森林移行帯における種の分布と生育特性に関する研究(H27-30)

研究の種類
研究課題
基盤研究
富士北麓の草原-森林移行帯に生育する種の分布と生育地特性に関する研究
研究代表者
安田泰輔
自然環境研究部
研究期間
平成
27
年度
~
平成
共同研究者
渡邉修
信州大学
川村健介
広島大学
30
年度
(
4
カ年)
研究協力者
研究の目的
富士山北西麓の草原環境において、草原-森林移行帯の生態的特徴を把握することを目的に、移行帯に生育する種の分布と生育地特性の解明を
行い、富士山の自然環境保全に資する基礎データ及び知見を提供する。
研究の目標
(1) 林縁構造と物理的環境条件の関係解明
(2)物理的環境条件と草本植物の分布の関係解明
全体の研究計画
上ノ原(富士河口湖町)において、50m×100m程度の調査区を設置し、以下2つの調査を実施する。
(1)林縁構造と物理的環境条件の関係解明
移行帯は林縁の状況により、場所によって物理的環境条件が大きく異なると考えられることから、草原と隣接する林縁構造と物理的環境条件の関係
を明らかにする。具体的には、最新の空中写真(国土地理院2010年撮影、解像度25cm)とGPS及びUAV(ラジコンヘリ)を用いて林縁構造(形状、高
さなど)を測定する。また、気象観測機器を設置し、対象地域の代表的な気象条件を把握するとともに、移行帯部分において、光条件(地表面の分光
特性)、気温、土壌硬度、土壌水分等を測定する。
(2) 物理的環境条件と草本植物の分布の関係解明
移行帯部分において、0.25m2の方形枠を多数設置し、出現した植物の在不在データ、優占種、群落高等を取得する。調査地点はGPSで取得し、調
査後GIS化する。移行帯を特徴づける標徴種を選択し、標徴種に関してはより多数の地点で在不在データを取得する。
最終的に、林縁構造-物理的環境条件-草本植物の分布の3者の関係を表す統計モデルを構築、解析を行うことで、林縁構造の観点から移行帯に
生育する種の分布と生育地特性を明らかにできると期待される。
期待される研究成果
○草原-森林移行帯における種の分布と生育地特性を実証するため、移行帯の生態的な特徴を把握できる。
○林縁構造との関連性が明らかになると期待されるため、自然環境保全に資する移行帯の施業方法に指針を提供できる。
○富士山の森林限界付近や湖畔環境も移行帯であることから、本研究により得られる移行帯の知見は、これら地域における移行帯の環境保全に関
する指針を提供すると期待される。