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第5回宿題レポートについて
アインシュタインの相対性理論
チェック項目
①双子のパラドックスとは?(何がパラドックスか)
- 第 13 回 -
今回の講義はレスポンスカードは使いません
レポートの返却をします(場所は黒板参照)
レポ
トの返却をします(場所は黒板参照)
以前の返却分は前で別途返却します
互いに相手の時計がゆっくり進む⇒出会うと?
②真実の自分の時間(実際の経過時間)
地球と星の距離は弟にとって8光年
兄にとってはローレンツ収縮により4.8光年
③見かけの相手の時間1・・・弟の視点
兄が8光年を往復する様子はどのように見えるか
レポートの点数分布
④見かけの相手の時間2・・・兄の視点
10点 3人 9点 14人 8点 25人 7点 40人
6点 32人 5点 20人 2~4点 18人
兄が方向転換⇒弟は兄時間で6年遠ざかり6年近付く
1
相手の真の時間経過を扱うには一般相対性理論が必要
前回のまとめ
今回の内容
1.相対論的質量
速さ
第二部 一般相対性理論
で動く物体の質量
第5章 一般相対性理論概論
運動はダイエットの敵
特殊相対性理論が抱える問題点
2.相対論的エネルギー
速さ で動く物体のエネルギー
特に静止エネルギー
一般相対性理論誕生
般相対性理論誕生
3.質量とエネルギーの等価性
今日のキーワード
静止エネルギーだけの式ではない
誰もが秘める莫大なエネルギー
一般相対性原理
等価原理
3
第5章 一般相対性理論概論
第二部 一般相対性理論
§1 特殊相対性理論が抱える問題点
第二部の位置づけ
特殊相対性理論は「生まれた時から不完全」
一般相対性理論の正確な理解には
幾何学などかなり数学的知識が必要
⇒
納得のいく導出は無理でも基本的な考え方や
興味深い帰結を知っておくのも悪くない
特殊相対性理論の抱える問題点 加速度と重力
1.慣性系での記述に限られる
・現実は星の重力で加速度運動する系ばかり
現実は星 重力 加速度運動する系ばかり
⇒近似としてはいいが厳密には?
⇒
時間、空間の概念変更もあってどうしていいやら・・・
概論的な紹介が講義の目的
合わせて宇宙論への応用も紹介
今日の講義のテーマ
加速度と重力
一般相対性理論誕生
・加速度運動した場合の効果が不明
「兄からみた弟の真実時間」の謎
5
兄の12年に対し弟の真実時間は7.2年でなく20年
1
2.重力の現象は特殊相対性理論と矛盾
2-2. そもそも重力の大きさは?
力学と電磁気学の融合を目指したのに重力が扱えない
2-1. 光速を越える情報伝達が起こる
距離は観測者により異なる
ニュートンの万有引力の法則
質量
2つの物体の間の距離
と の物体が距離
:定数(重力定数と呼ばれる)
ローレンツ収縮
といわれても・・・
相対論的質量は速度による
物体の動かしにくさという視点の質量だったが
そのまま使っていいのだろうか?
⇒片方の物体の動き( の変化)が
瞬時に相手に伝わることになる
重力と特殊相対性理論を融合するには
何か根本的な見直しが必要そうだ
クーロンの法則も同じ形だったけど?
マックスウェルの理論は動く電荷について正しく修正
⇒ 変化は光速で伝わる・・・これこそ電磁波
ニュートンの万有引力の法則
万有引力の法則の形が変わる程度ではなさそう
7
8
エピソード アインシュタインの過ち(1911)
2-3. 光速度不変の原理が危うい
光の粒子描像(光量子仮説)
光は重力で曲がる
光の粒子は決まったエネルギーを持つ
太陽
光の粒子が重力を受けるとして計算
⇒効果は小さいが日食の際に観測可能
質量とエネルギーの等価性
⇒ 光の粒子は質量を持つ
予言値は誤り!
⇒ 重力を受けて加速度運動???
「光速に近づくと質量∞」の議論は使えないし・・・
幸い観測は不調で年月が経過
星に落下する光は光速を超える?
論拠不十分だが何か危険をはらんでいそう
どうやら加速度運動したり重力の影響を
受けると時間がゆっくり進むようだ
9
☆完全な理論の構築に向けて
加速度運動する系での物理法則の記述
見かけの力だけでは事は足りない
§2 一般相対性理論誕生まで
☆一般相対性原理
特殊相対性理論完成後、アインシュタインは
加速度と重力の問題の解決に着手
重力理論の構築
ニュートンの万有引力の法則を
根本的に修正する必要がある
最初のこだわり
最初
だわり
根拠はないが・・・
根拠
特殊相対性原理は美しい
ここまでの手がかり
みんな平等
⇒ 慣性系に限らず「みんな平等」が真理では?
・時間の変化がありそう
・重力の変化は波として伝わる?
電磁波からの類推
電場、磁場に対応して重力場?
一般相対性理論の完成を受け再計算(1915)
予言値は1911年の2倍に修正
1919年に予言値通りの観測 ⇒ 一躍有名人
加速度運動している人だって主役になりたい
11
後に一般相対性理論を完成させる重要な役割
2
☆等価原理
加速度と重力に思いを馳せる中で
一般相対性原理
どんな運動をする人にとっても物理法則は同じ
「人生で最高のおもいつき」(1907)
注意
思考実験
1.このままでは理念を述べただけで中身なし
エレベーターに乗っていてケーブルが切れたら?
特殊相対性理論のときも「物理法則」構築の基礎は
光速度不変の原理が与えた
2.みかけの力はどうなる?
