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JIS D 1606:1987
自動車用スパークプラグの
エンジン適合性試験方法
解 説(2015 年改訂)
この解説は,次の理由によって,1987 年発行時に掲載した解説を改訂した。
4.(試験条件及び試験設備)に記載されている(5) 温度測定用スパークプラグについて,現状は,中心
電極(又は発火部絶縁体)先端に熱電対を挿入した構造と記載されているが,近年の厳しいエンジンの
管理によって,接地電極の温度測定も必要な場合があるようになってきた。このことから,温度測定用
スパークプラグの説明文から“中心”を削除,及び接地電極仕様の構造を例で示すことで対応を図った
ものである。
まえがき この規格は,いろいろな種類 及び 形式がある自動車用スパークプラグについて,エンジンに
適合するかどうかを試験する方法を規定している。
この規格は,当初“自動車用点火プラグ実用試験方法”の名称で昭和 26 年に制定され,その後,昭和
38 年 及び 昭和 51 年に改正された。また,これまでの規格は,社団法人 日本自動車部品工業会が作成し
た原案を,日本工業標準調査会 自動車部会 自動車点火プラグ専門委員会が主として審議してまとめてい
た。
昭和 60 年度に社団法人 自動車技術会 規格会議電装部会は,この規格を実状に即して改正する方針を決
め,同部会イグニション分科会が同年 4 月から 11 月までの間に 5 回の分科会を開催して改正案をまとめ,
自動車技術会 電装部会 及び 規格委員会の審議を経て,翌年 3 月に工業技術院へ提出した。これを日本工
業標準調査会 自動車航空部会 自動車専門委員会が審議して今回の改正となったものである。
イグニション分科会 構成表
(分科会長)
矢 野 恒 臣
日産自動車株式会社第 1 機関設計部
(幹
事)
西 尾 兼 光
日本特殊陶業株式会社プラグ技術部
(幹
事)
猪 俣
品川自動車電線株式会社技術部
昇
武 田 貞 生
通商産業省機械情報産業局
田 代 和 也
工業技術院標準部機械規格課
福 田 裕 充
工業技術院機械技術研究所機械部
野 田
交通安全公害研究所交通安全部
明
菱 川 正 敏
いすゞ自動車株式会社小型エンジン設計部
本 田
鈴木自動車工業株式会社四輪車体設計部
治
山 下 正 博
トヨタ自動車株式会社第 1 エンジン部
黒 尾 純 一
日産自動車株式会社第 1 機関設計部
高 橋 敏 夫
富士重工業株式会社スバル技術本部
梶 原 孝 男
株式会社本田技術研究所和光研究所
解
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D 1606:1987 解説
田 保 栄 三
俵
(事 務 局)
康 雄
三菱自動車工業株式会社乗用車技術センター
エンジン技術部
日本電装株式会社技術管理部
高 橋 佑 朋
日立オートモティブエンジニアリング株式会社
松 村 政 美
三菱電機株式会社姫路製作所開発部
峰 岸 壮 吉
自動車機器株式会社油圧事業部技術部
川 上 良 平
矢崎部品株式会社第 2 開発設計室
村 岡 良 三
社団法人日本自動車部品工業会技術部
柳 井 礼 子
社団法人自動車技術会規格課
今回の主な改正点 今回の主な改正点は,次のとおりである。
① 規格名称が従来“実用試験方法”となっていたが,これを“エンジン適合性試験方法”に改めた。
② 用語の意味の項を追加し,理解しやすいように改めた。
③ 試験の種類,内容を改め,最近のエンジンに適用できるものにした。
④ 試験設備,測定項目などを明確にし,理解しやすいものとした。
以下に,規格の各項目ごとに審議中の問題点も含めて解説する(以下の項目番号は,本体の項目番号と
同じ)
。
1.
適用範囲 この規格は,四輪自動車 及び 二輪自動車用スパークプラグの,装着エンジンに対する適
合性を調べる実用上の試験方法を定めたものである。
なお,試験結果の判定基準などについては受渡し当事者間の協定によるものとする。
2.
