1 アジア太平洋都市サミット ニューズレター No.31 2015 年 9 月号

アジア太平洋都市サミット ニューズレター
No.31 2015 年 9 月号
目次
Ⅰ 大連循環産業経済区
中日韓循環経済モデル基地の建設状況について(大連市からの寄稿)·······1
Ⅱ 国連ハビタット福岡本部だより(連載6)
「都市・国土計画に係る国際ガイドライン」について·····················3
Ⅲ 今後のアジア太平洋都市サミットの会議予定 ······························5
Ⅰ 大連循環産業経済区
中日韓循環経済モデル基地の建設状況について(大連市からの寄稿)
2013 年 5 月,国家発展改革委員会,外交部,財政部が共同で通達を出し,大連循環産業経済区を含
む 3 つの経済区が中日韓循環経済モデル基地建設の準備作業をすすめることを承認しました。大連循環
産業経済区は基地建設の準備作業に全力で取り組み,顕著な成果をあげました。大連発展改革委員会,
財政局,外事弁公室,循環産業経済区の連携による懸命な努力の下,2013 年 12 月に「中日韓循環経済
モデル基地実施プラン」が完成し,国の発展改革委員会,外交部,財政部に報告しました。2014 年 12
月,大連循環産業経済区は国の 3 部門が共同開催した中日韓循環経済モデル基地計画審議会の承認を得
るに至りました。
2014 年 8 月,国務院が発表した「最近の東北振興支援に関する若干の重大政策と措置への意見」の
中で,
「大連循環経済モデル基地建設を支援する」ことが明確に提示されました。このことは,モデル
基地建設のための強力な原動力となりました。
2014 年,遼寧省政府,大連市政府はそれぞれ中日韓循環経済モデル基地建設を政府の重点事業に組
み入れ,定期的に監督,チェックを行い,全力をあげてモデル基地建設を推進しました。2015 年,遼
寧省政府は大連中日韓循環経済モデル基地の PR 推進を今年度のビジネス誘致活動における 2 つの重点
活動のうちの1つとしました。年度当初から現在まで,遼寧省対外経済貿易庁によるリードと,大連市
政府の強力な後押しの下,上海,香港,東京などで 3 度の大規模な PR 活動を行い,喜ばしい成果をあ
げました。6 月中旬には北海道でさらに大規模なビジネス誘致活動を行います。
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現在,大連市は積極的に日本と韓国との交流・協力事業を推進しており,日本のハイエンド機器によ
る検診,がん免疫療法,新型半導体電池などのプロジェクトを着々と進め,循環経済区で展開する見込
みです。
大連の中日韓循環経済モデル基地の面積は 97.8 平方キロメートルで,モデル基地の産業計画による
と,各産業間の連携や融合を充分考慮し,1 つの港,3 つの産業エリア,3 つの機能エリアで構成され,
現在すでに 30 平方キロメートルが建設されています。
1 つの港というのは,現在全面的に拡張が進められている 1000 万トン級の庄河港です。庄河港は将
来的に木材,水産品,リサイクル資源および各種鉱産物の保税貯蔵や加工に利用する国レベルの輸入港
となり,また大型設備,家具製品,コールドチェーン物流,農業副産物の中国東北地域における新たな
海のルートとなり,
「一帯一路*(シルクロード経済ベルトと 21 世紀海上シルクロード)
」戦略体系に
おいて,日本と韓国につながり,更に対外的門戸が拡大された新たな窓口とプラットフォームになりま
す。
3 つの産業エリアというのは,庄河に既存する大連循環産業経済区,大連新興産業経済区,遼寧海洋
産業経済区のことで,資源リサイクル,新型設備製造,クリーンエネルギー設備,海洋システム,家具
製造,水産品,食品加工などの産業を重点的に発展させ,動脈産業と静脈産業が融合した,中日韓三か
国合同の新たな産業プラットフォームを形成します。
3 つの機能エリアとは,モデル基地付属の教育研修や科学技術研究開発のサポート機能エリア,ビジ
ネス・保養・レジャー・生活が一体となった機能エリア,循環型現代農業,現代漁業,新型都市化,都
市型漁港など都市化機能エリアです。現代サービス業,現代農業,現代漁業を重点的に発展させ,働き
