海 岸 工 学 論 文 集,第55巻(2008) 土 木 学 会,931-935 混 成堤 の被 覆 ブ ロ ックお よび根 固方 塊 の耐 波 安定 性 に関 す る 合理 的 な形 状 の検討 On the Hydraulically Rational for Rubble Shape Mound of Armor Block and Foot-Protection of Composite 久 保 田 真 一1・ 下 迫 健 一 郎2・ 浜 口 正 志3・ 松 本 Shinichi KUBOTA, Kenichiro Minoru Block Breakwaters 朗1・ 半 沢 SHIMOSAKO, Masashi HAMAGUCHI, HANZAWA and Masato YAMAMOTO 稔3・ 山 本 方 人4 Akira MATSUMOTO, A rubble mound of composite breakwater is usually covered with armor blocks and foot-protection blocks to prevent its deformation. Although the design method for armor blocks and foot-protection blocks seems to have been almost established, nowadays, the site conditions are becoming severer. Therefore more rational design methods are required. The purpose of this study is to obtain the new knowledge correlating to the stability and cost reduction for the foundation of composite breakwater. Wave forces acting on the armor blocks were measured and the rational shape of block which reduces the uplift force was proposed. Hydraulic stability tests for foot-protection blocks with various scales were conducted and the rational designs were investigated. 動 と の 関 連 か ら,根 固 方 塊 の 大 き さ や 質 量,開 1. は じ め に 口率等 に 関 す る合 理 的 な設 計 法 を 検 討 す る余 地 が 残 さ れ て い る と 近 年,港 湾 事 業 にお い て は経 済 性 お よ び,環 境 に配 慮 い え よ う. した港 湾 構 造 物 の 建 設 が 望 ま れ て い る.ま た,港 湾 整 備 以 上 の よ うな 背 景 を踏 ま え,本 研 究 は,混 成 堤 マ ウ ン もよ り 自然 条 件 の 厳 しい海 域 の 整 備 へ と 向 か い,工 事 費 ドの 設 計 に 関 し,被覆 ブ ロ ッ ク お よ び 根 固 方 塊 の 合 理 的 や工 事 期 間 が 増 大 す る傾 向 に あ り,関 連 す る新 し い技 術 な 形 状 の検 討 を 行 っ た もの で あ る. や工 法 の 開 発 が 課 題 と な っ て きて い る.防 波 堤 の 主 要 な 形 式 と して 実 績 の あ る混 成 堤 は,ケ ー ソ ン前 面 に 根 固 方 塊 を設 置 し,捨 石 マ ウ ン ドを コ ン ク リー ト製 の ブ ロ ック で被 覆 す る形 式 が主 流 で あ る が,未 だ 検 討 課 題 が 残 さ れ 2. 被 覆 ブ ロ ッ ク の 合 理 的 な 形 状 と耐 波 安 定 性 (1) 検 討 対 象 形 状 著 者 らは 既 に,揚 圧 力 低 減 効 果,施 工 性,経 済 性 等 を て い る と いえ る.