会に
山田 美和
各国における動向や課題について、 効な救済へのアクセスをどのよう
メリカ政府の事例分析を発表し政
︱﹁二〇一四年 国連ビジネスと
人権フォーラム﹂を振り返る︱
に確保するか、④国際金融や貿易
る 国 連 指 導 原 則 ﹄︵ 以 下、 指 導 原
ィスを交えながら、政府、国際機
における具体例やベストプラクテ
を統合させていくか、⑤実効的な
ナンス構造にどのように指導原則
システムを含むグローバル・ガバ
適用など、EUやイギリス、アメ
改正や反人身取引法の制定、域外
ビジネスと人権に関して会社法の
府関係者らと議論したセッション、
様々なセクターやオペレーション
則︶が、日本を含む参加国の全会
関、企業、NGO、有識者・学者
ステークホルダーエンゲージメン
お い て、﹃ ビ ジ ネ ス と 人 権 に 関 す
一致で承認された。人権保護とい
など、マルチステークホルダーが
に討論されたセッション、ステー
う国家の国際上の義務を再度確認
げられた。
クホルダーエンゲージメントの難
リカの法規制の動向について法律
すべてのビジネスが人権を尊重す
月一日から三日まで行われた第三
人権理事会議長による歓迎の辞
しさが登壇者とフロアのやり取り
事務所のビジネスロイヤーを中心
る責務を負うことを明確にした指
回 フ ォ ー ラ ム を 振 り 返 り な が ら、
で始まった二〇〇〇人にも上る参
で 率 直 に 議 論 さ れ た セ ッ シ ョ ン、
トのグッドプラクティスはいかな
導原則の三つの柱は、国家による
指導原則を中心とする、ビジネス
加者が会する総会場でのオープニ
この六月に採択された強制労働を
るものか、などのサブテーマが掲
人権保護の義務、企業による人権
と人権に関するグローバル・ルー
ング、ユニリーバやネスレのCE
あ る ⑴。本 稿 で は 二 ○ 一 四 年 一 二
尊重の責任、救済へのアクセスで
ル形成の展開の動向と課題につい
禁止するILO
し、 規 模 や セ ク タ ー に 関 わ ら ず、 参集し議論を交わすフォーラムで
ある。この指導原則をいかに実行
Oらが登壇したハイレベル・パネ
号条約を補強す
て論じる。
目となる本フォーラムのテーマ
指 導 原 則 成 立 か ら 三 年、 三 回
フ ォ ー ラ ム︵
United
Nations
Forum
︶は、 ●多 様 な セ ッ シ ョ ン、 マ ル チ
on Business and Human Rights
人権理事会決議 / および /
ステークホルダー
超えるパラレルセッションにおい
事務所、NGOなどによる三○を
政府機関、研究機関、大学、法律
画による二一のセッション、各国
ン、国連ワーキンググループの企
ルなど四つのプレナリーセッショ
業、NGO、研究者など複数の視
ションなど、いずれも、政府、企
労働者の権利保護を議論したセッ
チェーン監査に関する支援、移民
政府による企業に対するサプライ
る議定書に関連して、批准の効果、
26
していくか︱国連ビジネスと人権
国連ジュネーブ本部で開催されて
は、﹁ ビ ジ ネ ス と 人 権 を グ ロ ー バ
点からの議論がなされた。
4
にもとづいて、二○一二年から
いる、ビジネスと人権をテーマと
て、ビジネスと人権に関する多岐
17
29
し た 世 界 的 な フ ォ ー ラ ム で あ る。 ルに進展させる︱提携、支持、説
22
60
アジ研ワールド・トレンド No.233(2015. 3)
ビジネスと人権に関するグローバル・ルール形成の展開―「2014年 国連ビジネスと人権フォーラム」を振り返る―
表 1 「ビジネスと人権に関する国連指導原則」の主な展開
2005 年
える場であり、有識者・学者によ
アピールの場であり、NGOが訴
メントをみせる場であり、企業の
フォーラムは、政府のコミット
ジネスと人権の連結を議論したセ
