第2部 賢いリニューアル事業のキーポイント A. 居ながら建替の問題解決法は? B. 高騰するコストにどう対応する? C. 建物をグレードアップするリニューアルとは? 1 57 消費税増税 平成26年4月1日から8% 平成27年10月1日から10% 《2012年8月10日成立》 経過措置(前回の経過措置を踏まえて) 平成27年3月末日までに契約した長期工事の請負なら 竣工引渡しが平成27年10月1日以後でも8%の消費税 2 58 建築工事費高騰の実際 ■最近の実例(ゆう設計の実績) 2013の末以降、坪95万円を超えるケースが増えている (一昨年契約実績では坪60万円台も見られたが、その後、 2から30%程度上昇した) ☆ 近畿では、大震災特需・不透明な経済状況・その他 から、都心に流れる職人が生み出す人で不足。 ★ 2013年後半契約物件では、急性期病院新築工事で、 坪105万円を超えるケースがあった。 2014年秋の状況は、この1年間でみると、おおよそ5から 7%の上昇。 (労務費だけで7%程度。材料は4%前後の上昇) 3 59 公共工事設計労務費が2013年3月に前年度比15%アップ 建設物価指数 資材は12年から3から4%アップ。 ただし、この1年間では、労務費は約7%、物価指数は約3.9% 工事費は全体で5から7%程度アップ 都市別建設資材価格指数(建築) 札幌 仙台 東京 新潟 名古屋 大阪 広島 2010年度(平成22年度)=100 高松 福岡 那覇 全国 06年度平均 99.4 103.7 95.8 101.9 100.1 102.8 96.7 104.7 99.5 91.1 98.7 07年度平均 101.4 102.0 100.3 101.0 103.5 102.5 98.1 105.1 101.2 100.1 101.3 08年度平均 107.6 104.7 110.5 104.7 111.0 105.4 101.0 110.5 105.6 109.4 108.1 09年度平均 104.6 99.3 97.8 101.3 99.9 98.8 97.7 96.1 97.7 96.6 99.2 10年度平均 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 11年度平均 99.7 101.9 102.5 99.7 100.3 101.7 100.5 104.5 102.0 101.0 101.2 12年度平均 102.0 104.8 98.9 97.8 97.8 98.9 98.7 102.3 99.2 98.0 99.4 13年度平均 106.9 112.9 103.9 104.2 103.8 101.3 101.4 105.7 104.3 100.9 104.3 13年 10月 106.0 112.7 102.2 102.7 102.7 100.2 100.0 103.7 103.3 101.0 103.1 11月 106.1 112.9 104.1 105.4 104.2 101.5 102.4 106.7 105.9 101.3 104.6 12月 106.3 114.6 105.1 105.7 105.6 102.1 102.8 107.3 106.3 102.0 105.4 14年 1月 109.6 115.1 107.5 106.0 107.1 102.6 103.1 107.7 109.1 102.7 107.2 2月 109.8 117.6 110.0 111.2 109.8 105.7 105.6 112.2 110.5 103.1 109.4 3月 111.6 117.6 110.0 111.2 109.8 105.7 105.6 112.2 110.5 103.1 109.7 4月 111.6 117.6 110.0 111.2 109.6 105.6 105.7 112.2 110.6 103.5 109.7 5月 111.6 117.8 108.4 111.2 109.6 105.6 105.7 112.2 110.6 103.5 109.2 6月 111.7 117.8 108.1 111.1 111.4 105.4 105.6 112.1 110.6 103.3 109.3 7月 111.6 