例 え ば,被 覆 ブ ロ ック に関 して は,コ 考 慮 して新 型 ブ ロ ック の基 本 と な る有 孔 ブ ロ ック(図-1 ンク リー ト使 用 量 を 減 らす こと が で きれ ば コス ト縮 減 に (a))を 決 定 し,さ 結 び っ く.既 に著 者 ら は,ブ ロ ッ クの 厚 さ を 薄 く し,単 に改 良 を 加 え た 新 型 ブ ロ ッ ク(図-1(b))を 開 発 し た.形 位 被 覆 面 積 当 た りの コ ン ク リー ト使 用 量 を低 減 す る こ と 状 決 定 に い た る詳 細 は,浜 参 照 さ れ た い. ら に 構造 強 度 を 考 慮 して,脚 口 ら(2007)を 部形 状 で 経 済 性 を 確 保 す る と と も に,分 散 した開 口部 を 設 け る こ とで,効 率 的 に揚 圧 力 を低 減 可 能 な 新 型 ブ ロ ッ ク を開 発 し,人 工 リー フ被 覆 材 と して の 有 用 性 を 示 して い る (浜 口 ら,2007).こ う し た形 状 の ブ ロ ッ クが 混 成 堤 マ ウ ン ド被 覆 材 と して も有 用 で あ れ ば,防 波 堤 の建 設 コ ス ト 縮 減 に 寄 与 す る もの と考 え られ る.ま た,根 固 方 塊 の 設 計 で は,そ の 厚 さ は 波 高 に対 して算 定 され,平 面 的 な形 状(縦 横 寸 法)や 開 口 率 につ い て は経 験 的 に定 め られ て (a) 有 孔 ブ ロ ック 図-1 い る が,単 体 と して の 安 定 性 あ る い は,下 部 の捨 石 の挙 1正 会 員 工修(株)不 2正 会 員 博(工)水 動 テ トラ 総合技術研究所 (独法)港 湾空 港技術 研究所 海洋 ・ 工部 海洋研 究領域 耐波研究 チー ム リー ダー 3正 会 員 工修(株)不 動 テ トラ 4正 会 員 工博(株)不 動 テ トラ 総合技術研究所長 ブロ ック環境事 業本部 (b) 新 型 ブ ロ ッ ク ブ ロ ッ ク形 状 本 研 究 で は,新 型 ブ ロ ッ クを 混 成 堤 マ ウ ン ド被 覆 材 と して 用 い た場 合 の 有 用 性 に つ い て 検 討 した.基 本 的 な 波 力 特 性 に つ い て,有 孔 ブ ロ ッ クを 対 象 と した 波 力 実 験 に よ り把 握 した後 に,新 型 ブ ロ ック を対 象 と し た耐 波 安 定 実 験 を実 施 した. 932 海 岸 工 学 論 文 集 第55巻(2008) れ る岸 側 隣 接 ブ ロ ッ クの 沖 側 上 端 を 支 点 と した 回 転 に対 (2) 被 覆 ブ ロ ッ ク に 作 用 す る波 力 特 性 a) 実 験 方 法 す る安 全 率(SFR)を 検 討 した(図-5参 照). 初 期 被 害 が 想 定 さ れ る マ ウ ン ド法 肩 付 近 に位 置 す る有 (1) 孔 ブ ロ ッ クを 対 象 と して,作 用 波 力 の 特 性 を把 握 す る こ と と した.ま た,有 孔 ブ ロ ック の開 口 部 を 全 て埋 め た 無 孔 ブ ロ ッ クを 用 い た波 力 実 験 も実 施 し,開 口部 の有 無 に こ こ に,MFzは よ る作 用 波 力 の 違 い に つ いて も検 討 を 行 っ た.図-2に よ びMwは 験 断 面 を 示 す.波 実 鉛 直 波 力 に よ る回 転 モ ー メ ン ト,MFxお 水 平 波 力 と水 中 自重 に よ る抵 抗 モ ー メ ン ト 力 の 測 定 は,ひ ず み ゲ ー ジ を貼 ったL 字 型 の 板 バ ネ 先 端 に ブ ロ ッ ク模 型 を 取 り付 け,規 則 波 (T=2.0s)を 作 用 さ せ て 行 った.板 バ ネに生 じるひずみ 量 よ り曲 げ モ ー メ ン トを 検 出 し,波 力 に換 算 した. 図-3 天端 沖端 ブロ ックに作 用す る波力 図-2 実 験断 面 b) 実 験 結 果 図-3お よ び図-4は,天 端 沖 端 ブ ロ ッ ク及 び法 面 最 上 段 ブ ロ ッ ク に作 用 す る波 力 の時 間変 化 を 示 した ホ ドグ ラ フ で,図 中 の 太 線 が有 孔 ブ ロ ック,細 線 が 無 孔 ブ ロ ッ クで あ る.