り、グローバル経済システムとビ
カ国務次官補がモデレーターとな
は、マイケル・ポズナー前アメリ
ならずホリスティックなアプロー
っている。ビジネスは、経済のみ
者からのビジネスへの圧力も高ま
響はより大きくなり、市民や消費
して、NAPを作成することを推
実践に移すための効果的な手段と
押しする施策を示す。指導原則を
界が指導原則を実行することを後
ーバル・ガバナンスの構築が必要
strengthening the links between the 最大の貢献ができる。価値を共有
global economic architecture and the するグローバル・プラットフォー
ム、人権の基本的支柱となるグロ
ォーラム議長は、すべての政府に
おいて、人権理事会議長そしてフ
本フォーラムのオープニングに
る研究発表・政策提言の場である。 ッション︵
である。その推進にはトップダウ
対しNAPの準備を要請、政府は
High-level discussion on チで、人権を尊重することにより、 奨する国連ワーキンググループに
よる報告書が二○一四年八月国連
ンとボトムアップの両方から進め
NAPを作り、企業は行動し、市
における動向を知り、議論し、課
⑵
総会に提出されている ︵
表1︶。
︶
business and human rights agenda
であった。人権尊重の企業活動が
ていくことだ。グローバル倫理プ
民社会は政府・企業が指導原則を
ーバルレベル、地域レベル、各国
求められる一方、企業は異なる国
ラットフォームを築こう。﹂
﹁ビジネスと人権﹂に関するグロ
題に向きあう場である。ここでの
規制や監督下にある。WTO、世
ローバル・ルールを醸成していく。 際機関や政府機関、異なる制度の
議論がビジネスと人権に関するグ
界銀行、IMFやILOなど、ビ
実行すべく支えることを強調した。
ー マ の ひ と つ は、﹁ ビ ジ ネ ス と 人
本フォーラムにおけるメインテ
は、作成のためのガイダンスが提
ンググループ主催のセッションで
ジネスと人権に関わる多様な国際
国 政 府 は ど の よ う に 実 現 す る か、
示された。
NAPをテーマにした国連ワーキ
つまり異なる国際機関がどのよう
権 に 関 す る 政 府 行 動 計 画 ﹂︵N A
● パ ス カ ル・ ラ ミ ー 前 W T O
事務局長が基調スピーチ
ジョン・ラギー氏が国連事務総長特別代表に任命される
「保護・尊重・救済」枠組み」
(ラギーフレームワーク)を
国連人権理事会が全会一致で承認
「ビジネスと人権に関する国連指導原則」を国連人権理事会
が全会一致で承認
2011 年 6 月
人権と多国籍企業に関する国連ワーキンググループ ( 国連
WG) が設置される
2012 年 12 月 第 1 回国連ビジネスと人権フォーラム
2013 年 8 月
ラテンアメリカ・カリブ地域フォーラム(コロンビア)
2013 年 12 月 第 2 回国連ビジネスと人権フォーラム
国連人権理事会にてビジネスと人権に関して法的拘束力を
2014 年 6 月
もつ国際条約に関する政府間ワーキンググループの新設を
決議
国連人権理事会にて法的拘束力をもった文書の利点と限界
2014 年 6 月
について現国連 WG に調査させることを決議
NAP 策定の重要性に関する報告書 ( 国連 WG 作成 ) が国連
2014 年 8 月
総会に提出される
2014 年 9 月
アフリカ地域フォーラム(エチオピア)
2014 年 12 月 第 3 回国連ビジネスと人権フォーラム
2015 年
アジア地域フォーラム開催予定(開催地未定)
●注目は NAP
に人権をグローバル課題として取
機関にまたがる政策の一貫性を各
(出所)国連人権高等弁務官事務所資料より作成。
今回のフォーラムで注目された
