9月26日~10月2日

2015年水産学科生物生産学専攻海洋実習Ⅲレポート
実習期間 : 9月26日~10月2日
~観測地点~
~主な観測日程~
9月26日
9月27日
9月28日
9月29日
9月30日
10月1日
10月2日
10:00 清水港出港 12:00 St.1観測開始 18:30 観測終了
12:00 St.2観測開始 21:00 観測終了
12:00 St.3観測開始 21:00 観測終了
9:00 屋久島宮之浦入港
8:00 屋久島宮之浦出港 船内大掃除 分析
天候悪化の為St.4観測中止 20:00 清水港入港
8:00 下船 解散
~乗船メンバー~
乗船教員 : 福井 篤 教授 松浦 弘行 准教授 中村 雅子 講師
高見 宗弘 非常勤講師
指導学生 : 上田 百花 ほか9名
実習学生 : 水産学科生物生産学専攻3年次生 83名 総員97名
9月26日 10:00 清水港出港
おはようございます!!
あまりいい天気とは言えませんが, 望星丸無事出港です!
バイバイ清水港!
補助学生も含めて, 全員で登舷礼
を行いました.
~観測項目~
目視観測
望星丸の右舷と左舷に分かれて, 早朝から海鳥, 魚群, 流れ藻,
流木等の数を計測しました.
気象・海象
天気, 雲量, 気温, 気圧, 風向, 風速等を測定しました.
補助学生が雲形について
実習生に説明していますね!
表面観測
表面の水温, 塩分, pH, 水色および透明度を測定し, 記録しました.
アッ
ちょっと重いぞ
船体にぶつけな
いように…
透明度は, この透明度板を海中に沈め,
どの深さまで確認できるかで決まります.
水温はこの採水バケツで
汲んだものを用いて測りました.
上の採水バケツで汲んだ海水の
塩分を, 写真の彼が持っている
塩分計で計測しました.
塩分32!
CTD
CTDという観測装置を用いて, 海域の鉛直構造を把握しました.
CTDとは?
Condactivity(電気伝導度)
Temperature(水温)
Depth(水深)
の, それぞれの頭文字を取って
そう呼ばれています.
その名前の通り, 水温, 塩分, 水深を連続的に観測することが出来
ます.
この黒い円筒はニスキン採水器と
呼ばれています.
全部で24本取り付けられていて,
これで目的の水深の海水を採水し
ます.
この小さいのがセンサーで, 電
気伝導度, 水温, 水深を測定し
ます.
センサーから得られたデータは
ドライラボ内のモニターに
リアルタイムで表示されます.
補助学生が実習生にその
モニターの見方を説明している
ところですね!
この赤の線は塩分
を示してますよ!
ネット観測
今回の実習では, 3つのネットを使用しました.
そのネット達を紹介します!
仔魚ネット
口径1.3m, 目合0.53mmのネットです. 表層にいる仔稚魚の
採集を目的として, 20分間水平曳きを行いました.
仔魚ネットの概要と使用
する目的を補助学生が
実習生にレクチャーをして
います!
何故それを用いるのか
理解することはとても
重要なことですよ!
仔魚ネットとは~...
投入準備!
実習生もネットを
運ぶのを手伝って
います.
さてさて! 何が採れたでしょう?
アミメハギ
18.2mm SL
スズメダイ科 sp.
5.1㎜ SL(左)
8.3mm SL(右)
アジ科 sp.
10.8mm SL
閉鎖式NORPACネット
口径45cm, 目合い0.33㎜の小さいネットです.
目的の水深に到達したときに, メッセンジャーを投入して名の通りネット
を「閉鎖」することで, 水層別にサンプルを採集できるわけです!
主に動物プランクトンの採集を目的としています.
これがメッセンジャーです.
ワイヤーの先にはネットが繋
がっているので, 投下すれば
ネットが閉まる仕組みです.
ネットを揚収しました!
その様子を, 実習生たちは
真剣な眼差しで見つめてい
ます.
揚がってきたサンプルを, 実習生たちは囲むように見ていました.
何が採集されたのでしょうか?
オキアミ
約7cmのビッグサイズ!
この大きさは日本近海
では初記録だそうです.
カイアシ
青い体が特徴的. 比較的よく
採集される種類です.
フィロゾーマ幼生
虫でしょうか??
いいえ!虫ではありません.
エビ, カニ類の幼生で,
透明で平らな体で海の中
を漂っているのです.
これが美味しいエビや
カニになるとは想像もつき
ませんね.
IKMT
Isaacs Kidd Midwater Trawl の略です。アイザックスさんとキッドさん
が考案した中層曳きに用いるネットのことを指します.
