「附属平野小学校」へようこそ

公開授業② 国語科学習指導案 場所 5年2組教室 5年2組 田中 賀 1. 単元名 みんなの誇り「附属平野小学校」へようこそ 「主体的な表現者」を育む「学びの言語」の習得をめざす授業づくり ~「書くこと」の「学びの蓄積」が生み出す学びを創り続ける子ども~ 2. 単元設定の理由 (1)単元について 本単元は、来年度最高学年になる子どもたちが、新入生に向けて学校各所を「説明する」文章を書くことで附小
のよさを再認識し、自らの学校に誇りをもつための取り組みである。これまでに子どもたちは、何かの事柄につい
て詳しく「説明する」文章を書く経験を積んできている。6 月の説明文「動物の体と気候」
(東書5上)では、表現
のしくみに着目して読み進め、自らが課題設定した「動物の体の不思議」を「説明する」文章を書いた。ここでは、
「書くこと」の「学びの蓄積」として今後も残して次の学習に活かしたい学び(具体例・対比・数値・構成「序論
—本論—結論」など)を、教師と子どもで共有し「国語の知恵袋」にまとめた。12 月の「森林のおくりもの」では、
既習事項や「国語の知恵袋」を活かしながら学習者は自ら説明したい事柄を選択し、自分の考えが読み手に伝わる
ように「説明する」文章を書いた。こうして表現のしくみに着目する読みを進めながら身につけた力を「書くこと」
に活かす経験を繰り返してきた。しかし、
「説明する」ことの順序や構成などの効果的な表現方法については学ん
できているが、
「つくり」
「はたらき」
「意味づけ」の3要素の働きを明確に捉え、自らの考えをもって「説明する」
文章を書くまでには、至っていない。
そこで、本単元「みんなの誇り『附属平野小学校』へようこそ」では、新入生に自分たちの学校のよさを伝えた
いという思いやねがいを基にして、これまで経験してきたことや「学びの蓄積」を活かして「説明する」文章を書
く。学校各所を学校のよさを分かりやすく伝えるために、各まとまりをつなぐ接続語の役割や段落相互の関係も明
確に掴み、文章を構成させることを目指したい。なお、実際に新入生に学校を紹介する1年生においても学校各所
を「説明する」文章を書くため、分かりやすく伝えられるように1年生の「説明する」文章を聞く交流の機会を設
け、目的を共有し、異学年と協働で言語活動に取り組む。この協働で取り組む活動こそまさに「学びの蓄積」を活
かすのに絶好の機会となると考える。
本単元の指導にあたって、教科書教材ではないため、既習事項や「国語の知恵袋」を活用したこれまでの「学び
の蓄積」を活かす学習となる。新入生にも分かりやすい「説明する」文章にするために「学びの言語」の「説明す
る」3 要素「つくり」
「はたらき」
「意味付け」の役割を理解し、明確に区別した文章を書くことを目指し、
「これま
での学びを活かしたい」という思いをもち続けられるように子どもの思いやねがいを大切に授業を進めていきたい。
(2)単元の目標 ○新入生のために学校の各所を「説明する」文章を考え、課題解決のために既習事項や「国語の知恵袋」などを積
極的に活用して、適切に文章を書こうとしている。 (関心・意欲・態度)
○新入生に伝わるように表現を工夫し、
「つくり」
「はたらき」
「意味付け」を区別して学校の各所を「説明する」
文章を書くことができる。
(書くこと)
○ 附属平野小学校のよさ」が伝わるように文章を構成(冒頭部—展開部—結末部)し、自らの考えをもって「説明
する」文章を書くことできる。 (書くこと)
(3)活動構成の仮説 本単元でめざす「主体的な表現者」とは、新入生に「附小のよさ」を伝えたいという思いやねがいをもって、こ
れまでの「学びの蓄積」を活かして、分かりやすく学校各所を「説明する」文章を書く子どもである。その育成の
ための教師の役割として、以下の点が効果的であると考え、設定する。 ○適度な困難度を伴う学習課題が「学びの蓄積」の活用を誘発する活動構成 新入生のために分かりやすく学校各所を「説明する」文章を書くという学習課題は、子どもたちの「書きたい」
という思いやねがいをもとに「書く必然性」となり、課題を解決するためにこれまでの「学びの蓄積」を活かす動