り組んでいくのか、との問いに対
P
︶であり、
二○一三年にイギリスが世界に
:
National
Action
Plan
至るところで議論された。NAP
先駆けてNAPを公表し、EU加
して、パスカル・ラミー前WTO
はより複雑化し、グローバルサプ
組みが必要である。生産システム
れの垣根を越えた、人権への取り
すなわち人権を知らない。それぞ
機関としてWTO、IMFなどが
易、経済、金融を対象とする国際
事務局長はこう話した。
護を強化することである。政府は
による人権侵害を防止し、人権保
かにするプロセスによって、企業
的・実行可能な政策と目標を明ら
済システムの限界を露呈している。 ーからのニーズとギャップ、具体
存在するが、これまでの古典的経
NAPによって、ビジネス界に対
は、様々なマルチステークホルダ
行する政策文書である。その目的
人権に関し、各国政府が立案し執
は、指導原則に則してビジネスと
リカ国務省の担当者が登壇し、労
たパネルセッションにおいてアメ
成における政府の役割﹂と題され
ォーラムでも﹁責任ある市場の形
リカがNAP作成を表明し、本フ
︵表2︶。二○一四年九月にはアメ
ィンランドが次々と発表している
おり、オランダ、デンマーク、フ
たように、その作成に取り組んで
任︶に関するEU新戦略で示され
盟 国 は C S R︵ 企 業 の 社 会 的 責
﹁貿
ライチェーンは繋がっている。経
する期待を明らかにし、ビジネス
︱
済活動が市民や消費者に与える影
アジ研ワールド・トレンド No.233(2015. 3)
61
プレナリーセッションのひとつ
2008 年
表 2 指 導 原 則 に 基 づ く 行 動 計 画 (National
Acotion Plan) 策定に関する各国の動向
べきであり、どのように政府調達
するようインセンティブを与える
告書は、政府は企業が人権を尊重
掲の国連ワーキンググループの報
APそのもののあり方を示す。前
ービスを調達するかは、まさにN
の官僚を含むパネルで、どのよう
トが提示された。アメリカ国務省
に関係しているという調査リポー
如に起因し、政府調達が人権侵害
ライチェーンを監査する能力の欠
ェーンの透明性の欠如、そのサプ
格による調達、物品のサプライチ
ける最大のバイヤーであり、低価
説得力をもたなかった。
ているカタール政府代表の弁解は
ワールドカップ開催が問題視され
︶事務総長が鋭く
Confederation
指摘し、それに対し、二○二二年
連合︵
隷労働であると国際労働組合総
International Trade Union
すべきであると述べている。例え
に人権を考慮するかをNAPに示
ば、サプライヤーが指導原則にも
とづく責任を果たしていることを
● グ ロ ー バ ル・ ル ー ル 形 成 の
にして政府は人権ファクターを調
ゆくえ︱企業のスペースを
達 プ ロ セ ス の な か に 組 み 込 む か、
狭めないために
が議論された。アメリカでは連邦
は、エクアドル、南アフリカ政府
二つの決議が採択された。ひとつ
に お い て ビ ジ ネ ス と 人 権 に 関 し、
調達基準は企業による人権尊重の
ことを求め、これらの要件を政府
レベルではこれからであるが、す
によって提出された、多国籍企業
示すために人権デューディリジェ
働省、商務省、財務省など複数の
調達に関するガイドラインおよび
でに四○を超える自治体において
を規制するために法的拘束力をも
二○一四年六月国連人権理事会
省庁、ビジネス界、市民社会を交
競争入札の条件に入れ込む。契約
政府調達基準に人権項目を入れて
つ文書の作成を目的とする政府間
インセンティブとして機能するか
えて作業を開始すると話し、その
後は、適切なモニタリングと説明
いること、オランダ政府が政府調
ンスや関連するリスク分析を行う
動向に注目が集まっている。同セ
