― 「企業倫理を実践している」と確信できる企業情報とは何か

BEI Business Ethics Institute
BEI News Letter 各社の実践事情
― 「企業倫理を実践している」と確信できる企業情報とは何か ―
002―1
コスモ石油株式会社
http://www.cosmo-oil.co.jp/index.html
※ 米国Newsweek誌2007年企業の世界ランキング500社で、
日本企業中「社会的責任ランキング」で三井物産とともに第2位にランクされる。
〈コメント〉
ホームページでは、CSR・環境保護、社会貢献&メセナ、IRに関する情報が大変充実して
いる一方、企業倫理の実践状況に関する情報がなく、その推進体制や行動指針などの基本的事項
の掲載のみになっており大変不足しているといわざるを得ない。サステナビリティレポートの内
容でも十分とは言えないが、わざわざこれも見なければならず、これでは一般の人には、企業倫
理の実践に関する情報が何も載っていないかのようにも映る。2006年に不祥事が発生したわ
けだが、そのために何をしているか、社内で企業倫理がどのように扱われ、どのようになってい
るのかが解らず疑問だけが残るのではないだろうか。
2006年版サステナビリティレポートの中には、具体的なこととして実施研修の一覧表が公
表されているところをみると、いろいろと社内では実施していることが想像できる。社内で企業
倫理浸透のために実践していることをホームページにもほかの情報と同じようにその具体的内容
を掲載すればいいわけで、今後の公表内容をランキング2位の企業には期待をしている。
2007.09
【ホームページ掲載主要情報】
1.トップステートメント
◆トップからのごあいさつ◆
http://www.cosmo-oil.co.jp/company/index.html
※サブタイトルを抜粋掲載する
原点に立ち返り、足場固めから次なるチャレンジへ。
社員一人ひとりの誇りと高い倫理観を共有できる企業文化を創造し、持続可能な地球環境を実現
していくための取り組みをスピードアップします。
事故・不祥事を風化させない。
安全管理体制の強化とコンプライアンスの意識の浸透・実践に、一丸となって取り組みます。
2007 年は、コスモ石油グループのCSR経営の原点に立ち返る。
社会とのつながり、ステークホルダーへの貢献の姿勢を社員の参加で確固たるものに。
「環境のコスモ」としての責任をまっとうし、新たな価値創造にもチャレンジ。
事業と環境コミュニケーションの両輪で地球規模の環境保全に貢献します。
ステークホルダーの「ココロも満タンに」することを目標に。
社員一人ひとりが「誇り」をもって働くことができる企業をめざします。
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最後に、私は、企業は「人」であるという信念を持っています。
社員はコスモ石油グループの存続の基盤ともいうべき重要なステークホルダーです。社員の生活
を豊かにしていくには、社会から支持され、安全かつ安定した業績を維持、拡大することが必要で
すが、それには、社会に存続を許される企業としての要件を満たしていることが求められます。す
なわち、社員は、コスモ石油グループと社会との信頼のサイクル形成のための重要な「担い手」で
あるといえます。
こうした考えのもと、コスモ石油グループで働くことに誇りを持ち、お互いの倫理観を高めあえ
る企業文化を育む環境づくりを進め、社員一人ひとりの力を発揮できる場、やりがいを持って働け
る場であるよう、人事制度や労働環境の向上を継続的に図ってまいります。
コスモ石油グループは、社会への責任を果たせる企業としての信頼回復に努め、すべてのステー
クホルダーへの貢献の姿勢を社員全員の理解と参加のもと、推進してまいります。
2.コード類
◆企業行動指針◆
http://www.cosmo-oil.co.jp/company/guideline.html
※行動指針の内容を公開している
第1章
消費者・ユーザーとの関係
第2章
取引先・同業者との関係
第3章
株主・投資家との関係
第4章
社会との関係
第5章
政治・行政との関係
第6章
社員との関係
第7章
会社・会社財産との関係
・・・(内容省略)
◆内部統制システムに関する基本方針◆
http://www.cosmo-oil.co.jp/company/control.html
※基本方針の内容を公開している
当社は、コスモ石油グループの経営理念及び企業行動指針を実践し、職務を適正かつ効率的に執行
するため、取締役及び使用人の職務執行の体制、これを支えるためのリスクマネジメント・内部監査
の体制、監査役による監査が実効的に行われることを確保するための体制の整備について、次のとお
り内部統制システムに関する基本方針を定める。
1.取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制について
2.損失の危険の管理に関する規程その他の体制について
3.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制について
4.取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制について
5.当社及びその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制について
6.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事
