資料ダウンロードはココをクリック!

HP掲載版
COMSOL技術特別セミナー
第1回 腐食
場所:東京国際フォーラムG404会議室
日時:2015年3月12日
COMSOL Multiphysics5.0と
マルチフィジックス
シミュレーション
橋口真宜
第1技術部長
計測エンジニアリングシステム株式会社
東京都千代田区内神田1-9-5 井門内神田ビル5F
http://www.kesco.co.jp/
http://www.comsol.jp/
会社および製品紹介
2
会社紹介
JR神田駅から徒歩5分
KESCO
JR神田駅から徒歩5分
3
事業内容
ソフトウェア
ノートPCからスパコンまで稼働。
汎用マルチフィジックス有限要素解析ソフトウェア
COMSOL Multiphysics
(COMSOL社、スウェーデン)
販売、技術サポート、各種セミナ開催
計測関係
計測器、画像処理、データ処理、電気
回路シミュレータも扱っていますので、
そちらもご相談ください。
ドローン試験飛行
弊社が推進試験装置と
評価装置を設計・納品
朝日新聞デジタル版2015 2.20
4
COMSOL社とKESCOについて
• 設立:1986年(スウェーデン)
計測エンジニアリングシステム(株)
日本国内販売総代理店
• 従業員:約 350名
• 事業所:19、代理店:15
– 米国: ボストン(本社・営業拠点)
– スウェーデン: ストックホルム(開発拠点)
– ヨーロッパ、南米
– インド、中国
• ユーザー数: 110,000以上
‘86
‘95
‘96
PDE
Toobox
Selling
MATLAB
‘99
‘00
FEMLAB 1.0
Coding
FEMLAB
‘03
‘05
FEMLAB 3.0
(Standalone)
FEMLAB 2.0
(3D)
‘06
‘07
COMSOL 3.3
COMSOL 3.2
‘08
‘10
‘12
COMSOL
4.2
COMSOL 3.5
COMSOL 3.4
‘11
COMSOL
4.0/4.1
COMSOL
4.3
‘13
‘14
COMSOL
4.3a/b
4.4
COMSOL
5.0
COMSOL Desktopの変遷
Ver.3.5a
別ウィンドウによる入力方式
Ver.5.0
リボンメニュー(Windows版)
コンテクストメニュー方式
6
Ver.5.0新機能
アプリケーションビルダ
7
今回のテーマ: 腐食
身近なスケールから巨大なスケールまで影響を与える。
全面腐食
局部腐食
Erosion
キャビテーションErosion
応力腐食割れ
応力疲労
隙間腐食
孔食
粒界腐食
選択腐食
異種金属接触腐食
8
シミュレーション:Simulation
現実のシステムでは困難、不可能、または危険な場合に用いると効果的である。
モデルの構築:従来は単純化の方向
仮定が多く、成立範囲に制限が強い。
現実の系
実験・観測
環境の影響を受ける
実験・観測結果
モデル化された系
シミュレーション構築
何を組み込むか
に影響を受ける
シミュレーション結果
何を組み込んだかに依存
近似理論の構築
式を立てる人に依存
理論式
寄与率が式で明示
比較、モデルの改良
予測
9
腐食のトピック
電極‐電解質界面
http://www.chem1.com/acad/webtext/elchem/ec7.html
10
COMSOL Multiphysicsの役割(1)
現実の系
マルチフィジックス解析機能で
現実の系に近づける
モデル化された系
専門モジュールによるカスタマイズ機能での即応
予測機能増大
予測
偏微分方程式ベースのモデリング環境を提供
𝜕𝑢
+ div J = Q
𝜕𝑡
常微分方程式、代数方程式も装備
3Dプリンタ用
データ出力
実験結果
関数化
理論解析
11
腐食モジュール仕様の調べ方
製品概要
https://www.comsol.jp/products
製品仕様表
https://www.comsol.jp/products/specifications/
12
腐食を理論的に取り扱うには
96485.3365 クーロン/モル
電気化学
化学
流体力学
伝熱
固体力学
疲労
粒子
マイケル・ファラデー 1791-1867
13
COMSOL Multiphysicsの役割(2)
同じルック&フィールで種々の作業を
自由に行えるCOMSOL Desktop環境
一見すると複雑に見えるものを
基礎から組み立てなおすことで
理解に至る時間を短縮できる。
14
道具の紹介
基本的な原理検討に利用する道具は
PDEインターフェース
係数形式PDE
いろいろな段階で適した道具を利用
実験での道具の例
顕微鏡
内視鏡観察
超音波計測
15
検討1.電解液のみの電位分布を求めたい
オームの法則が成立:J=σE=σ(-∇Φl)
電流の保存則:∇・J=0 (空間電荷密度=0)
