一般口演、ポスター発表用 抄録サンプル 透光性ジルコニアを用いたフルジルコニアクラウンの色調再現の方法 ○木下浩志1,中西正泰1,森川良一1,末瀬一彦1,山田太郎2 1 大阪歯科大学歯科技工士学校士専門学校, 2デジタル大学 Shading reproduction of full zirconia crown fabricated by translucent zirconia Kinoshita H1,Nakanishi M1,Morikawa R1,Suese K1,Yamada T2 1 Osaka Dental University, School of Dental Technicians 2 Digital University Ⅰ.目的 フルジルコニアクラウンを製作する際に使用されるジルコニア材料は,従来のジルコニア 材料の短所である不透明感を改善した透光性ジルコニア材料で,臨床におけるニーズの高ま りとともに各メーカーで開発が進められている. このジルコニア材料の特性である光透過性を生かすためには,クラウンの色調調整をシン タリングの後にステイン法のみで行うよりも,シンタリング前のクラウンに所要のボディー 色やインサイザル色に相当する着色用専用液を浸透させてからシンタリングする方法が深み のある色調の表現を効果的に行うことができ,シンタリング後のステイン材による色調調整 も少なくすることが可能である. 今回、ceramill システムを用いてシンタリング前着色法によるフルジルコニアクラウンの 製作上の要点について臨床例とともに報告する. Ⅱ.方法 CAD/CAM システムにおけるフルジルコニアクラウンの製作は,ceramill システム(アマン ギルバッハ社製) を使用した.ceramill システムの構成は, スキャニングに ceramill map400, ミリングマシーンは ceramill motion 2 を使用した. フルジルコニアクラウンの製作方法は,作業模型のスキャニングから半焼結ジルコニアの ミリングまでを制御する専用ソフトウエアceramill maindを起動し,スキャニングマシーン ceramill map400で作業模型をスキャニング,適切なクラウン形態を設計.ネスティングし, 半焼結透光性ジルコニアディスクceramill zolid(アマンギルバッハ社製)を乾式と湿式加 工が可能な5軸のミリングマシーンceramill motion 2によってミリング加工し,フルジル コニアクラウンを製作した.ceramill motion 2でミリング加工した半焼結フルジルコニア クラウンは,シンタリング前にジルコニア着色用専用液ceramill liquid(アマンギルバッ ハ社製)を用いて所定の歯冠色に着色し,乾燥器でメーカー指示に従い乾燥した後,シンタ リング用ファーネスKATANA-F1(ノリタケ社製)でメーカー指示の焼成スケジュールでシン タリングを行った.フルジルコニアクラウンの鏡面研磨(艶出し研磨)を行い,ステイニン グおよびグレイジングを行った. Ⅲ.結果と考察 ceramill システムは,作業過程のほとんどをアイコンの選択だけで進められ、CAD ソフト と CAM ソフトが1台の PC 上で扱うことができるため、操作性やデータの処理速度に優れ,素 材の変更が生じてもデータ間の互換性に優れ,ミリング加工も早い特徴がある.半焼結透光 性ジルコニア ceramill zolid は,シンタリング前の着色用専用液で処理後,シンタリング時 のクラック防止のため 80℃の乾燥炉でメーカー指示による乾燥を十分に行う.シンタリング 前に行う着色用専用液による操作は,無色の専用液が浸透するため焼成後でないと色調再現 の様相が定かではない.したがって,ある程度の経験が必要となるが,今回 ceramill zolid によるフルジルコニアクラウンの臼歯部症例は審美的に許容できる結果が得られた.
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