スポーツ選手に対するメディカルチェックの紹介と有用性 ~相澤病院

スポーツ選手に対するメディカルチェックの紹介と有用性
~相澤病院スポーツ障害予防治療センターの取り組み~
始めに:近年,スポーツ障害予防としてのメディカルチェック(以下 MC)の報告が増加している。しかし、その後の病院
受診率の低さなどにより,障害保有率の低下に直結しないなどの問題が表面化してきている。われわれは、医療保険で
の通常診療に加え,保険外自由診療でのメディカルチェック(以下 MC)を実施し障害予防を図っている.今回,その活
動内容を紹介し,有用性についての調査結果を報告する.
方法:希望によりチーム単位もしくはチーム内希望者に対して,始めに医師が障害の有無,関節可動域,基本動作,体
幹機能の確認などを行なう.疼痛要因や障害予防上改善を要する点を評価結果から分析し,選手と理学療法士へ伝
える.理学療法士はストレッチ指導,補正的なエクササイズ,疼痛の出現を予防していくためのトレーニングメニューを
選手に実施させる.選手達には柔軟性の左右差や基本動作の問題点を理解し,その場でケアやトレーニングによる身
体機能の変化を実感してもらい,継続的に実行していくように指導する.各評価結果は達成率として表し,個々の状態
やチーム全体の傾向を,監督,コーチ,選手へフィードバックする.原則として年間 2 回の MC を行い,その間に適宜フ
ォローアップを行い,必要に応じて医療保険での通常診療を行う.
結果:代表例として中学校野球チームの実施結果を示す. 1 回目の MC を実施した 4 ヶ月後に再度 MC を実施し,達
成率を評価した.結果,障害保有率は 59%から 30%へ減少していた.顕著な関節可動域左右差を認めない割合は
74%から 81%へ増加,良好な体幹機能の保有率は 77%から 88%へ増加,基本動作を問題なくできる割合は 67%から
92%へ増加していた.
結論:通常診療と MC の組み合わせにより,運動機能の向上や障害保有率の減少に対して効果が認められた.保険外
自由診療という新しい形態の MC が,障害予防事業として有用であることが示唆された.