117.8 108.0 111.6 111.4 105.5 105.7 112.1 110.4 103.4 109.3 8月 111.6 117.8 108.1 111.6 111.1 105.2 105.6 112.0 110.4 103.4 109.3 9月 112.3 117.8 108.1 111.7 111.2 105.2 105.6 112.1 110.4 103.4 109.4 10月 112.3 117.8 108.1 111.7 111.3 105.2 105.6 112.1 110.4 ※仙台・全国の11年度平均については欠損データを含む4月を除いた11ヶ月分で算出しております。 103.5 109.4 4 60 現況と将来予測について 結論的に、建設工事費は2011年ころから25∼30%程度上昇 今までおさえられていた労務費が東日本大震災特需等に よる人で不足を背景に上昇。あわせて、材料も値上がり 公共工事は、2013年に労務費設計単価が見直され実勢に近づいた。 2014年秋頃になり、材料費の上昇は落ち着きを見せ、労務のみが 微増状況。ただし、再来年の公共工事発注の減少予測から、少し ずつ、競争状況が作り出されてきている。 大手、中小ゼネコンの価格競争がはじまる? 5 61 ゼネコン(営業最戸の予測) T工務店 95-110 ・去年から今秋にかけては、大きくは上がっていない。 ・昨年は、小規模物件は受けられない状況であったが、再来年度 の公共工事発注の減少予想から、小規模も受ける方向。 ・また、中堅が勝負をかけてくることも遭遇する。 ・S造中心は引き続きの傾向。RCも額的には変わらないが工期で不利。 Ko 95前後 ・全くの横ばい状況。 ・S造中心だが、RCにも乗り出す傾向。 Mura 90-105 ・材料は落ち着いたが、労務は変わらず高値が続いている。 ・工事は多く、効率のよい仕事を求めている。 ・大手には経費では勝てるが瞬間風速が怖い。地場の乗り込みも怖い。 6 62 ゆう設計 物件 平成25・26年度 種別 地域 医療施設の建築単価の動向 見積もり 契約金額(税抜き) 着工 平成25年度の契約結果(税込) S病院 リハビリ病院 中国 入札 Oリハ リハビリ病院 中国 見積もり合わせ S病院 急性期病院 関西 Ko病院 総合病院 CSクリ ニック U外科 建築本体 102万円/坪 H26年10月 建築本体 100万円/坪 H26年8月 見積もり合わせ 建築本体 105万円/坪 H26年3月 関東 入札 建築本体 96万円/坪 H25年11月 透析クリニック 関東 入札 建築本体 84万円/坪 H25年10月 透析病院 関西 入札 建築本体 112万円/坪 H25年9月 7 63 ゆう設計 物件 平成25・26年度 種別 地域 第一回目 福祉施設の建築単価の動向 第二回目 契約金額 着工 平成25年度の入札結果(税込) T特養 A特養 I特養 T サ高住 広域型 + 地域密着型 地域密着型 広域型 サ高住 関西 関西 入札参加業者数集 まらず不調 76万6千円/坪 不調 VE/CD 返済期間延長 72万2千円/坪 建築本体 68万3千円/坪 開発工事 3万9千円/坪 82万4千円/坪 不調 VE/CD 事業費上乗せ H25年 3月 H25年 5月 76万4千円/坪 関東 関西 総額 総額 81万6千円/坪 建築本体 73万2千円/坪 免震工事 8万4千円/坪 ※見積もり合わせ VE/CD 100万9千円/坪 H25年 11月 90万2千円/坪 H25年 9月 92万5千円/坪 H26年 9月 変更計画 1060坪 90万/坪(税込) 83万3千円(税抜) H27年3月 目標 平成26年度の入札結果 TW 特養 地域密着+ ショート10 S特養 広域型50 + ショート10 関西 関西 1217.6坪 95万2千円/坪(税 込) 不調 設計変更 プラン変更・面積削減 VE/CD 8 64 まとめ と 対策 現時点では、民高官低、東高西低、おおむね12年春から20から25% 今後予想では、下がる要因は少ないが、不況再来による下落も?? 