やすく住みやすい低炭素型循環型モデルコミュニティーを構築し,国レベルの生態環境保護先進モデル
地区(環境や資源の保護への意識が高い地区)を建設します。
*「一帯一路」
中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」
(一帯)
と,中国沿岸部から東南アジア,インド,アラビア半島の沿岸部,アフリカ東岸を結ぶ「21 世紀
海上シルクロード」
(一路)の二つの地域で,交通インフラ整備,貿易促進,資金の往来を促進
していく構想。
(事務局注)
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Ⅱ 国連ハビタット福岡本部だより(連載6)
「都市・国土計画に係る国際ガイドライン」について
2013 年,国連ハビタットでは,地域本部や各国政府・自治体組織等様々なパートナーと協議し,主
に発展途上国における都市化の進展に伴い生じる様々な問題について,都市計画の段階で適切に対応す
ることを目的とした持続可能な都市・国土計画に係る国際ガイドラインを作成することにしました。
このガイドラインは,各国より選出された約 35 名の専門家で構成された専門家グループにより検討
が進められ,
2013 年から 3 回の特別専門家会合を経て,
2014 年 11 月に最終案が取りまとめられました。
2013 年 10 月の第 1 回パリ(フランス)会合,2014 年 4 月の第 2 回メデリン(コロンビア)会合に続
き,最終回の第 3 回は福岡(日本)で開催され,17 ヵ国・4 国際機関より 29 名が福岡市に集まり,2
日間の討議を行いました。
2014 年 11 月 11 日~12 日に福岡市で開催された専門家会合の様子
第 3 回会合では,
「都市・国土計画に係る国際ガイドライン」最終案と併せて,ガイドラインの意義
や役割を伝える「福岡メッセージ」と,優良事例都市 38 都市・国も発表されました。
また,この会合の内容を広く市民にも知ってもらうため,国際ガイドラインの趣旨やこれからの都市
に求められることについて,専門家の話を直接聞くセミナーも開催され,市民が国際機関の役割やこれ
からの世界の都市の動向について知る貴重な機会ともなりました。
「都市・国土計画に係る国際ガイドライン」最終案は,2015 年 4 月に第 25 回国連ハビタット管理理
事会(ナイロビ開催)決議で承認され,今後,国連総会で報告されます。
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~ 福岡メッセージ(仮訳) ~
2013 年 4 月の国連ハビタット管理理事会決議(24/3)をうけ,国連ハビタット事務局長は「都
市・国土計画に係る国際ガイドライン」の構成・内容・文言を進言する特別専門家グループを
設立しました。各国政府や地方自治体,開発機関,都市計画協会,調査機関や学界,市民組織
から推薦された専門家がアフリカ・アジア・ヨーロッパ・南北アメリカ地域より本特別専門家
会合に招集されました。
我々,特別専門家会合のメンバーは,アフリカ・アジア・ヨーロッパ・南北アメリカ地域よ
り各国政府や地方自治体組織(United Cities and Local Governments/都市・自治体連合)
,都
市計画協会(International Society of City and Regional Planners/都市・国土計画専門家の
国際学会),国際機関(世界銀行,国連地域開発センター,国連訓練調査研究所,経済開発協力
機構)に推薦されました。
我々は 2013 年 10 月 24-25 日(パリ・フランス)
,2014 年 4 月 10 日(メデリン・コロンビア)
,
そして 2014 年 11 月 11-12 日(福岡・日本)で開催された 3 回にわたる会合に参加しました。
我々は,ここに 2015 年 4 月に開催予定の国連ハビタット第 25 回管理理事会に提出するため
の「都市・国土計画に係る国際ガイドライン」の最終案をとりまとめたことをご報告します。
我々は,様々な状況や規模を鑑みた物証や優良事例,教訓に基づき本最終案をまとめました。
また,本最終案は,これまでに採択され実践されている「分権と地方自治体強化に関する国際
ガイドライン」