有 孔 ブ ロ ッ ク と無 孔 ブ ロ ッ クの 各 ケ ー ス に お け る 作 用 波 高Hは,お の お の20.3cmお 縦 軸 お よ び 横 軸 は,マ よ び18.4cmで よ び マ ウ ン ド面 に平 行 方 向 の 波 力Fxを gHAxで ρgHAzお 除 した 波 圧 強 度 で 表 して い る.こ の密 度,gは あ る. ウ ン ド面 に垂 直 方 向 の 波 力Fzお 重 力 加 速 度,Hは 波 高,Azお よびρ こ で,ρ は水 よ びAxは マウ 図-4 法 面最 上段 ブロ ックに作用 す る波力 ン ド面 に 対 して垂 直 方 向 お よ び平 行 方 向 の ブ ロ ッ ク投 影 面 積 で あ る.天 端 沖 端 に お い て は,垂 直方 向(鉛 直 方 向) の波 圧 強 度 の ピー ク値 は無 孔 ブ ロ ッ ク の ほ うが 大 き く, 揚 圧 力 の 低 減 に は有 孔 ブ ロ ッ クが 効 果 的 と い え る.一 方, 平 行 方 向(水 平 方 向)の 波 圧 強 度 の ピー ク値 は有 孔 ブ ロ ッ ク の ほ うが大 き くな る.マ ウ ン ド近 傍 の流 れが 有 孔 ブ ロ ッ ク の 開 口部 壁 面 に 直 接 作 用 す る こ とで 平 行 方 向(水 平 方 図-5 天 端 沖 端 ブ ロ ッ ク に 働 く力 の つ り合 い 向)の 波 力 が 増 加 した た め と考 え られ る.す な わ ち,流 れ に対 す る ブ ロ ッ クの 迎 え角 に 応 じて,平 行 方 向 の波 圧 強度 が 変 化 す る もの と考 え られ る.法 面 最 上 段 にお い て は,垂 直 方 向 の 波圧 強 度 の ピー ク値 は両 者 と も同 程 度 で あ る.平 行 方 向 の 波 圧 強 度 の ピー ク値 は,天 端 沖 端 と は 異 な り無 孔 ブ ロ ッ クの ほ うが大 き い.明 確 な 要 因 は不 明 で あ るが,天 端 沖 端 と法面 最 上 段 で,流 れ に対 す る ブ ロ ッ ク の迎 え 角 が 異 な る こ とが 一 因 と考 え られ る. こ こ で,天 端 沖 端 ブ ロ ッ ク に つ い て,式(1)で 定義さ 図-6 天端 沖端 ブロ ックの回転 に対 す る安全 率(SFR) 混 成堤 の被 覆 ブ ロ ックお よび根 固方 塊 の耐 波安 定性 に関す る合理 的 な形状 の検討 で あ る.計 測 さ れ た 水 平 波 力Fxお 算 定 さ れ たSFRを で あ る.SFRの 図-6に 示 す.横 よ び鉛 直 波 力Fzよ 軸 は,経 り 過 時 間t(s) 933 させ て い る こ と を示 して お り,図-3に 特 性 お よ び 図-6に 示 したSFRの 示 し た波 力 の 作 用 検 討 結 果 と符 合 す る. 値 は,有 孔 ブ ロ ッ クが 無 孔 ブ ロ ッ ク を大 新 型 ブ ロ ッ クの 被 災 形 態 と して は,天 端 沖 端 ブ ロ ッ クお き く上 回 って お り,回 転 に対 して 安 定 で あ る こ とが 分 か よ び法 面 最 上 段 ブ ロ ッ クが 同 時 に移 動 す る ケ ー ス が 主 で る.こ れ は,開 口 部 に よ る鉛 直 上 向 き波 力 の 低 減 お よ び あ った. 水 平 波 力 の増 加 に よ り,回 転 モ ー メ ン トが減 少 し抵 抗 モ ー メ ン トが 増 加 した た めで あ る.し たが って,天 端 沖 端 位 置 にお け る有 孔 ブ ロ ック は,回 転 に よ る被 害 が 生 じに く い と考 え られ る. (3) 耐 波安定実験 a) 実 験 方 法 実 験 は,縮 尺1/42.5(小 (大縮 尺 実 験)で 波 は,修 縮 尺 実 験)お 行 っ た.表-1に よ び 縮 尺1/10 実 験 条 件 を示 す.実 験 図-7 新 型 ブ ロ ッ ク の 耐 波 安 定 性(d/h=0.4) 正Bretschneider一光 易 型 ス ペ ク トル を 有 す る 不 規 則 波 と し,同 一 波 高 レベ ル で の波 の 作 用 は約1000波 と した.小 縮 尺 実 験 は新 型 ブ ロ ック を 用 い て 行 い,耐 波 安 定 性 の傾 向 を 把 握 した.