機付けにもなる。本単元は、教科書教材ではないために、自らの考えや経験をもとに「説明する」文章を書くとい
う適度な困難度を伴う。それ故、子どもたちは既習事項や「国語の知恵袋」などの「学びの蓄積」を活かして文章
を書くことになると考える。本時では、学校各所を「説明する」文章を書く上で、どのようにして「学びの蓄積」
活かしていくのかを出来上がった文章や子どものつぶやきを拾いながら検証していきたい。
3.指 導 計 画 (全
6時 間 本 時 3/ 6)
学習活動の流れと子どもたちの意識の流れ
一連の過程を支えるもの
①主体的に課題と向き合う過程 1.単 元 を貫 く言 語 活 動 と学 習 の流 れ を知 り、課 題 意 識 をもつ 。①
単元のめあてを知り、既習事項の中から活かすことができる方法を考える。①
よさを伝えるために、今までの学習をふ
りかえって考えてみよう。
新1年生のためにくわしく説明し
てあげたいな。楽しみだな。
国語の
知恵袋
の 活用 単
元
を
貫
く
言
語
活
動
②自らの表現に活かす過程 みんなの誇り「附属平野小学校」へ ようこそ 2.「つくり」「はたらき」「意味づけ」の3要素を意識して、学校の各所に「説明す
る」文 章 を書 く。
学校にどのような場所があるか考え、その「つくり」と「はたらき」を考える。①
保健室にはどんな役割があるかな。役割の
ことを説明文では、
「はたらき」というんだ
ね。
学校にはどんな場所があるかな。そこに
あ る も の や 大 き さ につ い て 考 え て み よ
う。
1年生の文章を基に学校各所の「意味付け」解説的説明を考える。①(本時)
1年生は上手にそれぞれの場所の「つくり」
「は
たらき」を書いているね。でもこの文章には接
続語をつけるとさらに分かりやすくなるかも。
学校図書館は、読書や調べ学習する
ことでみんなの学習を支える場所だ
といえるね。
下
級
生
と
の
共
同
の
学
び
新
一
年
生
指導上の留意点
・ 目的意識と相手意識をもちながら単元を貫いて言語活動を位置
づけ、単元全体の流れを児童とともに確認する。
目的意識:附属平野小学校のよさが伝わるように学校各所を説明する。
言葉を意識する心情面の変化
関 心 ・意 欲 ・態 度 書 くこと □ 単元全体を通して、子どもたちの姿を
□授業中のノート・ワークシートへの記述を評価する。
見て評価する。
書き方を想起させる。
○ それぞれの学習活動に意欲的に取り
回の授業の終わりには、授業のふりかえりとして、授業内容を説
○ 文章全体の構成を意識して「説明する」文章を書
○ 相手意識・目的意識をもって学習に取
▲ 自分が伝えたいことを書いてしまい、説明文として
○ 既習事項や国語の知恵袋を活用して
・ これまでの学校生活をふりかえり経験したことや、想像できること
分かりやすく説明しようとする。
よさを伝えるならそれぞれの場所だ
けじゃなくて、学校全体のよさも伝え
たいな。
附小のよさが伝わるように学校各所の文章をつなげて本論とし、序論・結論を加
えた文章全体の構成「序論・本論・結論」を考える。①
学
び
の
蓄
積
「つくり」「はたらき」「意味づけ」の区別をすることが
できない。
から、学校にはどのような場所があり、そこでは主にどのようなこと
ができるのかということについて話し合い、マインドマップにしてま
とめたものを教室に掲示する。(空間的支援)
▲ 「説明する」文章を書く際に自分の思い
込みや願いだけにとどまり、新1年生の
◇ 説明する文章を書く3要素を想起できるよう、教室
の掲示を工夫するなど空間的な支援をする。
ために表現を工夫して書こうする姿が
・ 新1年生に紹介したいという思いや願いから自分は学校のどの場
見られない。
所を「説明する」文章を書くのか、1年生が選択したものの中から
この場所は、自分たちにとってどんな意味があ
るかを新1年生にもわかるように説明しない
といけないね。
いている。
り組んでいる。
明する文章を書く場を作る。
附
属
平
野
小
学
校
各所を説明する文章を書いている。
組んでいる。
