神奈川県のがん対策とがんセンターの役割 神奈川県立がんセンター 中山治彦 がん:日本の現状 • 日本人の二人に一人ががんにかかる – 新たながん患者90万弱/年 • 死亡原因:三人に一人はがん – がんによる死亡30万人/年 – 神奈川県 2万人超/年 がんにならな いための取組 生活習慣の改善 タバコ対策・・・ がんの 神奈川県がん 対策推進計画 早期発見 検診: 受診促進と精度向上 アミノインデックス がんに対する 理解 がん教育の推進 正しい知識の普及 がん医療の がん患者の 提供 支援 がん対策とがんセンターの役割 がん医療の提供 ◉がん医療の充実 重粒子線 漢方・ワクチン がん研究 がん登録 ・・・・ ◉緩和ケアの推進 初期段階から切れ目なく ◉ 地 域 連 携 ・ 協 働 の 推 進 がん患者の支援 当院の緩和ケア/患者支援センター 緩和ケアセンター 患者支援センター 相談支援・地域連携パス 緩和ケアチーム がん相談支援センター 地域連携パス 緩和ケア病棟 緩和ケア内科 早期から専門的な 緩和ケアの提供 病棟・外来 後方連携・ベットコントロール 退院支援 転院支援 在宅療養支援 地域の病院・診療所・訪問看護ステーション・介護支援事業所・ 地域包括支援センター・福祉施設 「緩和ケアセンター」における活動内容 ○地域連携支援機能 地域の医療機関を対象にした患者の診療情報に係 る相談 連絡窓口の設置 ○専門相談支援機能 緩和ケアに関する高次の専門相談支援 ○教育機能 がん診療に携わる医療従事者に対する院内研修会 等の運営 ○診療情報の集約・分析機能 緩和ケアに関する院内の診療情報の集約・分 析・評価 地域の緩和ケアの提供体制の実態把握と適切 な緩和ケア提供体制の構築 *上記の活動内容について、HP等を活用し地域に 対して広報する 緩和ケアセンターの運営(会議等) • がん看護外来の実施:がん看護専門看護師や緩和ケア認定看護師に よる定期的ながん看護カウンセリング • 看護カンファレンス:1回/週の開催 • 緩和ケアセンター構成員のカンファレンス:1回/週 • 緩和ケアの連携協力カンファレンス:1回/月、地域の病院、在宅支援 診療所等 • 緊急緩和ケア病床の確保、かかりつけ患者や連携協力リストの作成 • 相談支援センターとの連携 • 定期的な緩和ケア研修会の開催 当院の緩和ケア/患者支援センター 緩和ケアセンター 患者支援センター 相談支援・地域連携パス 緩和ケアチーム がん相談支援センター 地域連携パス 緩和ケア病棟 緩和ケア内科 早期から専門的な 緩和ケアの提供 病棟・外来 後方連携・ベットコントロール 退院支援 転院支援 在宅療養支援 地域の病院・診療所・訪問看護ステーション・介護支援事業所・ 地域包括支援センター・福祉施設 患者支援室の機能 相談支援 地域連携パス ベッドコントロール 後方連携 • 相談支援(神奈川県がん診療連携協議 会相談支援部会長担当) • がん患者の就労支援 • 患者支援、がん情報コーナーの運営 • 地域連携パス、地域歯科連携 • 受診受付・セカンドオピニオン受付 • 入院支援(入院時問診など) • 入院案内 • ベッドコントロール • 医療連携調整 当院の患者支援センターの相談内容 平成26年4月~7月 N=3327 (主な相談内容を重複カウント) (実数,%) 在宅医療 転院 緩和ケア で34% “超”高齢者社会の到来 神奈川の人口ピラミッド 高齢者人口 生産年齢人口 年少人口 “超”高齢者社会の到来 神奈川の人口ピラミッド 神奈川県立がんセンター呼吸器外科 肺がん手術症例の年齢分布 80代 7% 70代 4% 2% 50代 17% 33% 60代 37% 神奈川県立がんセンター呼吸器外科 肺がん手術症例の合併疾患 合併疾患 他の癌の合併 あり 23% 26% あり 74% 高血圧 呼吸器疾患 糖尿 虚血性心疾患 脳血管障害 2000年~2014年:2991例 77% 胃がん 大腸がん 乳がん 前立腺がん 頭頚部がん 子宮がん ダヴィンチ:ロボット手術 希望小売価格:¥248,000,000(2014/10に最大25%の値引き) メンテナンス費用/年:¥約25,000,000 世界のダヴィンチ導入状況 勝負!!