寺内・西原水辺の生き物観察会報告書

寺内・西原水辺の生き物観察会報告書
特定非営利活動法人おもだか水辺の生き物保全会
平成27年8月26日
渡辺 S 氏)
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主 催…寺内・西原地域活動組織(代表
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当会の立場…主催者からの協力要請に基づいて支援を行いました。
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当会からの参加者…星川茂平治
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日 時…平成27年8月10日(日)9:00~12:00
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場 所…山形県尾花沢市寺内・西原
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対象者…寺内、西原、南沢地区の小学生と子ども育成会
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参加者総数 約30人(小学生15人程度
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実施状況
(1)
加藤 聡
大戸次男
中学生も3人自主参加)
開会式
尾花沢市立福原小学校に集まり、開会式が行われました。当保全会を代表して星川
理事長が挨拶しました。
ところで、星川理事長は、
以前から寺内地区が行って
いる蛍の繁殖活動を指導し
ており、また加藤聡会員は、
尾花沢市内のおもだか柔道
スポーツ少年団活動で寺内
地区の子供たちを指導して
いますので、両人とも寺内
地区には顔なじみでした。
(2)
採集と観察
ア 採集場所 寺内地内の野尻川
野尻川には漁業権が設定されているのですが、主催者が漁業組合にお願いして子
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供たちの採集の承諾を得ています。
【採集の様子】
イ
採集・確認した生き物
コオニヤンマ
ドジョウ
カジカ
アブラハヤ
シマドジョウ
採集・確認した動物一覧表
ドジョウ
カワニナ
魚類
アブラハヤ カジカ
ホトケドジョウ
シマドジョウ
甲殻類
ヌカエビ
軟体動物
カワニナ
昆虫
ミズカマキリ ハグロトンボ
ヤゴ(コオニヤンマ オニヤンマ)
トビケラの幼虫(各種)
採集した生き物は、福原小学校へ運ばれてから観察しました。今回の生き物観
察会を計画する段階での話では、写真を撮ることが重要視されていましたので、
個別の種名等についての説明はできるだけひかえました。
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考 察
(1) 野尻川全体について(生息状況も含めて)
この川は珍しいくらいに自然が豊かな川でした。それは、周囲から家庭の雑排水が
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直接、流れ込まないために、水質の悪化を免れていることが一番大きな理由かつ思わ
れます。そのため、川底の石の表面が泥やどろどろした藻類に覆われることもなく、
きれいな状態になっていました。川石を裏返すと、トビケラ類が多数付着していて、
適度な栄養分もあります。トビケラはカジカの餌になります。魚の種類も豊富で、カ
ジカが多く、ドジョウ類も三種類が同時に生息しています。ホトケドジョウもシマド
ジョウも、今ではかなり珍しくなりました。上流域には水のきれいな沢などが豊富な
のでしょう。不思議なことに湖沼などの止水域見られるヌカエビも多数採集されまし
た。ヌカエビはお腹に多数の卵を抱えていました。丁度、繁殖期だったようです。
これだけ魚や餌となる小動物が豊富なのに、最も一般的なはずのウグイ(ハヤ)が
全く見られませんでした。これはこの下流に沢山の落差工が施されて、遡上できない
状態になっているからと思われます。しかも、
川の両岸が約3メートルものコンクリートブ
ロックで固められ、流れが直線的になっていま
す。雨が降れば一気に水が勢いよく流れ下り、
川魚も下流へと流されているのでしょう。アブ
ラハヤなどのように小さな沢筋にも生息して
いる生き物は、水が引いた後も野尻川へ生息を
拡大できるのでしょうが、下流で産卵して遡上