用語の意味
(1) プリイグニション試験 JIS B 0108[往復動内燃機関用語(一般)
]では,“火花点火”に先立って
生じる表面点火を“過早点火”とし,燃焼温度が非常に高くなったとき,スパークプラグの発火部,
排気弁頭 又は 燃焼室内の推積物などが熱点となり,スパークプラグでの火花放電による着火の前
に燃焼が起こる現象をいう。
この規格でいう“プリイグニション”は,スパークプラグが熱点となって発生する場合のことで
ある。
(3) くすぶり汚損試験 “くすぶり汚損”とは,不完全燃焼時に発生するカーボンがスパークプラグ発
火部絶縁体表面に付着し,液状燃料が補助的役割となって絶縁抵抗を下げ,やがて飛火できなくな
る現象である。
(4) カーボンの自己清浄試験 くすぶり汚損の主因であるカーボンは,温度が高く酸化雰囲気であれば
燃えてなくなる可燃物である。スパークプラグの温度が上昇し,スパークプラグの発火部絶縁体表
面に付着したカーボンが燃えてなくなる現象を自己清浄という。
4.
試験条件 及び 試験設備
(5) 温度測定用スパークプラグ 電極(又は発火部絶縁体)先端部に熱電対(アルメル・クロメル 又は
白金・白金ロジウム合金等)を挿入した構造をもち,火花すきまで点火しながら電極(又は発火部
絶縁体)先端の温度を測定するスパークプラグ。
解説図 1 及び解説図 2 に電極に熱電対を挿入した温度測定用スパークプラグの例を示す。
解
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D 1606:1987 解説
解説図 1-中心電極仕様
5.
解説図 2-接地電極仕様
試験方法
5.1 プリイグニション試験 この試験は,点火時期を進めていくとスパークプラグの温度が上昇すると
いう特性を利用したもので,正規の点火時期より次第に過進角させていき,プリイグニションが発生する
点火時期を求める。
(2) 供試用スパークプラグによる運転 スパークプラグの温度が最も高くなるシリンダに供試用スパー
クプラグを装着し,そのほかのシリンダにはプリイグニションが発生しないよう高熱価プラグを装
着して試験を行う。ただし,全気筒同時にプリイグニション発生の観察が可能な装置を使用した場
合は,全気筒に供試用スパークプラグを装着する。
(3) プリイグニションの測定 特に指定がない場合は,正規の点火時期から 2.5°ずつ 15°まで進角さ
せた状態で測定するが,ノックコントロール付エンジンの場合はノックコントロールの機能を停止
させて測定する。ただし,ノックコントロールの機能を停止させて試験ができない場合は,受渡し
当事者間の協定で試験方法を取り決める。
5.2 低負荷適合性試験
(2) カーボンの自己清浄試験 ここで用いるくすぶり汚損させたスパークプラグは,絶縁体表面にカー
ボンが均一に付着していることが重要である。
このカーボンの付着程度を判断する一つの目安として絶縁抵抗値を決めたもので,100~1 000
MΩ あたりが適当である。
これ以下では,エンジン不調を招くおそれがあり,また,1 000 MΩ 以上では,カーボンの付着が
不十分なため,約 100 MΩ とした。
5.3 耐久試験 この試験は,旧規格の“最大出力連続運転試験”のことである。
5.4 実車走行試験 この試験は,旧規格の“車両走行による性能試験”のことで,旧規格とほぼ同じ内
容で名称の変更と内容の表現を書き改めたものである。
6.
試験結果の記録
試験結果の記録様式について規定する意見もあったが,この規格にある試験方法 5
種類は,それぞれ独立したものであり,また,既に各社ごとの書式も実用化されていることから特に規定
はしないことにした。
原案作成委員会の構成表 原案作成分科会の構成表を,次に示す。
解
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D 1606:1987 解説
JIS D 1606 自動車用スパークプラグのエンジン適合試験方法 原案作成分科会 構成表
氏名
(分科会長)
(幹事)
(委員)
(事務局)
小
田
寺
荒
安
大
片
塩
鈴
鈴
棚
長
廣
森
和
友
林
村
村
川
蔵
村
桐
見
木
木
谷
嶋
瀬
所属
眞
正
英
一
洋
一
博
圭
清
泰
公
里
行
己
朗
一
郎
也
介
正
隆
彦
諭
敏 明
大
田 政 宗
野
絢
解
日産自動車株式会社
株式会社デンソー
日本特殊陶業株式会社
いすゞ自動車株式会社
日立オートモティブシステムズ阪神株式会社
株式会社本田技術研究所
一般社団法人日本自動車部品工業会
ボッシュ株式会社
三菱自動車工業株式会社
矢崎部品株式会社
三菱電機株式会社
トヨタ自動車株式会社
富士重工業株式会社
三菱自動車工業株式会社
株式会社フジクラ
公益社団法人自動車技術会
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一般財団法人日本規格協会
〒108-0073 東京都港区三田 3 丁目 13-12 三田 MT ビル
平成 27 年 8 月 20 日
解
発行
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