項及び当該使用人の取締役からの独立性に関する事項について
7.取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制及び
その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制について
・・・(内容省略)
3.組織の整備
◆企業倫理推進体制◆
http://www.cosmo-oil.co.jp/company/ethics.html
コスモ石油株式会社社長を委員長とする「コスモ石油グループ企業倫理委員会」を設置しておりま
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す。同委員会の下部組織として、各製油所に「製油所コンプライアンス委員会」を設置しております。
また、同委員会の運営を補佐するため「コスモ石油グループ企業倫理推進室」を設置し、併せて同推
進室内に「コスモ石油グループ企業倫理相談窓口(ヘルプライン)」を開設しております。
さらにグループ会社でも、各社の社長を企業倫理推進責任者として企業倫理の推進を図り、より社
会から信頼を得られるグループを目指していきます。
・組織体制図、構成員を公開
・・・(抜粋)
4.教育研修
◆意識の浸透◆
http://www.cosmo-oil.co.jp/sustainable/06/gov/compliance.html
※2006年版ササステナビリティレポートから抜粋、HP上には記載無し
全社員を対象に、毎年すべての事業所でコンプライアンス研修を実施し、浸透度のチェックのため
のアンケートを行っています。2005 年度は、「企業行動指針」をわかりやすく解説した啓発用の「コ
スモ石油グループ企業行動指針テキストブック」を発行しました。
企業倫理(コンプライアンス)研修
研修名
新入社員
新任管理職
新任
ライン長
事業所研修
2004 年度
2005 年度
テーマ(受講者数 研修時間 )
テーマ 受講者数 研修時間
経営理念、企業行動指針、個人情報保護 経営理念、企業行動指針、個人情報保護
(38 名、 1 時間)
(66 名、 1 時間)
経営理念、企業行動指針、個人情報保護、 経営理念、企業行動指針、個人情報保護、
法規制全般
(45 名、 1 時間) 法規制全般
(49 名、 1 時間)
経営理念、企業行動指針、個人情報保護、 経営理念、企業行動指針、個人情報保護、
クレーム対応
(23 名、 1 時間)
個人情報取り扱い(1,119 名、1 時間)
クレーム対応
(36 名、 1 時間)
企業行動指針テキストブック、情報管理、
独占禁止法(注)
(1,734 名、 1 時間)
(注)主要部署および関係会社は独占禁止法
5.監査、モニタリング
◆不祥事の再発防止に向けて◆
http://www.cosmo-oil.co.jp/sustainable/06/gov/compliance.html#COLUMN
※2006年版サステナビリティレポートから各々抜粋、HP上には記載無し
-企業倫理推進活動の強化
・・・・・省略・・・・・
●全社的モニタリング体制の見直し
従来から企業倫理やコンプライアンスの理解と浸透状況について、アンケート調査を行って
おりましたが、再度現状把握を行い取り組みの実効性を高めるために、全社的な調査・分析・
検証方法を見直します。
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http://www.beinstitute.org/
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-けん制・モニタリング機能の強化
・・・・・省略・・・・・
●重畳的内部監査体制の実施
製油所での内部監査のほかに、本社安全環境部、技術部および他製油所の安全環境室、工務
課が、当該製油所の工事実績と法令手続きの実施状況を定期的に照合検査します。加えて本社
監査室による監査を重畳的に実施します。
これら一連のモニタリングを通して、製油所における業務運営の適正を確認し、あわせて製
油所運営の透明化を図ってまいります。
6.ヘルプライン
◆企業倫理相談窓口(ヘルプライン)の設置◆
※サステナビリティレポートから各々抜粋、HP上には記載無し
●2006年版サステナビリティレポートから抜粋
2006 年 4 月の「公益通報者保護法」施行に先立ち、社内外の方々がグループ内の業務などに
関する法令や倫理上の問題を相談や通報できる窓口を設置しています。相談者の不利益にならな
いよう匿名性を保障し、外部専門家への窓口も設置しています。
http://www.cosmo-oil.co.jp/sustainable/06/gov/compliance.html
●2007年版サステナビリティレポートから抜粋
社内外の方々がグループ内の業務などに関する法令や倫理上の問題を相談、通報できる窓口を
設置しています。窓口は社内の企業倫理推進室内に加えて、外部専門家への相談窓口も設置して
います。相談者の不利益にならないよう匿名性を確保しています。2006 年度は 6 件の相談を受
付け、早急に対応を行いました。また、人事部門内にセクハラ・パワハラに関する相談窓口を設
置しています。
http://www.cosmo-oil.co.jp/kankyo/publish/sustain/pdf/2007/sus2007_20.pdf
7.ツール類
○無し
8.その他の公表内容
○無し
(了)
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