高感度磁気利用計測技術の紹介 インフラ高齢化の現状 日本国内のインフラは高齢化が進んでおり、2030年度には橋長15m以上の道路橋 の約15万5千橋の53%が建設後50年以上経過します。 国土交通省資料から 建設後50年以上経過する橋長 15m以上の道路橋の割合 2010年度 2020年度 2030年度 約8% 約26% 約53% インフラ長寿命化基本計画 政府は平成25年11月、インフラ長寿命化基本計画を策定し、インフラの老朽化対 策の基本的な考え方や工程を示しました。施設ごとの点検や診断に関する情報を 記録し、経年的に施設状態を把握して今後の点検に生かす「メンテナンスサイクル」 の徹底を盛り込んでいます。この基本計画の遂行には、先端計測技術に基づく点 検・モニタリング・診断技術の確立が不可欠ですが、医療分野で進歩した高感度 磁気利用計測技術を展開した高感度磁気非破壊検査への期待が高まっています。 高感度磁気利用計測技術 従来の磁気利用計測は感度が低いために 高周波しか使えず、測定対象の表面しか 計測できませんでした。高感度磁気利用計 測では低周波を用いることで、測定対象の 深部まで計測可能となりました。 高感度磁気利用計測の代表的な方法で あるパルス渦電流方式は、印加コイルにパ ルス電流を流し、測定対象に生じる渦電流 により発生する磁場を高感度磁気センサー パルス渦電流方式 で計測します。 深部計測可能な非破壊検査技術の比較 超音波 X線 高感度磁気 深部計測 可(制限あり) 可 可 被曝リスク なし あり なし 計測対象 接触 非接触 非接触(金属) 劣化予測 不可 不可 可能 講師略歴 塚田啓二(つかだけいじ) 岡山大学大学院自然科学研究科産業創成工学専攻 教授(工学博士、医学博士) 1979年 筑波大学、1982年筑波大学大学院理工学研 究科理工学専攻修士課程卒業 1982年-1991年 (株)日立製作所中央研究所で血液 分析用化学センサの集積化の研究に従事 1991年-1996年 (株)超伝導センサ研究所で超伝導量 子干渉素子(SQUID)および生体磁気計測システムの研 究に従事 1996年-2003年 (株)日立製作所中央研究所生体磁 気計測システムの研究開発プロジェクトリーダー 2003年- 岡山大学自然科学研究科で水素センサおよ びセンサネットワークの研究、磁気計測用センサと応用研 究、SQUIDを用いた生体磁気計測の研究に従事 波頭経裕(はとうつねひろ) (公財)国際超電導産業技術研究センター主管研究員 (工学博士) 1992年 名古屋大学大学院工学研究科電子工学専 攻博士課程修了 1992年-2003年 富士通(株)で高温超電導デジタル回 路の研究開発に従事 2003年-2005年 (公財)国際超電導産業技術研究セ ンターに出向して超電導サンプラーシステムの開発に従事 2006年- 超電導磁気センサを用いた非破壊検査システ ム開発に従事 2008年- 金属資源電磁探査用高温超電導SQUID磁 力計実用機の開発に従事。2013年超伝導科学技術賞 受賞 2012年- 石油増産用モニタリングシステムの開発に従事
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