底面以外は
絶縁
n・J=0
つまり、
𝜕𝜙𝑙
=0
電解液:電気的中性、完全混合
導電率 𝜎=5 S/m
𝛻 2 𝜙𝑙 = 0
𝜕𝑛
ここにミクロを考慮(*)
ラプラス方程式
未知数はφlである
ことを意識する。
10mm
y
Φl=1V
(0,0)
ディリクレ条件
20mm
x
Φl=0V
ディリクレ条件
Φlの値を与える。
*
16
ラプラス方程式
COMSOLは式の形を確認できる。
17
電解液内電位分布の計算結果
𝜕𝜙𝑙
=0 を実現できている。 φl=1, φl=0も実現されている。
𝜕𝑛
メッシュの粗さは見える。
3次元表示はわかりやすい。
18
検討2.電極‐電解質界面反応
酸性水溶液中での電位φlと電極反応を考える。
ターフェル式
反応式
η= - φl- Eeq
亜鉛表面
𝑍𝑛 𝑠 → 𝑍𝑛 2+ + 2𝑒 −
𝐸𝑒𝑞 = −0.763𝑉
𝑂2 + 4𝐻 + + 4𝑒 − → 2𝐻2 𝑂 𝐸𝑒𝑞 = 1.229𝑉
iloc=1e-3*10^(η/0.12(V))
Iloc=1e-10*10(η/(-0.25(V))
電流密度Jn_a=iloc=1e-3*10^(η/0.12(V)) -1e-10*10(η/(-0.25(V))
鉄表面
𝐹𝑒 𝑠 → 𝐹𝑒 2+ + 2𝑒 −
𝑂2 + 4𝐻 + + 4𝑒 − → 2𝐻2 𝑂
𝐸𝑒𝑞 = −0.44𝑉
𝐸𝑒𝑞 = 1.229𝑉
iloc=1e-4*10^(η/0.41 (V))
Iloc=1e-8*10(η/(-0.25(V))
電流密度Jn_c=1e-4*10^(η/0.41 (V)) -1e-8*10(η/(-0.25(V))
Itotal=アノード電流*1+カソード電流*(-1)
n・il=itotal, il=-sigma*∇φl, ∇・il=0
電極を底面に浸けたときの平衡電位を求めたい
COMSOL の微分代数方
程式求解機能の利用
入ってきたものの和=0
a=0.522 V
Jn_a=1e-3*10^((-a+0.763)/0.12)-1e-10*10^((-a-1.229)/(-0.25))
Jn_c=1e-4*10^((-a+0.44)/0.41)-1e-8*10^((-a-1.229)/(-0.25))
底面以外は
絶縁
n・J=0
つまり、
𝜕𝜙𝑙
=0
𝜕𝑛
外部電位=0を仮定
電解液:電気的中性
𝜎 = 5 S/m
𝛻 2 𝜙𝑙 = 0
ラプラス方程式
y
Φlの微分値を与える
x
アノード
Jn_a
(0,0)
Jn_c
カソード ノイマン条件
ノイマン条件
20
流束条件
流束N
−𝐧・𝛻𝐍=𝑔
自分の設定値
式で入力することも可能
単位法線ベクトル
n 外向きを正
21
検討3.アノード側の外部電位を変更したい
η=-Φl-Eeq
η=Φs_ext-Φl-Eeq
Φs_extが大きくなるとx方向に電位が傾斜する。ここは代数計算ではできない。
代数計算結果
場の数値解析が
必要。
底面上での電解液電位
22
検討4.濃度勾配を考える
Cb=0.1 mol/m^3
未知数は
c_O2
酸素が溶存しているとする。
対流はないとする。
0流束
拡散係数: D_O2=1e-7 m^2/s
0流束
(ミクロはここに入っている。)
拡散方程式
0流束
y
流束(フラックス)
の理解が重要
x
0流束
23
拡散方程式
24
一様な濃度分布が解である
一様濃度
25
検討5.電極による濃度への影響を考えたい
着目した化学種流束が電極反応による電流
密度とファラデー則を介して関係する
亜鉛表面
𝑂2 + 4𝐻 + + 4𝑒 − → 2𝐻2 𝑂 𝐸𝑒𝑞 = 1.229𝑉
鉄表面
𝑂2 + 4𝐻 + + 4𝑒 − → 2𝐻2 𝑂
𝐸𝑒𝑞 = 1.229𝑉
Iloc=1e-10*10(η/(-0.25(V))
Iloc=1e-8*10(η/(-0.25(V))
酸素濃度の減少は電流、関与電子数、F、化学的量論係数で
決まる。
26
電極反応による溶存酸素濃度の変化
反応ソース項Rの分布
沖合:0.2mol/m^3
x
酸素濃度の表面分布
x
x
27
検討6.酸素濃度の電極反応への影響
ターフェル式が濃度による影響を受ける
Iloc=1e-10*10(η/(-0.25(V))
Iloc=c/cb*1e-10*10(η/(-0.25(V))
Iloc=1e-8*10(η/(-0.25(V))
Iloc=c/cb*1e-8*10(η/(-0.25(V))
28
検討7.濃度分布をコントロールしたい
電解液をうごかしたらどうなるか
29
対流-拡散方程式
対流速度を設定
30
対流の影響を入れてみる
対流速度の分布を仮定して観察してみる。
0.001 m/s
仮定した速度分布を設定
酸素の表面濃度
0.005 m/s
いままで液のなかの様子が見えなかったけど、これだとイメージがつかめる!