但し、高止まりは全てのゼネコン・工務店ではない こちらの望む金額に達成できるゼネコンもある ゼネコンともにローコスト化を図る 9 65 2点に集約されるローコスト実現のための対策 ① 時間を掛け、希望価格にまで降りてくる業者を選定 ポイントは ② ・工事時期 ・余裕ある工期 ・支払いの担保 ・近隣・材料搬出入のリスク軽減 ヴァリュー・エンジニアリング(VE)の活用 VEは本来、基本設計+設備構造の基本設計段階で、 設計内容洗い直し後、幅広い知識と経験から代替案を作成 代替案の一部、全部を採用し、設計の見直しをする方法 10 66 ローコストの意味 安いほうが返済が楽 建設コストは 経常収支に 影響を持続 総コスト縮減 のキーは 建設コスト 安いほうが返済が楽 イニシャル コスト 施設整備 コスト ランニング コスト 運営費 コスト 少ない方が運営が楽 少ない方が運営が楽 11 67 ★収入限度のある介護事業は、初期及び経常支出を共に抑えること ★必要な機能を見極め、コスト配分と縮減の努力 ポイントⅠ が不可欠 建設費 18.2% ローコスト化の本当の意味 イニシャルコストとランニングコスト両者を検討する ランニングコストはイニシャルコストより格段に大きい ポイントⅡ が大切 運用費 42.8% 修繕費 改善費 10.9% 保全費 25.7% 一般管理費 その他 2.4% イニシャルコスト(建設費等)の縮減 初期支出の最大要素の建設コスト縮減は、経常支出縮減にも影響 建設コスト縮減へのさまざまな努力 ◆VE・CM 日本初の取り組みとコスト縮減の達成 ◆市販品の活用 あらゆる高齢者向け建築材料・設備の比較検討 ◆リースの活用 建築に関わる幅広いコンサルティングの実施 ポイントⅢ ランニングコストへの視点と設計内容 ランニングコストの影響を設計段階で把握するLCC(ライフサイクルコスト)の考え 12 長期修繕計画の徹底把握による安定経営事業計画 68 躯体構造の検討 ・建物は鉄筋コンクリート造、鉄骨造が主だが、条件を満たせば軽量鉄骨造も可能 ・柱のスパン割(柱間隔)によるコスト比較を行う 構造耐震基準 Qu/Qun≧1.00 Qu/Qun≧1.25 Qu/Qun≧1.50 RC標準スパン 100 102 135 RCロングスパン 110 113 134 SRC+内部S梁 104 107 110 架構 → 柱間隔を広げれば梁が大きくなるため階高を低く抑える計画の場合、 室内に梁型が見えてくる → 柱間隔を広げると柱の本数を減らすことができるため、 杭の本数も減らすことができ、コスト削減効果が見込める 13 69 コスト縮減(イニシャル・ライフサイクルコスト)の手法 VE手法の導入 ・設計段階でヴァリューエンジニアリングを導 入し、機能性と経済性を両立する合理的な建 設手法によるイニシャルコストの縮減を図り ます。 大スパンの採用 ・構造種別毎の特徴比較により構造コストと架 構計画を最適化し、大スパンの採用により杭 本数を減らすなど、建設コストを縮減します。 既存病院の状況把握によるコスト縮減 ・既存病院のエネルギー消費特性データを踏ま えた、根拠に基づく光熱水費・改修修繕費・ 管理清掃費の縮減、さらには温室効果ガス排 出量の削減を図り、病院経営の安定化を支援 します。 設備機器の局所配置とスタンダード品の活用 ・設備機器で可能なものは局所配置とすること により、ダクト、配管を最小化し、更新にも 細かく対応できるよう計画します。 ・建設資材、設備機器は高品質で安価なスタン ダード品を採用。設備ユニット配管・ケーブ ル等、プレファブ化で設備工事費を削減しま す。 70 自然エネルギーの活用と遮蔽 ・日射遮蔽、高断熱等の手法による外部からの 熱負荷軽減、自然エネルギーの最大限の活用 により、光熱水費を削減します。 仕上げ材、高効率な機器の使用 ・ノンワックス床材や防汚仕上材、メンテナン スフリーの光触媒外装材、長寿命高効率の LED照明、節水型衛生機器等の最新技術の 採用により、保守管理費を削減。長寿医療と 共に、建物の長寿命化にも配慮します。 建物寿命の長寿化こそコスト縮減に繋がる ・建物の建替え間隔自体を延ばし、建物も人と同 様に「健康大長寿」を目指すことが一番のコス ト縮減と考えています。今回の建替えを含め、 今後建設する建物はこれまでの建物寿命の倍以 上(70年~100年)使い続けること前提に 計画します。
© Copyright 2024 ExpyDoc