生命科学 B 期末試験 (2015 年 1 月 29 日実施) 問題1 1)細胞間の可溶性分子によるシグナル伝達様式を5つ答えよ. 2)膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるインスリンは,全身に存在するイン スリン受容体に働きかける.それは,1)のシグナル伝達様式のいずれにあたるか? 3)この伝達様式の利点(特徴)を述べよ. 問題2 空欄 A から I を埋めよ. G タンパク質共役型受容体は A 回膜を貫通する膜たんぱく質で,細胞内に 3 種の G タ ンパク質,Gα,Gβ,Gγが三量体を作って形成している.刺激されていない Gαに結合して いる B は,受容体にリガンドが結合し活性化すると, C に変換される. C が結合し て活性型になった Gαは離れて,ホスホリパーゼ C を活性化する.活性化されたホスホリパー ゼ C はリン脂質を D とジアシルグリセロールに分解し, D は, E にある D 受容体 を活性化し, E 内の F が細胞内に放出され,細胞内の F 濃度が上昇する. 活性型 Gαはまた,アデニル酸シクラーゼを活性化する.その結果,細胞内の G 濃度が 上昇し, G 依存性 H が活性化し,細胞膜の F チャネルが開口しやすくなり,細胞 内の F 濃度上昇につながる.細胞内の F 濃度が上昇すると, F 依存性 H など が活性化される.この H によって,細胞内の様々なシグナルが活性化される. F や G は細胞内シグナル伝達にかかわるので, I とよばれる. 問題3 iPS 細胞について知るところを述べよ. 問題4 減数分裂と体細胞分裂について,右図の相同染色体を2組持つ仮 想的な細胞について,図示しながら両者の違いがわかるように説明せ よ. 問題5 生物が多受精(一つの雌性配偶子に多数の雄性配偶子が受精する)しない仕組みにつ いて述べよ. 問題6 発生の初期過程において胚が3つの大まかな区域に分かれていてそれらからさまざまな体の 構造が形成されている.呼吸器官や消化器官は,1胚葉,筋組織や結合組織は 2 胚葉,中枢神経系,皮膚は,3胚葉である. 問題7 正常発生の際には,オーガナイザーは外胚葉にはたら きかけて神経組織を誘導するとともにそれ自身は中胚 葉性組織に分化する.32 細胞期(I 期),桑実胚 期(II 期),胞胚初期(III 期)のオーガナイザー 予定域について次の1-3の実験を行った(I,II, 桑実胚(II 期) 胞胚初期(III 期) III の順で発生は進行する).これらの実験結果から みて,正しいと思われる結論には〇を,誤っているもの には×,これらの実験からは判断できないものには△をつけよ.(アからクそれぞれについて答 える) <実験1> I,II,III の各時期のオーガナイザー予定域を,それぞれと同時期の胚の他 の場所に移植したところ,すべて二次胚(新たな頭部)が形成された. <実験2> I,II,III の各時期のオーガナイザー予定域を切り出し培養したところ,II, III からは中胚葉性組織が分化してきたが,I からは分化してこなかった. <実験3>III の時期の外胚葉予定域を切り出し,これに I,II,III の各時期から切り出 したオーガナイザー予定域を短時間(誘導が起きるのにじゅうぶんな時間)接触させたのち 培養したところ,III を接触させたものから神経組織が分化してきたが,I,II を接触させた ものからは神経組織は分化してこなかった. 結論 (ア) I 期以前にオーガナイザー予定域は神経組織を誘導する能力を持っている (イ) I 期にはオーガナイザー予定域は他の胚域とは無関係にオーガナイザーに分化する能 力を持っている (ウ) II 期にはオーガナイザー予定域は神経組織を誘導する能力をもっている (エ) II 期にはオーガナイザー予定域は他の胚域とは無関係にオーガナイザーに分化する 能力を持っている (オ) III 期にはオーガナイザー予定域は神経組織を誘導する能力を持っているが,他の 胚域から切り離すとオーガナイザーには分化しない (カ) III 期にはオーガナイザー予定域はオーガナイザー以外に分化する能力を失っている (キ) オーガナイザー予定域がオーガナイザーに分化するためには,他の胚域から何らかの 作用を受けることが必要である (ク) オーガナイザー予定域以外の胚域はオーガナイザーに分化する能力がない 問8 性を利用する生殖の意義を答えよ. 問9 受容体のなかには,膜たんぱく質ではなく,細胞内にあるものも存在する.このような受容 体の情報伝達の仕組みについて述べよ.
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