様式 3 学 位 論 文 要 旨 研究題目 (注:欧文の場合は、括弧書きで和文も記入すること) Meniscus Regeneration by Syngeneic, Minor Mismatched, and Major Mismatched Transplantation of Synovial Mesenchymal Stem Cells in a Rat Model ( ラットモデルにおける滑膜由来間葉系幹細胞の同系、主不適合、 副不適合移植による半月板再生 ) 兵庫医科大学大学院医学研究科 医科学専攻 高次神経制御 系 整形外科学(指導教授 吉矢 晋一) 氏 名 奥野 真起子 間葉系幹細胞は再生医療の細胞源として有用であり、同種細胞の使用は自己組織採 取・培養の手間を省略できることから、今後の発展が期待されている。同種の間葉系幹 細胞を移植する際、免疫寛容により拒絶されないという報告がある一方、拒絶され、免 疫抑制剤の使用により生着するという報告もある。今回私たちはラットの半月板欠損モ デルを用いて、滑膜間葉系幹細胞の同系・同種移植を行い、その効果を比較検討した。 【方法】3 系統(F344、Lewis、ACI)のラットの膝より滑膜を採取し、間葉系幹細胞を用 意した。F344 系のラットの両膝の内側半月板の前方 1/2 を切除し、右膝に 3 系統由来の 滑膜間葉系幹細胞 5×104 個を関節内注射した。F344 から F344 は同系移植、Lewis から F344 は同種の副不適合移植、ACI から F344 は同種の主不適合移植のモデルとなる。投与 後 2、4、8 週後に、内側半月板を摘出して評価した。移植後1週後に、屠殺し関節内の 滑膜を評価した。 【結果】移植後 2 週では全てのグループで細胞移植を行っていないコントロール側に比 べ移植側の半月板再生面積が大きかった。同系群、副不適合群と主不適合群間は有意な 差はなかった。移植後 4 週間では同系移植群が主不適合移植群よりも有意に再生半月の 面積が大きかった(p<0.05、n=5)。移植後 8 週では 3 つのグループで再生半月板の面積 に差を認めなかった。DiI で標識された細胞は術後 1 週間で同系移植群では十分観察され たが、主不適合群ではあまり観察されなかった。マクロファージのマーカーとして抗 ED1 抗体、細胞障害性 T 細胞のマーカーとして抗 CD8 抗体による免疫染色を行った。細胞数 を比較したところ ED1 陽性細胞、CD8 陽性細胞ともに主不適合移植群の方が、同系移植群 より有意に多かった。 【考察】主不適合移植群が同系群、副不適合群よりも小さい再生半月の面積の有意差を 認めたのは 4 週のみであった。2 週では全ての群で再生半月がまだ小さく、8 週では自己 修復機構の影響によるものと考えられる。滑膜間葉系幹細胞の移植では、主不適合移植 の成績が同種移植よりも劣る可能性がある。
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