いじめ防止基本方針(平成27年度)

平成27年度
いじめ防止基本方針
学校教育目標
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たくましい心身
豊かな心
高い知性
健全な社会性
札幌市立稲積中学校
1.いじめ防止等のための対策の基本的な考え方
(1)基本的な考え方
いじめは、全ての生徒に関係する問題であり、どの子供にも、どの学校でも、
起こりうるものである。とりわけ、嫌がらせやいじわる等の「暴力を伴わないい
じめ」は、多くの生徒が入れ替わりながら被害も加害も経験する。また、加害・
被害という二者関係だけでなく、「観衆」としてはやし立てたり面白がったりする
存在や、周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」も存在する。そういった生徒
集団にも注意を払い、集団全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるように
することが必要である。
いじめの防止等の対策は、生徒が安心・安全に生活を送り、様々な活動に取り
組むことができるよう、学校内外を問わず、いじめが行われなくなることを目指
さなければならない。また、全ての生徒がいじめに向かったり、見過ごしたりし
ないよう、いじめの防止対策は、いじめが、被害の生徒の心身に深刻な影響を及
ぼす行為であることについて、生徒が十分に理解することを目指さなければなら
ない。
(2)いじめの定義
「いじめ防止対策推進法」第3条
この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍
する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童
等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じ
て行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が
心身の苦痛を感じているものをいう。
いじめには多様な形態があり、表面的・形式的に「いじめ」に当たるか否かの
判断をしてはならない。「いじめ」に当たるか否かの判断するにあたり、「心身の
苦痛を感じているもの」との用件が限定して解釈されてはならない。行為の起こ
ったときのいじめられた生徒本人や周辺の状況等を客観的に確認しなければなら
ない。
具体的ないじめの様態は、以下のようなものがある。
• 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
• 仲間はずれ、集団による無視をされる
• 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
• ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする
• 金品をたかられる
• 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
• 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
• パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる 等
また、いじめの中には、犯罪行為にあたると認められ、早期に警察に相談する
ことが重要なものや、生徒の生命、身体又は財産に重要な被害が生じるようなも
のが含まれる。これらについては、教育的な配慮や被害者の意向を踏まえ、早期
に警察と連携した対応を取ることが必要である。
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2.いじめ防止等のための取組
(1)いじめの防止等の対策のための組織
①学年会(定期的、日常的な情報収集と対処)
【役割】
担任や副担任、あるいは学年生活係が協力していじめに関する情報を収集
し、その共有化を図り、具体的な手立てについて検討し対処する。
【構成メンバー】
学年所属の担任、副担任、学年生活係
②生徒指導部会(情報の共有化および事例の検討・検証と対処)
【役割】
いじめに関する情報の共有化を図り、いじめの事例の検討・検証をおこな
い、当該学年と協力しながら対処する。
【構成メンバー】
生徒指導部
③生徒指導委員会(重大事態への対処)
【役割】
学校生活における、重度の事故・不適応生徒やいじめ、いじめが原因の不登
校生徒への適切な指導方法や対策を検討し、当該学年及び全職員に提言する
とともに、保護矯正措置および指導のための資料を作成、学校長に進言する。
【構成メンバー】
委員長:生徒指導部長
委員:教頭、学年主任、および該当担任
◆いじめへの組織的対応
〔
いじめの
発生
連絡
学年会
学年生活係
担任
副担任等
指導
連絡協議
生徒指導部会
〕
生徒指導委員会
(重大事態)
学校長
教頭
関係機関
職員会議
関係生徒・保護者
一般生徒
*状況に応じて、学年会、生徒指導部会、生徒指導委員会が中心となって対応する。
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(2)いじめの未然防止の取組について
①日常の学級活動を通した自己肯定感や自己有用感の育成
・日常の係活動、日直の仕事、給食や清掃当番等を通じ、集団の一員としての
自覚や自信をはぐくむ。
②学校行事を通した学級・学年集団作り
・旅行的行事、学校祭や合唱コンクールに対して、生徒が主体的に参加・活躍
できる場面を確保し、一人一人が互いを認め合い協力するすばらしさを感得
するとともに、心の通じ合うコミュニケーション能力の育成を図る。
③いじめ防止に向けた道徳教育の充実
・いじめを主題にした道徳の授業を通して、生徒がお互いの意見を交流し合い、
いじめについての理解を深め、「いじめは絶対に許されない」という雰囲気を
醸成する。
(3)いじめの早期発見について
①教職員がいじめを積極的に認知する
・「いじめはどの子にもどこの学校にも起こり得る」「いじめは見つけにくい」
という認識の下、登校時や下校時の玄関指導、休み時間や昼休み、放課後の
部活動等も含め、あらゆる場面で人間関係の把握に努める。
・「毎日の記録」等を通じて生徒が発する小さなサインにいち早く気付き、学年
や生徒指導部の教師と情報を共有する。
