54 医用高輝度モニタの特性に合った処理パラメータの検討 兵庫医科大学病院 ○ 槌谷達也 尾崎隆男 鎌倉敏子 堀眞規 中村満 井上裕之 池内陽子 上東隼 坂本清 【背景・目的】 医用画像のPACS化に伴い、画像診断はフィルムから医用 高輝度モニタへ移行しているが、医用高輝度モニタの特性に 合った処理パラメータはない。そこで、本研究は従来使用され ていたフィルムと医用高輝度モニタの特性を比較し、医用高輝 度モニタに合った画像処理パラメータを検討したので報告する。 【方法】 使用したモニタはEIZO社製のコンソールモニタ、HI-C、医用 高輝度モニタである。測定はJIRA社製のテストツールを用い、 KONICA MINOLTA社製の望遠型輝度計を用いて行った。 まず、JIRA BN01~18パターンを用いて各モニタの輝度を測 Fig.1 各モニタの輝度特性 定し、各モニタの輝度特性の比較を行った。次に、JIRA SMPTE パターンを用いてフィルムの濃度およびモニタの輝度を測定し、 フィルムとモニタの特性の比較を行った。また、骨系画像用の 階調処理を加えたアクリルステップを用いてフィルムの濃度お よびモニタの輝度を測定し、フィルムとモニタの特性の比較を 行った。 ここでモニタ輝度を濃度に変換するために、以下の濃度値変 換式を用いて、輝度値を濃度値に変換した。 D=-log(射出光強度/入射光強度)+カブリ 【結果】 各モニタの輝度特性において、コンソールモニタのコントラ ストは他のモニタと比較すると低く、最高輝度も低かった。 Fig.2 フィルムとモニタの特性の比較 (Fig.1)フィルムとモニタの特性の比較でSMPTEパターンを用い ると、フィルムとモニタでは若干の差が見られた。(Fig.2)ま た、骨系画像用の階調を加えたアクリルステップを用いると、 モニタは低濃度部ではコントラストが保たれていた。高濃度部 ではコントラストが低かった。ここで、FCRで用いられている CSというパラメータを変更し、コントラストを高くすることに よりモニタのコントラスト特性はフィルムのコントラスト特性 に近づいた。(Fig.3)骨系画像領域に着目すると、アクリルス テップの1から5段目まででは、フィルムはコントラストが低く なっているのに対し、モニタではコントラストが高くなった。 (Fig.4) Fig.3 フィルムとモニタの特性の比較 【考察・結語】 医用高輝度モニタでフィルムと同様のコントラストを得るに は、CSを大きくすることが必要であると考える。また、低濃度 部領域においては、モニタはフィルムと比較するとコントラス トが高くなる。よって、モニタではDR圧縮の程度を弱くするこ とが可能となり、かぶりの増加やオーバーシュートの軽減が可 能となる。 これらのことから、医用高輝度モニタ専用の画像処理パラ メータが必要である。 Fig.4 骨系画像を想定した輝度の範囲 ― 111 ―
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