ロッタ有限会社 • • 【背景】視覚障害者の歩行支援手段として、認 められているのは白杖と盲導犬だけである。白 杖は、中高年になって失明した人には習得が難 しい。盲導犬は、犬の飼育や犬との相性、道順 の記憶などの問題があり利用できる人は限定さ れている。そこで、道順を覚える必要がなく、 • 操作の習得が容易なロボットを開発した。道路 交通法との整合性から車いすタイプとした。 • インテリジェント車いすは、短所として白杖 や盲導犬よりも行動可能範囲が狭いなどがある。 • 長所として、操作が簡単で数日の教習を受け れば利用できる、安全でメンテナンスが容易、 玄関等に置ける、製造コストが盲導犬の半額以 下などがある。 • 【原理】動物行動学者ティンバーゲンによると、 下等動物は事物を人間のように3次元の存在とし て見ているわけでなく、事物の固有の特徴「サ インパターン」を見てそれと認識して、定型行 動により活動するという。 • 「ひとみ」が経路を走行するときに用いる 「サインパターン」は、屋外ならば点字ブロッ ク、縁石、塀、横断歩道マーク、歩行者信号な • どであり、屋内ならば、廊下、壁などである。 • 現在位置を「ひとみ」が確認するために「ラ ンドマーク」を用いる。ランドマークとしては 横断歩道マークやQRコード(2次元バーコード) を用いる。QRコードは建物の入口や玄関、エレ ベータなどに貼る。 • 定型行動はサインパターンに沿う移動、ラン ドマークに向かう移動、障害物回避等である。 • 【構成】「ひとみ」は、高さ1400mm、幅650mm、 奥行き120mm、重量46kgである。図1に示すよう に、ビデオカメラ①と2つの光センサ②と③、 バンパーセンサ④、誘導制御コンピュータ⑤、 操作ボックス⑥を有する電動車いすタイプのロ ボットである。 • • 時速1∼2kmで1時間半ほど連続走行する。利 • 用者が行きたい場所を予め登録しておくと、自 動操縦で目的地まで連れて行く。利用者は車い すに乗ってもよいし、後ろのハンドルにつか まって歩いても良い。 【利用法】利用者はハンドルに付けた操作ボックスから指 令を出す。「キースイッチ」⑦を右に回すと電源が入る。 「ひとみ」の音声案内に従って、「次」⑧、「前」⑨、 「決定」⑩のボタン操作により予め登録したリストの中か ら現在位置と目的地を選択する。 「スタートボタン」⑪を押すと走行を開始する。走行中に スタートボタンを押すと一時停止する。ビデオカメラまた は光センサーが障害物を検知すると一時停止し、一定時間 経ってもどいてくれないときは、障害物を回り込んで進む。 音声案内の例を図2に示す。 図1 構成図 図2 「ひとみ」の音声案内の例 【今後の課題】一番の課題は視覚障害者がインテリジェン ト車いすを使って道路を歩けるように道路交通法を改正す ることである。実証実験を積重ねて、有効性、安全性、耐 久性、操作性などを検証し、視覚障害者等の団体に法規改 正の要望書を所轄官庁に提出するように働きかけたい。
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