病害虫対策資料第 10 号佐農技防第 533 号平成 25 月 9 月 30 日各関係機関長様佐賀県農業技術防除センター所長野菜・花き類におけるチョウ目害虫の防除徹底について ∼フェロモントラップの誘殺数が急増しています∼ 9 月下旬の野菜・花き類の定期巡回調査において、チョウ目害虫（ハスモンヨトウ、オオタバコガ、シロイチモジヨトウ）は平年よりやや少ない発生ですが、一部チョウ目害虫において、フェロモントラップの誘殺数が 9 月上中旬から急増しており、今後の発生に注意する必要があります。このため、圃場におけるチョウ目害虫による食害や寄生状況を的確に把握し、発生状況に応じた防除を徹底し、被害の防止に努めてください。記１．発生概況等１）巡回調査（9 月中下旬）における発生状況 (1)イチゴにおける食害を認めていない（食害株率：平年 4.1％、前年 0.7％）。 (2)アスパラガスにおける食害を認めていない（食害株率：平年 7.5％、前年 0％）。 (3)ナスにおける食害を認めていない（食害株率：平年 5.6％、前年 0％）。 (4)キクにおける食害を認めていない（食害株率：平年 1.5％、前年 1.7％）。２）フェロモントラップにおける誘殺状況 (1)ハスモンヨトウ県内 9 地点の雄成虫の平均誘殺数は、9 月上旬から中旬にかけて急増し、平年より多く推移している（図１）。 2500 多発生年(H16年) 平年本年(H25年） 2000 1500 1000 500 0 ８月 1半旬９月 1半旬 10月 1半旬図１フェロモントラップによるハスモンヨトウの半旬別誘殺数（9月4半旬まで）（農業共済組合、農業試験研究センター、農業技術防除センターによる県内９地点の平均誘殺数。ただし、年によっては、8月2半旬頃から調査開始の地点がある。） (2)オオタバコガ農業試験研究センター（川副町）及び病害虫防除員調査（川副町 2 地点）における雄成虫の誘殺数は、9 月中旬から急増し、平年より多く推移している（図 2、3）。 200 多発生年（H14年）平年本年（H25年） 150 100 50 0 8月1半旬 9月1半旬 10月1半旬図２フェロモントラップによるオオタバコガの半旬別誘殺数（川副町・農業試験研究センター調査） 125 平年（過去8年）前年本年 100 75 50 25 0 ８上８中８下９上９中９下 10上図３フェロモントラップによるオオタバコガの旬別誘殺数（病害虫防除員調査による県内2地点の平均誘殺数） 10中 10下 (3)シロイチモジヨトウ農業試験研究センター（川副町）及び病害虫防除員調査（上峰町及びみやき町）における雄成虫の 9 月の誘殺数は、平年より少∼やや少なく推移している（図 4、5）。 200 多発生年（H14年）平年本年（H25年） 150 100 50 0 8月1半旬 9月1半旬 10月1半旬図４フェロモントラップによるシロイチモジヨトウの半旬別誘殺数（川副町・農業試験研究センター調査） 100 平年（過去7年）前年本年 75 50 25 0 ８上８中８下９上９中９下 10上 10中 10下図５フェロモントラップによるシロイチモジヨトウの旬別誘殺数（病害虫防除員調査による県内2地点の平均誘殺数）３）気象予報福岡管区気象台が 9 月 25 日に発表した九州北部地方の 3 ヶ月予報では、向こう 1 ヵ月の気象条件はチョウ目害虫にとって多発生の条件となっている。２．防除対策 (1)施設開口部に防虫ネット（4mm 目以下）などを張り、成虫の飛来を防ぐ。 (2)卵塊や若齢幼虫の発生に注意し、発生を認めたら直ちに防除を行う。ただし、オオタバコガの卵はハスモンヨトウやシロイチモジヨトウと異なり、卵塊ではなく 1 卵ずつ産み付けられるので注意する。 (3)シロイチモジヨトウやオオタバコガの幼虫は、果実や花蕾へ食入して加害するため薬剤がかかりにくい。早期発見に努め、若齢幼虫のうちに防除するか、食入部位の除去と幼虫の捕殺を徹底する。 (4)交信攪乱フェロモン剤を施設内に設置して成虫の交尾阻害を行い、生息密度の低下を図る。 (5)幼虫のハウス内への侵入を防止するため、ハウス周辺に水を溜めた遮断溝を設ける。 (6)その他の防除対策については「平成 25 年度施肥・病害虫防除・雑草防除のてびき＜麦類・野菜・花き・飼料作物＞」のオオタバコガ（P152）、シロイチモジヨトウ（P153）あるいは各野菜・花き類におけるチョウ目害虫の項を参照する。 (7)薬剤防除の当たっては、収穫前日数等の使用方法を遵守する。写真 1 アスパラガスに寄生するハスモンヨトウ幼虫写真 3 トマトに寄生するオオタバコガ幼虫写真 2 アスパラガスに寄生するシロイチモジヨトウ幼虫