安芸高田市国民健康保険データヘルス計画 <概要> (平成27年度~平成29年度) 1.計画の目的と背景 1. 計画の目的と背景 「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において、「全ての健康保険組合に対し、レセプト等の データ分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画として「データヘルス計画」の作成・公表・ 事業実施、評価等の取組を求めるとともに、市町村国保が同様の取組を行うことを推進する。」ことになりま した。保険者は、健康・医療情報を活用して保健事業の実施計画(データヘルス計画)を策定し、実施及び評 価を行うことにより、効果的かつ効率的な保健事業の実施を図ることが重要となっています。 計画期間は平成27年度から29年度までの3年間です。 2.現状分析と課題 2. 現状分析と課題 ■平成 25 年度健診結果から見る生活習慣病リスク ① 特定健診受診率は、平成25年度51.5%と、県26.7%、全国33.5%を上回っています。 ② 生活習慣をみると安芸高田市は、喫煙は12.5%(県11.2%)、毎日飲酒をする人は32.2%(県28.6%)、 1回の飲酒量2合以上11.4%(県9.2%)、週3回以上就寝前に夕食を摂る人や1回30分以上の運動 習慣がない人、20歳時体重から10㌔以上増加した人は県平均よりも高い状況があります。 年代別にみると、40歳代後半の男性に1日3合以上飲酒が25%(県10.1%)、睡眠不足の人58.6% (県44.1%)と特に高い状況があります。 ③ HbA1c5.6以上の人は、男女とも50歳代以上では、県平均を上回っています。うち、保健指導レベル は1,390人、受診勧奨レベルは259人です。 ※HbA1cとは、過去1~2か月の血糖の平均的な状態を表した数値です。 ●年齢階層、男女別HbA1cにリスクのある人の割合(表1) ●HbA1c判定区分別健診結果 正常 (表2) 保健指導レベル 受診勧奨レベル 1449 1436 1390 974 784 659 292 287 259 単位(人) 単位(%) 平成23年度 平成24年度 平成25年度 ■医療費分析 ① 高額(診療点数5万点以上)レセプト件数は、月平均69件 で、件数全体の0.7%ですが、医療費は月平均6,627万 円程度となり、医療費全体の28.4%を占めています。 ② 糖尿病の医療費は1億3千万円、医療費の高い順位で第3 位、患者数で4位、腎不全は患者一人当たり約600万円 の医療費となっています。腎不全や糖尿病は人工透析に 至る可能性が高い疾病です。糖尿病を基礎疾患とした透 析者は、人工透析者全数の57.1%を占めています。また、 男性の生活習慣病治療者の40%に糖尿病がみられます。 ●高額レセプトの状況 121 分類名 患者数 (人) (表 3) 患者一人当たり 医療費(円) 腎不全 11 6,060,021 脳内出血 13 4,138,591 虚血性心疾患 10 2,817,300 ※平成 25 年 4 月~平成 26 年 3 月診療分 ●疾病構造(疾病中分類による) (表 4) 医療費総計が高い疾病 疾病項目(中分類) 患者数が多い疾病 医療費(千円) 1位 その他の内分泌、栄養及び 代謝疾患 192,464 2位 高血圧性疾患 3位 4位 構成比(%) 疾病項目(中分類) 患者数(人) 7.0 その他の内分泌、栄養及び 代謝疾患 3,630 161,316 5.8 高血圧性疾患 2,681 糖尿病 131,906 4.8 その他の肝疾患 2,560 統合失調症、妄想性障害 131,487 4.8 糖尿病 2,486 ※「その他の内分泌、栄養及び代謝疾患」とは甲状腺障害及び糖尿病以外をいう。 (表5) 患者一人当たり医療費が高額な疾病 疾病項目(中分類) 医療費(千円) 患者数(人) 患者一人当たり医療費(円) 1位 白血病 10,443 16 652,743 2位 悪性リンパ腫 33,495 54 620,289 3位 腎不全 106,820 186 574,305 ■分析結果から導いた課題 ① 医療費総計が高い疾病、あるいは患者数が多い疾病や一人当たり医療費が高額な疾病の中に糖尿 病があります(表4)。将来の人工透析患者数抑制のためには糖尿病を発症させない対策が必要です。 内臓脂肪蓄積に該当しない非肥満の人の中でもリスクがある人を対象に事業実施する必要がありま す。 ② 高額レセプトの要因となっている疾病の中に、生活習慣病が重篤化した疾病があります(表3)。 重症化予防が必要な病期にあたる患者等を特定し、個別に保健指導を行い、定期的な通院を促し、服 薬管理や食事管理等をすることで重篤化を防ぎ、病気をコントロールすることが重要です。 ③ 生活習慣病の治療はないが、特定健診の検査値から受診する必要がある被保険者がいます(表2)。 ④ 厚生労働省が目標とするジェネリック医薬品普及率は平成29年度末の数量ベース(新基準)で60% 以上ですが、現在は48.2%です。 ⑤ 将来的な医師不足等の医療提供体制の変化に対応していくため、健康状態の把握や健康管理を容易 にできるツールとして、ICT(情報通信技術)を活用する必要があります。 3. 保健事業内容 平成24年度から取り組んでいる自助・共助・公助を基調とした『市民総ヘルパー構想』による、『健康 倍増事業』の取り組みは、市民の健康に対する意識改革や医療費抑制につながりつつあります。 現在実施している事業の見直しを行い、分析から見えてきた課題に対応した事業に取り組みます。 ① 糖尿病予防事業 特定健診の結果から非肥満の保健指導対象者を特定し、生活習慣や検査値が改善されるように、保健 師、栄養士、スポーツトレーナーによる運動教室を実施します。 ② 生活習慣病重症化予防事業 特定健診の結果とレセプトの治療状況から対象者を特定し、疾病管理ナースにより対象者に6カ月間 の面談指導と電話指導を行います。指導内容は、食事指導・運動指導・服薬管理等とし、指導完了後も 自立して正しい生活習慣を持続できるように日常に根付いた指導を行います。 ③ 受診勧奨事業 特定健診の結果、受診勧奨域の人へ医療機関への受診を勧めます。 ④ ジェネリック医薬品差額通知事業 医療費通知と合わせて、ジェネリック医薬品に切り替えることで節約できる費用を通知し、患者負担 を減らせるよう情報を提供します。 ⑤ ICT(情報通信技術)を活用した健康管理事業 ※平成28年度までに実施計画策定 住民の健康状態の把握や、健康分析を実施できるようにし、健康促進、予防医療、早期発見・早期治 療につなげるために使用できる健康管理システムを検討します。 4. 計画の評価と見直し 評価時期については、毎年度の進捗状況や評価結果を活用し、状況に応じて計画の見直しを行います。 また、計画の見直しについては、国保連合会の「支援・評価委員会」の支援を受けて行います。
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