・保護者との信頼関係の構築、家庭からの情報の収集と協力体制の確立に努める。
②アンケートや教育相談の計画的な推進
・教育委員会が実施する「悩みやいじめに関するアンケート」について、空欄
や消した痕に至るまで質的な分析・評価を心掛け、生徒の心の内面に迫る努
力をする。
・年間2回の教育相談と、「いじめ」も含めた悩み調査を実施する。
(5月~6月、11月)
・教育相談やアンケート結果については、状況に応じてスクールカウンセラーの
助言を求めていく。
③インターネット調査の実施
・毎月1回をめどに、ネット上に「悪口を書いたり、書かれたりしていないか」、
無断で「写真を載せたり、載せられたりしていないか」、またそういうものを
見聞きしたかを調査し、ネット上でのいじめについて情報収集をするととも
に、情報モラル教育の一つとして実施する。
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(4)早期対応について
いじめを認知した場合は、「札幌市いじめ防止等のための基本的な方針」の原則
を基本として、生徒の状況等を考慮しながら迅速に対応する。
①速やかに組織的に対応する
・いじめが疑われたり、発見したり、通報を受けたりした場合は、特定の教員
で抱え込まず、学年の生活係あるいは生徒指導部(重大事態については生徒
指導委員会)と連携を図り、速やかに組織的な対応を行う。
②いじめを受けているとされる子どもやいじめを知らせてきた子どもの安心・安全
を確保する
・生徒の安心・安全を第一に考え、登下校、休み時間や昼休み、放課後活動や
部活動等において見守りを行うなど安全確保に努める。
③速やかに関係する子どもの保護者と連携を図り、改善に向けて協力を求める
・保護者との連携を図り、対応策について丁寧に説明をし、了承を得る。
④事実関係の確実な把握を行う
・事実確認と指導とは明確に区別し、事実確認にあたっては、中立的な姿勢で
聞き取りを行う。
・聞き取りをした全ての関係教師で、集約したいじめの事実関係を整理し、関
係する生徒に間違いがないか、再確認する。
・聞き取った情報は記録化しておく。
⑤再発防止に向けた保護者への対応
・状況に応じて適切な方法で関係する保護者に事実に基づく説明を行い、再発防
止への協力を要請する。
・いじめが解決したと思われた後も、学校と保護者が情報交換を行い、いじめ
の再発がないか注意深く対応して再発防止に努める。
⑥教育委員会への報告
・学校から教育委員会へ、いじめ発生及び対応について必要に応じて適宜報告
するとともに、対応について助言を得る。
⑦いじめの解決に向けた集団への働きかけ
◆加害生徒への指導
<教育的指導>
・いじめの行為についての指導
・今後の学級、教室以外や校外における生活の指導
<法的措置>
・いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものとして認識した場合は、
対応について速やかに警察に相談・通報を行い、連携して対応する。
◆被害生徒への指導
・心のケアについて、スクールカウンセラー等と十分に相談しながら行う。
・安心して学校生活を送ることができるよう、見守りなどの安全確保に努
める。
◆周りの生徒への指導
・はやし立てたり、見て見ぬ振りをしたりすることは、いじめを深刻化させ
ることになることを改めて指導する。
・状況に応じて、再発防止へのねらいを含めた学級指導、学年指導を生徒
のプライバシーに十分留意して行う。
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3.重大事態への対処
(1)重大事態とは
「いじめ防止対策推進法」第 28 条より抜粋
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大
な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席する
ことを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
「いじめの防止等のための基本的な方針」(文部科学省
平成 25 年 10 月)
より抜粋
○「生命、心身又は財産に重大な被害」については以下の様なケースを想定
・児童生徒が自殺を企図した場合
・身体に重大な傷害を負った場合
・金品等に重大な被害を被った場合
・精神性の疾患を発症した場合
○「相当の期間」については、不登校の定義※を踏まえ、年間 30 日を目安と
する。ただし、児童生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合に
は、上記目安にかかわらず、学校の設置者又は学校の判断により、迅速に
調査に着手することが必要である。
○児童生徒や保護者からいじめられて重大事態に至ったという申立てがあっ
たときは、その時点で学校が「いじめの結果ではない」あるいは「重大事
態とはいえない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告
調査等に当たる。
*「不登校」とは,何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児
童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある(ただし,「病気」や「経済
的な理由」によるものを除く。)ことをいう。
(文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」における定義)
(2)重大事態への対応
①学校から教育委員会に重大事態の発生を報告する。
②本校の対応組織は、生徒指導委員会を基本とする。
③重大事態に際しては、教育委員会と十分に連絡をとり、迅速かつ適切に対処し
ていく。
4.取組の評価
(1)年度に1回、いじめに対する取組および「いじめ防止基本方針」について、生徒
指導部会を中心に検証し、改善を図っていく。また、必要に応じて、より実践的
な取組になるよう改善を図り、「いじめ防止基本方針」に反映させていく。
(2)学校関係者評価委員会を通して、地域の方々にも「いじめ防止基本方針」の策定
に参画してもらう。
(3)保護者や生徒による「学校評価」またはPTAの活動を通じて、保護者や生徒の
声を「いじめ防止基本方針」に反映させていく。
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