達方針を見直していることなども
︶の代表
Chamber of Commerce
者が﹁NAPは企業活動のレベル
きである。発注先には、人権イン
る手順がNAPに盛り込まれるべ
トには供与しないことを確実にす
インパクトをもたらすプロジェク
姿勢を民間セクターに示すべきで
て、政府は人権を保護する自らの
ールドカップなどの開催におい
視され、とくにオリンピックやワ
環境・条件などの人権侵害が問題
また外国人労働者の劣悪な労働
一三で可決、後者は全会一致で可
前者は賛成二○、反対一四、棄権
に調査報告を求めるものであった。
て現在の国連ワーキンググループ
力をもつ文書の利点と限界につい
ーによって提出された、法的拘束
るもの、もうひとつは、ノルウェ
て 国 際 商 業 会 議 所︵
プレイング・フィールドをめざす
パクトのアセスメントを課し、プ
あるとの指摘がパネリストからな
決された。
府調達は大きな市場であり、政府
ビジネスと人権の観点から、政
メリカ政府はグローバル経済にお
のロースクールの研究者から、ア
というセッションでは、アメリカ
ン サ ー 制 度︵ カ フ ァ ー ラ ︶ は 奴
ールの移民労働者に対するスポ
は、プレナリーにおいても、カタ
アドル政府代表が法的拘束力のあ
ッションでは、パネリストのエク
本フォーラムのクロージング・セ
ハードローかソフトローか
︱
ワーキンググループの新設を求め
ものであり、ビジネス界は政府に
ロジェクトの進行中における人権
された。スポーツイベントに関連
紹介された。
NAP を作成するよう要請しよ
インパクトの緩和措置およびモニ
する移民労働者の問題について
がいかに人権を考慮して物品・サ
●政府公共調達における人権
保 護 ︱ オ リ ン ピ ッ ク・ 輸 出
信用・ODA
う。﹂と発言した。
﹁政府公共調達における人権﹂
タリングを条件とする。
International なる。同様に、輸出信用供与やO
DAなどにおいても、人権に負の
責任を果たすメカニズムが必要と
(出所)Business & Human Rights Resource Centre、国連人権高等弁務
官事務所、各種報道より作成。
ッ シ ョ ン で は、 パ ネ リ ス ト と し
NAP 策定・公表している国
イギリス
2013 年 09 月
オランダ
2013 年 12 月
デンマーク
2014 年 04 月
フィンランド
2014 年 09 月
NAP 策定作業を開始している国
欧州地域
アゼルバイジャン ベルギー イタリア フランス ドイツ ギリシャ アイルランド
ラトビア リトアニア ノルウェー ポルトガル スロベニア スペイン スイス
ラテンアメリカ地域
アルゼンチン コロンビア メキシコ
アフリカ・中東地域
ガーナ ヨルダン モーリシャス
モザンビーク モロッコ
アメリカ
62
アジ研ワールド・トレンド No.233(2015. 3)
ビジネスと人権に関するグローバル・ルール形成の展開―「2014年 国連ビジネスと人権フォーラム」を振り返る―
を狭めることは避けるべきである、 緩やかかもしれないが確実に前進
︶の
Organization for Employers
参加者が、企業の動けるスペース
を規制する国際条約が必要である
何もしようとしない、多国籍企業
リストが企業は法規制がなければ
べきではない。各国政府の動きは
わせ︵ smart-mix
︶である。指導原
ら、国際使用者連盟︵
International
則か国際条約かと議論を分極化す
と力説した。それに対しフロアか
している。中国でさえ海外での資
ボランタリーと義務の賢い組み合
はこう結んだ。
﹁指導原則は
の草案者であるジョン・ラギー氏
セッションの最後に、指導原則
ツ大会での物品やサービスの調達
ンではオリンピックなどのスポー
きい。政府調達に関するセッショ