・ 「再現的説明」「解明的説明」「解説的説明」の3要素のモデルを
示し、物事を説明するための「学びの言語」を確認する。また、毎
学習活動2から
○ 「つくり」「はたらき」「意味づけ」を区別して学校の
相手意識:来年度入学してくる新1年生
・ 既習事項や「国語の知恵袋」などから、「説明する」ときの文章の
言葉を意識する技能面の評価
選び自己決定をさせる。
伝
と照らし合わせて考えられるように支援する。
▲ 文章を見直したりせず、グループでの
話し合いに参加しようとしない。
・ 学校の各所を想像しやすいように写真や ICT を活用して、形や
特徴を捉えることができるよう支援する。
◇ 3要素のわかりやすいモデルを示し、自分の文章
◇ 「意味づけ」においては、その事柄が自分(人間)
にとってどのような価値があるのかというこ
◇ 下級生との共同で学習を進めているこ
とに置き換えて考えさせる。
とを再確認することで、みんなで学校の
今までの学習を活かして「説明する」文章の
構成を考えて書いてみよう。
最初にいいたいことを述べる頭括型で
書いてみたいな。
場所を説明するなら身近な教室から説明する
と分かりやすいかも。でも新一年生にとって
は、正門が最初の入り口になるから・・・。
説明する順番も整理して分かりやすく
しようよ。接続語をつけるとうまくつな
がるよ。
新1年生のために学校の各所の「説明する」文章をまとめる。①
の
活
用
の
推
進
自分の考えがちゃんと伝わるか読み返
してみてみよう。
学
校
各
所
説
明
4.単 元 の学 習 を振 り返 り、身 につ けた 「書 くこと」の 力 を確 認 す る。①
この単元で学び、今後も活かしたいことを、「国語の知恵袋」にまとめる。
今までよりも学びを活かして文章を書くこ
とができたよ。新一年生は、自分と直接関
わることだから頑張れたのかな。
説明する順番を意識して書くと書きや
すいし、友達の文章も読みやすくなる
ね。これからも意識して書いていこう。
「意味づけ」は、その事柄が自分(人間)に
とってどのような価値があるのかというこ
とを考えるといいんだね。他のものでも使え
るかな。
文
章
書
言 語 についての知 識 ・理 解 ・技 能
もたせる。
学習活動2から
によく伝わるかを吟味し、自己決定し、文章を構成させる。
◇ 自分の考えをじっくり書くという場
面を授業の中で設定することで自ら
構成の効果を意識しながら「説明する」文章を書い
ている。
の課題と向き合わせる。また、これま
して述べられるように文章構成図を活用する。
で書いた説明文や国語の知恵袋を活
用するなど既習事項を確認する。
・ この単元で学習したことの中で、今後にも活かすために書き残し
○ 文の中での語句の係り方や照応の仕方を意識し
て文章を書いている。
▲ 自分の考えをもたずに書いたり、文章構成を意識
ておきたいことを、クラス全体で確認しながら、「国語の知恵袋」に
形容詞は、自分のイメージが伝わりにく
いから説明するときには、具体的な数値
や色で表すといいね。
国
語
の
知
恵
袋
に
学
び
を
書
き
溜
め
る
よさを新一年生に伝えようという意識を
○ 自分の考えを明確に表現するために文章全体の
・ 学校各所の説明する文章は本論で述べて、附小のよさを結論と
③「書くこと」の力を共有する過程
るといいのかを考えさせる。
・ 文章全体をみて頭括型・尾括型・双括型のどのような構成が相手
高学年として新1年生のために、分かり
やすく伝えたいな。
・ 新1年生に分かりやすく伝えるためには、どのように表現を工夫す
せず、思いついたまま書いたりしている。
書き溜めていく。
□・・・評価の方法
・ ここでの学びを学校生活の中でさらに活かしていくには、どのよう
○・・・満足できる姿
な場面があるのかを話し合わせ、学びを相互に関連付けられるよ
▲・・・支援を要する姿
うにする。
◇・・・支援の方法
▲ 自ら書いた文や文章を読み返さず、間違いを直そ
うとしない。
◇ 既習事項を確認したり、友だちと読み比べたりし
て、自ら書いた文章をふりかえることができるような
場を設定する。