(2007)及び「全ての人々に基本サービスへのアクセスを供給するための国際ガ
イドライン」
(2009)を補強するものでもあります。本ガイドラインに含まれている指針は社会・
経済・環境的観点から都市や居住の持続可能な開発を推進することを目的としています。本ガ
イドラインが採択されると,現存する政策や計画,都市デザイン,実践課程を改善し,よりコ
ンパクトで社会的に包括的,より都市・国土課題に関連し,持続可能な都市開発や気候変動へ
の耐性強化に寄与する世界的枠組みが構築されることとなります。
我々は,国連加盟国に本ガイドラインを採用することを呼びかけるとともに,各国に本ガイ
ドラインの採用・実践を急ぐための支援を促します。
我々は,本ガイドラインが 2016 年に開催予定の第 3 回国連人間居住会議(Habitat III)同
様,ポスト 2015 年開発アジェンダにおいても画期的な意見提供になると信じています。
我々は,本ガイドライン形成に必要な財政・技術的支援を提供していただいた国連ハビタッ
ト,フランス政府(外務省)
,日本政府(国土交通省)
,福岡県,福岡市,西南学院大学に感謝
しております。
我々は今後もそれぞれの役職・分野において,全ての人々にとってより良き都市の未来のた
めに本ガイドライン実施を促進・支援していくことをお約束します。
このガイドラインについての詳しい情報はこちらの報告書(英文)をご参照ください。
http://unhabitat.org/wp-content/uploads/2015/04/International%20Guidelines%20%20-%20Co
mpendium%20Inspiring%20Practices.pdf
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★会員都市の担当者の皆様 : 寄稿をお待ちしています。
貴市のトピックスや新規事業,都市問題の解決のヒントとなるような貴市における課題解決の取組みなど,お気軽に
情報をお寄せください。
(ニューズレターは,アジア太平洋都市サミットのウェブサイトに掲載し,会員都市などへ email 送信しております。)
Ⅲ 今後のアジア太平洋都市サミットの会議予定
2015 年 10 月 29 日~31 日にロシア連邦・ウラジオストク市で開催が予定されていた第 12 回市長会議は
中止になりました。次回の会議は以下を予定しています。
開催時期
会議名
2016 年 11 月または 12 月
開催都市
第 11 回実務者会議
イポー市 (マレーシア)
アジア太平洋都市サミット : Asian-Pacific City Summitは,アジア太平洋地域の都市問題の解決に向け,市長会
議や実務者による会議等を通じて,都市の連携やネットワークの構築を図っています。
アジア太平洋都市サミット会員都市
13 ヵ国 30 都市
オークランド市(ニュージーランド)
鹿児島市(日本国)
バンコク都(タイ王国)
北九州市(日本国)
ブリスベン市(オーストラリア連邦)
クアラルンプール市(マレーシア)
釜山広域市(大韓民国)
熊本市(日本国)
長沙市(中華人民共和国)
マニラ市(フィリピン共和国)
大連市(中華人民共和国)
宮崎市(日本国)
福岡市(日本国)
長崎市(日本国)
広州市(中華人民共和国)
那覇市(日本国)
光陽市(大韓民国)
大分市(日本国)
ホーチミン市(ベトナム社会主義共和国)
浦項市(大韓民国)
香港特別行政区(中華人民共和国)
佐賀市(日本国)
ホノルル市(アメリカ合衆国)
上海市(中華人民共和国)
イポー市(マレーシア)
シンガポール(シンガポール共和国)
ジャカルタ特別市(インドネシア共和国)
ウルムチ市(中華人民共和国)
済州特別自治道(大韓民国)
ウラジオストク市(ロシア連邦)
【編集・発行】 2015 年 9 月 1 日 アジア太平洋都市サミット事務局 (福岡市総務企画局国際部)
〒810-8620 福岡市中央区天神 1-8-1 TEL: 092-711-4028 FAX:092-733-5597
E-mail: [email protected] Website: http://apcs.city.fukuoka.lg.jp/
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