ダヴィンチ 対 胸腔鏡 肺葉切除 ダヴィンチ 胸腔鏡 症例数 2,498例 37,595例 術中トラブル:出血、引き裂 いた、穴あけた などなど 124例 (5%) 761例 (2%) 予定通りの退院 60.8% 70.3% 費用 $22,582 $17,874 Chest 2014;146:1505 ダヴィンチ 日本の新しい技術 東京工業大学只野研究室 http://www.k-k.pi.titech.ac.jp/researches/research-tadano.html#aerovision 触覚のフィードバック 東京工業大学只野研究室:エアロビジョン 日本から世界へ 医療機器 国内生産額 約1兆9000億 輸入金額 約1兆3000億 輸出金額 約5300億 参考資料 当院の緩和ケア・がん患者支援セ ンターの紹介 神奈川県立病院機構 神奈川県立がんセンター 緩和ケア・がん患者支援センター 当院の相談部門の変化 2006年 2008年 2013年 地域医療 連携室 医療相談 支援室 患者支援室 がん対策基本法施行 がん対策推進基本計画 第2期 がん対策推進基本計画 患者支援センター • 新病院では、がん患者さんやご家族の困りご との相談・情報提供(がん診療連携拠点病院 の相談支援センター機能)、受診・入退院の 案内、院内外の関連部門調整を患者支援セ ンター(患者支援室・医事課)とし、患者サー ビスの向上の目的で一元化しました。 患者支援室の機能 相談支援 地域連携パス 清水担当科長 ベッドコントロール 後方連携 得担当科長 • 相談支援(神奈川県がん診療連携協議 会相談支援部会長担当) • がん患者の就労支援 • 患者支援、がん情報コーナーの運営 • 地域連携パス、地域歯科連携 • 受診受付・セカンドオピニオン受付 • 入院支援(入院時問診など) • 入院案内 • ベッドコントロール • 医療連携調整 当院の患者支援センターの相談内容 平成26年4月~7月 N=3327 (主な相談内容を重複カウント) (実数,%) 在宅医療 転院 緩和ケア で34% 相談ブース プライバシーが確保できる個室 情報コーナー 情報コーナー 患者支援室直通電話 受診受付 がん相談 医療連携 045(520)2210 045(520)2211 045(520)2212 緩和ケアセンターに求められる機能 具体的施策案 厚労省緩和ケア推進検討会 参考資料1より 当院の緩和ケア/患者支援センター 緩和ケアセンター 患者支援センター 相談支援・地域連携パス 緩和ケアチーム がん相談支援センター 地域連携パス 緩和ケア病棟 緩和ケア内科 早期から専門的な 緩和ケアの提供 病棟・外来 後方連携・ベットコントロール 退院支援 転院支援 在宅療養支援 地域の病院・診療所・訪問看護ステーション・介護支援事業所・ 地域包括支援センター・福祉施設 当院の緩和ケア/患者支援センター 担当科長 担当科長 がん看護CNS ジェネラルマネージャー がん性疼痛CN 相談支援 地域連携パス 退院・転院支援 緩和ケアチーム (専従) (専任) (兼任) 緩和ケアCN がん看護CNS リエゾンCNS 看護師3人 がん看護CNS 2人 看護師2人 MSW2人 MSW2人 「緩和ケアセンター」における活動内容 ○地域連携支援機能 地域の医療機関を対象にした患者の診療情報に係る相談 連絡窓口の設置 ○専門相談支援機能 緩和ケアに関する高次の専門相談支援 ○教育機能 がん診療に携わる医療従事者に対する院内研修会等の運営 ○診療情報の集約・分析機能 緩和ケアに関する院内の診療情報の集約・分析・評価 地域の緩和ケアの提供体制の実態把握と適切な緩和ケア提供体制の 構築 *上記の活動内容について、HP等を活用し地域に対して広報する 緩和ケアセンターの運営(会議等) • がん看護外来の実施:がん看護専門看護師や緩和 ケア認定看護師による定期的ながん看護カウンセ リング • 看護カンファレンス:1回/週の開催 • 緩和ケアセンター構成員のカンファレンス:1回/週 • 緩和ケアの連携協力カンファレンス:1回/月、地域 の病院、在宅支援診療所等 • 緊急緩和ケア病床の確保、かかりつけ患者や連携 協力リストの作成 • 相談支援センターとの連携 • 定期的な緩和ケア研修会の開催 緩和ケアリンクナースの育成 • 各セクションに緩和ケアリンクナースを配置 し、8月に厚労省委託 日本がん看護協会主 催「がん医療に携わる看護研修事業」の指導 者研修を受けた緩和ケアチーム専従の緩和 ケア認定看護師とがん看護専門看護師らに より、リンクナース育成研修を実施した。 看護外来 種類 担当者 開催日 スキンケア外来 皮膚・排泄ケア認定看護師 月水木金 リンパ浮腫外来 リンパドレナージセラピスト5名 交代 月火水金 リエゾン外来 リエゾン・精神看護専門看護師 随時 乳がん看護 乳がん看護認定看護師 第2金 緩和ケア 緩和ケア認定看護師 第3金 看護外来 がん看護専門看護師2名 PHSで対応 (がん患者指導管理 料算定) 都道府県がん診療連携拠点病院 の役割として 神奈川県がん診療連携協議会長 金森平和 【相談支援部会】当院が部会長を務めている 部会の会議以外に県下の地域がん診療連携拠点病院のが ん相談支援センターとの連携や研修会開催、神奈川・東京・ 千葉の3県の共同研修会を実施した 【がん登録部会】当院が部会長を務めている 部会の開催と、研修会の開催 【緩和ケア部会】 部会の開催と医師以外の医療職の緩和ケア研修会の開催 【地域連携パス部会】 部会の開催 わが国におけるがん対策のあゆみ 昭和56年(1981年) がん死亡原因の第1位となる 