大 縮 尺 実 験 は 新 型 ブ ロ ッ クの 形 c) 実 験 結 果(大 縮 尺 実 験) 大 縮 尺 実 験 結 果 を 図-8に 示 す.安 定 限界 お よ び被 害 時 状 に 極 め て近 い2種 類 の 模 型 を用 い て行 い,小 縮 尺 実 験 のNSを で 得 られ た 結 果 の妥 当 性 を検 証 す る と と もに,開 口 部 か =0 .4と0.6の 結 果 よ り 内 挿 して 求 め た,d/h=0.568の 示 して お り,実 線 は,小 縮 尺 実 験 で得 られ たd/h らの マ ウ ン ド石 の抜 け出 しの有 無 を 確 認 した. の 被 害 と無 被 害 の 境 界 線 で あ る.大 縮 尺実 験 の 結 果 は, 場合 使 用 した模 型 の 種 類 に よ り小 縮 尺 実 験 に お け る安 定 限 界 を 上 回 る もの と下 回 る もの に分 か れ た が,い ず れ の結 果 表-1 安 定実験条件(被 覆 ブ ロ ック) も小 縮 尺 実験 の 結 果 の近 傍 に分 布 して お り,よ り現 実 に 近 い大 縮 尺 実 験 に お い て,小 縮 尺 実 験 で 得 られ た安 定 性 の妥 当性 が 確 認 さ れ た.ま た,ブ ロ ッ ク開 口部 か らの, マ ウ ン ド捨 石 の 顕 著 な 抜 け出 しは観 察 され な か った.波 作 用 中 に ブ ロ ック が動 揺 し,ブ ロ ッ ク脚 部 が 徐 々 に マ ウ ン ドに 沈 み 込 む 現 象 も確 認 さ れ,こ の 現 象 が 顕 著 な 実 験 ケ ー ス(β/L1/3=0.045)に お い て は,高 い 安 定 性 を 示 した. b) 実 験 結 果(小 縮 尺 実 験) 小 縮 尺 実 験 結 果 の一 例 を 図-7に 示 す.横 軸 は,マ ド天 端 幅Bと 堤 体 設 置 水 深hに ウン お け る入 射 波 の波 長L1/3 の比(β/L1/3)で あ り,縦 軸 は,式(2)で 定 義 さ れ る安 定 数 擁 で あ る. (2) 図-8 実験結 果(大 縮 尺実 験) こ こで,ρ,は ブ ロ ック の 密 度,ρ.は 水 の 密 度,Mは ブ ロ ック の 質 量,Hi/3は 有 義 波 高 で あ る.図 中 に は,既 存 の 被 覆 ブ ロ ック の ひ とっ で あ るX型 3. 根 固 方 塊 の 合 理 的 な 形 状 と耐 波 安 定 性 ブ ロ ッ ク のNSも 併 せ て 示 して い る.両 者 を比 較 す る と新 型 ブ ロ ック の安 (1) 検 討 対 象 形 状 定 性 が 著 し く向 上 して い る こ とが 分 か る.天 端 沖 端 に位 現 行 基 準((社)日 置 す るX型 ブ ロ ッ ク が め くれ 上 が る条 件 に お い て も, 新 型 ブ ロ ッ ク は安 定 で あ り,さ らに波 高 が 増 した場 合 で も,天 端 沖端 ブ ロ ックが 単独 で め くれ 上 が る こと はな か っ た.こ の こ と は,新 型 ブ ロ ッ クが 揚 圧 力 を 効 率 的 に低 減 本 港 湾 協 会,2007)に 固 方 塊 の 耐 波 安 定 性 は,式(3)で お い て,根 算 定 さ れ る厚 さ の み で 評 価 され て お り,平 面 形 状 が 耐 波 安 定 性 に及 ぼ す 影 響 に つ い て は明 確 に示 さ れ て は い な い. 934 海 岸 工 学 論 文 集 第55巻(2008) は,設 計 波 高 以 下 の 波 高 ラ ン ク よ り始 ま るが,石 (3) こ こに,tは 根 固 方 塊 の 必 要 厚 さ(m),H1/3は 波 高(m),φ は堤 幹 部 で は0.18,堤 設 計 水 深(m),h'は 設計有 義 頭 部 で は0.21,hは マ ウ ン ド天 端 水 深(ブ 方 塊 を含 ま な い)(m)で ロ ック ・ あ り,適 用 範 囲 はh'/h-0.4∼1.0 と され て い る.所 要 厚 が厚 くな る と質 量 が 増 加 し,施 工 性 に 制 約 を与 え る こ と が想 定 され る が,方 塊 の安 定 性 が は 生 じて い な い.