製品・フロントライン ショ糖脂肪酸エステル DKエステル グルメ、健康志向で注目されるノンフライ麺に活かされる食品添加物。 急速に変化する食品業界。消費者の嗜好に応える新製品の数々。そんなトレンドに即応するために、常に動いている 市場や食のシーンを見つめて、真に暮らしに役立つ製品を提供している機能化学品事業部、生活・食品担当。 今 回のフロントラインは、ノンフライ麺のほぐれやすさを改 善するD Kエステルについて、新 井 淳 也さんに語って いただきました。 ―― DKエステルの特長をまずお話しください。 のほぐれの問題を解消したいとの要望が増えています。 新 井 当 社は、すでに1 9 7 1 年 から食 品 添 加 物としてショ糖 脂 肪 酸 過去にも麺のほぐれ剤に着目し、採用を目指しましたが、その時に エステル、DKエステルの製造販売を開始しています。今では、加工 は思うような麺商品の開発はできませんでした。しかし最近の麺業界 油脂、製菓、乳製品、飲料、さらには医薬品まで幅広く活躍している の背景をうけ再度この市場にチャレンジし、DKエステルを使った麺製 D Kエステルはショ糖を親 水 基として脂 肪 酸を親 油 基とした非イオ 品で、スーパーの棚を埋めつくしたいです。 ショ糖脂肪酸エステル ン界 面 活 性 剤です。その特 長は、無 味 無 臭で、食 味にはほとんど影 響を与えることはありません。原料は砂 糖とパーム椰 子から採れる DKエステル ―― 自身も、料理好きと聞きましたが、麺に対して関心も高いのでしょうか。 油で、天然由来です。また用途によって、より高い効果を発揮する数 新井 入社する以前から、 「食」には関心が高かったですね 。食品に関 多くのラインアップを取りそろえています。 連する部署に携わりたいという想いもありました。私は、自分で料理を 今、当社が特に注力しているのが、最近即席麺の中で話題の、袋 作りますし、麺を自分で打って、切るなど、一から手作りするようなこと タイプのノンフライ麺です。しっとりモチモチした食 感 が、グルメ志 もやっています。また、プロの料理人でもある友人と一緒に、たまに「手 向とあいまって、人気が高まっています。油で揚げていないので、摂 作り料理会」を開いています。 ❷幅広いHLB値 取カロリーも低く抑えられ 、ダイエットや 健 康 志 向といった時 代 の 当社の研究所では実際に、麺を作って調理実験を行っています。私 ❸食品用の乳化剤として好適 ニーズにもぴったり合っています。 が扱っている製品が、 どのように使われ、 どのように活かされるのかを、 私自身 が 実 際 に体 験し、その 成 果をお ―― ノンフライ麺に、どのような効 果 が 期 待できるのでしょうか。 客様にお薦めすることは、当然なことと 新井 麺 にD Kエステルを使うことで、麺 のほぐれ 性 の 改 善 が 期 待 強く感じています。 できます。すでにゆで麺業界で、DKエステルが採用になっています。 休日にはラーメン の 食 べ 歩きをよく この技 術を近 年 人 気の袋タイプのノンフライ麺にも応 用できない しています。仕事柄でしょうか、どうして かと提 案しています。これまでは、袋タイ も麺 が 気 になります が 、そ れ だ けで は プ は 鍋 で 戻 さな け れ ば ならな い た め 、 なくその太さによって、スープのからみ カップタイプ のものに比 べ 、調 理 に手 間 がどのように違ってくるかなど、つい気になってしまいます。 ■特長 ❶食品添加物公定書規格に合格 ■構造式 RCOOCH 2 O H HOCH 2 O H H OH H H OH HO O H H HO CH 2OH OH H R:アルキル基 ショ糖脂肪酸エステルの化学構造(モノエステル) が か かるということで、需 要 は 低 迷 傾 向 新井 淳也 あらい じゅんや 機能化学品事業部 機能化学品営業部 生活・食品東部担当 03-3275- 0568 [email protected] 14 第一工業製薬 社報 No.571 拓人2015冬 でした。最近では生麺のようなしっとりモ ―― 今まさに、拡販の契機と言えますが、 これからの営業活動における チモチした食感を再現したノンフライ麺 抱負を聞かせてください。 ■ HLB値 DK エステル SS HLB 値 約 19 が大ヒットしたことで、袋タイプの需要が 新井 時 代の変 化の中で、味 覚 や 嗜 好、お いしさへのこだ わりは、日 伸びています。 進月歩と言 いますか、急 速に変 化しています。しかも、このトレンドと そこで、この新しい市場に着目し、DKエステルを活用できないか いうのは、一地域、一国にとどまらず、あっという間に世界中に広まっ F-110 11 というのが私の狙いです。即席麺には油揚麺とノンフライ麺があり ていくというような感じですね。 F-90 9.5 ます。前 者では、麺の表 面の糊 化したでんぷんがフライ油により絞 だ からこそ、見つめる基 本はつ ねに「今 動 いている食の現 場」だと F-70 8 F-50 6 められます。この油 が 離 型 剤として機 能するため、ほぐれ 剤は必 須 痛感しています。実証データに基づ いた営業活動に加え、自分の目と、 F-20W 2 にはなりません。しかしノンフライ麺は、表 面のでんぷんが 糊 化し 料理する手と、それから味わう舌まで、ひとつのツールとして活用し、 F-10 1 FA-10E − た状態で熱風乾燥され商品となるため、麺同士が結着し、ほぐれ性 「世界の嗜好にあった食品作り」に活かされる製品をご提供していき が悪くなる課題があります。そのため、各麺メーカーさんからは、こ たいと思っています。私がやらないと誰がやるという心境でいます。 F-160 15 F-140 13 第一工業製薬 社報 No.571 拓人 2015冬 15
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