2K04 Mg イオン電池用新規有機電極活物質の電気化学特性 ○池田智昭,伊藤正人,中本康介,加納佑輔,岡田重人(九大) Electrochemical Performances of New Organic Electrodes for Mg-ion Batteries Tomoaki Ikeda, Masato Ito, Kosuke Nakamoto, Yusuke Kano, Shigeto Okada (Kyushu Univ.) 1.目的 われわれは高エネルギー密度と経済性,安全性を両立させうるイオン二次電池の有力候補として,多価イ オンを用いて容量増大を狙いとした水系 Mg イオン二次電池に注目し,すでに正極候補として 266 mAh/g の 大きな可逆容量を示す MgMnSiO4 を報告した 1.ところが, それに対する負極に関しては, 少なくとも無機系 化合物の中では未だ有望な候補が見つかっていないのが現状である. そこで,当研究室では有機系材料に注 目し, 水に難溶で可逆な多電子酸化還元反応を担う化合物を探索してきた. 今回,Fig. 1 に示すアントラキノ ン(AQ)とそのキノン部位に C=N 結合が連結した 1,4-ジアザアントラキノン(DAAQ),またそれぞれの構造異 性体である 9,10-フェナントレンキノン(1)や 4,7-フェナントロリン-5,6-ジオン(2)について,水系電解液中での 負極特性を検討した. O O O N O N O O N N O O AQ DAAQ Fig. 1 1 2 キノン系負極候補化合物の構造式 2.実験 AQ と化合物 1, 2 は市販品を用い,DAAQ は既往の文献 2 に従 って市販品から三工程で調製して用いた.これらの有機活物質と アセチレンブラック,ポリエチレンテトラフルオロエチレンを重 量比 70:25:5 で混合し,ペレット状に成形したものを電極とし た.セルはビーカータイプセルを用い,充放電中の負極の挙動に ついては FT-IR および XRD 測定を ex situ で行った. 3.結果および考察 Fig. 2 に AQ を用いた水系 Mg イオン電池の充放電特性を示し た.初回放電容量は 100 mAh/g であったが (Fig. 2a),水溶液中で ありながら 10 サイクル後も劣化が見られず安定なサイクル特性 を示すことが確認された(Fig. 2b).これに対し DAAQ は,サイク ル安定性に難があるものの(Fig 3b),初回放電容量は 250 mAh/g に達し,さらに充放電過電圧が AQ に対しより小さいことが確 認された(Fig 3a).そこで DAAQ について ex-situ XRD 測定を行 ったところ,各充放電過程で結晶構造に大きな変化がないこと が明らかとなった.次に DAAQ の Mg に対する反応部位を調べ るため ex-situ FT-IR 測定を行った.その結果 DAAQ の C=O 伸 縮に由来する 1677 cm-1 のピークは放電で消失,充電で出現する ことが確認された.発表では AQ の構造異性体 1 や DAAQ の構 造異性体 2 について検討した結果についても併せて報告する. 参考文献 (1) 中本康介, 加納佑輔, 池田智昭, 岡田重人, 2014 年電気化学 秋季大会要旨集, 2R05, 295 (2014). (2) H. Bock, P. Dickmann, and H. -F. Herrmann, Z. Naturforsch. 46b, 326 (1991). (a) (b) Fig. 2 (a) AQ の初回放電曲線 および(b)サイクル特性 (a) (b) Fig. 3 (a) DAAQ の初回放電曲線 および(b)サイクル特性 充放電特性
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