31
より現実的な系を扱うには
例えば、相対湿度の影響
実験値のカーブフィットを設定する。
COMSOLはそれを自由に組み込める。
32
相対湿度の組み込みの実際
Al:電気化学的に卑な金属
Butler-Volmer
Fe:
Cathode Tafel
湿り空気
電解膜:salt load density(LD=0.0005[kg/m^3])と湿度に
依存する。Salt濃度もそうである。
膜は相対湿度(RH=0~1)が増えるにつれて増大する。
膜厚=LD[m/(kg/m^2)]*(24.9+14.8*RH-22.58*RH^2)/(5811.95+23909*RH-3291*RH^257990*RH^3+31576*RH^4)
塩濃度=-25.12*RH+25.253[mol/kg]
塩密度=1823.2-814.38*RH[kg/m^3]
NaCl濃度=塩濃度*塩密度=6042[mol/m^3]=f(RH)
酸素の溶解度、拡散係数、電解液導
電率は相対湿度に依存する。
導電率=48250.20-287264*RH+683394*RH^2-811693*RH^3+481365*RH^4-114051*RH^5[S/m]
拡散係数=(-0.1464e-3*cNaCl[m^3/mol]+2.0511)*1e-9[m^2/s]
酸素溶解度=0.0003*exp(6.59*RH)[mol/m^3]
アノード平均電流 vs. LD, RH
最適値がある
LD=0.0035kg/m^2
RH=0.95
いままでのまとめ
1)COMSOL Desktop環境は理解に要する時間の短縮ができる
操作の容易さ、式の自由設定、計算・可視化による確認
2)COMSOL Multiphysicsは腐食の理論的理解に役立つ
ここでは、ラプラス方程式、対流・拡散方程式、
電極反応による電流密度と濃度ソース項(ファラデー則)を見た。
3)COMSOLでは式の形を確認しながら理解を進めることができる。
35
COMSOL Multiphysicsの役割(3)
できあがったものを周囲に即時展開
し、メンバーの力を最大限活用する。
http://www.kesco.co.jp/comsol/img-50/COMSOL50_intro_141031w.pdf
36
アプリケーションビルダの活用
COMSOL アプリケーションビルダで、
周囲に即時展開し、メンバーの力を
最大限活用する。
必要入力項目の明示
解析目的の伝達
内容説明の伝達
結果出力の定型化
37
COMSOL Multiphysicsの役割(4)
より多くのものを組み込んで
新しい可能性を開く。
38
拡大
例えば、
フェーズ・フィールド法との
組み合わせ
微視的界面形状への拡大
疲労解析との組み合わせ
疲労腐食割れ
39
まとめ
腐食
COMSOLは腐食分野の基礎を短期
間で正確に理解するために役立つ
と考えられる。
COMSOLは腐食分野で変革を起こ
すために役立つと考えられる。
この後の講義で
対流・拡散方程式
拡散方程式
撹拌あり
撹拌なし
混成電位の算出
ノイマン条件による電極電流
分極あり
ディリクレ条件
ラプラス方程式
分極なし
40
ソフトウェアはその特徴を捉えて
タイムリーに利用することが大事!
• トライアルをKESCOに申し込む(HP)
• 同時に、KESCO入門セミナーに申し込む(HP)
• http://www.comsol.com/でビデオを見て
操作方法を習得する。
• モデルライブラリ例題をまずは見る
• 例題を編集し、変更などを加えてみる
• Rootをクリック、仕様チャート、で必要モジュールを
確認する
• 購入いただき、良い製品づくりへ展開
41
本シリーズの
第2回以降もお楽しみに!
HP掲載版
42