生体における還元 ハロゲンの酸化力 生体内では酵素反応により還元反応が進行することが知られている。ほとんどの還元酵素はニコチン アミドアデニンジヌクレオチド (NAD) あるいはフラビンアデニンジヌクレオチド (FAD) を水素供与 体(還元剤)として利用する。 ハロゲンの標準酸化還元電位と酸化力の大小 F 2(フッ素) > Cl 2(塩素) > +2.87V +1.36V Br 2(臭素) +1.087V > I 2(ヨウ素) +0.536V 酸素の酸化力 同種の酸化剤どうしでは、酸化力の大小は、酸化還元電位の大小で比較することができる。 ハロゲンの酸化力 O 2 + 4H + + 4e - F 2 >Cl 2 >Br 2 >I 2 Ê 2H 2O +1.229V O2 + 4e - Ê 2O 2- +1.21 V O2 + 4e - + 2H 2O Ê 4OH - +0.401V 電子の受け渡しと、エネルギーのやり取り Cl 2 + 2e - 2Cl - → 標準酸化還元電位 +1.36V 塩素ガスは電子を受け取り(エネルギーを受け取り)、塩素イオンになる。 2Cl- Cl 2 + 2e - → 標準酸化還元電位 -1.36V 塩素のオキソ酸の酸化力 酸性条件での標準酸化還元電位 塩素イオンは、電子を放出し(エネルギーを放出し)、塩素ガスになる。 オキソ酸 ※酸化還元電位の正負は、方向性(電子の授受・エネルギーのやりとり)を表している。 次亜塩素酸 亜塩素酸 塩素酸 2 Cl- 過塩素酸 -1.36(V) +1.36(V) Cl Δ1.36(V) 標準酸化還元電位 ClO - +2H+ + e ClO - +2H+ +2eClO 2- +2H+ +2eClO 3 - +6H+ +6eClO 3 - +2H+ +2eClO 4 - +2H+ +2e酸性条件では → → → → → → 1/2Cl 2 + H 2O Cl- + H 2O ClO- + H 2O Cl- + 3H 2O ClO 2- - + H 2O ClO 3 - + H 2O ClO - =ClO 2- >ClO 3 - > +1.63V +1.50V +1.645V +1.45V +1.21V +1.19V ClO 4 - 中性~塩基性条件での標準酸化還元電位 2 電子の受け渡しは、エネルギーのやり取りである。 酸化還元反応とエネルギーの放出・吸収 ¬ Zn → Zn 2+ +2e - ( 酸化反応 …… 電子を放出……エネルギーを放出する。) + ) ≈ C u 2++2e - → Cu ( 還元反応 …… 電子を吸収……エネルギーを吸収する。) Zn + Cu2+ → Zn 2+ + Cu オキソ酸 次亜塩素酸 亜塩素酸 塩素酸 過塩素酸 標準酸化還元電位 ClO ClO ClO 2ClO 3 ClO 3 ClO 4 - + + + + + + H 2O +2eH 2O +eH 2O +2eH 2O +2e3H 2O +6eH 2O +2e- → → → → → → - Cl- + 2OH 1/2Cl 2 + 2OH - ClO- +2OH - ClO 2- +2OH - Cl- + 6OH - ClO 3 - +2OH - +0.890V +0.421V +0.681V +0.295V +0.622V +0.374V 中性~塩基性条件では、ClO - >ClO 2- >ClO 4 - >ClO 3 塩素のオキソ酸の酸化力は、大まかには HClO >HClO 2 >HClO 3 >HClO 4 と考えてよい。
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