M. Spear の訳の抜粋 咬合高径変更の安定性 咬合高径を変更した後の安定性については、2 つの考え方がある。 一つは、咬合高径のいかなる変更も歯の圧下や挺出などにより以前の高径の戻ってしまうという考えである。 咬筋・内側翼突筋は、恒常的で咬合高径が変わって変化しても筋肉の本来の性質により以前の状態に戻るとし ている(Fig.7)。 もう一つは、筋肉の長さを変化させることにより咬合高径の変化に適応するというものである。 これらの主張は、咬合高径を変化させた後の安定性について数十年にわたり混乱をもたらしてきた。 後戻りが起きたり起きなかったりする現象は、顎関節・咬筋・内側翼突筋・前歯の幾何学的な相間関係によ るものであろう。 ★ 「スライド Figure9 の説明」 前歯部で 3mm の咬合高径の挙上は、咬筋において 1mm 以内の変化として現れる。 咬合挙上時に、関節頭が関節窩にシートしていれば咬筋・内側翼突筋が最低限の変化を伴い後戻りはない だろう。しかし、前歯部挙上時に顆頭の垂直的位置に変化がなければ筋肉長は変化し後戻りを招くかもし れない。 「このイラストレーションは、前歯部咬合挙常時、関節窩にシートしていれば顆頭の高径は減少するとい う幾何学的な関係を表している。」 イダの注釈(おそらくシートするというのは顆頭位が安定してるということだと思います) Dawson より 咬合高径は、固定した上顎と筋肉により位置づけられた下顎との間に存在する垂直的な高径と言うことが できる。換言すれば、挙上筋群の収縮が抵抗力となり歯の萌出の度合いを決定することとなる。 ★イダ注釈:楡井先生に渡した Spear の論文の Fig.7 で「咬筋が、上下顎間に挿入されることにより前歯 部の咬合高径と関連する」述べています。 また、各歯の垂直的位置は与えられた空間に適応する物であり均等な反対方向の力に出会うまで恒常的な 萌出力は存在する。 ★イダ注釈:海部先生の人類学的な「連続的萌出」と同じことといえそうです。 咬合高径は筋肉を主体と考えた方が良さそうです。しかし、Dawson は、安静位からの咬合高径決定に は否定的です・・・。 咬合挙上について 歯槽骨が硬化性・咀嚼筋が肥大性の場合の挙上は禁忌と考える。 多くの外骨腫のような硬い硬化した骨では、正常歯槽骨のようなリモデリング能力を持たないとしている。
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