府および企業への期待と懸念は大
GDP 世界三位である日本の政
す場である。
れらを共有し、将来の方向性を示
る必要がある。本フォーラムはそ
ベルそして各国における動向を知
レベル、地域レベル、セクターレ
められている。
成において日本のプレセンスが求
スに関するグローバル・ルール形
が予定されている。人権とビジネ
二○一五年はアジア地域での開催
四 年 九 月 に ア フ リ カ で 行 わ れ た。
年八月にラテンアメリカ、二○一
関する地域フォーラムが二○一三
ジュネーブでの年次フォーラム
多国籍企業などという大きな存在
源採掘に関してガイドラインを作
において、政府は人権を保護する
識、理解、政策、枠組み、ルール
ではなく、町工場の使用者による
成した。国際法曹協会やNGOの
自らの姿勢を民間セクターにみせ
︽注︾
を表明したことは、指導原則の有
小さな行動から変化が起こるのだ
様々な取り組みがみられる。指導
る必要があると議論され、責任あ
⑴フォーラムのプログラム、ステ
る国際条約が必要であると強く主
からと発言した。
原則によって人権侵害が緩和され
る市場形成というセッションでは
に 先 立 ち、﹁ ビ ジ ネ ス と 人 権 ﹂ に
多国籍企業を規制する法的拘束
たといういくつかの例も聞く。多
パネリストのひとりが、環境や人
形成、実務について、グローバル
力をもつ新たな国際条約が必要で
国籍企業を縛ってもラナプラザの
権に関する法整備が整っていない
効性を支持する意図がある。
あるという主張に、ビジネス界は
工場主はその対象にならない。条
ミャンマーへの日本からの投資に
張、続いて国際NGO代表のパネ
大きな懸念を抱いている。前述し
約を作成しようとすると定義が難
ついて問題があると指摘した。日
とくに新興国や途上国における人
ートメントなどの詳細は
http:/
/www.ohchr.org/forumonbusi
/
におけるワーキンググル
nessandhumanrights
⑵詳細は第六九回国連総会
/
http://www.ohchr.
という、かつての深い対立の構図
世界の政治経済、社会環境つま
●日本の課題︱期待と懸念に
応える
して日本企業のコミットメントを
人権に関するコミットメント、そ
協働し、政府としてのビジネスと
には、マルチステークホルダーと
ジ研ワールド・トレンド﹄№二
国 家・ 企 業・ 市 民 と し て ﹂﹃ ア
上国におけるビジネスと人権︱
①山田美和編﹁特集︱新興国・途
︽参考文献︾
Pages/Reports.aspx
org/EN/Issues/Business/
ープ報告書
69
︱
た、法的拘束力をもつ文書作成を
しくそこから遺漏するものがある
会 の 決 議 の イ ン パ ク ト は 大 き い。 法的拘束性云々よりも指導原則の
権課題と企業に求められている責
︵やまだ みわ/アジア経済研究所
法・制 度研究グループ︶
目的とする新たなワーキンググル
実行をスケールアップさせること
任についてさらなる理解とコミッ
だ ろ う。 漸 進 的 な 歩 み で あ る が、 本 企 業 は、 指 導 原 則 を 活 用 し て、
これは、幅広いステークホルダー
が大切である。﹂
ープを設置するという、人権理事
との対話を重ね成立した指導原則
への後戻りを惹起させる。人権理
りビジネス環境は急速に変化して
後押しする政策が望まれる︵参考
トメントが必要である。日本政府
事会での決議の数カ月後の九月に
いる。指導原則を支柱とする﹁ビ
二三、二○一四年五月号。
以前、すなわち人権規範をめぐる
アメリカが、そして一一月にドイ
文献①︶。
市民社会・途上国
A
ジネスと人権﹂に関する課題の認
企業・先進国
263
ツがNAP作成のコミットメント
アジ研ワールド・トレンド No.233(2015. 3)
63
VS