立命館大学研究部 2015 年 5月 15 日 2014 年度採択 研究推進プログラム(科研費連動型)研究成果報告書 採択者 研究課題 所属機関・職名: 文・教授 氏名: サトウタツヤ 人生における不定状況からの移行と径路の探究―過程と発生を捉える TEM の国際的展開 Ⅰ.研究計画の概要 平 成 26 年 度 科 学 研 究 費 助 成 事 業 - 科 研 費 - 申 請 時 の 研 究 計 画 に つ い て 、 概 要 を 記 入 し て く だ さ い 。 質的研究法 TEM(複線径路・等至性モデル: Trajectory Equifinality Model)は、文化社会的文脈に埋め込まれ、 非可逆的な時間とともにある人間の経験(発達変容や行動選択)の径路の複線性・多様性を捉え描くために生み出 された枠組みモデルである。ある時間と場所の制約を受けた、すなわち、歴史性・文化性・社会性とともに在る人 間の多様なライフ(いのち・生活・人生)は、可視/不可視の諸力を受けつつ実現されるものであり、ある時空で結 実する様相、なりゆく状態がある。このことは等至性(Equifinality)の概念に凝縮され、その具体的なポイントは 等至点(Equifinality Point: EFP)として定義される。 TEM は、日本生まれで国際的にも受容されている、文化心理学における質的研究法である。等至点は、歴史的・ 文化的・社会的な諸力により結節化されるものであり、そこからもまた径路が分かれゆくという見方からすれば、 分岐点でもある。すなわち、分岐・発生以前の不定な状況は、その場(地域・国)に特有な文化的状況を有してお り、不定の分析は、そこに住まう人びとのライフの有り様、関係性、人の発達や行動選択と文化・社会との機微を 映し出す。加えてそれは、不定状況からの克服過程、未来展望による径路の発生の検討も含んでいる。 本年度は、TEM の理論を TEA(複線径路等至性アプローチ)に昇華させるための理論的研究を主として行い、 また、対外的なネットワークの生成を目指して、国内 TEM 研究会、国際 TEM 講習会などを行う。国内外の学会 でも発表を行う。 Ⅱ.研究成果の概要 研究成果について、概要を記入してください。 TEA(複線径路等至性アプローチ)という大き な理論的な枠組を作成した。また、国内外のネッ トワークを形成・維持する事に努めた。 デンマーク・コペンハーゲン大学(8月 12~16 日)で行われた文化心理学サマースクールや日本 パーソナリティ心理学会(10 月4、5日)での講 習会を行った。 また、 「複線径路等至性モデル(TEM) 」 、 「歴史 的構造化ご招待(HIS)」「発生の三層モデル (TLMG) 」を統合・統括する考え方として TEA (複線径路等至性アプローチ)を提唱した。 さらに、TEM の考え方、特に必須通過点という 概念を学問史(特に心理学史)に適応して従来型 の心理学史とは異なる枠組を提唱できるように準備した。 1
© Copyright 2024 ExpyDoc