畳約6畳分に相当する8.7mもの開口面積と, 約15mもの長さを持って
います. とても大きいですね!
海洋実習Ⅲにおける目玉として, 今年も各St.ごとに曳網しました.
実習生たちもIKMTを楽しみにしていたようですね!
投入準備中の先生と
補助学生たち.
船が大きく揺れるので,
安全の為にヘルメットは
着用必須です.
準備完了!の補助学生
山田くん.
安全帯とは仲良くなれ
たみたいですね!
その間, 実習生に
IKMTの説明を行う
学生長上田さん.
実習生もしっかりと
メモを取って聞いて
います.
とても大きく重いため, 海へ投入するだけでも沢山の人手が必要です.
船員さんや航海科の訓練生の方々の助けも借りています.
作業を見つめる実習生と補助学生.
危ないので, ロープが張られています.
1歩先はもう海です.
慎重にネットを投入していきます.
投入完了!
何が採集されたかは, 数時間後のお楽しみです!
~そして数時間後~
ネットが揚収されました!
一体どんな生物が採集されているでしょう??
揚収の様子を眺める
実習生たち.
何が採れているのかと
そわそわしていますね!
採集物の解説を行っています!実習生はとにかく興味深々ですね!
やたら細長いその生物は・・・?
シギウナギ
細く延長した吻と尾が
特徴的ですね!
餌を食べにくくないの
でしょうか…
クロシギウナギ
同じシギウナギ
でも, こちらは
尾が短いです.
ナメライワシ
「イワシ」とついて
ますが, あのイワシ
とは少し違います.
この魚は美味しいの
でしょうか…?
ペリカンアンコウモドキ
深海魚らしい見た目
ですね!
餌をおびき寄せて,
大きな口でいただき
ます!
カブトウオ
まるで兜を被てい
るみたい??
そんな見た目から
名前が付けられた
そうです.
ホウライエソ
大きな口!
鋭い歯!
狙った餌は逃しま
せん!!
ムネエソ
平らで薄い銀色の体が
特徴的です.
光を反射して, 敵から
身を守ります.
~船上生活~
調査以外では, 実習生はどんなことをして過ごしているので
しょうか?その1日を簡単にまとめてみました!
5:45 後部甲板にて朝の点呼・体操・掃除
船の朝は早いのです!
実習生は眠そうですが, 掃除も頑張ってやっています!
夜のように暗いですが,
早朝です.
元気よくいきましょう~!!
せっせと腕を動かします!
船が揺れる~~!
調査の補助をして下さっている航海科の訓練生の皆さんも,
朝早くからしっかりトレーニングをされていました.
7:00 朝食
ご飯は必ず食堂で, 実習生みんなで食べています!
この日は納豆!
朝の定番ですね!
実習生のみなさん, 船酔いは
大丈夫でしょうか?
また別の日の朝食.
このポテトグラタンが
とてもおいしかったです!
このレポート作成者は5つ
食べました.
~11:00 自由時間
観測まで時間があるので, 実習生はこの時間に各々好きなことに時
間を費やします.
この日の海は大荒れで,
実習生は残念ながら後部
甲板には出られません
でした.
~船内で暇を持て余した実習生たちの様子~
ソーティングという,
サンプルから魚類を抜き出す
作業を手伝ってくれています.
どうもありがとう!!!
女子学生がたくさん
来てくれたので,
補助学生(男)も気合
が入ります!!
ウェットラボに遊びに来て
くれたようですが,
学生長上田さんの表情が
何とも言えませんね!
ウェ~イ!!!
彼らが居眠り補助学生三銃士です!
起きろ~~~!!!!手伝え~~~~!!!
・・・・・・
11:30 昼食
配膳準備の様子.
アッ!
バナナですよ!バナナ!!!
エッ
しっかり食べて観測に
備えましょう!!
バナナはおやつに入り
ませんよ!!!
皮ごといくか
~~~!
12:00 観測開始
実習生は各々の場所で, 観測を行いました.
その様子を紹介します!!
補助学生野澤くん.
彼はこの後雨が降ることを
知りません. 残念ですね.
ええ天気やで
因みに彼は
関西出身ではありません.
雨が降ってきてしまい
ましたが, 実習生は元
気です!!
イェーイ!!
福井先生も合羽とヘルメットを
装着完了!
IKMTの投入準備はすでに
万端です!!
その横で閉鎖式NORPAC
ネットの揚収を眺める
実習生たち.
雨の中お疲れ様です.
17:00 夕食
観測の終わった実習生
からどんどん食べてい
きましょう!