する魚類は、コンクリートの落差を上れないの
でしょう。また、サクラマスやヤマメの場合は、
海から遡上する雌魚が遡上できませんので、こ
の上流で産卵することができません。ほんの一
部の落差工には魚道が作られているようですが、一部だけではどうにもなりません。
この採集場所から50m下流の落差工の淀みには、30cmほどのアユかウグイと思
われる魚影が見えました。もう少し生き物に配慮した工事であれば、野尻川全体に魚
が上ってくるでしょう。水質が良くて餌も豊富ですから、もっともっと素晴らしい川
になるはずです。
ところで、これだけ魚類が豊富な野尻川でしたので、もしかしたら、アカザやスナ
ヤツメを確認できるのではないかと期待したのですが、見つけることができませんで
した。
(2)
観察会の反省について
去年と同様に今回も日程が最悪でした。丹生川における鮎の網漁解禁日と重なって
しまったことです。川魚に詳しい会員が沢山いるのに、鮎漁が優先されます。漁協会
員が大半を占める我が保全会にとっては致命的です。一年間、待ちに待った鮎漁は何
にも代えがたいものです。地元の寺内地区の方々もそうでした。観察会の途中でも鮎
が気になるらしくて、そわそわしている感じが分かりました。
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追伸
いつものことですが、シマドジョウとホトケドジョウは絶滅危惧種です。悪徳業者に
乱獲される危険性があります。会員には具体的な地名を示しましたが、外部へは秘密に
していただくようお願いいたします。
丹生川における鮎の網漁解禁日の様子
寺内・西原地区の観察会があった8月9日は、丹生川における鮎の網漁解禁でした。その様
子を取材しました。11時ごろに荻袋の橋に到着した時には、正午の開始に備えて網を持っ
た人たちが、川のいたる所に立っていました。その一人に話を聞くと、既に午前 10 時ごろ
から場所取りのために立って
いたということでした。開始の
2 時間前です。
正午に合図のサイレンが鳴
ると、一斉に川面に向かって網
が放たれました。さらに水の上
を走るかのように、軽やかな足
取りで刺し網のもう片端を敷
いて回ります。
網にかかった鮎を取り外し
ている人が、何か言っています。
「ブラックバスがかかった」
お願いして魚を岸に投げてもらいました。三歳ぐらいのブラッ
クバスでした。最上川にブラックバスがいることは知っていま
したが、丹生川にもいたとは驚きです。丹生川内での繁殖もあ
りうるのかもしれませんが、どこかの湖沼から流れ出した可能
性もあります。昨年の11月に徳良湖での駆除作業の際に逃げ
たものかとも考えました。しかし、徳良湖の水は丹生川には入らないそうです(小林会員談)。
知人の高槻氏によると、鍋越沼ではないかとのことでした。鍋越沼には、ブラックバスが闇
放流されています。
珍しい婚姻色
珍しい婚姻色を示している二種の魚に遭遇しました。6月12日に村山市中沢地内の池で
撮影したものです。二種とも、北村山地域ではごく一般的で地味な魚ですが、注意して眺め
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ることがありませんでした。婚姻色になると、かなり派手になるようです。シナイモツゴは
婚姻色だけでなく、「追星」も顕著です。
トウヨシノボリの雄
シナイモツゴの雄
野黒沢 諏訪神社沼に復活の兆し
昨年 9 月 14 日に当保全会は野
黒沢地区の方たちと一緒に、諏訪
神社沼に在来種の復活を願って、
多種類の生き物を放流しました。
一冬を越した今年の状態はどの
ようになったかを見るために、7
月23日に野黒沢の笹原 K 氏と
一緒に沼を確認しました。
沼はひっそりとしていて、復活
は失敗したのと思ってしまった
のですが、視力の良い笹原氏が水
面近くに小さな魚影を発見しま
した。よく見ると、背中に黒い線
がありましたので、メダカであることが分かりました。一度、気づくと次々と見つけること
でできます。沢山の群れが泳いでいます。どのメダカも同程度の大きさで、今年に生まれた
ものようです。多種類の生き物を放流しましたが、とりあえず繁殖力の強いメダカの成果が
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見えました。他の種類は、メダカほどの繁殖力はありませんので、あらためて調査する必要
がありますし、再度の放流も必要かと思います。
文責
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大戸次男