設 計 波 高 を 上 回 る と,ケ の抜 け ー ソ ン と方 塊 の 隙 間 よ り石 が 抜 け 出す 場 合 も あ り,傾 斜 あ る い は離 脱 とい っ た被 害 が 生 じた.し か しな が ら,設 計 波 高 以 下 で は 安 定 で あ り,式(3)に よ る所 要 厚 算 定 の 妥 当 性 が 確 認 さ れ た. 表-3 安 定実験 条件(根 固方塊) 厚 さの み に依 存 す る も の で あ れ ば,平 面 形 状 を小 さ くす る こ とで 質 量 の低 減 が 可 能 と考 え られ る.そ の 最 大 厚 さ(t=2.2m)の い て,2分 を2.5mま こで,現 行 有 孔 型 と無 孔 型 の そ れ ぞ れ に つ 割 した 方 塊(分 割 型),2分 で 増 した方 塊(分 割 して さ らに 厚 さ 割 厚 型)を 検 討 対 象 と して 耐 波 安 定 実 験 を実 施 し,各 々 の形 状 に対 して 所 要 厚 の算 定 式 で あ る式(3)の 適 用 性 を 検 討 す る と と も に,根 固方 塊 の合 理 的 な形 状 を 検 討 した.検 討 対 象 と した方 塊 の諸 元 を表-2に 示 す. 表-2 検討 対象方塊 諸元(現 地量) 図-9 実験 断面(大 縮 尺実 験) 表-4 根 固方塊 の被 害基 準 (2) 耐 波安定実験 a) 実 験方法 実 験 は,縮 尺1/50(小 縮 尺 実 験)お よ び 縮 尺1/10(大 縮 尺 実 験)で 行 った.実 験 条 件 を 表-3に 示 す.実 験 波 は, 修 正Bretschneider-光 易 型 ス ペ ク トル を 有 す る 不 規 則 波 と し,同 一 波 高 レベ ル で の波 の 作 用 は約1000波 と した. 大 縮 尺 実 験 に お け る実 験 断 面 を 図-9に 示 す.根 固 方 塊 以 外 の マ ウ ン ド被 覆 ブ ロ ック は,移 動 しな い よ う固 定 した. b) 被 害 基 準 こ こで は,牛 島 ら(1988)お 害 基 準 を 参 考 に して,表-4に よ び 木 村 ら(1996)の 被 示 す 移 動,傾 斜,回 転 お よ び 離 脱 を被 害 と した. c) 実 験 結 果(無 孔 方 塊) 図-10に 無 孔 現 行 型 の結 果 を示 す.横 図-10 実験 結果(無 孔 現行 型) 軸 は相 対 水 深(h /L1/3),縦 軸 は方 塊 厚 さ と有 義 波 高 の 比(t/H1/3)を 示 して 図-11に 無 孔 現 行 型 を2分 割 した 無 孔 分 割 型 の 結 果 を示 い る.取 得 した 全 デ ー タを 白抜 き記 号 で 記 して お り,被 す.設 計 波 高 以 下 で 傾 斜 が生 じて お り,現 行 基 準 に お け 害 等 が 生 じた 場 合 は,凡 例 に示 す 記 号 を 重 ね て 記 した. る安 定 性 を確 保 で きな い.ま た,波 高 が 増 大 す る と傾 斜 横 線 は 式(3)よ り算 出 さ れ る 値(t/H1/3=0.27)で,根 塊 の 安 定 限 界 を 示 す.こ 固方 の 値 よ り小 さ な 領 域 は,設 計 波 高以 上 の波 が 作 用 して い る状 態 で あ る.根 固 方 塊 の動 揺 した 沖 側 方 塊 に お い て 回 転 が生 じた.厚 さ を 増 した無 孔 分 割 厚 型 で も,設 計 波 高 以 下 で傾 斜 が 生 じ,所 要 厚 の算 定 式 を 適 用 で き な い こ とが 分 か った. 935 混成 堤 の被覆 ブロ ックお よび根 固方塊 の耐 波安 定性 に関 す る合 理 的な形 状 の検 討 図-11 実 験結 果(無 孔 分割 型) 図-13 実験 結果(有 孔分 割型) 図-12 実験 結果(有 孔現 行型) 図-14 実験 結果(有 孔分 割厚型) d) 実 験 結 果(有 適 用 可 能 で あ る こ と が示 され た. 孔 方 塊) 図-12に 有 孔 現 行 型 の 結 果 を 示 す.有 孔 型 は,無 孔 型 と比 べ て 質 量 が減 少 して い る もの の,無 孔 型 と同 等 以 上 4. 