昭和59年(1984年) 対がん10か年総合戦略の策定 (~平成5年度) 平成6年(1994年) がん克服新10か年戦略の策定 (~平成15年度) 平成16年(2004年) 第3次対がん10か年総合戦略の策定 (~平成25年度) 平成17年(2005年) がん対策推進アクションプラン2005 平成18年(2006年) がん診療連携拠点病院の整備に関する指針 平成19年4月(2007年) がん対策基本法の施行 平成19年6月(2007年) がん対策推進基本計画(1期) 平成24年6月(2012年) がん対策推進基本計画(2期) 参考資料 国のがん対策 43 がん対策推進基本計画(2期) 全ての患者・家族の安心 がんによる 死亡者の減少 がんの 早期発見 精度管理・ 事業評価を実施 受診率50% 全てのがん患者・家族 の苦痛の軽減・療養生 活の質の向上 2012年 がんになっても 安心して 暮らせる社会の構築 重点的に取り組むべき事項 放射線療法・化学療法の 推進、医療従事者の育成 がんと診断されたときからの 緩和ケアの推進 全てのがん医療に携わる医 師に緩和ケア研修を実施 がんの 予 防 がん登録の推進 成人喫煙率 12% 働く世代へのがん対策の充実 がん医療に関 する 相談支援 情報提供 がんの教育・ 普及啓発 就労を含めた 社会的問題 乳がん・子宮がんなど女性がんへの対策 がん研究 44 がん対策推進基本計画2期 (平成24年~28年) ◆趣旨 「がん患者を含む国民が、がんを知り、がんと向き 合い、がんに負けることのない社会」を目指す ◆全体目標 ○がんによる死亡者の減少 ○ 全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と 療養生活の維持向上 新 がんになっても安心して暮らせる社会の構築 第2期がん対策推進基本計画 ◆重点的に取り組むべき課題 1.放射線治療、化学療法、手術療法の更なる 充実とこれらを専門的に行う医療従事者の育成 2.がんと診断された時からの緩和ケアの推進 3.がん登録の推進 4.働く世代や小児へのがん対策の充実 包括的がん医療モデル 抗がん治療 有機的な連携 受診 緩和ケア 死 遺族ケア 日本緩和医療学会 PEACEより引用 全人的苦痛 (total pain) • がん患者の苦痛は多面的であり、全人的に捉えなければ 身体的苦痛 ならない 痛み 他の身体症状 日常生活動作の支障 精神的苦痛 不安 いらだち うつ状態 社会的苦痛 全人的苦痛 (total pain) 経済的な問題 仕事上の問題 家庭内の問題 霊的苦痛 生きる意味への問い 死への恐怖 自責の念 日本緩和医療学会 PEACEより引用 がん患者の経済的な困りごとの内容 • 医療費 • 貯蓄の目減り • 収入の減少 *患者の経済的負担は、重症化するにつれ、 入院、外来の自己負担額に加え、健康食品 や民間療法の支出も多くなる傾向にある 研究代表者 濃沼信夫:がんの医療経済的な解析を踏まえた患者負担のあり方に関する研究厚生 労働科学研究費補助金(第3次対がん総合戦略研究事業)総括・分担研究報告書(平成23年度) 、 がんと診断された時からの緩和ケアの推進 • がん医療に携わる医療従事者への研修 や緩和ケアチームなどの機能強化によ り、がんと診断された時から患者とその 家族が、精神心理的苦痛に対する心の ケアを含めた全人的な緩和ケアを受け られるよう、緩和ケアの提供体制をより 充実させる がん診療連携拠点病院機能強化事業 (平成18年→平成25年4月改定) • • • • • • • • • がん医療従事者研修事業 がん診療連携拠点病院ネットワーク事業 院内がん登録促進事業 がん相談事業 普及啓発・情報提供事業 病理医養成等事業 在宅緩和ケア地域連携事業 緩和ケア推進事業 がん患者の就労に関する総合支援事業 緩和ケア推進事業 【趣旨】 がん患者からは「緩和ケアチームや緩和ケ ア病棟といった受け皿を作るだけでなく、 患者の痛みを汲み上げ確実に緩和ケアへつ なげる仕組みが必要」との声がある。こう いった課題を解決するためがん診療連携拠 点病院を中心に事業を実施する。 緩和ケア推進検討会(厚労省) • 緩和ケア推進のため、緩和ケアの現状を踏まえ、 俯瞰的かつ戦略的な方策を検討するため設置 • 2012年4月~2013年6月現在 11回開催 • 「緩和ケアセンター」は、全てのがん患者やその 家族等に対して、診断時からより迅速かつ適切 な緩和ケアを切れ目なく提供するため、これまで の「緩和ケアチーム」「緩和ケア外来」「緩和ケア 病棟」等を統括し、以下の活動を担う院内組織で あり、医師・看護師を中心とした多職種が連携し た緩和ケアチーム医療を提供する。 緩和ケア推進検討会とりまとめより
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