公衆衛生学コース 演習①-2 統計指標の意味と計算 ( 14:30 ~ 解説 ) 2015. 10. 28 問題1 (1) 症例対照研究 (患者対照研究) Case-control study 〔後ろ向き研究〕 Retrospective study 問題1 (2) 疾患発生における要因のリスク(講義38 p.32) 要因対照研究 → 相対危険度 RR RR=要因曝露群の罹患率 / 対照群の罹患率 症例対照研究では求められない! 要因暴露のオッズ比ORはRRの近似値となる(p.34) 条件:①その疾患の有病率や罹患率が十分に低い ②症例群と対照群で要因暴露状況が母集団と同様 問題1(2) 高脂肪食(+) 高脂肪食(-) 症例群 対照群 a 60 c 40 b 50 d 50 100 100 60×50 ad OR= = = 1.5 50×40 bc 高脂肪食者は、高脂肪食でない者に比べ、結腸癌 を発症するリスクが1.5倍になると推定される。 ( OR または RR > 1 → リスク要因 ) 問題1(3) 症例群 対照群 運動習慣(+) 運動習慣(-) 30 70 40 60 100 100 ad 30×60 OR= = ≒ 0.64 40×70 bc 適度な運動習慣のある者は、運動しない者に比べ、 結腸癌の発症リスクが0.64倍になると推定される。 (発症リスクが約36%減少する) ( OR または RR < 1 → 予防要因 ) 参考 2015国試 109F-15 習慣的な運動によって発症リスクが低下する のはどれか。 a 胃癌 b 肺癌 c 食道癌 d 結腸癌 ○ e 膀胱癌 問題2 (1) コホート研究 Cohort study 要因対照研究 Factor-control study 〔前向き研究〕 Prospective study 問題2 (2) 相対危険度 Relative risk (講義38 p.32) ①肺癌 ②虚血性心疾患 Ie=(45/90,000)×105=50 (人口10万対) Ie=200 (人口10万対) Ic=(11/110,000)×105=10 (人口10万対) Ic=100 (人口10万対) 5 50/10 Ie RR= = = 5.0 RR=2.0 5 10/10 Ic 喫煙者群の肺癌死亡率は、非喫煙者群の5倍、 虚血性心疾患死亡率は非喫煙者群の2倍である。 問題2 (3) 寄与危険度 Attributable risk (講義38 p.32) ①肺癌 AR= Ie - Ic =50/105-10/105 =40/105 =40(人口10万対) ②虚血性心疾患 AR= Ie - Ic =200/105-100/105 =100/105 =100(人口10万対) 男性の肺癌死亡率は、喫煙により人口10万人あ たり40人増加し、虚血性心疾患死亡率は人口10 万人あたり100人増加する。 問題2 (4) 寄与危険割合 (講義38 p.36) Attributable risk proportion ①肺癌 RR-1 ARP= RR 5.0-1 = = 0.8 5.0 ②虚血性心疾患 2.0-1 ARP= 2.0 = 0.5 喫煙者群の肺癌死亡の80%、虚血性心疾患死 亡の50%は、喫煙によって発症したものである。 問題2 (5) 人口寄与危険割合 (p.36) Population-based attributable risk proportion ①肺癌 f (RR-1) PARP= f (RR-1) +1 ②虚血性心疾患 PARP ≒ 0.29 0.4×(5.0-1) = ≒ 0.62 0.4×(5.0-1) +1 わが国の男性の全肺癌死亡の62%と、全虚血性 心疾患死亡の29%は、喫煙によるものと推定される。 喫煙していなければ予防できた! ( 参考資料:「NEW予防医学・公衆衛生学」 p.84 より) 問題3 (1) 死亡数 死亡率= 人口 450 ∑Di A: = ×1,000=15.0 (人口千対) 30,000 ∑Ni 490 ∑di B: = ×1,000≒16.3 (人口千対) 30,000 ∑ni 集団Bの死亡率は、集団Aよりわずかに高い。 Bは、どの年齢層もAの2倍! 問題3 (2) i 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0-9 10-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 70-79 80合計 Ni 3,000 3,000 4,000 4,000 4,000 4,000 3,000 3,000 2,000 30,000 Di 3 3 4 4 16 40 60 120 200 450 集団A Pi=Di/Ni 0.001 0.001 0.001 0.001 0.004 0.010 0.020 0.040 0.100 0.015 集団B pi=di/ni 0.002 0.002 0.002 0.002 0.008 0.020 0.040 0.080 0.200 0.0163 問題3 (3) BはAに比べ若年層が多く、中高年層が少ない 集団A 集団B 80- 80- 70-79 70-79 60-69 60-69 50-59 50-59 40-49 40-49 30-39 30-39 20-29 20-29 10-19 10-19 0-9 0-9 0 1 2 3 4 5 6 7千人 0 1 2 3 4 5 6 7千人 問題3 (4) Ni×pi (講義41・42 p.53) 年齢調整死亡率= Σ(基準集団の各年齢別人口×観察集団の各年齢別死亡率) 基準集団の総人口 ∑(Ni×pi) = ×1,000 ∑Ni 900 = ×1,000 = 30.0 (人口千対) 30,000 集団Bの年齢調整死亡率は、集団Aの2倍 6 6 8 8 32 80 120 240 400 900 期待死亡数 問題3 (5) (p.54) 観察死亡数 SMR= 期待死亡数 ni×Pi 5 5 5 4 Σ(観察集団の各年齢別人口×基準集団の各年齢別死亡率) 16 ∑di 490 = ∑(ni×Pi) = = 2.0 30 245 40 年齢調整死亡率(間接法) 40 =基準集団の死亡率×SMR=15.0×2.0 100 =30.0 (人口千対) 245 (罹患率や有病率も同様に年齢調整可能)
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