空気抵抗はないとする
切れる前
2つの力がつりあって乗客は静止
13
切れた後 全体が重力加速度で落下
床から力を受けないので
重力を実感しない
自由落下
抗力
14
重力
等価原理(表現1)
局所的には重力は適当な加速度運動で消せる
⇒加速度と重力の問題を同時解決できるかも
自由落下する系は局所慣性系
あたかも慣性系
「無重力状態」
停止中
床から力(抗力)を受けることで
重力を実感する
ニュートン力学では加速度運動する人には
みかけの力が働くので「物理法則」は同じではない
同じ速度、加速度
地球を周回する宇宙ステーションの中も同じ
地球から重力は受けていても「無重力状態」
乗っている人にとっては重力はないのと同じ
重力と加速度運動は同等ではないか?
15
「局所的には」という但し書きがつく
巨大エレベーターを考えると
上と下で加速度が違う(地球視点)
自由
落下
アインシュタインはもう一歩踏み込んだ
←加速度系では重力が消えたと解釈
注意
地球
下部の乗客から見ると
上部では上向きの力
「重力のおつり」
16
物体には重力が働く
等価原理(表現2)
重力加速度 とすると質量
の物体には
大きさ
の重力が働く
この
は物体が受ける重力の度合いを
表すので重力質量と呼ばれる
慣性質量と重力質量は等しい
等価原理(表現1)の再考
どうして自由落下する人(加速度系)では
重力が消えるように見えたのだろう?
見かけの力と重力が相殺
するので無重力状態
加速度系では見かけの力が働く
17
⇒
加速度 の系⇒質量
の物体には大きさ
の
みかけの力が働く
この
は物体の慣性(運動の変化のしにくさ)を
表すので慣性質量と呼ばれる
加速度 で落下
みかけの力
自由
落下
慣性質量=重力質量
重力
18
3
☆等価原理が示唆すること
慣性系のロケットから見ると
相殺可能
1.重力とみかけの力は同等
等価原理を言い換えただけ
光は直進
加速度運動するロケットから見ると
加速度と重力を一緒に考えると
一般相対性原理が成り立つ理論が
できるかもという希望の光
きるかもと う希望 光
加速度
光は曲がる
⇒
ロケットを主役に
2.光は重力で曲がる
先ほどの話はそもそも等価原理に立脚
加速度運動を重力に置きなおすと
等価原理
光子が持つ慣性質量により重力を受けるとしていた
加速度運動と重力の同等性から再考(次頁)
エネルギーは重力を感じることも意味する 19
3.重力を受ける(加速度運動する)と
時間が遅れる
光が曲がるとは?
波の屈折を思い出そう
幅のある光線で考えてみよう
青線は波の山の位置(波面)
「同じ時間で」
光はA→C、B→D
A
重力源
20
「地球」
慣性系(自由落下する人)にとっては
光速度不変(30万km/s)なのにどういうこと?
重力源(質量)に近いところほど
時間がゆっくりすすむ
速
D
遅
光速が場所によって違うことよりも重要な本質は
重力を感じると時間がゆっくり進む
C
⇔
距離はBD>AC!
B
光は重力で
曲がる
重力源
あるいは
等価原理
加速度運動による見かけの力を受けると
時間がゆっくり進む
重力を感じると光速は場所によって変わる
⇒光速度不変の原理は慣性系でのみ成立 21
22
完成に向けて
☆生みの苦しみ
手がかり
等価原理⇒加速度と重力の問題を同時に
解決できる可能性
特殊相対性理論では時間と空間が
ある意味同等(混ざり合う)
等価原理⇒重力は時間のゆがみを生じる
どうやって一般相対性原理を満たす理論にするか
どうやって
般相対性原理を満たす理論にするか
「人生で最高のおもいつき」(1907)
太陽の重力で光が曲がる(1911)
ミンコフスキーによる特殊相対性理論の
数学的定式化がアインシュタインに幾何学的
描像のヒントを与えた
⇒時間がゆがむなら空間もゆがむはず!
・・・
時空のゆがみこそ重力だ!
その後苦悩の日々
23
24
4
時空のゆがみが「重力」を生む
数学者の友人(グロスマン)の助けを借りて
3年がかりで一般相対性理論を完成(1915)
1.一方(図は光)が軽い時の様子
空間を2次元にしてイメージを描く
時空のゆがみを扱うには幾何学が必要
曲がった面の例・・・球面:平面とは性質が異なる
重い星が作る
空間のゆがみ
一般相対性理論を一言でまとめると
ゆがんだ空間の
中を「まっすぐ」
進む光は遠くから
見ると「曲がる」
時空のゆがみ=定数×エネルギー
時空のゆがみがエネルギーによって生じる
静止した質量だけではなくエネルギーが起源
物体はゆがんだ時空を「まっすぐ」進む
「重力によって
光は曲がる」
26
と表現
慣性の法則の代わりの表現
重力の理論ではなかったの???
25
星に近いほどゆがみは大きく光は大きく曲がる
2.どちらも重いときの様子
万有引力らしい表現
2つの物体は共に空間のゆがみを作る
⇒1つのゆがみに合流しようとする=引力
27
今日のまとめ
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次回の内容
1.特殊相対性理論が抱える問題点
加速度運動をする系を主役とする記述ができない
万有引力の法則が特殊相対性理論と相容れない
§3 一般相対論が語ること
2.一般相対性理論の基本原理
一般相対性原理
般相対性原理
等価原理
3.一般相対性理論の本質
時空のゆがみ=定数×エネルギー
時空のゆがみがエネルギーによって生じる
そして、時空のゆがみが重力の働きを生み出す
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