論文要旨

様式 3
学 位 論 文 要 旨
研究題目
Pneumatic-type dynamic traction and flexion splint for treating patients
with extension contracture of the metacarpophalangeal joint
(MP 関節伸展位拘縮患者に対する人工筋型牽引屈曲装具の治療効果)
兵庫医科大学大学院医学研究科
医科学 専攻
高次神経制御 系
リハビリテーション科 学 (指導教授
道免 和久 )
氏 名
中 山
淳
不動が長期化することで腫脹や瘢痕組織の炎症,軟部組織の短縮などが生じるため,可動範囲が大
きく減少し手指の関節拘縮が発生する.手指の機能は把持やつまみ動作を行う際に重要とされており,
中でも MP 関節は,手の機能を発揮するために最も重要な関節とされている.MP 関節の拘縮は外傷
や熱傷によって生じることが多く,食事や更衣,排泄,入浴動作など Activities of Daily Living ( ADL ) に
大きな支障を来たす疾患である.拘縮の治療は予防を徹底することが重要であり,必要以上の固定や
骨折後の不良肢位による固定は,拘縮の発生源となるため避けることが重要である.拘縮組織に対す
る持続伸張は有効であり,これを動的装具に応用することは可動域改善に対して有効であることが知
られている.また,動的装具は外傷後の手指機能改善に対しても有効であり,治療時間の短縮に期待
されている治療方法である.これまで,MP 関節伸展位拘縮に対して動的屈曲型装具が広く用いられ
てきた.伸展位拘縮が重度の場合,伸展位にある指を最初から屈曲させるため,関節軟骨がぶつかり
逆効果をもたらす危険性があり,治療に難渋することも少なくなかった.本研究では,その問題を回避
するために,人工筋を装具に応用して関節牽引を行いながら屈曲方向へ矯正する新しい屈曲型動的牽
引装具(Pneumatic-Type Dynamic Traction and flexion splint; DTF)を新たに開発した.著者らが考案
した DTF を 8 週間装着して 2 週間ごとに MP 関節の屈曲方向の可動域,
手指機能評価(TAM-score; Total
Active Motion)の 2 項目を検討した.さらに握力,疼痛についても装具装着時と 8 週間経過時に検討し
た.その結果,装具装着時と 8 週経過時における装具装着効果については,MP 関節の屈曲可動域、
TAM-score (P<0.01)、握力において改善を示した(P<0.01).しかし、疼痛に関しては有意な差が生じ
ない結果となった.次に,装具装着 2 週ごとにおける DTF の可動域改善率の比較では,装具装着後 6
週より MP 関節の屈曲方向の可動域に改善する結果となった(P<0.01)
.また,TAM-score に関して
も装具装着後 8 週目より有意に改善した(P<0.01)
.本研究の結果から DTF は MP 関節伸展位拘縮に
たいして 8 週目で屈曲方向および手指機能全体の可動域の回復が期待できることが示された.