平成 24 年度卒業研究発表要旨 2013 年 2 月 21・22 日 115 ボール・ゴム板系の非線形粘弾性パラメータの同定に関する基礎研究 06-1-078-0104 川本 悟史 知能システム工学科 応用力学研究室 先行研究の結果から、ボール・ゴム板の複合系は、粘性が反発係数に影響を与えるとわかり、リラクゼーション試 験を行い、3 要素固体(線形)を仮定したが、非線形の結果になった。そして小笠原 誠(1)らによって提案されている 「3 要素固体モデルの非線形物性値の同定法」より、3 種の載荷速度実験を行った。そこから彼らの提案した方法か ら、VBA を用いてプログラムを作成し、試験結果に適用した。 Key Words: 3 種の載荷試験、3 要素固体、プログラム(VBA) 1. 目的 本研究では、小笠原 誠(1)らによって提案されている「3 要素 固体モデルの非線形物性値の同定法」を適用して、3 種類の変 位速度による載荷試験結果より、非線形 3 要素固体のパラメータ を 同 定 す る 方 法 を 検 証 す る 。 変 位 速 度 を 100mm/min 、 50mm/min、0.5mm/min の 3 種の試験を行い、提案されている方 法をプログラミングして、変位依存のパラメータを求める。 複雑であるため、VBA を用いてプログラミングを行った。そして、 プログラムを複合系の試験結果に適用したそして、複合系とボー ルのみの粘弾性部の変位と粘性コンプライアンスの関係、粘弾 性部の変位とバネ係数、弾性部の変位とバネ係数の関係をグラ フ化した。 2. 先行研究 先行研究より、粘性が反発係数に影響を与えていることがわ かった。そこでリラクゼーション試験を行い、粘性係数を求めよう と試みた。3 要素固体(線形)を仮定していたが、リラクゼーション 試験の結果が非線形であることが判明した。近似的に粘性に比 例するパラメータを求めた結果、ゴム板を用いるとボールのみより も粘性に比例するパラメータが小さくなり、反発特性が向上すると わかった。 3. 実験 小笠原 誠(1)らに提案されている「3 要素固体モデルの非線形 物性値の同定法」を適用し、3 種類の変位速度による載荷試験を 行う。実験方法として、ボールとゴム板(ボールのみもある)を上下 の載荷版に挟むが、試験装置の関係で、下載荷版の上に角材 を乗せた。アンプにより載荷速度を設定し、変位 40mm 載荷した。 結果の一例(図 1 参照)を示す。 図 2 3 要素固体モデル 5. まとめと課題 先行研究の結果から、粘性が反発係数に影響を与えている とわかった。そして、粘性係数算出のため、リラクゼーショ ン試験を行い、線形を仮定したが、実験結果は非線形になっ た。本年度は、小笠原 誠(1)らに提案されている 3 種の載荷試 験から、それぞれの速度によって傾きが変化していることか ら、バネ定数も変わっていることがわかった。彼らの提案し た方法を VBA を用いてプログラムを作成し、ボール・ゴム 板の複合系とボールのみの試験結果に適用したが、いずれも 複雑曲線になった。 今後の課題として、作成したプログラムが複雑なため、プ ログラムにバグがある可能性も否定できないので、数値的に データを発生させて、プログラムの信頼性を確かめることが 必要である。また実験においては球体のボールと平面の板で 行ったため、バランスをとるのが難しかったので、板に丸み を帯びさせるなどの工夫が必要と考える。 6. 参考文献 [1] 小笠原 誠、佐久間 淳、田富 司、柳澤 瑛一、 谷 光博 図 1 高速での試験 (ボール・ゴム板複合系 2 回目) 4. 3 要素固体モデルの非線形物性値の同定法 小笠原 誠(1)らに提案されているのを適用して、3 要素固体モ デルの非線形物性値の道程を行うため 3 種の載荷試験を行った。 試験結果に適用するにあたり、彼らの提案した構成式や方法が 3 要素固体モデルの非線形物性値の同定法とその生体軟組織 への適用 日本機械学会論文集(A 編) 75 巻 750 号(2009-2) p,251~p,258
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