第142号

共創・共育・共感
尾鷲市教育長だより
2015.9.11.(金)
読書の秋
第142号
~ファミリー読書のススメ~
夏休み、市内の学校はファミリー読書に取り組みました。その取り組みのなかでファミリ
ー読書報告シートを活用した報告がありました。
報告シートには、家族読書≪読もう・書こう・話そう≫と書かれていて、読んだ本[作者]、
本を読んだ児童生徒の感想、本の感想や子どもの様子(保護者記入)などの記入欄があり、
子どもの読んだ本の種類やその本ごとの感想が書かれているだけでなく、読書している子ど
もの様子についての保護者の感想も記入されていました。
報告シートの一例を紹介させてもらいますと、
7/24 「お母さん、今日はファミリー読書デーやで!」と言われ一緒に読書しました。
普段ゆっくりと本を読むことがないので、子供と一緒に、こういう時間が持てて
良かったです。
7/29 話しかけても返事がない…。それぐらい真剣に本に集中していました。
8/ 2
一日で3冊一気に読めることに感心しました。
このシリーズが読みやすいのかな…?
報告シートには、こうした記入がたくさんあり、読ませてもらって、とても楽しく、素敵
な取り組みだなと深く感心させられました。こうした取り組みをもっと広めていきたいと考
えています。
やがて、「読書週間」(10月27日~11月9日)がやってきます。
昭和22年、まだ戦火の傷跡が至る所に残っている中で、「読書の力によって平和な文化
国家を作ろう」という決意のもと、日本図書館協会などを中心として第1回の「読書週間」
が開催されました。(この時は、11月17日から始めたそうです。)
この年は日本国憲法が施行された年でもあり、自由で民主的で文化の薫り高い新しい国づ
くりのために「読書の力」が必要だと考えられたことには、感慨深いものがあります。
第2回からは、「文化の日」を中心とした前後の2週間、10月27日から11月9日ま
でを「読書週間」とし、この期間には、全国各地で読書に関する様々な取り組みが行われて
います。なお、読書週間がはじまる10月27日は、平成17年7月に制定された「文字・
活字文化振興法」によって定められた「文字・活字文化の日」になっています。
本市では今年度、読書活動推進のために、次の4つの基本方針を掲げ、
1.子どもが読書に親しむ機会の提供
2.学校・園における読書活動の充実
3.学校図書館の充実・環境整備
3.読書をとおした家庭での対話増進
市立図書館をはじめ、各学校図書室への図書費の大幅増額や学校図書館司書2名の配置を
行い、子どもたちの心身の健やかな成長を願って、幼稚園・小中学校・市立図書館・保護者
・地域が連携・協働しながら、おわせっ子の読書活動推進に力を入れています。
<読書活動推進6つのアクション>
1.児童生徒と本をつなぐ役割を果たす、学校司書の配置
2.学校図書館たよりの発行
3.蔵書の充実と展示方法などの工夫
4.ファミリー読書の推進(読書習慣づくり)
5.幼稚園・学校における「読み書かせ」や「語り」の実施
(学校司書・図書ボランティア・保護者との連携)
6.市立図書館との連携(幼稚園・学校への蔵書の貸し出し)
右図のように、今の子どもたちの
身体の成長と心の成長には、大きな
ギャップがあります。身体は急成長
身体の急成長
の傾向なのですが、心は低成長の傾
思春期のギャップ
向なのです。さまざまな体験や仲間
・家族との対話・ふれ合いの不足、
読書離れなどにより、心の成長がゆ
精神生活の底上!
心の低成長
るやかになっているのです。
読書活動による間接体験などで、
子どもたちの世界は広がります。ま
た、家族や仲間との対話も増えます。
読書活動は間接的な体験をとおして、子ど
もたちを多様で豊かな世界に誘い、精神生活
を豊かにし、底上げします。
そして、心の低成長が克服されます。
「小さい頃、家の人に本を読んでもらったことがある児童生徒ほど、本を読むことが好き
な傾向にある」「保護者の1か月の本を読む冊数が多いほど、児童生徒は本を読むことが好
きで、読む冊数も多くなっている」といった調査結果もあります。
読む楽しさを知り、本に手を伸ばす子どもを育てるために、あまり肩に力を入れず、子ど
もたちが読んでいる教科書や借りてきた児童書や絵本を手にとって、一緒に読んでみるのも
いいと思います。そうしたファミリー読書に取り組んでみてはどうでしょうか。