まだまだ観測中の
マイクロネクトン班.
IKMTネットが揚がってくる
までもう少しですよ!!
20:00 採集物紹介
乗船5日目の夜は今回の調査で採集した魚類やプランクトンの紹介
を行いました.
福井研究室からは上田さん(右),
村崎さん(左), 松浦研究室からは
居眠り三銃士の一角を担う
芦川くん(下)が担当しています.
実習生もとても真剣に聞いて
います.
後日提出のレポートに内容を
しっかり書きましょうね!
カメラマンの補助学生山田くん.
ふざけて聞くのはよくないですよ!!
(ちなみに写真は美肌修正済です.)
20:45 夜の点呼
21:00 就寝
実習生の皆さん1日お疲れ様でした.
翌日に備えてしっかり寝ましょう!おやすみなさ~い!
~屋久島宮之浦入港~
今年度の海洋実習Ⅲでは, 台風21号の影響により屋久島への入港
が危ぶまれましたが, 実習5日目に無事に宮之浦へ入港することが
出来ました.
屋久島はどんなところだったのでしょうか?
その様子を少しだけ紹介したいと思います!
天気は生憎の雨でしたが, いい笑顔ですね!
屋久島上陸第1号です!いってらっしゃい!!
寒そうですが, 大丈夫でしょうか.
強いですね!
さすがマッスルマン(仮称)たち!
女の子たちも!!
イェーイ!!!
おみやげ待ってますね!!!
森!
川!!
そして
山!!
さすが屋久島!緑がとても多いですね!
オッッ??
縄文杉…?
屋久杉はどこに…?
屋久島!といえば「屋久杉」ですね!
そもそも「屋久杉」とは, 屋久島の標高500mを超える山地に自生して
いる杉のことを指しています.
「縄文杉」というのはその中でも, 屋久島に自生している日本で最も
太い杉のことです.
ちょっとややこしいですね!
ですが縄文杉は屋久島の標高1300m地点に自生しているため, おい
それと簡単に足を運べる所にはないわけですね. 残念です.
写真にあるのは, その縄文杉の遺伝子を受け継ぐまだまだ小さい幼
木のようです.
大きく育ってね!!
アッ!温泉!
いいですね~!
乗船の疲れはここで
癒すべし!ですね!
オオ, 資料館があります.
ちょっと中を覗いてみま
しょう!
どっちがヤクシカ?
答えは左です!
屋久島に生息する
ヤクシカは, 特に
小柄であることで
知られています.
トビ・・・ウオ・・・?
屋久島の名物ですね!
おいしそう!!
屋久島はまだまだ見どころ満載です!
おみやげをくれた実習生は結局いませんでしたが,
道中自分用に購入した黒糖がとても美味しかったです.
10月2日 8:00 清水港入港 下船
長いようで短かった7日間の実習もおしまいです!
実習生の皆さんお疲れ様でした!家に帰るまでが海洋実習ですよ!
今年度の海洋実習Ⅲは天候に恵まれず, 太陽の見えた日がほとんど
ありませんでした. そのため観測中止等々のアクシデントは起こった
ものの, 総員97名無事に実習を終えることが出来ました.
今年度海洋実習Ⅲに協力して下さった皆様, 本当にお疲れ様でした.
(補助学生 福井研究室所属4年次生 社 祥乃)
~後記~
今回の海洋実習Ⅲは, 東進する台風 21 号続いてそれから変化した西進する
低気圧の影響を受けて,うねりが高く,太陽を一度も見ることができなかった.最
終日前日には,風も強く,観測は中止となった.さらに,強風のため着岸が困難と
なることが予想されたため,前夜のうちに鉄道岸壁に着岸した.
最終日,あたかも予想が覆されたような穏やかな朝を鉄道岸壁で迎えた.し
かし,あの辺りは,午前4時過ぎには30m/s近い風が吹いていた.恐らく,多くの学
生は気付かなかっただろう.
我々は,畏れ多い海という大自然のなかへ,望星丸に乗ってでかけた.観測に
積極的でない実習生もいた.船酔いに苦しんだ実習生も多くいた.しかし,誰もが,
どれもが,通常では体験できない良い経験である.今後,この経験を活かして,残
された学生生活を送ってほしい.
南米パタゴニア地方に伝わる詩
海は移り気で情け容赦ない婦人ある 。
何びとも彼女の胸に安らぎを見出すことはない 。
そしても彼女を征服ようとするのならば 、
ひとはその持てる力すべてを注がねばならぬ。
–詠み人知らず‐
(水産学科生物専攻 海洋実習Ⅲ 主席調査員 福井 篤)