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研修プログラム
Case 2
57歳、女性
【既往歴】 14歳時:副鼻腔炎手術
19歳時:虫垂炎手術
41歳時:胆石手術
49歳時:上顎洞嚢胞手術 【家族歴】
父:白血病
母:癌(詳細不明)
姉:上顎癌
【現病歴-1】
死亡7年前より鼻出血、左頬部の腫脹および疼痛が出現
し、対症療法にて症状は改善した。またCTにて甲状腺に腫
瘤を指摘され、甲状腺癌(乳頭癌)の診断のもと甲状腺全
摘術および左上内深頚部リンパ節切除術がなされた。
その後、ヨード治療目的で当院入院となったが、鼻出血、
左頬部の腫脹、疼痛がみられた。左上顎洞より生検にて悪
性リンパ腫と診断された。放射線療法を開始されたが、左
深頚部リンパ節転移がみられ、化学療法(CHOP: 3クール)
が追加された。放射線治療は外照射 total: 60 Gyとなった。
左上顎洞腫瘍およびリンパ節転移病変は消失し、以降は
再発はみられなかった。
【現病歴−2】
死亡3年前、甲状腺癌に対するヨード治療がなされた。
死亡2年前、左鼻腔より出血を認めた。CTにて左上顎洞
に骨破壊を伴う腫瘤を認め、生検にて骨肉腫の診断と
なった。全身精査にて転移は認められず化学療法 (CDDP
動注+ADR療法)および炭素イオン線療法57.6Gyがなされ、
臨床的にはCRと判定された。
【現病歴−3】
壊死した腫瘍の減量をおこなっていたが、死亡8ヶ月前、
左眼窩̶左頬部の蜂窩織炎となり加療するも、壊死が進
行した。またCTにて骨肉腫の肺転移がみられ、肺転巣に
対して放射線療法 45Gyが施行されたが、肺転移病巣は
増悪傾向にあった。
死亡3ヶ月前、左上顎骨肉腫が再増殖し、壊死および
感染により発熱し、再入院となった。腫瘍は口腔内へも広
範に広がっており、出血を繰り返した。感染、疼痛、出血
に対しては対症療法とし、腫瘍は徐々に増大した。
死亡2ヶ月前、尿量低下を認め、四肢の浮腫もみられた。 死亡前日より呼吸機能および血圧の低下を認め、永眠
された。
【現症(死亡3ヶ月前)】
身長151.5cm、体重 38.05kg
意識レベル清明
体温36.6℃、脈拍92/min整、血圧94/56mmHg
左頬に巨大な腫瘤、口腔内左側上部、左鼻腔内に腫瘤
を認めた。
【検査データ(死亡3ヶ月前)】
[CBC] WBC 15.18x103/μl, RBC 2.00x106/μl
Hb 4.7g/dl, Ht 15.4%, Plt 332x103/μl
血液像: NEUT 88.6%, LYMP 6.5%, MONO 4.7%
EOS 0.1%, BASO 0.1%
[Serum chemistry] TP 6.6g/dl, Alb 2.6g/dl, BUN 28mg/dl, Cre 1.15mg/dl
UA 10.0mg/dl, T-Bil 0.4mg/dl, D-Bil 0.2mg/dl, AST 33U/L
ALT 26U/L, γGTP 218U/L, ALP1429U/L
T-cho 117mg/dl, TG 104mg/dl, Glu, 107mg/dl
LDH 148U/L, CRP 13.08 mg/dl
Na 138mmol/l, K4.3mmol/l, Cl 104mmol/l
【病理診断(生検)】
[死亡7年前]
Nasal cavity (lt., biopsy): Malignant lymphoma, diffuse large
B-cell type. Section shows a diffuse proliferation of large atypical
lymphoid cells. Immunohistochemically, the tumor cells are
positive for CD20 and negative for CD3.
[死亡2年前]
Nasal cavity (lt., biopsy): Osteosarcoma, chondroblastic
type, post-irradiation.
Section shows a proliferation of polygonal tumor cells
arranged in sheet, with chondroid matrix and irregular
osteoid with calcification. Mitosis are frequently seen. 【CT(死亡2年前)】
左上顎洞に4cm大の
腫瘤をみとめる。
腫瘤は上顎骨の骨破
壊を伴い、前方では左
頬部皮下、後方では左
側頭下窩に進展してお
り、内側ではわずかに
鼻腔内に突出している。
眼窩内への進展は認
められない。
【臨床上の疑問】
腫瘍の転移の有無
悪性リンパ腫、甲状腺癌の残存の有無
剖検時 Maxillary tumor
Right Lung
440g
Right Lung
Left Lung
330g
Heart
330g
Coronary artery RCA
LAD
LCX
Liver 850g
Spleen 130g
Kidney
rt. 100g / lt. 110g
Aorta
Uterus
悪性リンパ腫
放射線治療
骨肉腫
肺転移
放射線性肺炎
易感染性
気管支肺炎
呼吸不全
悪液質
循環不全
死