結 論 の安 定 性 を示 して お り,設 計 波 高 以 下 で は被 害 は生 じて 本 研 究 で は,混 成 堤 にお け る被 覆 ブ ロ ック と根 固 方 塊 い な い.設 計 波 高 以 下 に お い て も,開 口部 よ り若 干 の石 の合 理 的 な 形 状 と耐 波 安 定 性 に つ い て 検 討 した.主 要 な の 抜 けが 生 じ る場 合 も あ った が,安 定 性 に影 響 を及 ぼ す 結 論 は以 下 の と お りで あ る. もの で は な か った.し か しな が ら,現 地 に お いて,石 の 薄 く大 き な開 口部 を 有 す (1) る新 型 ブ ロ ック を混 成 堤 マ ウ 抜 出 しが 顕 著 とな る場 合 に は,マ ウ ン ド下 部 の 砂 の 吸 い ン ド被 覆 材 と して 適 用 し,そ の波 力 特 性 お よ び 耐 波 安 定 出 しが 懸 念 され る た め留 意 す る必 要 が あ る.方 塊 の動 揺 性 に つ いて 検 討 した.そ が 始 ま る 波高 に着 目 す る と,無 孔 型 と有 孔 型 で 明 確 な 差 ブ ロ ッ ク と比 較 して,天 端 沖 端 に位 置 す る ブ ロ ック の 回 が 生 じて お り,無 孔 型 で 動 揺 が 生 じ る波 高 に お い て も, 転 に 対 す る安 定 性 が 向 上 して い る こ と が示 さ れ た. の結 果,新 型 ブ ロ ッ ク は,無 孔 現 行 の 有 孔 根 固 方 塊 を2分 割 した 場 合 に お い て (2) も,根 有 孔 型 は 安 定 で あ る こ とが 分 か った. 図-13に 有 孔 型 を2分 割 し た有 孔 分 割 型 の 結 果 を 示 す. 設 計 波 高 以 下 で 被 害 は 生 じて お らず,設 計 波 を上 回 る領 域 で傾 斜 が 生 じた.無 孔 分 割 型 で は 安 定 性 を確 保 で き な 固 方 塊 所 要 厚 の 算 定 式 が適 用 可 能 で あ る こ とを 示 した. 現 行 の 有 孔 根 固 方 塊 を2分 割 して,さ ら に厚 さを 増 (3) し た 場 合 も,根 固 方 塊 所 要 厚 の 算 定 式 が適 用 可 能 で あ る. い が,有 孔 分 割 型 は,現 行 基 準 に お け る安 定 性 を 確 保 可 能 とい え る.ま た 波 高 が 増 大 して も,無 孔 分 割 型 で 観 察 さ れ た 沖 側 方 塊 の 回 転 は生 じな か っ た.方塊 に 作 用 す る 水 平 力 と鉛 直 力(揚 圧 力)の バ ラ ンス を考 え る と,有 孔 分 割 型 に作 用 す る揚 圧 力 が低 減 した た め,回 転 が 生 じに く く な っ た もの と考 え られ る.こ れ らの結 果 よ り,こ れ ま で に も言 わ れ て い る よ うに,根 固 方 塊 に 孔 を あ け る こ と は安 定 上 有 利 で あ る と判 断 され る. 図-14に 有 孔 分 割 厚 型 の実 験 結 果 を 示 す.設 計波高 以 下 に お い て 被 害 は生 じて い な い.分 割 して 方 塊 の厚 さを 増 した 場 合 に お い て も,所 要 厚 の 算 定 式 で あ る 式(3)が 参 考 文 献 牛島龍一郎 ・水野雄三 ・井本忠博(1988): 根固め方塊 の安定 性に 関す る実験 的研 究, 開発土木研 究所月報, No.424, pp.1-14. 木村克俊 ・水野雄三 ・林倫史 (1996): 混成堤堤頭部におけ る根固 め方 塊 の耐波安 定性 につ いて, 開発土 木研究 所 月報, No. 517, pp.2-8. (社) 日本港 湾協会 (2007): 港湾 の施設 の技 術上 の基 準 ・同解 説 (下), pp,851-852. 浜 口正志 ・久保 田真一 ・松本朗 ・半沢稔 ・山本方人 (2007): 大 き な開口部 を有 する新 しい被覆 ブロックの開発 と人工 リーフへ の適用, 海工論文集, 第54巻, pp.961-965.
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